「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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fld_lock.gif 後世大戦
投稿日 : 2022/07/16 07:04
投稿者 黒狼武者
参照先 http://darkten.pa.land.to/cgi-bin/patio2/patio10.cgi?mode=view&no=3142
ジャンル
SFアクション
バイオパンク

世界観
荒廃世界

登場キャラクター
【ウィルフィールド】
出身地:サウスアイアンド共和国※テロ支援国家
年齢:45歳
分類:人間
性別:男性
所属:サウスアイランド陸軍~新自由解放軍
身長:197cm
体重:97kg
血液型:AB型
一人称:私、俺
性格:苛烈、厳格、野心的、支配的
趣味:ライフル射撃、長期間の船旅、戦争映画

【ストレイダス】
出身地:不明
年齢:不明※20代後半~30代前半
分類:ポストヒューマン、サイボーグ
性別:男性
所属:傭兵部隊~新自由解放軍
異名:伝説の殺し屋、地獄の殺人鬼
身長:168cm
体重:770kg
血液型:不明
一人称:俺
性格:好戦的、無欲恬淡、合理的、気紛れ
趣味:戦闘、戦争、昼寝

登場兵器
〔サイコブラスター〕
分類:特殊型高エネルギー銃器
材質:ユニバースメタル※特殊性超硬合金
エネルギー源:精神力

〔ヘビーエンプレス〕
分類:超弩級戦略型ミサイル艦
別名:超弩級要塞戦艦
所属:ホワイトセイバー~新自由解放軍
全長:400m
全幅:80m
全高:90m
全備総重量:70万t※満載排水量
全速力:33ノット
全出力:33万馬力
航続距離:無限海里
乗組員:15人~20人
輸送要員:160人~180人前後
兵装
990mm電磁投射連装砲:2基
150mm高エネルギー機関砲:8基
120mm対空機関砲:4基
多目的ミサイル発射機:80基
特殊弾道ミサイル:2基
艦載機:1機※大型輸送機~12機※小型無人機
上陸用舟艇:2隻~4隻
重戦車:2両~4両
装甲
主砲装甲:880mm
舷側装甲:660mm
甲板装甲:550mm
動力炉:リアクターボール※特殊無限機関
装甲材質:ユニバースメタル
特殊設備
高性能型レドーム
ホログラム装置※立体映像
エネルギーシールド発生装置

登場国家
〔エルピスコロニア〕
総人口:130万人

作中用語
〔ポストヒューマン〕新人類※人造人間

第一話

奇襲攻撃
人類史上最大級の大戦争…。旧世界最終戦争から十二年後の出来事である。史上最悪の大量破壊兵器により旧世界の巨大高度文明は大崩壊…。世界各地の大都市部は荒廃化したスラム街状態であり全世界の彼方此方が暴徒化した無法者達の魔窟だったのである。当然として秩序は皆無であり生存者達は食糧品の争奪戦…。殺し合ったのである。世界全体が弱肉強食の大混乱期時代であったが…。〔エルピスコロニア〕と命名される小大陸では大量破壊兵器の悪影響が皆無であり大勢の生存者達が小大陸エルピスコロニアに移住したのである。半年間も経過すればエルピスコロニアの各地に無数の村落が形成され…。一部の地域では小規模の文明社会が再構築されたのである。各地に小規模の復興都市が形成されてより三年が経過…。大洋の絶島よりホワイトセイバーと名乗る大規模武装集団が小大陸エルピスコロニアに上陸したのである。彼等は圧倒的武力で各地の村落を占拠…。大勢の村民達を抑圧したのである。ホワイトセイバーの上陸から半年後…。北方地帯では別の大規模武装勢力が出現したのである。彼等は武装集団のホワイトセイバーに宣戦布告…。エルピスコロニア内地で二大勢力による大事変が勃発したのである。
「突撃隊!敵軍を蹴散らせよ!」
時間帯は真夜中の深夜帯…。主戦場は砂漠化した大平原であり周囲の様子は容易に確認出来る。武装集団の最高指導者らしき軍人の合図と同時に軍隊用のサバイバルナイフと護身用のハンドガンを装備した迷彩服の戦闘員達が武装集団ホワイトセイバーの駐留地に突入したのである。
「ん?こんな時間帯に何事だ?」
「彼等は?」
ホワイトセイバーの駐屯地では二人の警備兵が表門にて警備中…。
「ん!?奴等は新自由解放軍の突撃隊だぞ!」
新自由解放軍とは小規模の自治領新自由解放区を実効支配する新世界有数の大規模武装集団の一種…。新世界の主導権掌握を主目的に活動する軍閥の巨大軍事勢力である。名称のみならホワイトセイバーと同様に慈善団体を連想させるが…。実態としては残虐非道の無法者集団であり村落での略奪やら暴行は日常茶飯事である。今現在新自由解放軍はエルピスコロニアの北方地帯全域を武力により占拠…。新自由解放区の支配領域は日に日に拡大化したのである。
「奴等の奇襲攻撃か…」
警備兵達は新自由解放軍の突撃隊を確認したのである。
「敵襲だ!敵襲だぞ!」
睡眠中だった大勢の戦闘員達が即座に反応し始める。
「敵襲だと!?新自由解放軍の奴等だな!」
「奴等の襲撃か!?奇襲とは卑劣だな…」
突撃隊の人数は推計三百人前後…。相対する駐留地のホワイトセイバー守備隊は推計六百人規模であり総兵力は圧倒的に新自由解放軍を上回る。
「防衛戦だ!防衛戦を徹底せよ!」
ホワイトセイバー守備隊の戦闘員達は即座に護身用の小銃やらハンドガンで応戦…。駐留地内部では両勢力による銃撃戦が開始されたのである。戦闘開始から五分間が経過…。双方で合計二百人以上の死傷者が続出する。
「即刻回転型機関砲を用意しろ…無法者集団を撃退するのだ!」
駐留地のホワイトセイバー守備隊は六連発の回転型機関砲を配備したのである。
「此奴で新自由解放軍の奴等を蹴散らしちまえ!無数の弾丸をぶっ放せ!」
回転型機関砲の乱射により数秒間で四十人以上の突撃隊を死傷させる。戦力では防衛戦を徹底するホワイトセイバー守備隊が圧倒的に有利であり新自由解放軍の突撃隊は数分間で戦力が半減…。
「畜生が…」
「奴等は…想像以上に手強いな…」
新自由解放軍の装備品はサバイバルナイフとハンドガンのみであり武装豊富のホワイトセイバーと比較すれば貧相だったのである。ホワイトセイバー守備隊の予想以上の抵抗により突撃隊の戦闘員達は疲弊し始める。
「こんな状態では全滅しちまう!一先ずは撤退だ!撤退しろ!」
彼等の猛反撃によって新自由解放軍突撃隊は撤退を余儀無くされる。戦意喪失により新自由解放軍の突撃隊は敵前を逃亡する戦闘員達が出始め…。十数人もの戦闘員達が自軍の陣地へと戻ったのである。
「なっ!?貴様等!?」
独断で撤退した戦闘員達に最高指導者らしき大柄の軍人は怒号し始める。
「何故戦場から戻ったのだ!?誰が陣地に戻れと命令した!?」
怒号する大柄の軍人であるが逃亡した戦闘員達は恐る恐る…。
「ですが総大将殿…今回の戦闘は圧倒的に俺達が不利ですぜ…」
「多勢に無勢ですぜ!総大将殿!サバイバルナイフとハンドガンだけでは奴等には対抗出来ませんぜ…俺達は一度出直してから…」
「黙れ!私に命令するな!敵前逃亡は重罪だぞ!」
大柄の軍人は護身用のハンドガンで一人の戦闘員を射殺する。
「今度は誰が射殺されたいか?返答しろ…」
意見した一人の戦闘員が銃殺され…。
「ひっ!」
「えっ…総大将殿…」
逃亡した周囲の戦闘員達が大柄の軍人に畏怖したのである。
「貴様等は泣く子も黙る新自由解放軍の勇士達なのだぞ!死にたくなければ即刻主戦場に戻れ…戻らなければ即刻射殺する!」
戦闘員達は極度の恐怖心からかビクビクした様子であり全身が膠着する。
「貴様等…」
『役立たずの弱卒風情が…やっぱりこんな無法者連中では戦果は期待出来ないな…』
弱腰の彼等の様子に大柄の軍人は呆れ果てる。現実問題…。新自由解放軍の戦闘員達は大半が其処等の無法者達で構成された無法者集団であり大戦果は期待出来ない。対するホワイトセイバーは旧世界最終戦争で活躍したとされる各国家の正規軍人達である。両勢力の武器の性能は勿論…。実戦経験も士気も其処等の無法者達で構成された新自由解放軍とは段違いである。すると大柄の軍人の背後より…。
「【ウィルフィールド】…苛立っても仕方ない…」
ウィルフィールドとは新自由解放軍の総帥であり同軍の最高指導者である。極度の思想家であり荒廃化した新世界の主導権掌握を夢見る。性格は苛烈で厳格なのは勿論…。野心的で支配的であり大勢の部下達からは総大将と畏怖される。世界最終戦争当時はテロ支援国家であるサウスアイランド共和国の陸軍部隊に所属…。最前線で活躍したとされる。
「ん?」
「現実的に…こんな弱卒連中だけで戦闘に勝利するなんて夢物語だぞ…」
ウィルフィールドの背後には特殊型ヘルメットと全身アーマーを装備した小柄の特殊部隊員らしき将兵が佇立する。
「誰かと思いきや…貴殿は最精鋭の【ストレイダス】か…」
「えっ!?」
「ストレイダスって…」
ストレイダスの名前に周囲の戦闘員達は驚愕したのである。
「此奴は…伝説の殺し屋の…」
「本物なのかよ!?」
「此奴が本物のストレイダスなのか!?」
「如何してストレイダスがこんな場所に?此奴はストレイダス本人なのか?」
ストレイダスとは荒廃した新世界各地で活躍する伝説の殺し屋…。残虐非道の暗殺者として知られる危険人物であり世界各地の無法者達からも畏怖されたのである。ストレイダスは世界的にも有名であるが…。素顔は特殊型ヘルメットの着用により不明である。今現在彼自身に関連する出自やら詳細は不明瞭でありストレイダスの正体を熟知する人物は少数とされる。一説では傭兵として世界最終戦争で活躍したとの噂話も一部存在する。彼自身の異名としては伝説の殺し屋が一般的であるが…。一部の地域によっては地獄の殺人鬼とも呼称される。
「此奴は最近配属させた新自由解放軍にとって最強の即戦力であり俺達の最精鋭なのだ…伝説の殺し屋であるストレイダスならば百人力の大戦果は期待出来るだろう♪」
ウィルフィールドは恐る恐る…。
「ストレイダスよ…敵軍の陣地に突入して思う存分に敵兵達を殺し回るのだ…伝説の殺し屋である貴殿なら出来るよな?」
「仕方ないな…」
ストレイダスはウィルフィールドの命令を掌握すると常人をも超越した超高速移動で移動したのである。
「ストレイダスは…人間なのか?一瞬だったぞ…」
「彼奴は怪物の間違いでは?」
「現実なのか…」
ストレイダスの高スピードに陣地の各戦闘員達はハッとした表情で驚愕する。周囲の者達は先程の光景が現実なのか幻覚なのか混乱したのである。するとウィルフィールドは陣地の各戦闘員達に解説し始める。
「ストレイダスの正体は〔ポストヒューマン〕…旧世界の科学者達が創造した新人類の一人だぞ…」
「ポストヒューマンって?」
ポストヒューマンとは旧世界の高度の科学技術によって創造された人工性生命体…。所謂人造人間の総称化である。世界最終戦争によりポストヒューマンに関連する大半の資料と研究施設は焼失したものの…。一部の残存資料ではポストヒューマンは常人を超越した身体能力と不老長寿の肉体である記述のみは現存する。
「ですが総大将殿…怪物みたいな百人力の兵隊を味方に出来ましたね…」
「ストレイダス…彼奴は単純に戦闘と殺戮さえ出来れば満足らしいからな…」
野心家のウィルフィールドにとって自身の目的の遂行にストレイダスの好戦的性格は非常に好都合だったのである。
『何よりも狂戦士のストレイダスを新自由解放軍の一兵卒として扱えるのは奇跡だったな…彼奴一人で戦局を左右するからな…正直ストレイダス以外の連中は…』
野心家のウィルフィールドにとってストレイダスこそが戦略的に重要である反面…。ストレイダス以外の人員は単なる役立たずの手駒だったのである。同時刻…。ストレイダスは数秒間でホワイトセイバー守備隊の駐屯地へと到達する。
「なっ!?此奴は敵軍の新手か!?」
「常人以上の高スピードだったぞ!彼奴は本当に人間なのか!?」
「彼奴…何者だ?」
ストレイダスの高スピードに最前線の敵味方の戦闘員達は強豪のストレイダスに注目したのである。彼等がストレイダスに注目し始めた直後…。
「貴様等…覚悟するのだな…」
改造された両腕の高性能型機械義手の先端からは銀色の鉤爪が出現する。
「戦闘を開始する…」
ストレイダスは神速の身動きで敵兵に急接近したかと思いきや…。変形させた機械式の鉤爪で目前の敵兵を斬撃したのである。
「ぐっ!」
「ぎゃっ!」
ストレイダスは数秒間で三人の敵兵を殺害…。床面にはバラバラに斬撃された敵兵の肉片やら鮮血が飛散する。ストレイダスは常人をも超越した戦術的存在であり最早人型の殺戮兵器同然だったのである。
「うわっ!此奴は人型の怪物だ!」
ホワイトセイバー守備隊の戦闘員達は強豪のストレイダスに畏怖したのか護身用の機関銃は勿論…。回転型機関砲で新手のストレイダスに攻撃を集中させたのである。
「彼奴に集中攻撃だ!怪物みたいな兵士を打っ殺せ!」
合計数百発もの銃弾がストレイダスに集中するものの…。ストレイダスは神速の身動きで無数の銃弾を容易に回避したのである。
「なっ!?敵兵は一瞬で…やっぱり怪物なのか!?」
「敵兵の姿形が消失したぞ…怪物みたいな兵士は一体!?」
一瞬の身動きでストレイダスは敵軍の猛攻を回避…。対するホワイトセイバーの戦闘員達は周囲を警戒するのだがストレイダスの姿形は確認出来ない。
「敵軍の怪物みたいな兵士は!?」
「見失っちまったぜ…彼奴はゴーストみたいだな…」
すると回転型機関砲を装備する戦闘員の背後より…。
「えっ…貴様は!?」
ストレイダスは機械式の鉤爪でホワイトセイバーの戦闘員を瞬殺したのである。同時に回転型機関砲の無力化に成功する。
「新兵が敵軍の戦力を無力化させたぞ!」
「反撃開始だ!奴等を打っ殺しちまえ!」
ストレイダスの大攻勢により形勢は完全に逆転…。一時的に戦意喪失した新自由解放軍の突撃隊であるがストレイダスの参戦によって彼等の士気が発揚したのである。
「形成が逆転したな!」
「総員!ホワイトセイバーを駆逐しろ!」
突撃隊の猛反撃が開始される。十数分間の戦闘で駐留地のホワイトセイバー守備隊は後退し始め…。数分後にはホワイトセイバーの守備隊は撤退したのである。
「奴等が撤退を開始したぞ!」
「俺達の大勝利だ!」
ホワイトセイバーの駐留地は新自由解放軍に完全占拠され…。突撃隊の戦闘員達は新自由解放軍の勝利に大喜びしたのである。結果的に今回の夜襲作戦で新自由解放軍は推計二百人以上の戦闘員達が死傷…。一方ホワイトセイバーの駐留地守備隊は推計百五十人以上の将兵達が死傷したのである。戦闘に辛勝した新自由解放軍はホワイトセイバーの駐留地に放置された多数の重火器やら装甲車を戦利品として確保出来…。合計五十五人もの敵兵達を捕虜として拘束したのである。基地内での戦闘が終了してより数十分後…。
「見事だったぞ♪ストレイダス♪貴殿の孤軍奮闘で敵軍の駐留地を無事に占領出来たのだ!空前絶後の大戦果だぞ♪」
ウィルフィールドは笑顔で功労者のストレイダスに近寄る。予想以上の大戦果にウィルフィールドは大喜びしたのである。
「ストレイダスよ…貴殿は全軍の次期総帥候補に相応しい存在なのだ♪単なる一兵卒では勿体無い人材だぞ…」
ウィルフィールドの発言から周囲の戦闘員達は新兵のストレイダスに驚愕する。
「えっ!?ストレイダスは新兵なのに…次期総帥候補って…」
「初戦で次期総帥に任命されるなんて凄過ぎる…ストレイダスは別格だな…」
「実際…今回の戦闘では新兵のストレイダスが参戦しなかったら俺達は完全に敗北しただろうからな…怪物のストレイダスが新自由解放軍の次期総帥に任命されるのも当然だろうよ…今回は此奴の応戦で逆転出来たからな…」
一方次期総帥候補に任命されたストレイダスであるが…。
「何が次期総帥候補だ…俺にとって次期総帥なんて地位は無価値だな…」
ストレイダスは無表情で次期総帥の地位を無価値であると断言する。
「次期総帥が…無価値だと?」
総大将のウィルフィールドは勿論…。
「えっ…此奴は…」
「ストレイダスの野郎は本気かよ…」
周囲の戦闘員達もハッとした表情でありストレイダスの返答に愕然とする。
「ストレイダスよ…新自由解放軍の次期総帥候補は大名誉なのだぞ!貴殿は新時代の覇者として全世界を掌握したくないのか!?全世界の主導権を掌握出来る絶好のチャンスなのだぞ…」
現実問題…。今現在は全世界が荒廃化したスラム街状態であり新自由解放軍にとって脅威なのは圧倒的武力を保持するホワイトセイバーのみである。野心家のウィルフィールドの問い掛けに…。
「全世界の覇者なんて殺し屋の俺には無縁だな…次期総帥候補なら俺以外の奴等にでも譲渡しろ…」
ストレイダスは無関心そうな態度で返答したのである。
「俺は一人の一兵卒として思う存分に戦闘と戦争を体感出来れば大満足だからな…総帥なんて面倒なだけだ…」
実際好戦的性格であるストレイダスに思想は勿論…。野心は皆無でありストレイダスは最前線で戦闘と戦争さえ体感出来れば大満足だったのである。
「ストレイダス…」
『最前線の一兵卒としては上出来だが…此奴は想像以上に気難しい性格だな…』
ウィルフィールドは内心不服であったが…。
「ストレイダスが今後も暴れ回りたければ思う存分に暴れまわるのだな…其方が大満足なら構わんが…」
『恐らく今後も各地で戦闘が頻発するだろうからな…狂戦士のストレイダスにとっては好都合だろうよ…』
大戦闘に勝利した新自由解放軍の本隊は一先ず本拠地の新自由解放区へと撤収したのである。

第二話

極秘任務
ホワイトセイバーの駐屯地を占拠してより三日後の早朝…。地下壕の密室にてウィルフィールドとストレイダスは合流したのである。
「ストレイダスか…」
「ウィルフィールド…こんな朝っぱらから俺に用事か?」
ストレイダスは無表情で発言する。するとウィルフィールドは恐る恐る…。
「其方に極秘の単独任務だぞ…」
「俺に極秘の単独任務だと?」
「嗚呼…」
ウィルフィールドの単独任務の一言にストレイダスは興味深そうな様子で反応したのである。表情こそ無表情であるが…。内心ではワクワクしたのである。一方のウィルフィールドは数秒間沈黙するのだが…。恐る恐る発言する。
「ストレイダス…今回の任務内容なのだが…」
ウィルフィールドはストレイダスに任務内容を説明したのである。
「今現在…東方地帯に存在するスラム街は敵軍のホワイトセイバーによって占拠された状態なのだ…」
東方地帯のスラム街には数十人規模のホワイトセイバーが軍事拠点として活用…。今現在スラム街はホワイトセイバーの魔窟状態だったのである。
「此処は俺達新自由解放軍にとっても重要拠点だ…東方地帯のホワイトセイバーを駆逐しなければ奴等によって新自由解放区本土が攻略されるかも知れないからな…」
此処を放置し続ければ先日占拠した駐屯地を奪還され…。場合によっては新自由解放軍本拠地の新自由解放区本土が彼等によって攻略される可能性も否定出来なくなる。
「本来なら今回の任務では多人数を動員するべきなのだが…先日の戦闘で多人数は動員出来ないのだ…大変かも知れないが…」
ウィルフィールドは気難しそうな様子でストレイダスに依頼する。
「悪いがストレイダスよ…其方が単独でスラム街のホワイトセイバーを駆逐出来ないか?正直こんな最重要任務は其方以外の人員には依頼出来ないのだ…」
新自由解放軍は先日の大規模作戦で大勢の戦闘員達が死傷…。一度の戦闘では数百人規模の軍勢を動員出来なかったのである。今回の任務の失敗は本拠地新自由解放区の滅亡を意味する。現状の新自由解放軍にとって最精鋭であるストレイダス以外の人物には依頼出来ない。一方のストレイダスは無表情で…。
「スラム街の奴等を一蹴するだけか?楽勝だな…」
ストレイダスの返答にウィルフィールドは安堵する。
「其方には期待するぞ♪ストレイダス♪」
『此奴の性格が好戦的なのが何よりだな…』
ウィルフィールドは内心ストレイダスの様子にホッとしたのである。
「今回の任務が無事成功すれば…貴殿には報酬として一年分の食糧品を提供するぞ♪勿論酒類も存分にサービスするからな♪」
ウィルフィールドはストレイダスに報酬を提示するのだが…。
「ウィルフィールド…俺に報酬は不要だぞ…」
ストレイダスは報酬が不要であると断言したのである。
「えっ?ストレイダス…」
ストレイダスの返答にウィルフィールドは拍子抜けする。
「報酬が不要だと?其方は本気なのか?」
ウィルフィールドは恐る恐るストレイダスに問い掛ける。
「俺は戦闘さえ出来れば満足だからな…報酬なら其処等の無法者連中にでも譲渡するのだな…俺に必要なのは戦場だけだ…」
ストレイダスは無表情で退室したのである。
「彼奴は…本当に戦闘以外の物事には無関心だな…」
『俺としては非常に好都合なのだが…』
ストレイダスは好戦的性格上…。戦闘以外の物事には無関心でありウィルフィールドは内心好都合であると感じる。ウィルフィールドとの密談が終了してより十数分後…。
『早速出掛けるか…』
ストレイダスは東方地帯への移動を開始したのである。
『場所は…東方地帯だったか…』
本拠地の新自由解放区から移動してより二時間後…。ストレイダスは東方地帯のスラム街らしき場所へと到達する。
『如何やら此処が目的地のスラム街みたいだな…』
すると荒廃化した道路上より…。
「ん!?彼奴は!?」
「貴様は侵入者か!?」
迷彩服の無頼漢達がストレイダスの存在に気付いたのである。数人の無頼漢達がストレイダスに接近する。
「貴様!此処はホワイトセイバーの領土だぞ!」
「此処は進入禁止区域だ!死にたくなかったら即刻失せやがれ!」
警告されたストレイダスであるが…。
「俺の目的は…此処の制圧だ…」
ストレイダスの発言に彼等は絶句する。
「はっ?此奴…正気かよ?」
「制圧って…貴様は本気なのか?一人でスラム街を制圧するって?」
彼等はストレイダスの発言に呆れ果てたのである。
「であれば仕方ないな…此処からは実力行使だ…」
ストレイダスは右腕の機械義手を銃火器の形状に変形させる。
「なっ!?此奴!?」
「右腕が銃火器だと!?貴様の右腕は機械義手だったのか!?」
「此奴はサイボーグなのか!?」
戦闘員達はストレイダスの右腕の機械義手に驚愕したのである。
「貴様は一体…何者だ?」
戦闘員の一人に問い掛けられるとストレイダスは自身の名前を名乗る。
「俺はストレイダス…殺し屋とでも…」
「ストレイダスって…」
ストレイダスの名前に戦闘員達は戦慄したのである。
「此奴がポストヒューマンで…伝説の殺し屋のストレイダスか…」
「本物かよ!?本当に此奴が…殺し屋のストレイダスなのか!?」
ストレイダスは無表情で右腕の砲口から蛍光色の高エネルギー光弾を射出…。
「ぎゃっ!」
戦闘員の一人を射殺したのである。
「うわっ!此奴は右腕から光弾を発射したぞ!」
ストレイダスの両腕の高性能型機械義手は銃火器形態にも変形させられ…。銃火器形態に変形させた高性能型機械義手の砲口からは高エネルギー光弾を射出出来る特殊型高エネルギー銃器が内蔵される。両腕に内蔵された特殊型高エネルギー銃器は通称〔サイコブラスター〕と呼称され…。ストレイダスにとって最大の武装である。サイコブラスターはストレイダス自身の精神力を高火力のエネルギー源に変換…。光学系統の高エネルギー兵器として使用出来る。サイコブラスターのエネルギー源はストレイダス自身の精神力であり実質的には無制限に高エネルギー光弾を発射出来…。火力は自由自在とされる。現段階ではサイコブラスターの最大火力は未知数とされるが…。旧世界の科学者達の見解では大都市部をも一撃で焦土化させられると予想される。
「即死しろ…」
ストレイダスは右腕のサイコブラスターで高エネルギーを収束…。サイコブラスターの砲口から弾丸サイズに縮小させた高エネルギー光弾を連射する。
「ぐっ!」
「ぎゃっ!」
無数の高エネルギー光弾で周囲の戦闘員達を射殺したのである。
「うわっ!此奴!?仲間を!?」
周囲の戦闘員達は無頼漢達の悲鳴に反応…。護身用の拳銃を携帯したのである。
「敵襲か!?」
「新自由解放軍の襲撃か!?」
「敵兵を仕留めろ!」
戦闘員達は荒廃した各ビルから通信機で情報を交換…。ストレイダスの居場所を正確に特定する。
「標的を狙撃しろ…」
「敵兵を打っ殺せ…」
戦闘員達は各ビルの屋上からストレイダスを標的に狙撃したのである。
「ん?」
『奴等は…無線で情報交換か?』
一方のストレイダスは各ビルの屋上からの狙撃を察知…。超高速移動で無数の銃弾を回避したのである。
『こんな攻撃が俺に通用するか…』
ストレイダスは右腕のサイコブラスターで各ビルの屋上に潜伏する各戦闘員達に反撃…。小威力の高エネルギー光弾で殺害したのである。
『俺を相手取るには戦力不足だな…』
ストレイダスは今回の任務も他愛無いと感じる。
『やっぱり今回も簡単だったな…』
すると直後である。
「ん?」
『バズーカ砲か…』
前方よりバズーカ砲を装備した戦闘員が出現する。
「覚悟しやがれ!怪物野郎が!」
戦闘員はストレイダスを標的にバズーカ砲を発射したのである。
『こんな攻撃が俺に通用するかよ…』
ストレイダスはバズーカ砲の砲弾が直撃するものの…。ストレイダスの全身アーマーは非常に硬質であり無傷だったのである。
「えっ…」
『バズーカ砲でノーダメージなんて…やっぱり此奴は怪物なのか?』
戦闘員は愕然とする。
『片付けるか…』
ストレイダスは右腕のサイコブラスターでバズーカ砲を装備した戦闘員を殺害したのである。
『此処は無力化出来たな…』
スラム街の戦闘員達はストレイダスには通常の武装が通用しないと確信…。スラム街から逃走し始める。
『奴等は撤退するのか?』
「今回の任務は終了か…」
任務成功を確信した直後…。
「ん?」
前方の道路上より重厚装甲の重戦車が出現したのである。
「今度の相手は重戦車か…」
『此奴が敵軍の本命だな…』
戦車砲でストレイダスを標的に砲撃を開始…。
『こんな程度の砲撃…俺には通用しない…』
ストレイダスは戦車砲の砲弾を容易に回避する。
『重戦車が相手なら…サイコブラスターを高出力で…』
ストレイダスは精神力を集中させたと同時に…。サイコブラスターの砲口から高エネルギーの球体を形作ったのである。
『此奴で鉄屑の塊状を破壊するか…』
サイコブラスターから高出力の高エネルギー光弾を射出する。射出された高出力の高エネルギー光弾は前方の重戦車に直撃…。重戦車は一瞬で爆散したのである。
『所詮は鉄屑の塊状だ…他愛無いな…』
今回のストレイダスの奇襲によって東方地帯のスラム街に暗躍するホワイトセイバー守備隊は事実上壊滅…。守備隊の残党達は東方地帯のスラム街から撤退したのである。
『任務は成功だ…やっぱり今回も楽勝だったな…』
数時間後に東方地帯のスラム街は新自由解放軍の精鋭部隊によって占拠され…。戦利品として十三両もの重戦車と重武装の攻撃ヘリコプター一機を鹵獲出来たのである。

第三話

ドローン工場
東方地帯のスラム街を占拠してより二日後の早朝…。ウィルフィールドとストレイダスは地下壕にて密談する。
「ストレイダスよ…先日の戦闘は見事であった!一人で東方地帯のスラム街を制圧するとは…絶大なる快挙だぞ♪」
東方地帯のスラム街の占拠によってホワイトセイバーは駆逐されたのである。今現在東方地帯は新自由解放軍の勢力圏であり活動範囲が広範囲化する。
「ウィルフィールド…今回も俺に単独任務だろう?今度の任務内容は?」
ストレイダスは無関心そうな態度で発言したのである。
「其方は本当に好戦的だな…」
ウィルフィールドは内心呆れ果てるものの…。
「であれば今度は南方地帯に位置する…ドローン工場を攻略しろ…」
「ドローン工場だと?」
南方地帯は工業地帯の跡地でありドローン工場が存在する。此処は大戦前の時期には最先端の工業地帯として発展したのだが…。世界最終戦争によって工業地帯は荒廃化したのである。今現在では無人のゴーストタウンであるものの…。唯一ドローン工場だけは今現在でも健在でありホワイトセイバーの重要軍事拠点として活用されたのである。工場としての機能も万全であり機材さえ入手出来ればドローン兵器の製造は勿論…。既存の兵器の改造も容易に出来る。
「南方地帯のドローン工場を占拠出来れば…新自由解放軍の戦力は確実に急上昇するだろう…戦力の強化を期待出来るからな♪」
「であれば早速ドローン工場のホワイトセイバーを蹴散らせるか…」
ストレイダスが行動を開始する寸前…。
「ストレイダスよ…間違っても工場の技術者達と工場内のドローン兵器は極力破壊するなよ…」
ウィルフィールドは警告したのである。
「攻撃する対象は完全武装の戦闘員だけに限定するのだぞ…」
一方のストレイダスはウィルフィールドの警告に内心面倒であると感じるものの…。
「安心しろ…ウィルフィールド…俺は無抵抗の非戦闘員には手出ししないからよ…奴等が俺に手出しするなら別だが…」
ストレイダスは地下壕の密室から退室する。
『ストレイダス…本当に大丈夫だろうか?』
「彼奴は正直…暴走するかも知れないからな…」
ウィルフィールドは内心ストレイダスが独断で行動しないか不安視したのである。一方のストレイダスは本拠地の新自由解放区から脱出すると南方地帯へと移動を開始する。移動を開始してより三時間後…。南方地帯に到達したのである。
『如何やら此処が…南方地帯みたいだな…』
ストレイダスは南方地帯に到達するのだが…。確認出来るのは荒廃化した建造物ばかりであり人気は感じられない。
「誰一人として人気は感じられないな…」
『やっぱり此処はゴーストタウンだな…』
南方地帯を探索してより一時間後…。工場らしき建造物を発見する。
『如何やら此処が目的地のドローン工場みたいだな…』
ストレイダスは工場らしき建造物が目的地のドローン工場であると確信…。警戒した様子でドローン工場に進入する。
『早速任務を開始するか…』
ストレイダスが工場内に進入した直後である。
「ん!?貴様は何者だ!?」
「彼奴は侵入者か!?」
ドローン工場の内部には小銃を装備した警備兵達が十数人程度配置され…。
「彼奴は部外者だ!構わん!侵入者を射殺しろ!」
彼等は侵入者であるストレイダスに発砲し始める。
『愚か者達が…銃撃程度で俺を殺せるか…』
ストレイダスは即座に両腕の機械義手を機械式の鉤爪形態に変形…。無数の銃弾を機械義手で無力化したのである。
「畜生が!侵入者は両腕の機械義手で銃弾を無力化しやがったか!」
するとストレイダスは両腕の機械義手を銃器形態に変形…。
『武装した奴等は攻撃対象だったな…完膚なきまでに仕留めるか…』
特殊型高エネルギー銃器サイコブラスターで警備兵達に反撃したのである。高出力の高エネルギー光弾を連射…。
「ぐっ!」
「ぎゃっ!」
武装した警備兵達はストレイダスのサイコブラスターで容易に蹴散らされる。
『やっぱり他愛無いな…』
ストレイダスは一階の警備兵達を全滅させると二階の大部屋へと移動する。
『此処には…』
二階の大部屋には六人の作業員らしき人物達が作業中であり侵入者のストレイダスに戦慄したのである。
「ひっ!」
「あんたは…何者だ!?」
作業員達は非武装でありビクビクした様子である。
「安心しろ…貴様等みたいな非力の奴等を打っ殺しても面白くないからな…抵抗するなら容赦しないが…」
彼等はストレイダスの返答に安堵する。
「あんたは…俺達に手出ししないのか?」
「はぁ…冷や冷やしたよ…」
すると工場長らしき人物が恐る恐るストレイダスに近寄る。
「俺達は此処を管理する技術屋だ…」
彼等は単なる技術屋であり本来は無所属の中立である。今現在ドローン工場はホワイトセイバーの管理下であり彼等はホワイトセイバーに多数の無人兵器を製造させられ…。無料でホワイトセイバーに提供し続けたのである。
「俺達は四六時中重労働だからな…正直限界だよ…」
彼等は奴隷状態であり四六時中無休で強制的に労働させられ…。肉体的にも精神的にも限界だったのである。
「あんたは一体何者だ?軍人みたいだが…」
ストレイダスは工場長に問い掛けられると自身の名前を名乗る。
「俺はストレイダスだ…単なる殺し屋とでも…」
ストレイダスの名前に六人の技術者達は驚愕する。
「ストレイダスだって?あんたが伝説の殺し屋の…」
「あんたがポストヒューマンのストレイダスなのか…こんな場所で本物の殺し屋と遭遇するとは…俺達は不運だな…」
普段なら名乗っただけで戦慄されるのが定番であるが…。彼等は疲労困憊の状態であり畏怖する気力も皆無だったのである。
「俺は此処を牛耳る戦闘員達を蹴散らせ…ドローン工場を占拠するのが目的だ…俺に抵抗しないなら俺は貴様等を非戦闘員と判断する…」
ストレイダスの発言に一人の技術者が恐る恐る問い掛ける。
「あんたは此処を占拠って…あんたの所属する団体は?」
「新自由解放軍だ…」
ストレイダスは即答する。
「えっ…新自由解放軍だって?」
新自由解放軍の一言に四人の技術者達は畏怖したものの…。
「俺達はあんた等に協力するから…一休みしたい…」
一人の技術者は一休みを条件に新自由解放軍への協力を承諾したのである。
「一休みしたければ思う存分に一休みしやがれ…」
ストレイダスは彼等に休憩を許可する。
「ん?」
すると直後…。
「轟音か?今度は何事だ?」
外部より轟音が響き渡る。ストレイダスは外部の轟音が気になったのか窓側の様子を確認したのである。
「上空にヘリコプターか?」
一機の大型垂直離着陸機が低空で飛行…。ドローン工場に接近中だったのである。
「ひっ!奴等の…ホワイトセイバーの大型垂直離着陸機だ!」
「此処が爆破されるぞ!」
技術者達は空中の大型垂直離着陸機に動揺し始め…。攻撃に畏怖したのである。大型垂直離着陸機はホワイトセイバー所属の機体でありドローン工場の襲撃中に警備兵が総本部に通信…。侵入者と技術者達諸共ドローン工場の完全爆破を要請したのである。
『奴等…ドローン工場諸共爆破するか…』
「止むを得ないな…」
ストレイダスは即座に最下層へと移動し始め…。ドローン工場の屋上にて大型垂直離着陸機を迎え撃ったのである。すると上空の大型垂直離着陸機は対地ミサイルを発射…。十数発もの対地ミサイルが超音速でドローン工場に急接近する。
『こんなミサイル攻撃なんか…』
屋上のストレイダスは即座に右腕をサイコブラスター形態に変形…。サイコブラスターの高エネルギー光弾で十数発もの対地ミサイルを迎撃したのである。ストレイダスはサイコブラスターの連射により対地ミサイルを全弾迎撃出来…。ドローン工場の防衛に成功したのである。
『今度は此奴で…』
ストレイダスは精神力を集中させるとサイコブラスターの銃口から特大の高エネルギー光弾を射出…。サイコブラスターの特大高エネルギー光弾は上空の大型垂直離着陸機に命中したのである。高エネルギー光弾が機体に命中した直後…。大型垂直離着陸機は空中で爆散したのである。
『敵機を撃墜したか…他愛無いな…』
ストレイダスの孤軍奮闘によりドローン工場は新自由解放軍が完全占拠…。工場内で強制労働させられた六人の技術者達も無事に解放されたのである。技術者達は解放の謝意として新自由解放軍に全面協力…。工場内で製造された多数のドローン兵器等を新自由解放軍に無料で提供したのである。

第四話

農地
ドローン工場制圧作戦から三日後の真昼…。ストレイダスは地下壕の密室にてウィルフィールドと合流したのである。
「ストレイダスよ♪ドローン工場も単独で制圧するとは見事であった♪技術者達の協力により多数のドローン兵器も入手出来たのだ♪新自由解放軍の戦力は急上昇したぞ♪」
ウィルフィールドは大喜びするのだが一方のストレイダスは無表情で…。
「ウィルフィールド…今度も任務か?」
ストレイダスは単独任務であると察知する。
『ストレイダスらしい反応だな…』
一方のウィルフィールドはストレイダスの無関心そうな態度に苦笑いするものの…。
「ストレイダスには西方地帯の農村の制圧を依頼したいのだ…」
「今度は農村の制圧か…」
西方地帯は広範囲の農村地帯が開拓され…。実質食糧品の宝庫だったのである。此処も敵軍のホワイトセイバーに占拠され…。数多くの食糧品は彼等が独占したのである。
「俺は農村地帯を牛耳るホワイトセイバーの連中を一蹴するだけか?」
「こんな任務…狂戦士の其方にしか依頼出来ないからな…」
「であれば即刻出掛けるか…」
ストレイダスは西方地帯へと移動する直前…。
「ストレイダス…注意事項だが…」
「注意事項だと?」
「前回のドローン工場同様…標的は村落を牛耳るホワイトセイバーの連中だけだからな…間違っても村民達には手出しするなよ…」
「安心しろ…俺は無抵抗の人間には手出ししないからな…」
ウィルフィールドの注意事項を承諾する。ストレイダスは本拠地の新自由解放区から西方地帯へと移動したのである。新自由解放区から移動してより二時間後…。目的地の西方地帯へと到達したのである。
『此処が目的地の西方地帯か…随分と殺風景だな…』
西方地帯は広大無辺の殺風景の景色であり村民達の姿形は確認出来ない。
『ホワイトセイバーの奴等は?』
ストレイダスが西方地帯へと進入した直後…。上空より二機のボール型の飛行物体がストレイダスに急接近する。
『ん?警備用のドローンか?』
上空のボール型飛行物体は警備用ドローンだったのである。
「侵入者ヲ発見…侵入者ヲ発見…」
「攻撃シマス…攻撃シマス…」
すると機体中央部分に確認出来る赤色のレンズから高熱のレーザートーチを射出する。対するストレイダスは即座に両腕の機械義手でガード…。レーザートーチを無力化したのである。
『所詮は我楽多だな…こんな程度の火力で俺を仕留められるか…』
ストレイダスは即座に左腕を銃器形態に変形…。サイコブラスターの銃口から小威力の高エネルギー光弾を射出したのである。サイコブラスターの高エネルギー光弾で二機の警備用ドローンは容易に撃墜され…。空中で爆散したのである。
『所詮は鉄屑の玩具…他愛無いな…』
警備用ドローンが爆散した直後…。各家屋から小銃やらサバイバルナイフを装備した戦闘員達が出現する。
「警備用のドローンが破壊されるとは…」
「如何やら貴様が噂話の…ストレイダスって狂戦士みたいだな…」
「此処にも出現しやがるとは…」
ストレイダスの存在は各地の戦闘記録から熟知され…。西方地帯でもストレイダスの噂話は周知されたのである。
「貴様等は此処を牛耳る…ホワイトセイバーだな?」
ストレイダスが彼等に問い掛けるのだが…。
「構わん!此奴を射殺しろ!」
一方のホワイトセイバーの将兵達は問答無用で攻撃を開始する。小銃の銃口から無数の銃弾が発砲されたのである。数百発もの銃弾がストレイダスの全身アーマーに直撃するのだが…。ストレイダスはノーダメージだったのである。
「えっ…此奴…」
「銃弾が通用しないのか?」
「此奴…やっぱり怪物だな…」
ストレイダスの機械義手と各部の全身アーマーはユニバースメタルと命名される特殊性超硬合金が使用され…。通常の弾丸では貫通出来ない代物である。
「こんな玩具みたいな武装では俺は仕留められないぞ…」
ストレイダスは左腕のサイコブラスターで周囲の将兵達を小威力の高エネルギー光弾で射殺…。周囲の将兵達を一掃したのである。
『任務は完了か…』
ストレイダスは新自由解放区へと戻ろうかと思いきや…。
「ん?」
『今度は…』
すると前方の地面より金属類の巨大物体が出現したのである。
『此奴は…』
巨大物体は地底重戦車であり車体前方には円錐型の大型ドリルを搭載…。
「地底重戦車か…」
『此奴が此処の主力か…』
地底重戦車とは地底を掘り進む目的で開発された掘削用の特殊車両である。本来の用途としては掘削用の作業車であり非武装であるが…。戦闘用の地底重戦車として改修されたのである。車体の上部には戦車用の戦車砲が搭載され…。対人戦闘用の小型機関砲を二基増設されたのである。
『何が相手だろうと…』
ストレイダスは左手のサイコブラスターから高威力の高エネルギー光弾を射出…。地底重戦車に直撃したのである。
「ん?」
地底重戦車の表面から高エネルギーの防壁が発生し始め…。サイコブラスターの高エネルギー光弾を無効化したのである。
『サイコブラスターが無力化されるとは厄介だな…此奴はエネルギーシールドか…』
地底重戦車は車体内部に高エネルギー系統の武装を無効化出来るエネルギーシールド発生装置が搭載されたのである。当然としてストレイダスのサイコブラスターでもエネルギーシールドは貫通出来ない。ストレイダスは無表情であるが…。一瞬驚愕する。
『如何するか?』
すると地底重戦車の車体上部の戦車砲がストレイダスの方向へと作動し始め…。砲撃を開始したのである。
「ん!?」
ストレイダスは咄嗟に砲撃を回避…。
『先程の砲撃…ひょっとして電磁投射砲か?』
電磁投射砲は所謂レールガンである。砲弾の速度は超音速以上とされ…。威力は絶大である。
『電磁投射砲の直撃は俺でも危険だな…』
ストレイダスは一瞬後退りする。電磁投射砲は非常に強力であり頑強のストレイダスでも危険である。
『地底重戦車をスクラップ化するなら…』
ストレイダスは最速で両腕の機械義手を鉤爪形態に変形させる。
「此奴を破壊するか…」
ストレイダスは神速の身動きで地底重戦車に急接近したのである。両腕の鉤爪で地底重戦車の車体を両断…。
『地底重戦車を破壊出来たな…』
ストレイダスは地底重戦車の破壊に成功したのである。地底重戦車を破壊した直後…。各家屋から十数人もの将兵達がストレイダスに投降したのである。ストレイダスの孤軍奮闘により西方地帯の農村地帯は新自由解放軍に占拠され…。新自由解放軍は大量の食糧品を確保出来たのである。

第五話

精鋭部隊
西方地帯攻略作戦から六日後の真昼…。新自由解放区の大広間にて大勢の戦闘員達が大集結したのである。
「新自由解放軍の勇士達よ…全員…集合したな…」
総大将のウィルフィールドが周囲の者達を確認する。
「諸君等の奮闘によって難敵のホワイトセイバーが弱体化したのは周知の事実…」
各地の重要拠点の陥落によりホワイトセイバー総軍は大多数の戦力を喪失…。一部であるが軍内部の求心力の低下により新自由解放軍に寝返る将兵達も出始める。各地の残党達は海岸の東方地帯本拠地へと後退したのである。
「精鋭部隊である諸君等に最終任務だ…」
最終任務の一言に彼等は愕然とする。
「えっ…最終…」
「最終任務だって…本当なのか?」
ウィルフィールドは一息したのである。
「諸君等の最後の最重要任務は…東方地帯の海岸に位置する本拠地を占拠…彼等にとって最大戦力である超弩級要塞戦艦〔ヘビーエンプレス〕を拿捕するのだ…」
超弩級要塞戦艦ヘビーエンプレスとは世界最終戦争で大活躍した超弩級戦略型ミサイル艦である。戦時下での所属勢力こそ不明であるが…。今現在はホワイトセイバーの旗艦として利用される。全長は四百メートル規模と規格外に超大型であり現場の将兵達からは難攻不落の海上移動要塞とも呼称されたのである。本艦の装甲はストレイダスの肉体と同様に特殊性超硬合金ユニバースメタルが駆使され…。ユニバースメタルの重厚装甲は大量破壊兵器の超高温でもビクともしない鉄壁の強度である。本艦の兵装は多数の多目的ミサイル発射機は勿論…。甲板の前方には実弾を超音速以上の速度で発射出来る電磁投射連装砲が搭載されたのである。対空用の兵装として高エネルギー機関砲八基と実弾系統の対空機関砲を合計四基搭載される。甲板の後方には艦載機として一機の大型輸送機か偵察用の小型無人機を十二機搭載出来る。艦内底部には合計四席の上陸用舟艇…。四両の重戦車を搭載出来る。本艦の動力炉は特殊無限機関とされるリアクターボールであり航続距離は実質無限海里とされる。特殊設備として艦橋上部に高性能型レドームが設置され…。艦内にはホログラム装置やら高エネルギー系統の武装を遮断出来るエネルギーシールド発生装置が搭載される。
「ホワイトセイバーは各地の重要拠点を喪失したが…奴等の戦力は依然として健在である!奴等にとって最大戦力であるヘビーエンプレスを拿捕しなくては…新自由解放軍がホワイトセイバーに勝利するのは不可能であろう…」
ウィルフィールドは再度一息する。
「奴等のヘビーエンプレスを確保出来れば…最早全世界を制覇したのも同然なのだ!各地の悪党達から全世界の万民を解放出来る…」
ヘビーエンプレスには大都市部をも一撃で焦土化させられる特殊弾道ミサイルを搭載したとの噂話も確認出来…。ホワイトセイバーから本艦を拿捕出来れば全世界の主導権獲得も容易とされる。
「今回の任務が成功すれば…新時代の覇者は俺達で確定だからな!」
ウィルフィールドの発言に戦闘員達の戦意が発揚し始める。
「俺達が新世界の覇者か!」
「今回の任務♪ワクワクするな♪」
「思う存分に大暴れするぜ!」
戦闘員達はワクワクした様子であったが…。
『愚か者達が…いい気味だな♪無法者集団の分際で何が精鋭部隊だ…』
ウィルフィールドは彼等の様子に一瞬ニヤリと冷笑したのである。
『所詮貴様等無法者連中は俺にとって手駒同然なのだからな♪こんな烏合の衆でも…陽動作戦では役立つかも知れないな♪』
ウィルフィールドにとって彼等は手駒以下の存在であり自身の判断で不要であると判断した者達を選出…。名ばかりの精鋭部隊として集合させたのである。
『今回の大作戦で無法者連中が一掃されれば♪一先ず食糧問題は解決だな♪』
今回の大規模作戦は表向きこそヘビーエンプレスの拿捕であるが…。本来の目的は部下達に対する食糧問題の打開であり不要人員の削減である。
『ホワイトセイバーの旗艦ヘビーエンプレスは一強のストレイダスに一任すれば大丈夫だろう…今回の作戦は一石二鳥だな♪』
新自由解放軍最精鋭のストレイダスには事前にホワイトセイバー旗艦ヘビーエンプレスの拿捕を要請…。彼に極秘の単独任務を承諾させたのである。翌日の早朝…。新自由解放軍の名ばかり精鋭部隊は総勢六百人以上の総人員でホワイトセイバー本拠地へと進軍したのである。最低限であるが…。彼等には旧式軽戦車数両が投入される。名ばかり精鋭部隊は本拠地の新自由解放区から移動してより四時間後…。目的地とされる東方地帯の海岸近辺へと到達したのである。
「ひょっとして海岸の大型船が…目的のヘビーエンプレスか?」
「此奴は想像以上の巨大さだ…ヘビーエンプレスは本物の移動要塞だな…」
「此奴が過去の大戦争で活躍した巨大戦艦か…ホワイトセイバーの奴等はこんな代物を保有するとは…」
新自由解放軍の戦闘員達は海岸に停泊中の旗艦ヘビーエンプレスに驚愕する。すると戦闘員の一人が恐る恐る…。
「彼奴は?」
「彼奴って?誰だよ?」
「ストレイダスだよ…ストレイダスの野郎は?」
「えっ…ストレイダスだって?」
「彼奴は総大将のお気に入りだよな?今回の最終任務ではストレイダスの野郎は参加しないのか?」
今回の大作戦では随一の最精鋭であるストレイダスが不在だったのである。
「彼奴…一人で逃げちまったのかよ!?」
「ストレイダスの野郎!折角の最終任務で…」
「ストレイダスの野郎は気紛れなのか?今回の大作戦こそ彼奴が重要なのに…」
「今回の任務…ストレイダスが不在で大丈夫なのか?」
「俺達だけで…任務を達成出来るのかよ?」
彼等はストレイダスの不在に不安視する。すると直後である。
「えっ…」
ホワイトセイバーの本拠地である軍港にて停泊中の超弩級要塞戦艦…。ヘビーエンプレスが攻撃を開始する。前後の甲板より対地ミサイルが多数発射されたのである。
「多数のミサイル攻撃だ!」
「着弾するぞ!逃げろ!」
対地ミサイルの飽和攻撃により新自由解放軍の名ばかり精鋭部隊は総崩れ…。十数発もの対地ミサイルの着弾により合計三百人もの戦闘員達が死傷したのである。
「大丈夫か!?」
「今度は敵艦の主砲が起動し始めたぞ!退避だ!総員退避!」
今度は主砲である電磁投射連装砲で砲撃を開始…。一度の砲撃で二百人以上の戦闘員達が即死したのである。電磁投射連装砲の砲撃により推定二キロメートルの地面が陥没…。即死した戦闘員達は遺体が完膚なきまでに蒸発したのである。実質ヘビーエンプレスの飽和攻撃によって新自由解放軍の名ばかり精鋭部隊は壊滅…。残存した大半の戦闘員達が恐怖心で主戦場から逃亡し始めたのである。

第六話

拿捕
新自由解放軍の名ばかり精鋭部隊が撤退を開始し始めた同時刻…。ヘビーエンプレス艦内ではホワイトセイバーの乗組員達がホログラム装置により立体化された戦場の立体映像を観戦したのである。
「此奴は圧倒的だな…新自由解放軍の地上部隊は実質総崩れか…」
「やっぱり俺達の圧勝だな♪地上部隊程度で史上最強の海上移動要塞…ヘビーエンプレスに真正面から挑戦するなんて自殺行為だぜ♪」
「陸上部隊の奴等はこんな烏合の衆を相手に後退させられたのか?」
彼等は冷笑し始める。すると一人の戦闘員が恐る恐る…。
「俺達の最終手段…特殊弾道で奴等の本拠地を一掃させないか?形成逆転のチャンスだぜ…新自由解放区を陥落させれば俺達の天下は確定的だぞ…」
「特殊弾道か…最早極悪非道の奴等に手加減は不要だな…」
彼等は特殊弾道の使用に賛成したのである。
「早速特殊弾道の安全装置を解除しろ♪」
乗組員達は早速特殊弾道の発射準備を開始する。
「攻撃目標は当然として…本拠地の新自由解放区だな♪」
特殊弾道の安全装置を解除する寸前…。艦橋上部に設置された高性能型レドームが反応したのである。
「ん?レドームが反応したぞ…」
「一体何事だ?大勝利の瞬間なのに…」
一人の乗組員が艦内のホログラム装置を作動させる。
「ん?此奴は味方の攻撃ヘリコプターだろうか?」
ホログラム装置は立体化された攻撃ヘリコプターを映写させたのである。
「レドームは上空の攻撃ヘリコプターに反応したのか…」
「此奴は味方の機体だが…敵軍に鹵獲された攻撃ヘリコプターだぞ…此奴は敵軍の新手だろうか?」
甲板後方の上空より…。新自由解放軍に鹵獲された一機の攻撃ヘリコプターがヘビーエンプレスに急接近したのである。
「ひょっとして奴等の残党か?」
「人騒がせだな…一機の攻撃ヘリコプターでヘビーエンプレスに接近するなんて…この期に及んで自爆攻撃でも仕掛けるのか?」
「最早奴等に手加減は不要だ…敵機を撃墜するぞ…」
甲板後方に搭載された対空用の高エネルギー機関砲が作動し始め…。急接近中の攻撃ヘリコプターを標的に高エネルギー光弾が射出されたのである。高エネルギー光弾は数秒間で上空の攻撃ヘリコプターに直撃…。機体は上空にて爆散したのである。艦内の乗組員達は上空の光景をホログラム装置で観戦する。
「敵軍の攻撃ヘリコプターを撃墜したな…」
「当然だろう…攻撃ヘリコプター一機で鉄壁のヘビーエンプレスに挑戦するとは無謀なのだ…」
「兎にも角にも…特殊弾道で奴等の本拠地を焦土化させるか…」
特殊弾道を発射する直前…。艦内の警報装置が作動したのである。
「ん!?艦内の警報装置が作動し始めたぞ!」
「警報装置だと!?今度は何事だ!?」
突然の警報装置の作動にブリッジ内部の乗組員達は動揺し始める。警報装置が作動し始めた数秒後…。何者かがブリッジ内部に侵入したのである。
「なっ!?貴様は一体…何者だ!?」
「此奴は敵兵か!?如何してこんな場所に侵入出来た!?」
大勢の乗組員達が侵入者に動揺するのだが…。一人の乗組員が冷静に問い掛ける。
「敵兵がこんな場所に潜入出来るとは…貴様は一体何者だ?」
乗組員達の問い掛けに侵入者は名前を名乗り始める。
「俺の名前は…ストレイダスだ…」
ストレイダスの名前に乗組員達は畏怖したのである。
「ストレイダスだと?」
「ストレイダスって…貴様が伝説の殺し屋の…」
「此奴が噂話の怪物みたいな兵士か…近頃は東方地帯のスラム街やらドローン工場を単独で制圧したらしいな…」
ストレイダスの存在は敵軍のホワイトセイバーでも有名であり怪物みたいな兵士として周知される。
「敵軍の本命は…此奴だったのか?」
「であれば先程の…地上の大部隊は陽動だったのか…」
大半の者達が恐怖心で全身が身震いする。
「狼狽えるな!こんな野郎!」
一人の乗組員が拳銃を携帯したのである。一方のストレイダスは呆れ果てる。
『愚か者が…』
ストレイダスは右腕を銃器に変形させる。サイコブラスターの銃口から小威力の高エネルギー光弾が発射され…。
「ぎゃっ!」
乗組員の一人をサイコブラスターで殺害したのである。一方のストレイダスは周囲の者達に無表情で問い掛ける。
「今度は…誰が死にたいか?死にたければ俺に抵抗しろ…」
乗組員達は警戒した様子で恐る恐るストレイダスに投降…。
「降参するよ…」
「降参だ…俺達は抵抗しない…」
「旗艦も特殊弾道も放棄するからよ…俺はこんな場所で死にたくないからな…」
彼等はストレイダスに命乞いしたのである。
『命乞いか…』
ストレイダスは当初こそ彼等を殺そうかと思考するのだが…。
『命乞いとは情けない奴等だが…正直こんな無価値の奴等を打っ殺しても面白くないからな…』
ストレイダスにとっては戦闘こそが唯一の娯楽であり無抵抗の人間達を殺戮するのは面白くないと思考する。
「貴様等は幸運だったな…俺の気紛れで命拾い出来たのだから…」
するとストレイダスはブリッジ内部から退室したのである。ブリッジ内部の乗組員達は命拾い出来…。安堵したのである。
「はぁ…一瞬ストレイダスに殺されるかと…」
「やっぱり殺し屋の彼奴が相手では…新自由解放軍に勝利出来たとしても…正直ストレイダスは何を仕出かすか予想出来ないな…」
「如何するよ?ストレイダスが相手だと此の先…投降する以外に…」
「単独でヘビーエンプレスの艦内に潜入出来る規格外の兵士だからな…」
「投降も止むを得ないか…」
彼等は不本意であるが…。新自由解放軍への投降を決定したのである。戦闘終了後…。ストレイダスの奇襲によって今回の戦闘も新自由解放軍の辛勝に終了したのである。新自由解放軍は名ばかり精鋭部隊こそ陽動作戦で壊滅するのだが…。攻撃ヘリコプターによるストレイダスの艦内への突入により超弩級要塞戦艦ヘビーエンプレスと特殊弾道は無力化されたのである。今回の戦闘により現地のホワイトセイバーは全面的に投降…。残存戦力と各人員は新自由解放軍の戦闘員として吸収されたのである。主力の超弩級要塞戦艦ヘビーエンプレスと多数の大型輸送艦を拿捕した新自由解放軍は目標の第一段階であったエルピスコロニア全域の国家化に成功…。新自由解放軍最高指導者のウィルフィールドはエルピスコロニア全土の最高指導者として君臨したのである。

最終話

新作戦
ホワイトセイバー旗艦…。ヘビーエンプレス強奪作戦から三日後の早朝である。ウィルフィールドとストレイダスは地下壕の密室で対談する。
「ストレイダス♪其方の大活躍によって新自由解放軍はエルピスコロニア全域の主導権を掌握出来たのだからな♪其方の功績は絶大だ!」
ウィルフィールドは新自由解放軍の勝利は勿論…。念願だったエルピスコロニアの主導権掌握に大満足の様子であり一日中上機嫌だったのである。
「其方は大勝利の功労者であるからな♪ストレイダスには感謝しても感謝し切れない♪是非とも其方には新自由解放軍の次期総帥を任命したいな♪」
ウィルフィールドにとってストレイダスは自身の後釜候補であったが…。ストレイダス本人は無関心そうな態度だったのである。
「任務は?今後は如何するよ?ウィルフィールド?」
ストレイダスの無関心そうな態度にウィルフィールドは内心苦笑いする。
『最初の一言で任務って…ストレイダスは本当に戦闘以外の物事には無関心だな…』
ウィルフィールドはストレイダスの態度に苦笑いするものの…。ストレイダスの問い掛けに返答したのである。
「目標の第一段階は無事に達成出来たが…最終目標である全世界制覇には程遠いからな…今後も其方の協力が必要不可欠だろう…」
今現在世界各地は荒廃化した状態であり武装勢力やら無法者集団が彼方此方に小規模の拠点を構築…。一定の勢力圏を支配した状態だったのである。
「前回の大作戦で俺達はヘビーエンプレスと相当数の人員を確保出来たからな♪何よりも大量破壊兵器の特殊弾道を入手出来たのは奇跡だ♪」
超弩級要塞戦艦ヘビーエンプレスの艦内には戦略兵器の大型特殊弾道を二発搭載出来…。新自由解放軍は大量破壊兵器の特殊弾道を確保出来たのである。
「今後は各大陸の上陸作戦も容易に出来るだろうよ♪」
「今後は俺達でも戦争らしい戦争が出来るのか?」
ウィルフィールドはストレイダスの問い掛けに満面の笑顔で返答する。
「勿論だとも♪ストレイダス♪今後は新自由解放軍でも各地で戦争らしい戦争が展開出来るからな♪場合によっては特殊弾道を使用出来るかも知れないな♪」
ホワイトセイバーから超弩級要塞戦艦ヘビーエンプレスやら相当数の必要人員を確保した結果…。今後は大陸での大規模作戦も容易に展開出来るとされる。
「今後の任務は如何するよ…ウィルフィールド?」
「今度の攻略目標だが…極東の大洋に存在する…東洋の孤島を攻略する予定だ♪東洋の孤島なら大艦隊の軍港としても活用出来そうだからな…」
東洋の孤島には荒廃化した軍港が確認され…。大型船の停泊施設として好都合だったのである。
「東洋の…孤島だと?」
「世界最終戦争が勃発する以前は高度の文明社会が形成されたみたいだが…今回の任務では今迄みたいな戦闘は期待出来ないだろうな…」
旧世界最終戦争が勃発する数十年前…。極東の孤島には極東の理想郷と呼称された小規模の島国が存在したのである。極東の島国は歴史的文化財が豊富だったらしく非常に繁栄したものの…。時代の変化により幾多の繁栄と衰退を経験したのである。最終的には超大国の最重要軍事拠点として利用され…。旧世界最終戦争の勃発により国全体が焦土化したのである。今現在は陸地の一部に建造物の残骸が確認出来るものの…。島内は自然林ばかりの無人地帯同然だったのである。
「無人島の攻略だと?今回は面白くないな…」
ストレイダスは任務内容に落胆する。
「真偽は不明だが…数千年前の伝承だろうか?」
「数千年前の伝承だと?」
極東の孤島には太古の大昔…。荒唐無稽の魔女伝説が有名であり荒廃化した新世界でも一部の生存者達が極東の魔女伝説を熟知する。
「極東の孤島では太古の大昔に荒唐無稽の魔女達が存在したらしいぞ♪ひょっとするとストレイダスは今回の任務で本物の魔女に遭遇出来るかも知れないぞ♪」
ウィルフィールドは興味深そうな様子で発言する。
「魔女伝説なんて…子供騙しだな…」
ストレイダスはウィルフィールドの冗談に呆れ果てる。
「所詮魔女なんて迷信かも知れないが…現実世界に荒唐無稽の魔女が存在したら面白いよな♪俺も荒唐無稽の魔女に遭遇出来るなら遭遇したい気分だよ♪」
荒唐無稽の魔女の存在を夢見るウィルフィールドにストレイダスは呆れ果てた様子で凝視したのである。
『何が荒唐無稽の魔女だよ…此奴は子供みたいだな…』
するとウィルフィールドは一息する。
「兎にも角にも…極東の孤島には現地の住民は存在しないだろうが…今度は極東の無人島を占拠する!部下達にも伝播するからな…ストレイダスは下準備するのだぞ…」
「嗚呼…」
『極東の孤島には…今現在でも荒唐無稽の魔女とやらが存在するのか?』
ストレイダスは無表情であったが…。内心極東の無人島に荒唐無稽の魔女が存在するのか興味深くなる。
完結

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