TRAVEL
 
キミと別れてどれくらい経つのだろう
ボクはまだ一人の時間(とき)に慣れずに

○キミがいる、顔を見合わせ笑ってる・・・
そんな毎日が続くと思っていたんだあの日のボクは

☆ただ君がいる世界を探し、ただキミが望む世界を求め・・・
今、ボクは旅を続けている


あの日一緒にいれば未来(いま)は違うのかな
キミが聞けば、笑ってこう言うだろう

泣かないで、これが運命なのだと・・・
だけど、ボクはまだ今という現実を受け入れられなくて

まだキミの姿が恋しくて、まだキミの温もり感じたくて・・・
今、ボクはキミを探している

(○・☆)repeat


「・・・ふぅ」
CDを聞き終えた女性はイヤホンを外し、歌詞カードを閉じた。
別に彼女は歌詞を覚えていないわけではない。
ただ、今日はもう一度この歌詞を確かめたかったのだ。
「その格好でCDを聞いている人も珍しいと思うよ」
突然の言葉に振り返る女性。
そこには正装をした青年がいた。
「そう?」
首を傾げて自分の姿を見る女性。彼女は純白のドレスに身を包んでいた。
「そうだよ」
不思議そうな顔をする彼女に苦笑する彼。
今彼らがいる所はある有名ホテルの控え室であった。
「なに聞いてたの?こんな時に」
「これ」
彼の問いかけに先程の歌詞カードを差し出す彼女。
「!これは・・・」
表紙だけで何の曲か分かったのか、驚いたような顔をする彼。
そして何故か恥ずかしそうな表情に変わっていく。
「ちょっと・・・これは」
「いや?」
「いや・・・じゃないけど」
頭をかきながら言葉を繋げる。
「恥ずかしい・・・かな?」
「そうなの?」
「うん・・・もう、3年も前の曲だしそれに・・・」
フッと何かを思い出したように苦笑いをする彼。
「あのころのボクは・・・哀しい曲しか、歌えなかったような気がするから・・・」
「・・・今も」
「えっ?」
「今も、そう?」
彼女の問いかけ・・・
彼は一瞬、驚いた顔をしたがすぐに首を振った。
「今は違うよ。もう一度、キミに出会うことができたから・・・」
満面の笑みを浮かべる彼。
その答えに彼女も笑みを浮かべた。
「・・・わたしも、あなたに会えてよかった」
優しく抱き合う2人。
そんな2人に時間を知らせるベルがなる。
「もう、時間だね」
「そうね」
「じゃあ、行こうか・・・」
「はい・・・」
手を取り合って部屋を出て行く彼と彼女。
2人はこれから、多くの人の祝福を受けて新しい世界へと旅立つ・・・
誰もいなくなった部屋。
そこにはCDプレーヤーと歌詞カードが残されている。

TRAVEL   作詞:作曲 SHINJI・IKARI

カードにはそう書かれていた・・・


あとがき
キトウキノです。
短編2作目・・・歌も私のオリジナルです。一応、歌詞だけではなく、曲のほうも作ってあるのですが、そこはみなさんのご想像にお任せします。
いろいろとツッコミどころ満載の作品になってしまいましたが、笑って許してください(懇願)。
それではまた・・・


作:キトウキノ

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