今日、僕は綾波に誘われてマンションの前まで来ている。
綾波の方から誘ってくるなんて事めったに無い事だから嬉しくって少し舞い上がしまう。
スッとドアが開かれる。相変わらず鍵締めてないんだね。
「・・・・・入って」
「お邪魔します」
玄関に入ってまず驚いた。床が奇麗に磨かれていたんだ。どうゆう心境の変化だろう。僕には分からないけど清潔にする事はいい事だよね。
ビクッ、後ずさり。
部屋に入ってさらに驚いた。なんでピンク色なんだ、カーテン・壁紙・テーブルなどがピンク色に変わっていた。あまりに前と違うので僕は少し引いてしまった。
「・・・・・変?」
心配そうに上目使いに聞いてくる。うっ、そんな目で見ないで可愛いすぎるよ。
「い、いや、変じゃないよ。ただ前と違うからびっくりしたんだ」
「・・・・そう、よかった。」
心底ほっとした顔をしてる。ちょっと行き過ぎ(いやかなり)な少女趣味に仕上ってるけど綾波が選んだろうか。
「この部屋、綾波がコーディネイトしたの」
ふるふる
「もしかして、マヤさん?」
こくこく
『マヤさん、これはやり過ぎだよ』
「・・・・ピンク色は幸せを表す色だからこれにしなさいって言われたの・・」
「綾波は今、幸せなの」
「・・・・・うん」
幸せ、綾波が幸せだって感じている。嬉しい、嬉しい!。
自分自身を希薄に感じているんじゃないかって心配していた僕は綾波の変化が嬉しかった。
「・・・・そのへんに座って」
僕は言われるままにテーブルの脇に腰を下ろす。
前みたいにベッドに並んで座れないのが残念だなぁ。
はっ、違う、変な意味じゃないんだ。僕は並んで座れないのが残念なだけで場所がどうとかは関係なくてその・・。
ブンブン
「・・・・どうしたの?」
突然、頭を振りだしたのを怪訝に思ったのだろう、綾波が聞いてくる。
「な、なんでもないよ。なんでも・・」ゴニョゴニョ
ウッ、変に思われちゃったかもしれない。恥ずかしい。
チラッ
小首を傾げてこっちを見てる。可愛い。僕は女の子のこの仕種がすごく好きだ。
音に表せば 『んっ』 って聞こえてきそうな感じがたまらない。
ってなに考えてるんだ僕は。顔が熱くなってオタオタしているのが分かる。
クスッ
「・・・・・碇くん、おもしろい」
綾波が笑ってる。はわ〜っ、脳内ドラックが決まりまくり。幸せ汁で頭の中がいっぱいだ。
「・・・・・お茶煎れるから、待ってて」
そう言って食器棚に向かう綾波。やっぱり主婦が似合うと思う。
テーブルに置かれたリーフの缶。アールグレイを使ってるのか、良い香りがしておいしいよね。そして・・・・・
ズウウーーン
テーブルに並べられていく、ビーカー・フラスコ・木バサミ・三脚、極めつけのアルコールランプなどの実験道具。
「あ、綾波さん・・・、これからナニをするのかな?」(汗)
僕はかなり困惑してしまった。そんな僕をキョトンとした顔で見ている綾波。
「・・・・・お茶を煎れるの」
さも当然といった感じでカチャカチャと準備を始めてる。それも手際が良かったりする。
フラスコに満たされた水をアルコールランプで沸かす。火を止めその中にリーフを入れて対流させて蒸らす。
そして漏斗でこしながらビーカーに注いでいく。濃度に差がでないように二つのビーカーに何回にも分けながら注いでいく。
完璧だ。紅茶の煎れかたとしては完璧だ。こんな道具でもお茶が煎れられるもんだと僕は感心した。
「綾波、お茶の煎れ方を誰に習ったの?」
「・・・・・赤木博士」
やっぱり。リツコさんらしいといえばらしんだけど、なんでこう綾波の周りの大人達は変な事ばかり教えるんだろう。
非常識な事を教えてこっそりとモニターして周りの反応を楽しんでいるんじゃないだろうか?(しぇいかい<正解>嗚呼コマーシャルネタはすぐ風化する)
「・・・・・飲んで」
木バサミに挟まれた紅茶入りのビーカーを差し出さられる。僕はどうしたらいいんだろうか、と言うかどうやって飲むだろか。
綾波のほうを見ると火傷しないよに木バサミを持って器用に飲んでいる。
やっぱり間違ってると思いつつまねして飲んでみる。おそるおそる口をつけた時・・・
「熱ちぃぃぃぃー」
熱い紅茶と熱せられたビーカーで唇と舌を火傷してしまった。焼けた舌がピリピリ、ヒーヒーする。
「・・・・・どうしたの」
「ふひをひゃへろひひゃっひゃ」(口を火傷しちゃった)
「・・・・・そう、舐めれば治るわ」
「・・・舐めればって、火傷したのは唇と舌なんだけはむっ
チュッ
チュッチュッ
ペロッ
レロレロ
クチュッ
ヌルヌル
ピチャピチャ
「んっ」
クチュクチュ
ピチャピチャ
ヌル
チュッチューーウ
「「・・ふう・・」」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・治った?」
「はい、そりゃもうすっかり治りました。それで・・あのさ・・その・・・・一部・・・腫れ上がっちゃんだけど・・・」
「・・舐めれば治るわ」ポッ
ぜひあなたの感想をパッケラさんまでお送りください >[kiiro-00@zb.ztv.ne.jp]
【投稿作品の目次】
【HOME】