如何して僕は此処に居るのだろう?

駅前の銅像の前に立ち、流れ行く人々を見ながら僕はそんな事を思っていた

今日は2021年の3月14日

所謂『ホワイトデー』と呼ばれてる日

日曜日でもあることだし僕達は三人で出掛ける予定にしていた

なのに・・・・・

僕はアスカに追い出された

「こういう時は駅前で待ち合わせるのが基本よ!!」

なんて言われて・・・・・



ラヴストーリーは計画的に

綾波レイの幸せシリーズ Vol.9

〜決められた言葉と心の籠った言葉〜



僕は、追い出され際に渡されたアスカのメモらしきものを見て、唖然とした

・・・・・

なんで今日のスケジュールが・・・・・

しかも、セリフ付きで・・・・・?

僕が悩んでいると

「シンジ〜〜〜!!」

アスカの声が聞こえた

駅の方に目を移すと、綺麗に着飾ったレイとアスカの姿が

僕が見惚れていると

「待った?」

とアスカが聞いてきた

メモに書いてある通りのセリフ

でも僕は

「スケジュールが決まってるのは良いんだけど、何でセリフまで・・・・・」

決まってるの?と言おうとしたけど言えなかった

その代わり

「痛〜〜〜〜!!」

と叫んでいた

アスカが涙溜めた上目遣いで僕の足を踏んでたから・・・・・

泣きたいのは僕の方なんだけど

そう思いつつも

「今来た所だよ」

と微笑みながら僕は答えなおす

まあ、涙流れてるし頬が引き攣ってるからどれだけ笑えてるか判らないけど・・・・・

その後暫く沈黙が・・・・・

アスカが僕を睨んでくる・・・・・

何で・・・・・?

・・・・・あ!

「ふ、二人とも今日は、す、凄く、そ、その、あの、ききき・・・・・綺麗だね!」

その意味に気が付いた僕はすぐさま次のセリフを口にした

どもりながらだったけど・・・

アスカはそんな僕を見つつ

「はぁ」

と溜息を吐いたけど

「ありがとう」

綺麗に微笑んで答えてくれた

レイも

「あ・・・・・ありがとう」

頬を真っ赤に染めつつ答えてくれた

そんな二人が本当に綺麗で可愛くて

「ほ、本当に可愛いよ、二人とも」

僕は今度こそ照れながらもはっきりと言い切れた

それは思ってもみなかった効果を挙げたみたい

アスカが

「あ・・・・・う・・・・・」

とか言いながら顔を紅くして俯いちゃったし

レイなんて急にそわそわ、モジモジしだすんだもの

本当に二人とも可愛いと思うと遂、頬が緩んでしまった

そんな僕の表情をみたせいなのか

「ほら馬鹿シンジ、馬鹿レイ!とっとと行くわよ」

そう言って僕の顔も見ずに未だに首筋まで赤くしたまま歩き出すアスカ

僕が

「あれ?僕がエスコートするんじゃなかったっけ?」

って言うと

「アンタがグズグズしてるからでしょうが!」

と言って真っ赤な顔のまま僕にビンタをかましてくれた

でも、怒ってるような、照れてるようなその顔が凄く可愛くて

「うん、御免ね。それじゃ、行こうか」

怒る気にもなれなくてそう言って先頭に立って歩き出す

すると、左右の腕にそれぞれ腕を絡ませてきたアスカとレイ

「え?な、何?」

僕が慌ててアスカにその真意を尋ねてみると

「バ〜カ!デートなんだから、これ位当たり前でしょ?」

とのありがたいお言葉を頂いてしまった

すると反対側から

「シンジ君・・・・・暖かい」

と言う声が聞こえてきた

いや、レイ、暖かいって言うよりも・・・・・

暑苦しい・・・・・が正しいような気もするんだけど

そうは思いつつも口には出さず

「・・・そう?」

とだけ返した

そんな僕にレイはニッコリと笑って答えると、腕に頬擦りを始めた・・・・・





まずはスケジュール通り映画館へ

今、一番HITしている映画を三人で観る

観終わって映画館を出た所から映画の話題

「面白かったね」

とか

「あのシーン、感動したね」

とか

でも・・・・・

だから、どうしてセリフが決まってるのさ!?

後日聞いたら一度観てて、その時感じたのを書いていたらしい

・・・・・何もそこまでしなくても

映画の後は喫茶店へ

軽い食事をしながらこの後の予定を話し合った

食事も終わり、話が決まった所で僕達は席を立つことにした

でもその前に

「アスカ、どうしてセリフなんて決めたの?」

そう訊ねた

すると

「こうでもしないとアンタ、スマートなデート出来ないじゃない!」

とのたまうアスカ

その言葉に

「別にスマートじゃなくて良い・・・・・シンジ君とデート出来るなら」

とレイが答える

頬を紅く染め、シンジの服の裾をキュッと掴みながら

レイの言葉に、僕もアスカもレイの方に振り向く

「私は・・・・・碇君の言葉が聞きたい・・・・・碇君自身の言葉が・・・・・その方が・・・・・嬉しい」

続くレイの言葉

そんな言葉にアスカも

「・・・・・そうね」

と頷く

「今日、待ち合わせ場所でアタシが決めてたセリフ以外でシンジが誉めてくれた時・・・・・本当に嬉しかったものね」

そう言いながら

二人の言葉に僕は胸が締め付けられた

セリフまで決められたスケジュールを鬱陶しいと思いつつも、楽だからと甘んじて受け入れていたのだから

レイもアスカも僕に自分の言葉で心を伝えてくれる

僕は未だにそれに応えられていない

それどころか、今日も楽だからと他人に決められた言葉で逃げてしまってた

待ち合わせ場所での言葉は僕の本当の気持ち

それを嬉しいと言ってくれた二人の為にも、僕はこれからの言葉に心を籠めたいと思う

だから

「アスカ、セリフはもう・・・・・良いよね?」

と聞いた

頷くアスカ

「じゃあ、行こうか」

僕は二人と手を繋いで次の目的地目指して歩き出した





今僕達はTOKIO−3と言うデパートに来ている

現在、その中の婦人服売り場

アスカとレイが僕の為に(?)試着ファッションショーを行ってくれているんだけど

二人とも、何を着ても似合う

試着室から出てくるたびに僕は二人に見惚れてしまい、その度にアスカにからかわれる

やがて二人のファッションショーも終わり、そのうちの一着ずつを買ってあげる事に

アスカには紅いシャツに白のデニムパンツ

レイには黒いキャミソールに蒼いキュロット

当然、観客であった僕が気に入った服だ

二人ともそれを嬉しそうに、大事そうに抱えてくれている

そんな二人を連れて最上階に向かう僕

そこにはスカイラウンジ「Third view」がある

第三新東京市を眺めつつの食事

ワインを傾けつつ、昔話や今の話、将来の話に華を咲かせる

ふとレイが

「このまま、ずっと三人で一緒に居たい」

と呟いた

その言葉に頷く僕とアスカ

やがては離れ離れになってしまうだろうから

だから

「僕は・・・・・二人が大好きだよ」

心を籠めて二人にそう言うと

「出来ればこのまま三人で居続けたいと思う。それが例え叶わぬ夢であったとしても」

と続けた

「叶わない夢じゃないと思う」

レイの言葉

それに頷きつつ

「そうだね。僕はいつか、どちらかを選ばないといけなくなる。今はまだ、決められないけど。それでも、その後も一緒に居られたら・・・・・それは凄く幸せな事だと思う」

と僕は答えた

この想いは嘘じゃない

僕の答えに微笑み返してくれるアスカとレイ

僕の答えは、三人の中の暗黙の約束となった




ども、タッチです

急遽、予定を変更しました

もっと軽いタッチの詩にするつもりだったのですが・・・・・

そちらの方が考えれば考えるほどこのシリーズには合わないものになってしまったからです

ということで、こうなりましたが如何でしたでしょうか?

それでは



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