家族の絆

綾波レイの幸せシリーズ vol.10



久しぶりにお義父さん達の家へと帰ってきた

結婚するまではずっと一緒に暮らしてきた家族

でも、二人きりになりたくてお義母さん達の反対を押し切って別居し始めて既に2年の月日が流れた

偶に帰っていたとはいえ、聖夜が生まれてから殆ど帰ってなかったので本当に久しぶりだ

「こんにちは〜」

私がそう言って玄関に入ると

パタパタパタ

そんな音がして

「お帰りなさい」

ユイお義母さんが笑顔で迎えに出てきてくれた

そして

「所でレイちゃん、こんにちはって何かしら?」

どこか恐怖を感じさせる笑顔で私にそう言う

私は慌てて

「た、ただいま」

そう言い直す

するとお義母さんは温かみを感じさせる笑顔に変わり

「ほら、疲れたでしょ?おあがりなさい」

そう言ってスリッパを用意してくれた

私たちがスリッパを履くとリヴィングに通される

そこには顔の前で手を組んでいるいつものポーズで新聞を読んでいるお義父さんの姿が

聖夜はお義父さんを見つけると

「じ〜じ!」

そう呼んで駆け寄った

その瞬間

「おお!聖夜か?大きくなったな〜」

聖夜を抱き上げるお義父さん

そのままくるくる回って目を回してみたり

復活するともう一度抱き上げてたかいたかいを繰り返して顔を聖夜に蹴られてみたり

何だか凄くはしゃいでる

「と、父さん・・・・・」

シンジが呆れたようにそう声を掛けると

お義父さんはハッと私たちのほうに振り向き、聖夜を降ろすと

ダイニングテーブルの椅子に腰を掛け、いつものポーズに戻り

「よくやったな、聖夜」

聖夜の頭に手を乗せて厳かにそう言った

その余りの変わり身に呆然とする私達

そんな中お義母さんだけ

「ゲンちゃんカワイ〜」

などと身体をくねらせていた





お昼を終えてシンジとお義父さんは出かけていった

私はお義母さんと聖夜を寝かしつける事に

布団を三つひいて真ん中に聖夜を寝かせる

ゆったりとしたリズムでお義母さんが聖夜のおなかを叩く

優しい声で子守唄が紡がれていく

不安の無い、穏やかな時間が過ぎていき、やがて聖夜は眠りに就いた

かすかな寝息が私の耳に届く

と、その時

「ねぇ、レイ。貴女今、幸せ?」

お義母さんが私に尋ねてきた

私はお義母さんの方に目を向けると

「はい」

と答えた

私の答えを聞くとお義母さんはニッコリと笑うと

「そう、良かったわ」

そう言ってくれた

でも、すぐに悲しそうな顔になると

「私達は貴女に対して本当に申し訳なかったと思ってるの」

そう言った

「あの人の勝手な想いで貴女を創り出し、無に還りたい願った貴女に生を無理強いしてしまった」

その言葉に

「でも、そのおかげで私はシンジと出会え、今、聖夜と出会えているのですから感謝しています」

と返した

「そう言ってくれるととても嬉しいわ」

私の言葉にお義母さんは再び笑顔になるとそう言ってくれ

隣に移動してくると抱きしめてくれるように寝転び

おなかをゆっくりゆっくり、聖夜を寝かしつけている時と同じように叩く

「貴女は人の温もりを知らずに育ってしまった。特に親の温もりと言うものを」

心地よいリズムに身を任せながらお義母さんの言葉を黙って聴く

「私達は貴女の生みの親でもあり、シンジの親でもあるのだから、貴女には私達にもっと甘えてもらいたいと思ってるの」

それはとても嬉しい言葉

だから私は、ゆっくりと微笑むと

「はい」

と答えた





夕方、お義父さんとシンジが帰ってきた

その後、リツコ母さんも訊ねてきた

今、リツコ母さんもこの家を出て一人で暮らしている

その方が二人にあてられなくて済むと言うのが理由らしいけど・・・・・

久しぶりに全家族揃っての食事をすることに

和気藹々とした団欒の中、お義母さんが

「でも、やっとシンジ達と暮らしていけると思った瞬間、結婚して出て行ったんだもの、悲しかったわ」

そんな事を言い出した

「な、何言い出すんだよ母さん!」

シンジがご飯を噴出した後、そう言うと

「あら、本当のことじゃない」

すまし顔でそう返すお義母さん

「しょうがないだろ?もう母さんに甘える歳じゃなくなってたんだから!」

シンジの言葉に

「ああ、シンジはお母さんの事が嫌いなのね」

ヨヨヨと芝居がかったように泣き崩れてみせる

そんなお義母さんの態度に

「だ、誰も嫌いだなんていってないじゃないか!?」

と慌てるシンジ

シンジとしても芝居なのは判っているのようだけど、どうしても慌ててしまうみたい

シンジの言葉を聞いたお義母さんはいきなり顔を上げると

「じゃ、私たちと同居しましょ?」

そんな事を言い出した

「何でいきなりそうなるんだよ?」

シンジがそう言うと

「シンジの代わりに聖夜を育てるの。別に良いでしょ?」

なんて事をお義母さんは言い出した

「か、母さん、レイから聖夜を取り上げるつもりなの?」

シンジの言葉に

「あら、新しい子供作れば良いじゃない?」

と返すお義母さん

私とシンジの顔が真っ赤に染まった

「それに、やっぱり二人だと寂しいんですもの。ね、アナタ」

お義母さんがお義父さんにそう振ると

「うむ、問題ない戻ってきなさい。リツコ君、君もな」

お義父さんはそう言った

「わ、私もですか?」

驚いたようにお義父さんに訊くリツコ母さん

「うむ、ユイも言ったように二人だとやはり寂しい。それに君も家族なのだ。家族は揃って住むのが普通だと思うからな」

お義父さんの答えに

「はい」

と答えるリツコ母さん

私達はしばらくみつめあった後

シンジが

「それじゃ、近いうちに帰ってくるよ」

そう言った

シンジの言葉に優しく笑うお義父さんとお義母さん

優しい雰囲気に包まれるリヴィング

そう、コレが家族の絆というものなのね

そう私は理解し、その中に自分が含まれていることに幸せを感じた






後書き

敬老の日記念の幸せシリーズです

まあ、敬老の日とは関係ないのですが(爆

ふと思い浮かんだので書いてみましたが如何でしたでしょうか?

それではまたいつか

タッチでした



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