時が流れて
〜Time Passed〜
最後の戦いから、既に4年の月日が流れていた
サードインパクトが起こって、一旦はL.C.Lに溶けた生命達であったが
シンジの願いにより、全てが戻ってきていた
それは加持等、直接サードインパクトと関係の無い死を迎えたものにも影響を及ぼしていた
一旦溶け合い、理解しあったからであろうか、世界を包む雰囲気は優しい
そんな中、今日も明るい子供たちの声が辺りに響き渡る
「シンジ〜!急ぎなさいよ!遅刻しちゃうじゃない!」
レイと並んで歩いているシンジに、先を歩いていたアスカから声が掛かる
アスカにしてみれば、シンジがレイと一緒に歩いているのが気に入らないのだろう
遅刻するには、些か時間が有りすぎる
シンジは苦笑すると
「アスカ、そんなに急がなくても大丈夫だよ!」
そう返す
そんなシンジに、淡く、優しい笑顔を送るレイ
シンジもレイに微笑み返した
シンジは思う
本当にレイは表情が豊かになった
最初に出会った時は、本当に無表情だったのに・・・・・
初めてレイの表情を見たのは、父さんを信じられないと言ったときだったな・・・・・
それまでずっと無表情だったレイが、あの時初めて怒りという感情と表情を表した
頬を叩かれた痛みより、レイに表情があったことの驚きの方が大きくて
僕はついつい呆然としてしまったんだっけ
と
思わず苦笑してしまうシンジに、首を傾げるレイ
シンジはレイにもう一度微笑むと
今も「早く来い」と騒ぐアスカに軽く手を振って
「ちょっと急ごうか、レイ」
そう声を掛ける
レイが軽く頷いたのを確認すると、少しだけ駆け出すシンジ
レイもそんなシンジに続いて、軽く駆け出した
昼休み、三人で車座になって屋上でご飯を食べる
偶にじゃれあうシンジとアスカを見て、レイが拗ねた様な表情をする
そんなレイに気づいているシンジ
先程の思いがまた甦って来る
一つ一つの仕草が昔と変わって
綺麗になっていくレイ
自分は、あの頃のまま変わっていないと思っているシンジにとって
それは焦りを覚えさせる
大人への階段を一歩ずつ上がるレイと
まるで、時の魔法に掛かったように立ち止まったままの自分
そのもどかしさに、シンジは一人悩みを抱えながら
放課後、シンジとレイは二人で帰る
アスカはヒカリと共に、少し寄り道をしてくるらしい
二人で帰る時間は、穏やかで優しい
それは、紛れも無くレイが発する雰囲気によるもの
あの頃と、確かに変わったレイの雰囲気と
少しずつ、人との会話を楽しみ始めた変わっ行く途中のレイ
そんなレイの変わり行く全てを見つめていたい
それがシンジの今の想い
自分が追いつくまで、これ以上変わらないで
自分が隣に立てるようになるまで、これ以上綺麗にならないで
二人を優しく包む夕日に、シンジはそう願いをかける
後書き
なんとなく、こんなの書いてみました
変わり行くレイに、シンジが焦りを覚える
そんな感じです
如何でしょう?
それでは
タッチでした
戻る