華やかに飾り付けられた街路樹達
街は光の洪水に飲み込まれている
そんな聖なる夜に私は一人
そう、あの人が私とこの日を過ごしてくれるはず無いものね・・・・・
聖なる夜に一夜だけの恋を
「赤木博士じゃありませんか?」
街を一人歩く私に誰かが声を掛けてきた
振り返るとそこにはオペレーターの一人、青葉君が・・・・・
「お一人ですか?」
彼は私に不思議そうな顔で聞いてきた
「ええ、一人だけど・・・・・何か問題あるかしら?」
だから少し不機嫌な顔でそう聞くと
「い、いえ!赤木博士ほどの方がこんな夜にお一人なのが不思議に思いまして・・・・・済みません」
本当に済まなさそうに頭を掻きつつ私に謝る
その様子が可笑しくて可愛くて
「残念ながら私には恋人が居ないの、いえ、言うならば仕事が恋人なのよ」
と、からかうつもりで少し物憂げに答えてみた
すると
「そ、それじゃ今夜、俺に付き合って頂けませんか?」
と彼が聞いてきた
彼の真剣な様子にそれも良いかなと思ったけれど
「あら、こんなおばさんで良いの?それに貴方こそ恋人と過ごさなくて良いの?」
と尋ね返してみる
私の言葉に彼は苦笑すると
「俺こそ彼女なんか居ませんよ、もてないですから」
と答えてきた
彼のその正直さに少し心の動いた私は
「まあ、良いわ。その代わり、つまらなかったらさっさと帰るわよ?」
と答えた
そんな私の答えに彼は嬉しそうな顔をすると
「俺、良い店知ってるんスよ。ご案内します」
そう言って歩き出す
彼の後を苦笑しつつ歩き出す私
私の歩く速さに合わせつつも前を歩く彼
この距離が今の私と彼の距離なのだろう
暫く歩くと、彼のお勧めの店に着いた
何処と無く古さを感じさせる佇まい
ソレが逆に彼のセンスの良さを伺わせる
店の中も外観に合わせるかのように蝋燭の明かりだけ
音楽も耳障りにならない程度の大きさで流されている
雰囲気の良さに感心しているとウェイターが近付いてきて
「お二人様でしょうか?」
と聞いてきた
「ええ」
短く答える彼
「それではお席の方にご案内いたします」
ウェイターの先導で席に向かう私達
店の中はカップルだらけになっている
案内された席に座りオーダーを決めると、ウェイターを呼ぶ
先程のウェイターが戻ってきてオーダーを済ませるとしばし沈黙が私達を包む
やがてオーダーした料理が来て・・・・・
少しアルコールの入った彼は非常に饒舌だった
彼の趣味であるギターの話やら昔の夢の話やら
私はそれを軽く相槌打ちながら聞く
彼の若さを羨ましいと思いつつ
ゆっくりと、和やかに流れていく時間
こんなにゆったりした気分で人と一緒に食事をしたのは何時以来だろう
私の中でささくれ立っていたものが落ち着いていく感じがする
冷めた仮面で隠していた私の心が躍りだし
年下の彼に恋をする
私はもう一度グラスを掲げると、彼のソレに合わせ
「Merry X’mas」
微笑みながらそう呟いた・・・・・
今日だけの恋だから
明日からは元の私達に戻らなければならないのだから
精一杯、この恋を楽しむ為に・・・・・
後書き
ども、タッチです
LRAとのご注文だったので、リツコ×青葉を書いてみました(爆
殆ど見たことの無いカップリングだと思いますが、如何でしたでしょうか?
それでは
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