羞恥心作yo1
「キャ!」 レイが荒々しく床に押し倒される。スカートが捲れ上がり、艶かしい素足が太ももまで露になる。 男は、すかさずレイの上に覆いかぶさった。 「嫌! や、やめて!」 「君がいけないんだ! 君が…」 レイの瞳から涙の粒が飛び散るのを見た男は、ますます興奮し息遣いが荒くなる。レイの胸の膨らみを、制服の上からわしづかみにする。 「あん! や、いや! 嫌!」 男の手が容赦なくレイの身体の隅々を陵辱する。 「僕の事、好きになるようにしてあげる」 「嫌!」 紅い瞳から涙が溢れ頬を伝った。 太ももにあった手が、徐々に、徐々に、スカートの中へと動いていく。 レイの可愛らしい桜色の唇を犯そうと男の唇が近づく。 「いや! や、やめて! 碇君! やめてー!」 「カット!!」 「綾波! そこ『碇君』じゃないだろー!」 ケンスケがメガフォンで叫んだ。 辺りが騒がしくなり、照明のトウジと音声のヒカリがケンスケの所に集まる。 制服の乱れを直し、床の上にちょこんと座っているレイがションボリと俯く。 「…ごめんなさい」 「誰にだって間違いはあるよ」 シンジが助け舟を出すが… 「おい! 碇! お前も本気で胸を掴むなよ! それにやり過ぎだぞ!」 「碇君! 不潔よ!」 「う…ごめん…」 シンジはレイに視線を移すと、思わず目が合ってしまい顔を真っ赤にする。 「あ、綾波…ご、ごめんね…」 「…」 レイは、握った両手を口元にあて目を伏せるだけで返事をしない。 「今日はもうダメとちゃうんか?」トウジが指摘する。 「は〜 ああ、そうだな…今日はこれで終わりにする」ケンスケがため息混じりに指示を出した。 「みんな!お疲れ様〜」ヒカリの元気な声が教室に響いた。 シンジは立ち上がるとレイに手を差し伸べた。 「綾波…掴まって…」 「ありがとう…碇君」 「さ、さっきは…ごめんね…」 「…大丈夫だから」 「でも…」 「心配しないで…帰りましょう」 「うん、一緒に帰ろう」 「うん」 二人はカバンを持つと、教室から廊下にでた。既に窓の外は夕闇に覆われている。 「こんな映画… 大丈夫なのかな〜? 僕らは中学生だよ… いくら文化祭だからって…」 シンジが愚痴をこぼす。 「綾波も…こんな役…嫌だろ?」 「…あたしは」 「そうだよね… 嫌だよね…」 「…碇君だから…かまわない…」 「ええ!?」 シンジは驚いてレイを見ると、頬をピンクに染めて俯いていた。 (綾波…可愛い…) シンジの鼓動がうるさい位に鳴り始める。 (手…繋いでもいいよね…) シンジは、そっとレイの手を握ろうとするが、瞬間、演技での否定のセリフを思い出し躊躇する。 (碇君と二人きり…手…繋いでほしいのに…) レイはシンジが手を繋いでくれるのを期待して待っているが、一向にその気配がない。 「でも…綾波の演技…上手だったと思うよ」 「…ない」 「ん?」 「…上手くない」 「えっと…その…十分」 「経験ないから…」レイがシンジの話しを遮る。 「…私…乱暴された事ないから…」レイの頬がピンクになる。 「あ、当たり前だよ! 綾波が…その…乱暴されるなんて…やだよ」 「…ごめんなさい」 「いや…僕は…ただ…ごめん」 二人は、しばらく無言で歩いた。 大好きなレイが隣を歩いている。二人の距離は数センチ、たった数センチ。 シンジは勇気を振り絞って、レイの手をそっと握った。 レイはピクンっと反応したが、無言で柔らかく握り返す。 (やった! 手を繋げた) (嬉しい…碇君が手を繋いでくれた) 「あ、綾波…夜道だから…その…家まで送っていくね」 「うん」微笑むレイ。 レイのマンションの前まで来ると、名残惜しそうに手を放す二人。 「綾波…また明日」 「うん…ありがとう碇君」 遠くなっていくシンジの後姿を何時までもレイは見つめていた。 放課後、メガフォンでケンスケが指示を出していた。 「今日は、シーン17撮るよ! 野外だから機材の準備急いで!」 「相田君、昨日のシーンは撮らないの?」 「室内の撮影は何時でも出来るし、条件の良い時に野外ロケ済ませておきたいんだ」 「ふ〜ん…そうなんだー」 「ほら急いで!」 「へいへい、人使い荒いやっちゃな〜」トウジが愚痴る。 「ほんとねー。私達がこんな重いの持ってるのに、相田君はメガフォンとカメラだけですもんねー」ヒカリも愚痴る。 「委員長、少し荷物持ったる」 「うん! 鈴原、ありがとー」ヒカリの顔がぱっと明るくなる。 そこへシンジとレイが揃ってやってきた。 「ん? 洞木さん…どうかしたの? 顔赤いよ?」 「え!? な、なんでもないわよ!」 「碇君…鈍感…」レイが小さく呟く。 「シーン17、スタート!」 撮影が開始された。 中庭のベンチに座り本を読んでいるレイに、シンジが緊張した面持ちで歩み寄る。 「マドカ…」 「あら、キョウスケどうしたの?」 レイが読みかけの本を閉じ、シンジの方を向いた。 「うん…あの…えっと…大事な話があるんだ」 「何?」 「あ、あのさ…マドカと僕は幼馴染だろ…」 「うん」 「二人の…か、関係って…友達だよね…」 しばらく小首を傾げて思案するレイ。 「そうね…友達かしらね」 シンジはこぶしを握り締め勇気をもって告白した。 「あの…ぼ、僕…マドカの事が…好きなんだ」 「え!?」 無言の気まずい数分が経過する。 「き、君の気持ちを聞かせて欲しい…」 「…私も…好きよ」 「カット!」 「何やってんの! 綾波! 台詞違うよ!」ケンスケが唾を飛ばして喚く。 ヒカリが台本を持って、急いでレイの所へ行く。 「綾波さん? 大丈夫? 台本見る?」 レイはシンジの告白が嬉しくて、魂が何処かに旅立ってしまい、うっとりした表情で固まっている。 「綾波さん?」 しばらくして、レイが復活したので撮影が再開された。 「シーン17、テイク2、スタート!」 「あの…ぼ、僕…マドカの事が…好きなんだ」 「…私も…好きよ」 「カット!」 「シーン17、テイク3、スタート!」 「カット!」 「シーン17、テイク4、スタート!」 「カット!」 「シーン17、テイク5、スタート!」 「カット!」 「………」 「……」 「…」 「」 「ケンスケ…今日はもうしまいや」 「くっそー! なんで出来ないんだー!」ケンスケの叫びが中庭に響いた。 また、シンジとレイが二人並んで歩いていた。 「今日も散々だったね…」 「…」 「あ、綾波?」 レイは、頬がピンクに染まり、瞳は潤んで、ぼーっとしながら歩いていた。 「綾波!?」 シンジの声にようやく反応し、ゆっくりと顔を向けた。 「…私…幸せ…」 「え!?」 「碇君が…告白してくれた…」 「え、ええ!?」 「あ、綾波! あ、あれは演技だよ!」 レイは、急に立ち止まった。 「あれは、物語なんだよ!」 「…嘘…だったの…」 レイの瞳にみるみる涙が溜まり溢れ出す。 「あ、綾波! 泣かないで…」 うろたえるシンジ、レイは、いやいやして泣き続ける。 「う…ひっく…うぅ」 「あの…えっと…演技じゃなくて、本当に…その、綾波の事…好きだよ!」 「う…ひっく…うぅ」 「心から綾波の事、好きだよ!」 「え…ひっく…ほんと?」 「ほ、ほんとだよ!」 「…もう一回…ちゃんと言って」レイが涙目でおねだりの仕草をする。 シンジは生唾を飲み込み、真剣な顔つきで、ゆっくりと言葉を発した。 「僕は、綾波レイが好きです。僕の彼女になって下さい」言ってから顔が真っ赤になる。 レイは潤んだ瞳で、にっこり笑顔をつくり「私も…碇君が…好き」頬がピンクに染まる。 「ほんと!? ほんとに僕でいいの?」 「…うん」 シンジも笑顔になり「やった!」小躍りして喜んでいる。 二人は自然に手を繋ぎ歩き始めた。 「だいぶ遅くなっちゃったね…夕ご飯どうしよう…」 「…きて」 「ん?」 「…家にきて」 「え!? い、今から?」 レイは、こくりと頷く。 「…じゃ…何か材料買って、僕が何か作るね…」 「…うん」 近所のスーパーで買い物をする。シンジが時々質問するが、レイは幸せで胸がいっぱい、上の空であった。 レイの部屋に着くと、シンジはテキパキと夕ご飯を作り始めた。 そんなシンジの後姿を、レイは枕を抱きしめて、ボーっと眺めている。 (碇君…碇君…) 「綾波、できたよ。和風パスタと野菜スープだけだけど…」 食べながら色々話をした。主に映画の話題だったが、二人とも終始笑顔だった。 「綾波ってけっこう演技力あると思うよ」 「そんな事、無いわ…碇君の方が上手よ」 「僕はダメだよ…恋愛経験無いし…どう表現したらいいか分からないんだ…」 「…私も同じよ…でも…今日から…私達、恋人同士でしょ?」 「う、うん」 (碇君の顔が赤い…私の顔も赤いのかしら…恥ずかしい…) 食事も終わって後片付け、レイもお手伝いをした。 後片付けが終わると、レイがおずおずときりだした。 「碇君…台詞の練習したいの…」 「うん、いいよ」 二人はベッドに並んで座った。 「始めに設定を確認しようね」 「うん」 「綾波が演じるマドカは、学校中のマドンナで、僕が演じるキョウスケはマドカの幼馴染、密かにマドカに恋してるんだ、ずっと友達の関係だったけど、思いが募って、とうとう告白するんだね。でもマドカは友達としての関係を望んだ。ある日キョウスケはマドカを無理やり自分の物にする」 (碇君の顔が赤くなった…) 「心と身体に傷を負ったマドカだが、気丈にも学校には普通に来て、何時ものように振舞う、けどキョウスケだけは避ける様になるんだ。キョウスケは自分の犯した過ちに苦しみ、自殺してしまう…こんな所かな」 「うん」 「無理やりな設定だよね…ケンスケは何考えてるんだか…」 「悲しいお話ね…」 「告白の部分は…碇君が本当に告白してくれたから…なんとかなると思うの」 「そ、そうかな…あはは」 「…無理やり自分の物にする」 「え!?」 「…どう演技すればいいの?」 「どうって…それは…えっと」 「…碇君…してみて」 「え、ええ!」 「…ダメ?」また瞳をウルウルさせるレイ。 生唾を飲み込んでシンジは答えた。 「あの…えっと…れ、練習してみる?」 レイは、こくんと頷いた。 「ま、真似だけだから…心配しないで…」 「…うん」 シンジは、レイをベッドに押し倒し、台詞を言い始めた。 「僕の事、好きになるようにしてあげる」 レイも頑張って自分の台詞を返す。 「嫌! キョウスケ! やめて!」 偶然、シンジの手がレイのわき腹に触れた。 「キャ! あはは…くすぐったい」レイが可愛らしく笑った。 (綾波…可愛い…) レイが反応する所を、次々と触っていく。 「あん! 碇君のエッチ!」 いつの間にか、二人はベッドの上でじゃれあっていた。 急にシンジが真剣な表情になる。 「綾波…」 「何?碇君」 「好きだよ」 シンジはレイに顔を近づけながら「キス…してもいい?」と囁く。 レイは恥らいながら「うん」と答え、ゆっくりと瞼を閉じて待った。 シンジの唇がレイの唇に触れた。レイの身体がわななく。 ゆっくりと唇が離れると、甘い吐息が漏れる。 シンジは、素直な今の気持ちを言葉にした。 「綾波が欲しい…」 「碇君…」 「だ、だめかな?」 レイは真っ赤に染まった顔を見られない様に俯きながら返事をかえした。 「碇君なら…いいよ…私の事…いいよ」 「綾波!」 シンジはレイを抱き寄せると、少し荒々しくキスをした。舌と舌が絡み合い、シンジの手は、レイの胸を掴み優しく揉みはじめる。 「碇君…制服が…しわに…な…っちゃう…」 シンジは、優しくレイの服を脱がせ、自分も服を脱いだ。 レイの肌は白く、シルクの様な肌触りで、シンジを興奮させた。 レイの胸は恥らうように震え、とても柔らかいが、弾力がありシンジの手の動きにあわせ形を変えた。 レイの秘所は潤み、シンジが触れる度に、蜜を溢れさせた。 シンジはゆっくりと入っていく、初めて男を受け入れるレイの身体は、震えていた。 シンジは、そんなレイを安心させようと唇を重ね、手を握った。 レイも指を絡めて、シンジの手を握り返す。 「痛い!」 シンジの動きが止まった。 「綾波、大丈夫?」 「…うん…大丈夫だから…お願い…」 シンジはまた、動き出した。 「あっ、あー!……」 ベッドの上で、シンジとレイは火照った身体でぐったりとしていた。 (碇君と一つになれた…) 愛する人と一つになれた喜びで、レイの瞳から涙が溢れた。 「綾波…ずっと大切にするよ」シンジが優しく言った。 レイは幸せいっぱいの表情で、「うん」と答える。 シンジは優しくレイを抱きしめた。 放課後、ケンスケが真剣な目で演技の様子を見ていた。 「オッケー!」 緊張していた場が和み、トウジとヒカリがケンスケの所に集まる。ケンスケは上機嫌であった。 「今日はいいねー」 「そやな、シンジと綾波の演技なかなかやったと思うで」 「そうね…特に綾波さん…なんだか輝いてる気がする…何て言うか…腰の辺りが充実してるって言うか…」 「いい感じ、いい感じだよ!」 セットから出てきた、シンジとレイが会話に加わる。 「ど、どうだった…?」 「碇君も、綾波さんも、凄く良かったわよ」ヒカリが笑顔で二人を褒めた。 「撮影が始まって、初めて褒められた気がする…ね、綾波?」シンジもにっこり笑顔になった。 レイは、半身だけシンジの後ろに隠れ、シンジの袖を摘んでくっ付いている。頬はピンク色だった。 「なんや二人とも、撮影は終わっとるちゅうに仲ええな〜」トウジがからかう。 「そ、そんな事ないよ…あはは…」シンジが笑って誤魔化す。 レイは、益々シンジにくっ付いて、はにかんでいる。 そんなこんなで撮影は順調に進み、残すわ1シーンだけとなった。 「シーン17、テイク12、スタート!」 中庭のベンチに座り本を読んでいるレイに、シンジが緊張した面持ちで歩み寄る。 「マドカ…」 「あら、キョウスケどうしたの?」 「うん…あの…えっと…大事な話があるんだ」 「何?」 「あ、あのさ…マドカと僕は幼馴染だろ…」 「うん」 「二人の…か、関係って…友達だよね…」 「そうね…友達かしらね」 「あの…ぼ、僕…マドカの事が…好きなんだ」 「え!?」 「き、君の気持ちを聞かせて欲しい…」 「キョウスケ…どうして…」 「ずっと好きだったんだ! もう友達の関係だけじゃ我慢できないんだ」 「…」 「マドカ…」 「…ごめんなさい…私達、幼馴染だから…恋人にはなれないと…思う」 「オッケー!」 ケンスケのオッケーで全員から安堵のため息が漏れる。 「よし! 後は編集の作業だけだ、みんなお疲れ!」 「よっしゃ〜!」トウジがガッツポーズを決める。 「碇君、綾波さん、お疲れ様〜」ヒカリは主役の二人を労う。 「ふ〜終わった〜、綾波、お疲れ様」シンジも笑顔でレイを気遣う。 「うん、よかった」レイも満面の笑みで応える。 二人は帰り支度を済ませ、仲良く手を繋ぎながら教室をあとにした。 文化祭当日。 校庭には屋台が並び、各教室でも色々な催し物が行われ、沢山の人で賑わっていた。 視聴覚室では、シンジ達の映画が上映されていた。 驚く事に立ち見が出るほどの盛況で、ケンスケは上機嫌だ。 もっと驚く事に、視聴覚室の入り口では、今回の映画のDVDとレイ写真集、シンジ写真集が販売されている。 誰がこんな物買うのかと思いきや、順番の列が出来るほど売れていた。 ケンスケ曰く、『綾波に気のある男子はかなり多い、売れるよ』 ケンスケ曰く、『碇に気のある女子も何故か多い、売れるよ』 である。 そんな騒ぎになっているとは知らずに、シンジとレイは手を繋いで、屋台を見てまわっていた。 「あ、たこ焼き売ってるよ、食べる?」 レイは、こくりと頷いた。 「じゃー買ってくるから、そこのテーブルで待っててね」と言ってシンジは、走って行った。 「お待たせ」 「お帰りなさい」 シンジは、1皿をレイに渡すと、レイの隣に座った。 「碇君、これ…」 レイがジュースのカップをシンジに渡す。 「あ、買ってきてくれたんだ、ありがとう」シンジは、にっこり微笑んだ。 ジュースが1つしか無い事に気づいたシンジは、「あれ? 綾波の分は?」と首を傾げた。 レイは、シンジの持っているジュースを指差し、頬をピンクに染めた。 そして、両手に1本ずつ持っているストローをシンジに見せた。 「え、ええ!? ま、まさか…」 「一緒…一緒に飲むの…」 「あ、あ、あの…だって…恥かしいよ…」 レイは紅い瞳を潤ませて、今にも泣きそうな顔をした。 「あ、綾波! 泣かないで! 飲むから…一緒に飲むから…ね?」 レイは、こくりと頷いた。 レイとシンジは、おでこをくっ付けながら、1つのジュースを一緒に飲んだ。 「綾波、これって恥ずかしいけど…なんか…いいね」 「うん。碇君…また一緒に飲んでくれる?」 「そうだね、また飲もうね」シンジが優しく微笑む。 「碇君…また押し倒してくれる?」 「そうだね、また…ええ!?」 シンジが驚いて、レイを見ると、クスクスと笑っていた。 「綾波、からかわないでよ」 シンジもつられて、笑顔になる。 「碇君」 「ん、何?」 「私ね、幸せよ」 |