「碇くん・・・・私のこと好き?」
「え?」
シンジが振り返ったその先には1mと離れていない所に恐ろしい表情でこちらを睨むレイが居た。レイ自身は想い人であるシンジの胸中を知りたくて必死の想いで勇気を振り絞りたずねたつもりなのだが、必死というよりは必殺といったオーラを全身から漂わせ、一心にシンジを見つめる眼差しは恐らくジオフロントを守る特殊装甲ですら一瞬で突き破ってしまうに違いないと思われるほど恐かった。
そしてシンジは緊張のあまりレイの言っていることが理解出来なかった。
「・・・・・・答えて」
そんなシンジに追い討ちをかけるレイ。あまりのレイの迫力に何を言っているのか耳に入らずひたすら逃げることだけを考えるシンジだが、レイの視線に萎縮して身動きが取れない状態だ。
(動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け)
ひたすら心の中で念じても、動けるようにはならない。
そうしているうちにレイがシンジの方へと一歩づつ近寄ってくる。
「・・・碇くん?」
シンジは口を開くが、パクパクと空気を吐くだけで言葉は出てこなかった。レイは尚も近づいてきてとうとう5cmと離れていないところまで二人の距離が近づいた。最早シンジに後はない。
「・・・・私のこと好きよね?」
「・・・・・・・・ハイ・・・・・・・・・・・・」
「そう、ならいいわ」
レイは心の底から嬉しそうに微笑むと、その場を去ってゆく。
恐怖のあまり気絶したシンジを残して・・・・・・・・・・・・・
数時間後、シンジの意識が戻ったときには既に、シンジとレイが婚約という情報がネルフ中に知れ渡っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・