今日はヴァレンタインデー。
全国のBoys&Girlsにとって決戦の日である。
ここ第3新東京においてもそれは例外ではなく、寧ろラグナロクと呼んだ方が正しいのかと錯覚さえ覚えさせるほど盛り上がっていた。
原因は言うに及ばずだが、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機のパイロットにして14歳の主夫碇シンジその人の鈍感&優柔不断さである。
彼の生活圏は葛城家、学校、ネルフの3つに別けられるのだが学校においては生徒から、ネルフにおいては職員から、そして葛城家ではもっとも危険な3人からの熱烈な愛(チョコ)が待っているのだ。
世の男性諸君から見れば羨ましい話だが実際はそんなにいいものではない、と少年は語る。彼を巡っての争いは年々エスカレートしており、救急車を呼ぶほどになっている。また、彼自身の生命も危険に曝されている。
彼にもっとも近い位置にいる3人の女性(内一つは完全なる義理だが)からの手作りチョコも年々エスカレートしており、その危険度はN2爆弾にも匹敵するという噂だ。ふたりの少女からのチョコはシンジしか食べた事がないのだが、もう独り(笑)の女性のチョコはネルフ内でも配られ1週間は機能停止させる恐ろしいもので、毎年この時期は開店休業状態になってしまうのである。現在使徒は全て殲滅されている状態なので何の問題もないのだが逃げるわけにもいかず労災も適用されず不幸の限りだ。
そして今年も時計の針が24時を回る前にシンジは逃げ出すのである。これぞ第3新東京の使徒襲来に代る新名物、「シンジ争奪鬼ごっこ」である。名前だけだと伝わりにくいかもしれないが、内容は街を使っての妨害・同盟・裏切り何でもありあり最後にシンジにチョコを食わせた者勝ちのサヴァイヴァルデスマッチだ。無論流石にエヴァ及び兵器類の使用は認められていないが、その他なら何でもOKという凄いルール(いつの間にか出来た)でまずはシンジを捜す前にライバルの殲滅から始まるのである。因みに赤と青の少女を除き大体の女性陣は対抗上派閥を作りチームとして参戦しているが、それでも毎年たった二人の前に無残な屍を曝すのだった。
「シィ〜〜〜ン〜〜〜〜〜ジィ〜〜〜〜私の手作りの義理チョコが食べられないってーの?」
「碇くん、私のチョコだけ・・・・・」
シンジは今年も明日に向かって逃げるのである。
無駄だと知りつつも。
因みに男性陣は何をしているかというと、嫉妬に狂ったゲンドウ主催でトトカルチョ大会を開いているのであった
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