Another Day In Paradise

  


今この街に奇妙な『噂』が流れている。

ある少年の話・・・・。

いわゆる都市伝説と言われるモノの一つだ。

歩いているとふらりと突然現れるのだという。



証言によるとその少年はどこかの学校の制服を着ていて少し小柄、顔はなかなか美形であるらしい。

そして何よりも印象的なのは『目』だという。

とても真直ぐで力強い、意思を持った『目』。

その目に見つめられると誰構わず後ろめたい気分になって逸らしてしまう。



何が奇妙だって。

美少年で、充実した今という時間を過ごしている少年ならテレビを通じて見る事は出来る。

奇妙なのは彼の口から紡ぎ出される言葉にある。


「女の子を捜しているんです。白いの肌で、薄い蒼色で明るい髪に、ルビーの様な紅の綺麗な瞳をしていて、はにかむ笑顔が印象的な女の子なんです」


白い肌で青い髪に赤色の目?。

昨今、誰彼もが茶髪で、少しの色合いの違いを競い合う無個性に成りつつ有る日本人だってそんな髪色した人はそうそう要ない。

その上、色白で赤い目?、カラーコンタクトだろうか?。

奇妙だ、実に奇妙だ。

私はジャーナリストの端くれとして(本当に端くれでしか無いが)、色々な人種と合ったが『赤い瞳』の人間と出会った事は無い。

例え遺伝子異常のアルビノでさえ人間以外の動物でしか見た事は無い。

それに瞳は赤くない。


だが彼は違うのだ。

実際、有り得無いその『はにかむ笑顔が印象的な』少女と同じ刻と共にしているのを推測できる。


誰もが戸惑うだろう。


「見た事が無い」


そう答えると、


「有難う御座いました」


と酷く落胆した後、ぺこりと頭を下げるという。



そして人ごみに足を踏み入れ、何故か気になって振り返ってみると、もうその少年はいないという。



彼は彼女と再び合間見える事が出来たのだろうか。



それはこの街に『噂』される話。

あの『サードインパクト』という誰もが知っていて、誰もが覚えていない、未曾有の災害の後の話。



















「やっぱりここにいた、探したんだからね」


シンジはペットショップの窓に張り付いているレイを見つけた。
レイは買い物に出かけると、逸れてここに来てしまうのだ。


「何時見てもアメリカンショートヘアの子猫は可愛いね」


「フワフワして・・・良いの・・・」


愛らしく小首を傾げる子猫を見て口元を緩めるレイにシンジは苦笑してしまう。


「残念だけど家では飼えないし、それに・・・・銀の毛並みの猫は十分足りてるしね・・」


レイの耳元でそう嘆いて蒼銀色の髪を梳く様に撫で上げる。


首筋から発した電気は全身を駆け巡り足の付け根へと伝播しピクピクと振える。


「・・・今日も可愛がってあげるから・・」


「・・・・・はい・・」








その夜。

ソファーに寝そべってシンジに膝枕をしてもらい、なでなでしてもらうレイは至極まったりとした時を過ごしましたとさ。


めでたし、めでたし。






あとがき



なぜ?
シリアスのつもりで書き始め、いつも道理のオチに。
くっ、所詮俺は・・・・。






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