しばらくNERVでエヴァの訓練に集中していたシンジ君が初めて学校にやって来た。転校生が来ると言うことで学校中は大騒ぎだ。おかげで俺は大変困っている。 「洞木さん……誰も俺の授業聞いてくれねぇよ……」 「困ったモンですね。でも、みんなセカンドインパクトの話には飽きてますし。前の担任の根堀先生に耳がタコになるほど聞いてるんです。あの先生、数学の時間でもセカンドインパクトの事を話すんですよ」 なるほど。あの人意外に、熱血先生なわけね。 「……飽きてるって言いながら変ですけど、前原先生もセカンドインパクトの時は大変だったんですか?」 「……」 思わず沈黙してしまった。俺の頭の中で蘇るのは、そこそこ生活が苦しかった高校時代と結構お気楽に過ごした大学時代の記憶だけ……。 思い出せない。何も何も思い出せない。頭の中は真っ白だ。 「どうしたんです。……聞いちゃいけなかったんでしょうか?」 「いや、覚えてないんだ何も。俺は記憶がない」 地獄、セカンドインパクトの地獄。隕石の落下から始まった悲劇……いや、本当の原因は隕石ではないらしが。 人口減少、津波、飢餓、紛争、犯罪……様々なものをセカンドインパクトは引き起こした。だが、俺は知らない。暗黒の時代を経験したはずなのに、その闇の世界は記憶の彼方へと消えてしまっている。 「……私の家は幸い、姉と妹も生きてますけど、お母さんは死んでしまいました。お父さんは仕事の関係でほとんど家にいませんので、事実上、子供だけの3人暮らしです」 「じゃあ、まだまだ治安も悪いし、色々気をつけないとな」 ちょっと気取って教師らしい事を言ってみた。俺の性格(ガラ)じゃないのに。 「ええ。そうしてます」 昼食の時間、俺は先生のくせに教室で弁当を食うことにした。どんな時でもレイの観察をするのが俺の仕事だからな。 さて、既にシンジ君はエヴァのパイロットだと言うことがバレてしまい、すっかり彼はクラスの注目の的になってしまった。だが、ここに既に1年以上学校に通い続けながら、まったくその事が
クラスメイトに知られてない少女がいる。 休日の日曜日、レイと一緒に、ブラブラと公園に散歩している時に、偶然シンジ君と出くわした。 「あれ、前原先生と綾波さん」 「ああ、シンジ君か。どうだ、学校には慣れたか」 「人付き合いうまくないんで、まだまだですけど、思ったよりはうまくいってるかな」 「そうか。まぁ学校だけじゃなくて、エヴァの訓練もあるから大変だとは思うが頑張ってくれ」 「……ええ。でも学校やエヴァの訓練よりも家事が疲れます。ミサトさん、家事と名のつくものを、な〜んにもやってくれないんだから」 俺はこの時、きっとあの人も忙しいからだろうと思っていたが、そういう問題ではなかったことを後日しみじみと思い知らされる事になる。 さて、まったく会話に加わろうとしないレイに対して俺はポンと方を叩いてから、ちょっと鋭い目で睨み、彼女に何でもいいからしゃべるように催促する。 「……」 「……」 「……」 レイは何かを必死に話そうとするが、普段、命令に関すること以外は一切口にしないため、いざ普通の話をしようとすると何を言えばいいのかまったくわからなくなっている。 無言の沈黙タイムが1分近く経過した。さすがに俺も沈黙を切らして、無理やりにでも話をするようにレイを誘導させることにした。 「レイ、まず挨拶でもしろ」 「……こんにちわ」 「あ、綾波……こんにちわ」 なんだかとてもぎこちない、2人の挨拶である。普通なら出会ってすぐに終わる事なのだが、異様に長い時間が掛かっている。 「……」 次の話題が出てこずに、また固まるレイ。まったくしょうがない奴だ。 「ほら、勉強の成績の事とか聞いてみろ。来月にはもう中間テストもあるんだぞ」 「……は、はい。あ、あの碇君、勉強の方はどう?」 「あんまり進んでないよ。勉強以外にやる事多すぎでさ。綾波さんはどう?」 「国語が全然出来ないわ。他の教科は問題ないけれど」 「そっか。あっ、前原さん、僕これからエヴァの訓練あるんで失礼します」 「おお、大変だな。じゃぁな」 レイは無表情で去っていくシンジ君を目で追っていた。……やれやれ、コイツが普通の女の子のように会話ができるようになる日は遠そうだな。 第3使徒戦から三週間。今まで学校を休んでいた鈴原トウジと言う生徒が学校に登校してきた。 「そうか今までずっと妹さんの看病をしてたのか。それは大変だったな」 「ええ、ホンマはいつまた急変するかわからんのですが、いつまでも病院につきっきりと言うわけにもいきまへんし」 あの戦闘、一般市民の大半はシェルターに逃げて無事だったはずだが、やはり逃げ遅れてしまった人もいたのか。この前、生徒達が『あれだけの事件、死者がいないわけがない』と噂していたが、案外当たっているかもな。 昼放課、鈴原君は友人らしい相田ケンスケと2人で雑談をしていた。 「なに〜、ケンスケ、あの転校生がロボットのパイロットやて」 「ああ、間違いないよ。問い詰めたら本人も認めたし」 トウジ君は急に凄まじい形相になり、つかつかとシンジ君の前に歩いていく。ただならぬ鈴原君の様子に唖然とするシンジ君。ちなみに近くにいるレイはそれをボケ〜ッと見ている。 「転校生、今から屋上についてこいや!」 「……う、うん、まぁいいけど」 鈴原君の勢いに押され、たじたじになりながらシンジ君は屋上へと引っ張られていった。……ちょっとこれはヤバイかもしれないな。 「レイ、俺について来てくれ」 「はい、わかりました」 仲介役が必要になるかもしれないので、女の子であるレイをつれて俺達は2人の後を追っていった。 後書き トウジの関西弁はまったく自信がありません。間違った関西弁だらけだと思いますがご了承ください。またストーリーの展開上、シンジとレイがいきなりラブラブにはなりませんので、それも勘弁してください 。なんか謝ってばっかりだ(汗)こんないい加減な作品ですが感想メール待ってます。 次回予告 (声:碇シンジ) 「第4の使徒は2本の鞭で攻撃をしてくる強敵であった。接近戦でも長距離戦でも勝つことが出来ず成すすべがないシンジ。零号機も動かすことはできない。全員が絶望する中、前原の心の中で謎の声が響き渡る。綾波成長計画、第4話『謎の声』、次回は僕の出番が多いらしいです 。 綾吉 :というわけでトマトさんからの投稿作品「綾波成長計画」第3話でした! レイ :心配ないわ、碇君は私が守るもの・・・フフフ(いっちゃった笑顔で) 綾吉 :・・・・あの〜レイさん レイ :何? 綾吉 :次回のことより今回の感想をお願いしたいんですが・・・? レイ :ふふ、倒れた碇君を甲斐甲斐しく介抱する私。好感度アップね 綾吉 :確かにね、良かったねLRSな展開になりつつあって レイ :当然よその為に・・・いえ何でもないわ 綾吉 :ちょっと待て!何をしたっ? レイ :おかしなこと言うわね、何もしてないわよ(ニヤリ) 綾吉 :・・・・・・・・・ガタガタブルブル レイ :皆さん、読み終わったら感想をお願いしますね。作者さんの一番の活力剤ですから 掲示板へ |