純白の病室。
そよぐ風は開放的に開けられたドアのカーテンを静かに揺らし、その平和さを物語っている。
そんな平和という病室で真っ赤になりながらフリーズ中のシンジとレイ。
レイの突然の告白。
予想出来なかった(というか出来ないのが普通)シンジはそれでフリーズ。
言ったことをそのままシュミレートしてレイもフリーズ。
たったまま真っ赤になって固まるシンジ。
真っ赤な頬に手を添えて固まる綾波。
見事に『告白』と言う題名の絵に収まっているというのは何故であろうか?


『シュン・・・』

そんな二人の世界に一人の科学者兼レイの保護者が入ってきた。

「リっ、リツコさん!!」

外部からの刺激によって意識を回復したシンジにとっては一瞬リツコが天使のように思えたことであろう。 次の言葉を聞くまでは・・・・。


「シンジ君、責任とりなさい」




第二話 「・・・・マジ?」




相変わらずフリーズ中のレイ。
リツコの言葉に戸惑いを隠しきれるはずの無いシンジ。

「ちょ、どういうことですか?!リツコさん!!」

シンジの表情は明らかに焦っていた。
自分が見知らぬ世界に足を踏み入れようとしてしまってる。
額には大して暑くも無いのに汗がにじみ、頬では一筋の道を作っている。
それらは全て正確な拒絶反応といえた。
ちなみになんでリツコがこれ以前のレイとのやり取りを知っているのか? という疑問は物語の色的に省かせてもらいます。

「要はシンジ君。あなた、レイが治るまで一緒に住んで面倒を見てあげなさいということよ」
「(・・・ボクハドウスレバイインデショウ?)」

シンジの頭崩壊寸前。
それを根性と真っ直ぐな理性が引き戻す。

「そっ、そんなこと言ったて無理に決まってるじゃないですか!!」
「・・・何で無理なの?」
「なっ・・・リツコさん頭大丈夫ですか?! 綾波と僕が一緒に住むんですよ!! 二人きりで!!」

普通なら喜んでしまいそうな状況なのだが、シンジにとってはそうでもない。
リツコに向ける視線には明らかに別の意味の視線も混じっていた。

ふたりの視線が交錯し、別に敵対しているわけでもないのに熱い火花が散っている。
この場面だけなら白昼での決闘シーンにそのまま移植する事が出来るだろう。


「(赤木博士、頑張って・・・!!)」

ちなみにこういうときだけリツコを応援するフリーズから復帰した綾波の姿もあったりする。
ヒロインは主人公の応援をするものだがこの場合は少し特殊らしい・・・。

「・・・シンジ君・・・・誰が二人っきりって言った?」
「「・・・・えっ?」」

ため息混じりにリツコの口から発せられた言葉にベッドで横になる綾波ともども声をあげた。
彼女にしてみれば夢と希望と未来の子供が瞬殺された気分である。
目にはすでに涙がたまりかけているのだが、二人とも気がつかない。

「そっ、そうですよね・・・あはははは、そんな二人だけで住まわせることありませんよね・・・あはははは」

涙目の綾波の横で『今までなんてことを考えていたんだ・・・』と赤面するシンジ。


「ま、実際二人きりなんだけどね」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜!やっぱ二人きりなんですか?!!」

一瞬の落着きは見事、ベタなオチ通りに打ち崩された。
でないと話も進まない・・・。

「当たり前じゃないの?そうじゃないと責任を取ったことにならないわ」
「で・・・でも」

責任という言葉に真面目一本筋のシンジは律儀にも少し重みを感じてしまう。


「それになにをおびえてるの? レイをあなただけのものに出来るのよ?」


決めあぐねているシンジを見て、歩み寄るとそっとかなり小さな声でささやいたマッドで白衣な悪魔。
シンジの顔が一気に真紅に変色。

「(綾波を独占?・・・僕だけのもの?・・・ずっと一緒に?)」

シンジ陥落寸前。
頼りの純粋理性もあと一歩で突破されそうである・・・。


「それに夜は存分にレイの体を・・・」


最強の文句を耳元で繰り出そうとするリツコ。
こんなことを言ったらシンジの理性どころか中学生としてのシンジも突破してしまう・・・。
基本的にリツコが人間として間違っている事は否定しない。

と・・・。

『シュン・・・・』

「とっ、父さん!!」 「碇司令!!」

いつもは苦手な父親。
しかし、今の理性を保ち、一般中学生として生活したいシンジにとっては神かキリストに見えたことであろう。

次の言葉を聞くまでは・・・・。








「シンジ、責任を取れ。もちろん一緒に二人きりで住んでな」







「・・・・・・・・マジ?」








まだまだ続く・・・(汗)





Written by:Neko丸