駅のホーム。

一人の少女が去った。

少年との再会を誓って。

その少女には、家族同然の二人の友がいた。名前は、ムサシ。そしてケイタと言う。

その二人は、もういない。

少女は、光にまきこまれて死ぬ直前に、紫のエヴァを駆る少年に助けられた。

少女は、その少年に淡い想いを抱いていた……










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A guidpost that is to the evangelion 〜福音への道しるべ〜




      Written by 霞優

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少女と少年が別れて、数ヶ月が経った。






湖がある。

湖は、夕日に赤くそまっている。

その湖のそばを、一人の少年が歩いている。

「……もう、何も無くなってしまった。
この街に‥いや、もう街も無い、か。すでにここに友達と呼べる人はいない。
アスカは壊れてしまったし…綾波は‥怖い。」

少年は、誰にともなく呟いていた。

彼の名はシンジ。第三新東京市に呼ばれ、理不尽な戦いを強要され、限界まで傷ついた少年。

彼が守ろうとした街は、十六番目の使徒との戦いで失われていた。

綾波レイと呼ばれた少女は、彼を守る為に、初めて命令を無視して…自爆した。

シンジは彼女が生きていると聞き、レイの元へ向かったのだが、彼女から返って来た言葉は、自分は三人目だ。だから知らないと言う、シンジからすれば理解する事ができない言葉だった。

その後、リツコによりシンジはレイの秘密を知り、彼はその存在に恐怖した。

アスカと呼ばれた少女は、そのプライドを完膚無きまでに潰され、精神を崩壊させていた。

シンジは、そんな事を思い返しながら、湖をあるいていた。

その時、どこからか歌が聞こえて来た。ベートーベンの第九、合唱の一節、歓びの歌だ。

「歌はいいねぇ…歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。
…そう感じないかい?碇シンジ君?」

白銀の髪、紅色の瞳をした少年が、湖にあった天使の石像の上から話しかけてくる。

「…僕の名前を?」

「知らぬ者はいないさ。失礼だが、君はもう少し自分の事を理解した方がいい。」

「君は?」

「僕の名はカヲル。渚カヲル。フィフスチルドレン、君と同じく仕組まれた子供さ。」

「君が?ええっと‥渚くん?」

「カヲルでいいよ。碇くん。」

「僕も…シンジでいいよ。」

シンジがそう言うと、彼は穏やかに微笑んだ。



それから少しの間、彼らは親友として同じ時を過ごした。


















翌日の夜

ネルフは、パターン青の発生を確認。

渚カヲルを十七番目の使徒とし、シンジに出撃命令を出した。

「嘘だ!カヲル君が使徒だなんて…そんなの嘘だ!!!!!!」

シンジは絶叫した。

彼の保護者であるミサトは、冷徹な声でそんな彼に言う

「事実よ。受け止めなさい。」


















シンジは出撃し、カヲルを見つけた。

彼は宙に浮いている。

「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!!父さんと同じで…裏切ったんだ!!!」

カヲルは、不思議な微笑みを浮かべ、シンジに言う。

「裏切ってなどいないさ。ある人の頼みでね…本当は、人間として貫き通したかったんだけどね。」

「でも…君は!」

「シンジ君、落ち着いてよ。
僕は君と戦うつもりなんて全くないんだ。リリン‥人類を滅ぼすつもりもね。僕は、人と使徒の中間なのさ。」

シンジは、カヲルの「人と使徒の中間」と言う言葉に戸惑った。

「…え?」

「僕は、ある組織…ゼーレと呼ばれているね。
そこで作られた使徒なのさ。元々人間だった僕に、使徒の遺伝子を植え付けて…ね。」

「そんな‥ひどい。」

カヲルは軽く微笑み、その口を再び開く

「それよりも、今はもっと大切な事がある。


……そうですよね。ユイさん。」



その瞬間、シンジの視界が闇に覆われた。
























暗闇の中、シンジは一人でいた。

「…ここは?」

どこからともなく声が聞こえる

「ここは、あなたの心の中。」

シンジはその声を聞いた瞬間、その声の主を悟る。

「母さん!?」

「そうよ…シンジ、大きくなったわね。」

「母さん…なんで?」

それは、あまりに抽象的な質問だった。
が、ユイはその意味を瞬時に理解し、シンジに言う

「あなたが、自分を見失いかけていたからよ。
このままじゃいけないわ。だから、カヲル君が初号機とシンクロテストした時に頼んで、
あなたを乗せるように仕向けてもらったのよ」

シンジは混乱していた。

ユイはクスリと笑って、シンジに全てを説明した。




自分がエヴァに取り込まれた時の事。


ゼーレの事。


人類補完計画の事。


ゲンドウの目的。


レイの事。


そして、その他の様々な事。




ユイは、初号機の中からMAGIを覗き、それらを知っていたのだ。

ユイが話し終えた時、シンジは、あまりの内容に唖然としていた。

そして、しばらくの後、シンジは呟いた。

「じゃあ…父さんは、母さんに会う為だけに人類を滅ぼそうとしているの?」

「そういう事になるわね。」

「そんな…。」

シンジは俯いた。

ユイは、そんなシンジに向かって言う。

「ゲンドウさんの事は後にしましょう。
それよりシンジ、何故あなたはレイちゃんの事を避けるの?」

シンジは言う

「だって…しかたないじゃないか!!二人目の綾波とは違うんだ!!!」

「何が違うの?」

「何がって…三人目なんだよ!!」

「それで、何が違うの?」

「外見以外全部だよ!!」

「本当に、そうだと思うの?」

「そうだよ!だって…僕の事も‥何も覚えていないんだ!!」

「だからって、違うという事になるの?」

「そうじゃないか!!…別人なんだよ!!!」

「リっちゃんから聞いたわよね…"魂が生まれたのは一人だけだった"って。」

「聞いたよ!でもそれが………!!!??」

シンジの顔が驚愕に歪む。そして、蒼白になった。

それを見たユイが言う

「気づいたようね。そう、記憶はなくても魂は同じなのよ。」

「…そんな‥」

「シンジ。それで、これからどうするの?」

「綾波の所へ行ってみるよ‥。今まで避けてたの‥あやまらないと…。」

「そうね。他にもあなたがしないといけない事があるけど…分かってるようね。」

シンジの蒼白の顔に、色が戻る。
そしてその瞳には、決意が浮かんでいた。

「うん…もう‥逃げないよ。
父さんとも、正面から話してみる。」

「ええ。じゃあ、もう戻りなさい。カヲル君が待ってるわ。」

「え‥?…母さんも一緒に来てくれないの?」

「ダメなのよ…。もう私はここから出る事はできない。すでに私の体を再構成する事はできないから。
シンジ、強くなるのよ。それと‥あの人に、愛してるって伝えてちょうだい。」

「そんな…でも‥うん。分かったよ。じゃあ、またね!母さん!!」

ユイはシンジに大きく頷く。

シンジは、母との会話で大きく成長した。

その原因の一つに、ここがシンジの心の中であるため、ユイの意志がダイレクトにシンジに伝わった事があるが、
それはただのきっかけである。
シンジは、今まさに"自分のやるべき事"を悟り、自らの殻を破壊した。





























現実世界


シンジが気づくと、エントリープラグ内でカヲルが正面に見えた。

「シンジ君、どうする?」

カヲルは唐突に聞く。

「今から綾波の所に行くよ。」

「そうだね。じゃあ僕はアスカさんの所に行く事にするよ。」

























発令所

「ちょっと!!なんで使徒が生きてんのよ!!!
シンジ君!あなた何やってるの!!???」

ミサトの怒鳴り声な木霊する。

「ミサトさん。彼は敵ではありません。」

通信機ごしに言い切るシンジ。

「何言ってるの!使徒は人類の敵よ!!!」

ミサトは怒鳴りまくる。

「違いますよ。話は発令所に戻ってからです。」

シンジの声は落ち着いていた。
それ以前の彼からは想像もできないほどに。












数分後

シンジとカヲルが共に発令所入って来た。

シンジとカヲルは、カヲルがゼーレによって人間から使徒に変化させられた事、
それゆえに人間の心を持っている事などを話した。
そしてシンジは、そこに無言で立っていた父、ゲンドウの耳元で

「母さんの保証付きだよ。初号機の中で話したんだ。」

と小声で呟いた。

ゲンドウは「も‥問題ない」

とだけ言い、カヲルの存在を認めさせた。

ゲンドウはシンジがユイと話した事について驚いていたようだが、シンジの急変に気づいていた。
そしてその理由がユイではないかと思っていたので答えを返すことができたようだ。

そしてシンジはレイの元へ、
カヲルはアスカの元へと向かった。





















とある場所

「…綾波」

シンジは自分が探していた少女を見つけ、声をかけた。

「‥碇くん…何?」

「綾波‥ごめん。意味もなくさけてたりして‥」

「…何を言ってるの?」

「僕は君が生まれた場所に行ったよ…見たんだ。
あのLCLに浮かぶたくさんの綾波の体、それを破壊するリツコさん…」

「…そう」




少しの沈黙の後、シンジは唐突に言った。

「…綾波、君は人間だよ」

綾波は不思議そうな顔をする。

「‥何を言ってるの?見たのでしょう?
なら、私がヒトでない事ぐらいわかるはず。」

シンジはしずかに首をふった。

「君が、"ヒト"じゃないのは事実だ。でも…だけど、"人間"だ。」

レイは訳のわからないと言った感じだ。

シンジは続ける。

「"ヒト"って言うのはね、カタカナ表記の場合…遺伝子とか‥そういう物で決まる。
生物学上の問題だからね…。
でも、"人間"は違うんじゃないかな。
人間の場合、その定義はアヤフヤだ。
つまり、どこまでが人間かなんて、人それぞれでいいと思うよ。
僕は‥人間の心さえあれば、ヒトじゃなくても人間だと思う。

僕は分かったんだ。‥いや、違うな。
分かってたのに気づこうといてなかったんだ。
気づいてないふりをしてただけかもしれない。逃げるためにね‥
綾波や、カヲル君は人間なんだ‥人間らしい心を持っているんだから…。
それこそ、逃げ出す事ばかりだった、僕なんかよりもね」

レイは戸惑っているように見えた。

「でも‥私はあなたの知っている二人目の私じゃない…記憶も…ない」

シンジはキッパリと言う

「違う。たしかに体は別の物なんだろうけど…同じ魂だ。
君は綾波レイと言う、一人目も二人目も三人目も関係ない、一人の人間だ。」

そこに、逃げ出す事しかできなかった少年の影は無かった。

「私は…私は…」

レイの瞳から、かすかに光がもれたように見えた。

「君は…人間だよ。僕と同じね。」

やがてその光は一滴のしずくとなり、彼女の瞳からこぼれおちた。

「これは…涙?
私泣いてるの?…悲しくなんて‥ないのに‥。」

シンジは不思議なデジャヴを感じた。
そして、一つの光景を思い出す。

彼にとって掛け替えのない、ある満月の夜の出来事を。

だからシンジは、その時と同じ事を言う。

「人間はね‥嬉しくても、涙が出るんだよ…」

レイの目から、涙が溢れる。

「これが‥嬉しいという気持ち‥でも‥ごめんなさい…私は、こんな時どうすればいいか分からない」

シンジは、心からの微笑みを彼女に向けた。













「嬉しいなら…笑えばいいと思うよ」














その時、レイの目の前に様々な光景が駆け抜けた。





-----絆だから-----                        

                   自分にはそれしかなかった




-----あなたは死なないわ…私が守るもの-----            

                   ただ、命令を守ろうとしただけだった




-----さよならなんて‥かなしい事いうなよ‥-----
                       
                   不思議な感じがした



-----笑えばいいと思うよ-----                   
                       
                   少年に‥初めて絆を感じた瞬間だった。笑うと言う事を教えてくれた




-----碇くんのにおいがする-----                  
                       
                   自分との絆を持つと感じていた少年の気配だった




-----ありがとう…感謝の言葉…初めての‥言葉-----

                   何故か自然に言えた




-----案外、主婦とか似合ってたりして------

-----な、何を言うのよ-----

自分の中に感情がある事を、ハッキリと認識した。




-----これは‥涙?泣いてるの‥私-----

                   最期の涙‥浮かんだのは、これから再び蘇らせられ、利用されるだろうと言う事。
                   そして、自分にそれを防ぐ術はないと言う絶望。





「‥い‥碇くん…」

シンジは、レイの変化に気づく。

「ま‥まさか‥記憶が!?」

「思い出した‥碇くん…」

「綾波!!!」

レイはシンジに抱きついた。
その瞳からは涙が止めどなく溢れている。

シンジは最初こそ驚いたものの、ぎこちなく彼女を抱き返した。































そのころ、ある病院の一室。

そこには、自分に‥全てに絶望した少女が横たわっている。
彼女の目から生気は感じられない。

そこに、一人の少年が入ってきた。

少年は、ベッド上の少女の隣に座り、その額に手を当てた。

そして、目を閉じる。

少年は、自らの力--ATフィールドを同調させる事--により、少女の精神世界へと入り込んだ。







精神世界---少女の絶望を表すような闇色の世界。

「もう‥いや…だれとも…関わりたくない…」

「それは本心かい?」

少女の呟き以外聞こえる事の無いはずの世界に、少年の声が響く。
そこにいた少女は驚愕した。

「誰!?なんで…ここにいるのよ!!!!」

「僕が誰なのかなのは関係ないよ。
もう一度聞く。
誰とも関わりたくないというのは…君の本心なのかい?」

少女は少年を睨みつける。

「そうよ!!誰も私を認めてくれない!!価値のない私なんかね!!
だから…関わらないほうがいいのよ!!」

少女は叫ぶ。
しかし、少年はその瞳を受け流し、言う。

「分かっているんじゃないか。
君の本心は…関わりたくないわけじゃない。
ただ……だれかに認めて欲しいんだ。」

少年の言葉に、少女は絶句する。
少年はかまわずに続ける。

「その通りなんだろう?
でも…ここにいる限り、その望みは未来永劫、叶う事はない。」

少女は激怒した。

「アンタに何が分かるってのよ!!
アタシに、もう価値なんて無い!!!誰も認めてくれない!
ここにいても…いなくても、同じなのよ!!」

少年は、優しく言う。

「…本当に、そうかい?」

「そうよ!!」

「本当かい?」

「そうだって言ってんでしょ!!!」

「…そう思いたいだけじゃないのかい?
……認めてくれないかも、しれない。それが、怖い。だから…それから逃げるためだけに‥。」

「!!!!」

少女は再び絶句した。
少年は微笑みながら言う。



「‥君の心は、ガラスのように繊細だね‥好意に値するよ。」



少女は戸惑った顔をする。

「コウイ‥?」

少年は微笑みを深める。

「そう‥好きって事だよ‥。」

少女は真っ赤になった。

「なっ!!でも‥私を認めてくれる人なんていないのよ!!!」

「僕が認めるよ。」

「え?」

「もう一度言おうか‥僕は、君を認めるよ。」

少女は、再びその顔に戸惑いを浮かべる。

「本当に‥?」

「本当さ。」

「本当?」

「本当だよ。‥まぁ、僕はヒトじゃないけどね。」

少女は怪訝そうな表情をする。

「僕はヒトと使徒の中間だ。使徒としての名はタブリス。」

「敵‥なの?」

少女は震える声で聞く。

「敵対するつもりはないよ。
‥少なくとも、君の味方である事だけは保証させてもらう。」

「‥あ、ありが、とう‥‥。」

少女は泣き出した。今までの絶望を埋めるほどの歓喜の涙が、少女の瞳から溢れだしたのだ。

その涙は、少女の絶望と言う名の暗黒だった精神世界に、少しずつ、されど確実に、希望と言う名の光を与えていった。




しばらくして少女が泣きやむと、少年に向かって尋ねる。

「アンタ‥さっき使徒としての名はって言ったわよね。
人間としての名前は何?

アタシの名前は‥‥‥










少年の名は渚カヲル。
少女の名は惣流アスカ・ラングレー。

後に運命を共にする事になる二人の出会いだった。































数十分後

シンジ、レイ、カヲル、アスカは同じ部屋にいた。

シンジがユイから得た知識、カヲルがゼーレで得た知識、レイが計画の為に知らされていた事。
その三つを、最も頭の良かったアスカを筆頭に四人でまとめていく。

そして、全ての計画のおおよその事が分かった。

そして、シンジはゲンドウを説得に行くと言う。
アスカは不可能ではないかと抗議。
しかしシンジは、加持の言葉、自分には自分にしかできない事があると言い、父親の説得に向かった。

























約2時間後、司令室

シンジはゲンドウと正面から話している。
その目におびえは無い。強い意志を持っている目だ。

ゲンドウは、シンジからユイの言葉を聞いた。


「愛してる」


ゲンドウは泣いた。
ユイが消えた、あの日から初めての涙だ。「シンジ‥すまなかったな…」そう言って泣き続けた。

シンジと、彼の横にいた冬月は、暖かな目で見守っていた。

「じゃあ…計画は破棄するんだよね…父さん」

「当然だ…私は‥何も見えていなかったのだな‥。
シンジ‥大人になったな‥」

「お前より、遙かにな」

冬月が言う。

ゲンドウは、なんとも言えない表情を作る。

シンジは、その顔に吹き出した。
ゲンドウと冬月も、それにつられて笑う。

彼ら親子の間にあった大きな溝は‥すこしだけ埋まったようだ。































数日後、発令所に、パイロット・ネルフの幹部・オペレーター三人衆が呼ばれた。
そこにはカヲルの姿もある。
ミサトは最初こそ彼を睨んでいたものの、数日のつきあいで彼の心が自分達と同じである事を理解し、
その存在を認めていた。

ゲンドウは、そこにいる人達に全てを話す。

ある者は、あまりの衝撃に。
ある者は、あまりの怒りに。
ある者は、あまりの悲惨さに。

すべての者が、涙を流した。

そして、すべての者は、ゼーレを倒す事を覚悟する。

ネルフが始まって‥いや、ゲヒルンの時代から、初めて、彼らの心が一つになった瞬間だった。




























ゼーレとの対戦は、意外なほど呆気なく終わった。

リツコが全てもマギをその支配下に置いた。

ゲンドウが日本政府を味方につけた。

冬月が彼らのサポートをした。

戦略自衛隊は、ネルフの防衛にあたる事になった。


……そこには、N2から間一髪で救出され、シンジと再会を誓った、茶髪の少女の姿もあった。


「シンジ〜!!会いたかったよ〜!!!」とは、その時の彼女の言葉。

彼女は、家族と言える二人の少年を失ったが、シンジとの絆を胸に生きていたのだ。

そして、量産型との決戦。

量産型に搭載してあったダミーは、結束と言う事を知らなかった。

対するチルドレンは、その心を一つに。
そして、究極とも言えるチームワークを発揮した。

決着は付いた。

チルドレンは、ほぼ無傷で量産型を全て破壊したのだ。

そして、サードインパクトは防がれた。

ネルフは、一連のあらましを世界にむけて公開。
そこには情報操作があったが、おおよそ「真実」だった。

その情報により、ネルフはゼーレの目的達成の為に作られたが、司令達は内部からその計画を潰す為に入ったとされた。

そして、チルドレンと呼ばれた少年少女達は、最前線で人類の為に戦った英雄とされた。

彼らの物語は映画化やドラマ化され、その人気は圧倒的だった。

中でも、チルドレンは元より、マナやマユミ、トウジ、ヒカリ、ケンスケなどの本人達が出演した「新世紀エヴァンゲリオン」と言うドラマは、最高視聴率が80%を越え、テレビの歴史に刻まれる事になる。

おそらく、数年後、彼らの名前と写真は歴史の教科書に載っている事だろう。



そして、さらに数年後。
血を吐くような努力のすえ、ネルフ総司令となった碇シンジは、その超法規の力により重婚。

彼の隣には、蒼の髪に紅き瞳の女性、そして茶色の髪に、やや垂れた目をした女性の二人がいた事は言うまでもない。

人、これを究極の職権乱用と言う。

ちなみに、この女性二人、多少百合の気があったようで、三人で愛し合うと言う微妙な家庭が誕生した

そして、アスカの名字が「渚」、リツコの名字が「碇」に変わった事を表記しておこう。

分かってると思うが、リツコはゲンドウと結婚したのであって、決してシンジではない










さらに、数年の時が流れた。












ある病院。

隣り合った三つのベッドで、赤ん坊が、力強く泣いている。

そこには、シンジ、レイ、マナ、カヲル、アスカがいる。

レイとシンジ、マナとシンジ、カヲルとアスカの子は、全く同じ日--三日前--に生まれたのだ。




そして、その子達の名前は、それぞれ






ユイ


キョウコ


双子のムサシ・ケイタと言った。












                                          end




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後書き(謝罪文とも言う)



霞優といいます。

短編は初めてやってみました(苦笑)


お気づきかもしれませんが、マナ…ヒロインの一人なのにセリフが一つしかないんですよ(爆)

トウジとかマユミとかは名前だけだし

マナリアンな方々、並びにセリフ無しになってしまったキャラファンな方々、申し訳ありません。


もし感想とか送ってくれる人いましたら、お願いします!!!



































α隠し文字あるの…気づきました?

霞優さんへの感想はこちら