リナレイちゃん−夏の日の終焉(後編)

Written by NK





綾波レイは低血圧である。
したがって寝起きが悪く朝に弱い。
いつもは母親のレイカに布団を引き剥がされて起きるのだが、今日は違った。
「・・・・う・・・・・・う〜ん・・・・・。」
窓から差し込む夏の強い日差しに意識が覚醒を促される。
ボンヤリとした見慣ぬ天井が眼に入ってきた。
「・・・・知らない天井だわ・・・・・。」
ポツリと未だ本格的に稼動を始めていない頭脳が言葉を発しさせる。
ムクリと上半身を起こすと周囲を見まわす。
知らない場所、自分の部屋ではない。
「え〜と・・・・・・・ここ何処?」
自分の部屋ならベッドのはずだし、こんなに何も無い部屋ではない。
横を見ると、既に畳まれた布団が隅に置かれていた。
「・・・・ああ、ここは・・・・・シンちゃん家の別荘だっけ・・・・。」
ようやく頭脳が活性化し始めたようだ。
ノロノロと起きあがり自分のバックから着替えを出す。
「その前に・・・・・えーと7時か・・・・・。」
腕時計を見ると何時もならまだ熟睡している時間だが、母親は既に階下で朝食の準備でもしているのだろう。
緩慢な動作でパジャマを脱ぎ、Tシャツとキュロットスカートというラフな格好に着替えるとレイは扉を開け階段へと向かうが、未だ完全に覚醒していない。
1階が見えるところまで来ると良い匂いが漂ってくる。
パタパタと階段を降りると、ソファに座っているゲンドウ、シンジと朝の挨拶を交わし母親の傍へと歩み寄った。
「あら、珍しく起こされる前に起きたわね。夜更かししないと起きれるのね。」
この時間に自分で起きてきた娘に驚きながらも、手を止めることなく作業を進めるレイカ。
「そういう言い方はないじゃない。偶には私だって一人で起きるわよ。」
「はいはい。さっさと顔洗ってきなさい。」
そう母親に言われて初めて寝癖の凄い自分の頭と、寝起き顔をシンジやゲンドウに晒した事に気がつく。
『いっけない!ここは自分の家じゃなかったんだっけ!』
真っ赤になって足早に自分の荷物から洗顔キットを取るべく階段を駆け上がるレイ。
「レイちゃんって寝癖が凄いんだなぁ・・・・・・・。」
そんなレイの姿を微笑ましげに見ていたシンジは、レイが部屋に入ると同時にポツリと感想を呟いた。
「・・・・・・賑やかな朝か・・・・・。」
ゲンドウもTVから視線を外してレイの様子を見ていたのだろう。
満更でも無さそうに呟く。
「やっぱり女の子がいると家の中が賑やかでいいわねぇ。」
ユイがテーブルにできあがった朝食の皿を並べながら嬉しそうに言った。
「駄目よユイ。あの子朝が弱くって普段は寝坊するし、そのおかげで朝からバタバタ走り回るし、急いで朝ご飯食べて学校に行くしで全然会話なんて無いもの。」
同じく皿を並べていたレイカが呆れるように自分の娘の恥部を暴露する。
「あら、シンジみたいに早く起きてもほとんど話をしてくれない息子よりはいいわよ。」
どうやら隣の芝生は青く見えるようだ。
よくよく考えれば、どちらも朝の親子の会話などほとんど無いのだ、ということに気がつくだろうに。
そんな母親同士の会話を聞きながら、シンジはやはりユイが家族ともっと話しをしたいのだという事を再確認していた。
『そうだよなぁ、父さんは無口な方だし朝も早い。僕もあまり話さないからなぁ・・・・。』
そんな事をボンヤリと考える。
しかしすぐに先ほど見たレイの寝癖爆発頭を思い出してクスリと笑った。
『いつも元気なレイちゃんだけど、朝はボケボケしているんだねぇ。それに頭の爆発が凄いんだなぁ・・・・・・。』
レイの寝癖頭がかなり強烈な印象を与えたようだ。
『でもその事を言うとレイちゃん拗ねるだろうなぁ。まあ何も言わないでおこう。』
シンジはどことなく嬉しそうな表情でソファに座っていた。
その姿はゲンドウの眼にも映っており、ゲンドウもシンジとレイが一緒にいる生活を想像して穏やかな雰囲気を醸し出させる。
男二人が何やら想像の世界に逃避している間に、二人の主婦は朝食の用意を終えていた。
「ねえユイ、ゲンドウさんとシンジ君、何か幸せそうな表情で座っているわね・・・・・・。」
「本当ね。ゲンドウさんはムスッとしているし、シンジはあまり表情を出さずに静かにしていることが多いのにねぇ、普段は。」
「やっぱりシンジ君とうちのレイをくっつける作戦はみんなの幸福の為に必須ね。」
「そうね、私は娘も持ってみたかったのよ。」
「私は息子ね。」
ユイとレイカもかなり不穏当な会話を繰り広げている。
どうやらシンジとレイがいい仲になることは、双方の母親の全面的バックアップを受けることが出来るようだ。
レイは何か不思議な空間となっているダイニング&リビングに降りてきた。
漸く身だしなみを整え、いつものレイになっている。
だがせっかく降りてきたというのにシンジとゲンドウは自分の世界に浸っているようだし、母親達は周囲を忘れてお喋りに興じている。
気合いを入れておめかししてきたレイは忘れ去られた存在となっているのだが・・・・・・・。
『ようやくいつもの私になったわね。でも・・・・む〜、さっきの姿は忘れてくれないだろうなぁ・・・・・。』
寝癖頭を見られたことを気にしていて、誰も自分を見てくれないことまで気がついていなかった。
本来なら自分の恋人のシンジに抱きつきたい所なのだが、このメンツ相手にそんなことをすればどうなるかわかっているので
無意識のうちに行動を抑制している。
そんなレイの存在に気が付くシンジ。
そしてレイが複雑な心境で佇んでいることを感じ取った。
「レイちゃん、改めておはよう。」
ニコニコと笑顔で挨拶をするシンジ。
「・・・・・あっ・・・・・・おはようシンちゃん。」
先程までの思惑顔は何処へやら、シンジに声を掛けられ一気にご機嫌になるレイだった。
「この寝ぼすけ娘、ようやくシャキッとしたみたいね。」
レイカもレイが降りてきたことに気が付き、からかうように声を掛ける。
「な、何よお母さん!その言い方は!ま〜ったく年甲斐が無いったらありゃしないわ。」
これぐらいの年齢にありがちな、親と一緒にいることの照れや鬱陶しさが混じり台詞の後半は口調が冷たい。
「あら、年頃の娘が身だしなみも整えずにまだ一緒に寝てもいない男の子の前に姿を見せるなんて、寝ぼけてなければできないんじゃない?」
だがレイカも伊達にレイの母親をやってはいない。即座に反撃に移る。
レイカの投下した爆弾にレイは真っ赤になって口籠もってしまう。
シンジもどう言っていいかわからずに困ったような表情でレイカを見ている。
「レイカ、あんまりからかうとレイちゃんが可哀想よ。」
ユイがそう言ってレイカの肩に手を置く。
「それもそうね。さあみんな、ご飯の用意が出来たから食べちゃってね。」
急に話題を切り替えたレイカに面食らいながらも、どこかホッとした表情で食卓に着くゲンドウとシンジ。
レイはシンジの前でからかわれた事に不機嫌そうだ。
それからはごく普通の、いつもよりは賑やかな朝食風景が碇家の別荘で繰り広げられていた。





「・・・で、今日はどうするの?」
食後のコーヒーを飲みながらシンジが誰にとも無く尋ねる。
「・・・・・・・・・・・。」
無言でユイの方に視線を移すゲンドウ。
どうやら碇家の最終行動決定権はユイにあるようだ(当たり前か)。
「そうねぇ・・・・・私としては今日は昼も夜も外食という事でのんびりしたかったんだけど・・・・。」
「私も同感だわ・・・・・。今日はご飯の支度をしないで過ごしたいわね。」
一家の主婦たるユイとレイカとしては休養を取りたいのだ。
「・・・・・でもこの辺って食べに行く所あるの?」
一人カフェオレを啜っていたレイが首を傾げながら尋ねる。
「車で行けば昼は何箇所かあるよね。でも・・・・・夜はあったっけ、父さん?」
「・・・・夜は近くのホテルのレストランを予約している・・・・・問題無い。」
「貴方!そういう事はもっと早く言って下さい!食事の支度と言っても色々予定があるんですよっ!」
確かに夕食の問題は解決したのだが、ゲンドウはうっかりユイにレストランを事前に予約していた事を伝え忘れていた。
ユイとしても希望としては休みたいと思っていたがそうもいくまいと考えて、昨日の買い物の際に今日の分も色々買っていたのだ。
最初から聞いていれば無駄に買わなくて済んだのである。
主婦としては悔しい物がある。
しかも自宅なら置いておけば良いが、別荘なので持って帰らなければならない。
これでポイントを上げようと思っていたゲンドウは、逆にユイを怒らせてしまったので狼狽している。
「・・・・・・ユイ、言ってなかったか?」
「ええ、全く、全然、一言も聞いていません!」
「まあまあ母さんも怒らないでよ。せっかく父さんが手配してくれたんだし、父さんも忙しいんだから忘れちゃったんだよ、きっと。」
「だってシンジ・・・・・。食材が結構余ってるのよ。無駄になっちゃうわ。」
「でも母さんも偶には家事をしないで休んだほうがいいでしょ?せっかく父さんが母さんの為に考えてくれたんだし・・・・・。」
「・・・・・それはそうなんだけど・・・・・。でも食材はどうしましょう?」
「車だし持って帰ればいいじゃない。もったいないしね。」
何やら年齢不相応に仲裁役をこなすシンジ。
まあ仲裁役と言うよりはゲンドウの言葉足りない部分を補足説明してユイを宥め、双方の誤解を解くといった方が近い。
彼の物事にあまり動じない高校生らしからぬ落ち着きは、こうして醸成されて来たのだろう。
ゲンドウとユイも、レイ達がいる上にシンジに仲裁されてバツが悪そうに事を収める。
『私ったら・・・・シンジに宥められるなんて・・・・・。でも成長したのねシンジ(はあと)』
『・・・・・シンジ、立派になってくれて私は嬉しいぞ・・・・・。これでユイが怒っても大丈夫だな・・・・・。』
最も心の中はいささか異なっているようではあるが・・・・・・。





「何かシンジ君ってえらく大人びているのね・・・・・。」
「お母さん、何言ってるのよ。あの凛々しい態度がシンちゃんのいい所じゃない。」
一方観客となったレイカとレイは、ヒソヒソと碇一家の織り成す漫才を見ながら感想を語り合っていた。
「でも家だって同じような事は多々あるのに、どうして彼方はこんなに子供っぽい娘に育ったのかしらねぇ・・・・。」
シンジの態度に感嘆しながらも、ついつい自分の娘と比べ溜息をつくレイカ。
「あら、お母さん。その言い方は無いんじゃない?私の何処が子供っぽいのよ?」
「あらあら、この娘は全然自覚が無いのねぇ・・・・・。そんなんじゃシンジ君に愛想をつかされちゃうわよ。」
「どういう事よそれっ!?聞き捨てならないわね!」
「少しは考えて御覧なさい。彼方料理は苦手だし、整理整頓も不得意。おまけに変な妄想癖はあるし、怖がりだし、おっちょこちょいで何処か抜けてるじゃない。
 せめてもう少し落ち着きが無いとダメよねぇ・・・・。」
呆れるように耳元で囁くレイカ。
母親からのあまりにも容赦の無い批評に何も言い返せず、グッと言葉を詰まらせるレイ。
レイにも多少の自覚はあるのだが、ここまで親からはっきり言われると悲しいというより悔しかった。
「・・・・・・ず、随分な事を・・・い、言うじゃない・・・・・。・・・・・でもシンちゃんはありのままの私を好きだって言ってくれたもん。」
「その辺がお子様なのよ。もし結婚して家庭を営むとなったら、今のままの彼方ではシンジ君の負担が大きすぎるわ。シンジ君は優しいから
色々と家事も分担してくれるだろうけど、共稼ぎだったらほとんどシンジ君が家事やる事になるんじゃない?」
確かにそこまで現実を考えていなかったレイである。
シンジだってあのユイを見て育ってきたのだ。
おそらくレイにも同程度の家事レベルを期待しているだろう。
翻ってレイは家事の手伝いなどほとんどやった事が無い。
大学生になって一人暮しでもすれば嫌でもすることになるのだが、いかんせん高校生の身分で実家でぬくぬくと育ってきたレイはそんな事を考えた事さえなかった。
ちょっと青ざめるレイ。何やら将来の事をシミュレーション(想像)しているのだろう。
「・・・・お、お母さん・・・・・・。今度から家事手伝うから・・・・ちゃんと教えてよ・・・・・。」
レイの表情は半分悔しそうであり(言い負けた事が)、半分は苦しそうだった。
『あらあら、引っかかったわね。これでこの娘も少しは家事を手伝うようになるわね。よかったぁ、これで少しは楽ができるわ。』
さすがレイの母親である。
策略と言うか誘導が上手なようだ。
レイとの血のつながりを感じさせる。
「大丈夫よ、あなたがきちんとやるなら教えてあげるから。」
優しい微笑を浮かべながら娘を励ますレイカ。
未熟なレイではレイカの腹の中は読めない。
「シンちゃんのためだもの、私頑張るわ・・・・・。」
何やら別の思惑で燃え上がっているレイ。
「でも彼方の場合、まず最初は朝きちんと起きれるようになることねぇ。」
母親のこの言葉で前途が容易ならざる事に気がつくレイだった・・・・・・・。





「あの〜。親子のお話は終わったかしら・・・・・レイカ?」
「えっ!?・・・・あ、あらユイ?」
唐突に話しかけられてビックリするレイカ。
レイもキョトンとした表情で固まっている。
そこには二人を見詰めるゲンドウ、ユイ、シンジの視線が注がれている。
何時の間にか観客から見られる方へとなっていたらしい。
「・・・・・え、ええ・・・・・・ひょっとして聞こえていた?」
冷や汗を掻きながら尋ねるレイカ。
コックリと頷くユイ。
レイもシンジの方を見るが、やはり済まなそうにコクリと頷かれる。
「・・・・あ、あはははは・・・・・・、ええ無事終わったわよ・・・・・・。」
引きつった笑みを浮かべながら誤魔化そうとするレイカ。
レイの母親という事を強く感じさせる。
一方レイは・・・・・・・。
『ええ〜っ!い、今の会話をシンちゃんに聞かれたの〜!  ウッ、ウゥゥゥゥ・・・・・、また私の駄目駄目度が上がってしまう〜。』
そう思って心の中で号泣していたが、表面的には母親同様引きつった笑みを浮かべているだけだった・・・・・。
『こ、これもみんなお母さんが悪いのよっ!余計な事ばっかり言って!』
かなり八つ当たりに近い事を思っているが、確かに家事ができない事はマイナス要因に違いない。
もしマナが家事万能だったらまずい事になる。
明日から頑張らなければ、と考えるレイだった。





「レイちゃん、散歩にでも行こうか?」
後片付けも終わってそれぞれが思い思いの事を始めた時、シンジがレイに囁いた。
「うん、行こうシンちゃん。」
その誘いに嬉しそうに同意を示すレイ。
昨日からどうやってシンジと二人きりになろかと、そればかり考えていたのだから。
「じゃあちゃんとした靴を履いてね。ちょっとだけ山道を歩く事になるから。」
「うん。」
ニコニコとして返事を返すとレイは用意の為に部屋へと駆けて行った。
「母さん、僕はレイちゃんと一緒に滝を見に行ってくるよ。」
レイを見送ったシンジはユイに出かける先を告げる。
「ああ、あそこね。まあそんなに遠くないし午前中には帰れるわよね?」
「うん、片道40分ぐらいだからね。昼前には戻ってくる。」
「わかったわ。ちゃんとレイちゃんをエスコートするのよ?」
「うん。」
そう言うとデイパックに万が一のための雨具と薬品類、ペットボトル飲料を入れて玄関へと向かう。
シンジは予めレイに、トレッキングシューズのようなしっかりとしたグリップ力と足首を保護するような靴を履いてくるようにと話していた。
玄関で靴を履き待っているとレイが小走りでやって来る。
「シンちゃん、お待たせ!」
そこにはTシャツの上に淡いピンクの半袖シャツを着、チノパンに履き替えたレイの姿があった。
一方シンジはやはりTシャツの上にチェック柄の半袖Tシャツを羽織、緑色がかったチノパンを履いている。
「レイちゃん、ちゃんと準備してきたんだね。でもその格好も似合ってて可愛いよ。」
さすがのレイも今回は問題無くきちんと準備してきたようだ。
「えへへへ、シンちゃんに借りた本を見てちゃんと用意したの。」
本というのはシンジが持っていたアウトドアのマニュアル本である。
シンジに可愛いといわれて上機嫌のレイ。
『えへへへへ・・・・・シンちゃんに誉められちゃった・・・・・。それに可愛いだなんて・・・・正直なシンちゃん。』
ニヘラ〜としながら意識を飛ばしているレイに苦笑しながらもシンジはレイの肩を叩いた。
「さあ、レイちゃん行こうか。」
ポンポンと叩かれた事で現実世界へと戻ってきたレイは、シンジの言葉に頷いて外に出る。
そしてシンジと並んで歩き始めた。





「ハアハアハア・・・・・・、シンちゃん何かバテちゃって・・・・・ちょっと休みましょう。」
舗装されていない山道を元気良く歩いていたレイだったが、20分ほどしたらガクッとペースダウンする。
「レイちゃん、こういう道を歩く時はいつもみたいに歩いてはダメだよ。歩幅はあまり大きくせず、足を地面に付けるときは
 足の裏全体を接地するように歩くんだ。それに最初から飛ばさず、なるべく一定のペースで歩くんだよ。」
シンジがトレッキングなどの際の歩き方をレイに教える。
だが日ごろあまり運動していないレイはバテてしまったようだ。
何しろ嬉しさの余りペースは無茶苦茶だったし、喋りながら歩いていたし、下りもあったため膝にきているのだろう。
「じゃあちょっと休もうか。はい、この上に座って休んでね。」
そう言うとシンジは自分のデイパックの中から小さなクッション性のあるシートを取り出して土の上に置き、レイに勧めた。
そしてもう一つ取り出して自分もそれに座る。
レイはペタンと座ると隣に座るシンジにコテンと身体を預ける。
「レイちゃん、大分疲れたみたいだね。」
「こういう所を歩くのって久しぶりだから・・・・・・。何か喉乾いちゃった・・・・。」
「さっき教えたように歩けば大丈夫だよ。はい、お茶。」
デイパックから取り出したペットボトルをレイに差し出すシンジ。
「ありがとう、シンちゃん・・・・。」
受け取ったレイは蓋を開けて飲もうとする。
「あっ、一気に飲んじゃダメだよ。ゆっくり口の中に行き渡らせるように少しづつ飲むんだ。」
それを見てシンジが慌ててレイに指導を行った。
言われたとおりにお茶を飲んで喉の渇きを癒したレイはペットボトルをシンジに返すと、ようやく落ち着いたのかシンジの腕を抱きしめる。
「レ、レイちゃん!」
突然のレイの行動にシンジもいつもの落ち着きを失って慌てたような声を発する。
しかしレイはシンジの反応を楽しむかのように抱きしめた腕をさらにギュッと自分の身体に押し付ける。
腕を通して感じられるレイの柔かい胸と身体の感触に顔を赤らめるシンジ。
「ようやくお母さんたちから離れて二人っきりになれたのよ・・・・・・・。この散歩の間しかシンちゃんに甘える事なんてできないじゃない。」
凄く嬉しそうに語るレイの言葉に、シンジは納得していつものようにレイを受け入れた。
「そうだね。でも目的地に着いてからでもいいんじゃない?」
「着いたらもっとゆっくりするわ。でも休憩の間もこうしていたいんだもん・・・・・。」
周囲に誰もいないことがレイを大胆にしていた。
「わかったよ。でもあと5分したら出発だよ。」
「うん、じゃあ5分はこのままでいさせて。」
周囲にピンクの絶対領域を形成しながら休憩を取る二人。
人目が無いから許されるだろうが、街中なら殲滅されていそうな雰囲気である。
レイにとって楽しい5分間はあっという間に過ぎ去った。
「さあ、出発するよレイちゃん。」
シンジの言葉に立ち上がった二人は、シートを片付け再び歩き始める。
そして歩く事20分、水が落ちる音が聞こえてきたと思ったらいきなり前が開け、崖の上から冷たそうな水がサラサラと落ちている光景が目に飛び込んできた。
「これが『不動の滝』だよ、レイちゃん。流れ落ちる水量は大した事無いし、極小さい滝だけどね。」
10畳程の広さの開けた場所で滝を見詰めるレイとシンジ。
「へぇ〜、綺麗ねぇ・・・・・・・・。」
レイは感心したように呟く。
「家の別荘から歩いていける範囲で人様に見せられる物は此れくらいしかないんだけどね。」
シンジがすまなそうに言うと、疲れているであろうレイのために座る場所を探す。
腰掛けるのに丁度良い岩に先程のシートを敷き、二人で腰掛けるとさっそく水分の補給をする。
「小さくて可愛い滝だけどなかなか風情があるわ。」
「うん、僕も結構好きなんだよ、この滝・・・・・。」
滝の流れと滝壷から流れ行く川を交互に眺めながら二人は仲良く座っていた。
10分ほど滝を眺めていたが、一息ついたレイは先程同様コテンとシンジに体を預け眼を瞑った。
「疲れた、レイちゃん?」
「・・・・・うん。でもこうしていれば大丈夫よ。」
デイパックを自分の横に置いたシンジは、体を預けるレイに腕を廻しそっと支える。
「そう、じゃあしばらくこうしていよう。ここは誰も来ないと思うから・・・・・。」
優しい表情で目を瞑ったレイの顔を覗き込みながら言うシンジだが、その体勢は二人して身を寄せ合ってキスしようとしているように見える。
シンジの声に眼を開けたレイもその事に気がつき、再び眼を閉じるとシンジにキスをせがむように顔を上げる。
素早く周囲を見まわし確認したシンジは、ゆっくりと顔を近づけ唇を重ねた。
二人にとって長く長く感じられる触れ合ったままの時間が過ぎていく。
やがて離れる事を惜しむかのように徐々に距離を取る二人。
「はふぅ・・・・・・・・。」
トロ〜ンとした眼差しでシンジを見つめるレイ。
シンジも熱に浮かされたような表情でレイの顔を見つめていたが、再び腕に力を込めてレイの身体を引き寄せ抱きしめる。
「あっ!」
脱力していたレイは呆気なくシンジの腕の中へと吸い込まれてしまう。
「・・・・・・・こうやってこれからレイちゃんと一緒に色々な思い出を作っていきたいんだ。いいよね、レイちゃん?」
耳元で囁くシンジの声にコクンと頷くレイ。
『きゃぁ〜、シンちゃんがキスして抱きしめてくれたのよ〜♪それに二人で色々な思い出を作ろうだなんて・・・・。
 私は全然OKよ〜!キスだってその先だって・・・・・・・。きゃぁ〜その先だなんて不潔〜♪』
いつもと違ってぼーっとしているように見えるが、その表情とは裏腹に妄想は膨らみまくっている。
『・・・・そう二人で色々な思い出を作るの・・・・。そして挙式はやっぱりウエディングドレスよね〜。子供は2人ぐらいがいいわ。
 あ〜でも子供を作るにはシンちゃんと一つにならないと・・・・・・全然OKよ〜!!シンちゃんと一つになるの〜。』
身体を捩ったりヘラヘラと笑っていない分、表情と心の中のギャップは激しい。
そしていつもなら様子の怪しさで気がつくシンジも、この状況でそこまで余裕が無い事とレイの様子がぼーっとしているだけのせいで気がついていない。
さらに妄想爆発中のレイは何故かきちんと別回路でシンジとの抱擁には反応しているため、ますます気がつかれ難くなっている。
だがレイは気がついていなかった。
あまりの幸福感と肉体的疲労からレイの意識は闇の中に落ちていこうとしていた事を。
すでにシンジは身体を離していた事を・・・・・・・。
レイは現実の続きである夢の中を漂っていた。
レイの大好きな楽しい妄想渦巻く夢の世界・・・・・・・。
だが何であろうと終わりは来る。
「・・・・イちゃ・・・・・・・レイ・・・・・・ちゃん・・・・・レイちゃん!」
どこか遠くから自分を呼ぶ声が聞こえる。
『・・・・何よ、五月蝿いわねぇ・・・・私の至福の時間を妨げ様とするのは誰?』
そんな事を思いながらも意識を浮上させたレイの眼に入ってきたのは、自分を心配そうに覗き込むシンジの顔だった。
「・・・・えっ!?・・・・シンちゃん?」
ようやくレイの瞳がきちんと焦点を合わせる。
「よかった、気がついたんだねレイちゃん。どうしちゃったのかと心配したよ。」
ホッとしたようにシンジの表情が和らぐ。
「・・・・えっ? 私どうしたの?」
「あっ・・・・ええと・・・・・抱き合っていた僕等が離れたらフッとレイちゃんが眼を閉じて気絶しちゃったみたいで・・・・。」
「えっ?私、気を失っていたの?」
「いや、よくわからないけど少なくとも意識はなかったよ。だから心配したんだ。」
そう言われて改めて自分が今どうしているかを確認する。
レイは座ったまま、赤ん坊を抱き抱えるようにシンジにしっかりと抱きしめられ支えられていた。
先程まで何をしていたかを忘れ去り真っ赤になるレイ。
モゾモゾと身を捩るとシンジの腕から離れ自分だけの力で岩の上に座る。
「あっ・・・・・あの・・・その・・・・ごめんなさい。気持ち良かったのと歩いて疲れたのとで寝ちゃったみたい・・・・。」
抱きしめられたのと、再び自分の恥ずかしいところを見られたせいで、真っ赤になったまま俯いてしまう。
「そうなんだ。御免ね、こんな所まで歩かせちゃって・・・・・・疲れたんだね。」
シンジの表情も済まなそうになっていく。
「あっ!違うのよシンちゃん!シンちゃんが悪いんじゃないの。私が普段こういう所を歩き慣れていないだけなの。」
シンジが落ちこみそうになるのを見たレイは慌ててフォローにまわる。
「もし大丈夫だったら、そろそろ戻ろうと思うんだけど平気?」
「あっ、大丈夫よ。全然平気だから。」
そう言って立ち上がるレイ。
その元気そうな様子にホッとすると、シンジはシートを畳んで片付け来た道を逆に辿り始める。
「さあ、帰ろうレイちゃん。」
「うん。」
二人は親達が待つ別荘へと向かう。
親達の眼が届かない一時を楽しんで・・・・・・。
だが二人は気がつかなかった。はるか遠くでキラリと反射した物があることに。
滝と広場を見下ろせる場所で超望遠カメラを使い二人を見守っていた存在に。
「うふふふふ・・・・・、あの二人ったら可愛いわねぇ。でもちゃ〜んと抱き合っている姿は写真に撮ったわよ〜。
 レイカにも後でプリントして見せてあげないとね。」
機材を片付けながらにこやかな笑顔を見せるユイ。
ゲンドウが追いかける事を許さなかった彼女だが、自分はしっかりとシンジ達の後をつけてきたようだ。
こうしてユイの「シンちゃん成長の記録」にまた新たな記録が追加されることとなる。





二人が帰ってきたのはもうすぐ12時になろうかというときだった。
「「ただいま〜。」」
デイパックを片手に持ったシンジが元気良く、何も持たないレイは少し疲れた様子で別荘のリビングに入ってきた。
「あら、お帰りなさい。滝はどうだった?」
リビングでくつろいでいたレイカが面白そうな表情で尋ねる。
「ええ、レイちゃんも喜んでくれましたよ。ちょっと疲れたみたいですけど。」
シンジが何も無かったかのように応える。
「あらそう、ごめんねシンジ君。家のレイったら体力無いから迷惑をかけたんじゃない?」
ある意味レイの事などお見通しの母、レイカ。
「えっ・・・・・・・・。いやぁ・・・・そんな事は無いですよ。」
誤魔化そうとしたシンジだがこの微妙な間を聞き逃すレイカではない。
「ほらほら、レイったらそんなに疲れた表情しないの。あなたまだ若いんでしょう?」
クスクスと笑いながらレイをからかう。
「ムッ!そんな事無いわよ。私、お母さんと違って若いから大して疲れてなんかないわ。」
前半はちょっとムッとしながら、後半は逆に母親をからかうように答えるレイ。
だが所詮情報量が異なるために勝負は不利であった。
「あなた、途中で眠ったりしていないでしょうね?」
既にユイから事の顛末を聞いているレイカはニヤニヤと笑いながら、さらにレイを追求する。
「そっ!そんなことしないわよ!」
厳しいところを突かれ狼狽するレイ。
「あらそう?貴方ももっと身体を動かして体力つけないとダメよ。そんな事じゃあ結婚して子供を産む時大変よ?」
クスクスと笑いながらレイの生活改善を促すレイカ。しっかりとからかいながらだが・・・・・・。
「こ、子供を産む!?」
顔を真っ赤にして黙ってしまうレイ。
シンジもどう応えて良いかわからず、困ったような表情をしている。
そこにカメラ一式を仕舞って来たユイが階段を降りてきた。
「あら帰ってたのねシンジ。散歩は楽しかった?」
滝での一部始終を見ていたにもかかわらず、普段通りの口調と表情で尋ねるユイ。
ある意味なかなか強力である。
「うん、不動の滝もそこに行く道も去年と同じだったよ。それにレイちゃんもいたから楽しかったしね。」
母親が何をしたか知っているとは考えもせず、当たり障りの無い返事を返す。
「あらそう、それならいいけど人目がないのをいい事にレイちゃんを押し倒したりしなかったでしょうね?」
「なっ、何を言ってるんだよ母さん!無理やりそんな事するわけ無いじゃないか!」
「いやねぇ、冗談よシンジ。貴方がそんな事しないって事ぐらい母親である私にはわかっているから。
 それに二人の合意のうえでなら何でもOKなんだし。」
クスクスと笑いながら言うユイ。
ユイとレイカ、二人は本当にそっくりである。
こうやって自分の子供をからかっているところなんか特に・・・・・。
「そ、そういえば父さんはどうしたの?姿が見えないけど。」
話題の転換を狙ってシンジは父親に話しを振る。
「ああ、ゲンドウさんなら庭で草むしりをしているわ。」
「そうなんだ。そろそろお昼だからと思ったけど、それじゃあ父さんすぐには車出せないね。」
「それもそうねぇ・・・・。シンジ、ゲンドウさんを呼んできてくれない?」
「わかった。」
シンジは此れ幸いとこの場から逃げ出して庭へと走っていった。
そこまで機転も利かなければ利用する相手もいないレイは、未だに母親にからかわれている。
最初こそ真っ赤な顔をして反論しているレイだったがだが、段々と本気で怒ってきたのか表情が無くなってくる。
「お母さんって何でそう幼稚なのかしらねぇ。そんな事だからお父さんが苦労するのよ!私をからかう暇があったら少しは歳相応の事をしたらどう?」
レイの口調はかなり冷たいものとなっており、そう言うとフンッと横を向いてしまう。
さすがのレイカも言いすぎたと思ったのかフォローに切りかえるが、怒ってしまったレイは聞く耳を持たない。
『久しぶりに娘と沢山会話ができたことに嬉しくなってしつこくからかいすぎたわね。誰か話をそらしてくれないかしら・・・。』
内心そう思いながらチラリとユイのほうを見るレイカ。
いつのまにか立場が逆転している姿に、ユイはクスリと笑みを浮かべた。





「あれっ?まだレイちゃんたちはやってるの?」
そこにゲンドウを引きつれたシンジが入ってくる。
レイカ親子の舌戦は未だ続いているのである。
「あらシンジ。そうなのよ。」
人事のように言うユイ。
「あーあ、レイちゃん怒っちゃた(拗ねちゃった)んだ・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
状況を見てやれやれという様に呟くシンジと無言で眺めるゲンドウ。
「それよりゲンドウさん。お昼はどこに行くんですか?」
ユイがレイカ達を放っておいて尋ねる。
「・・・・蕎麦にしようと思うが・・・・・。」
「ああ、あそこですね。」
さすがに夫婦。これで会話が成立している。
「じゃあさっそく行きましょうか。」
「母さん、少し父さんに休んでもらった方がいいんじゃない?」
父親を気遣うシンジに心の中でホロリとしているゲンドウ。
だがユイは無情だった。
「そうしたいけど、切っ掛けが無いとレイカ達が収まらないから・・・・・。」
と言ってすでに親子喧嘩に発展しつつある二人を指差す。
「はぁ〜、仕方が無いね・・・・・。」
溜息をつくゲンドウとシンジ。無論ゲンドウは無言。
「レイカ、レイちゃん!お昼に行くわよ〜。」
そう言って喧嘩の仲裁を始めるユイ。
かくして10分後、車に乗った一行は別荘を後にしたのだった。





結局昼食の後は家でゴロゴロして過ごし、夜はレストランでのディナーとなったが特に騒動も無く無事に終わった。
疲れていたのだろう、レイもこの日はさっさと寝てしまい大人達はお酒を飲んでいるのでやる事が無いシンジは一人二階のテラスから月を眺めていた。
「フフフ・・・・・母さんもレイカさんも楽しそうだな。いつもは家事に追われてお酒なんか飲めないし、昼間は一人で家にいるからなぁ・・・・。」
『こうやって父さんだけじゃなくて共通の話し相手もいるし、父さんも大変だよね。』
ポンポンと喋るユイとレイカの対応に苦慮しているであろう無口なゲンドウの事を思って苦笑するシンジ。
カラッ
テラスのドアを開ける音に振り返ると、そこにはパジャマを着たレイが立っていた。
「眼が覚めたの、レイちゃん?」
コクリと頷くレイだったが、かなり眠そうでありボンヤリとしている。
おそらくシンジの姿を窓から見てやって来たのだろう。
ペタペタとシンジの方に歩み寄る。
「何してるの、シンちゃん?」
そう言って身体をピッタリとくっ付ける。
「えっ・・・・・・ええと月を見ていたんだよ。」
その無防備な姿にちょっとドキドキしながら答えるシンジ。
「私も一緒にみていい?」
上目遣いにトロンとした眼差しを送るレイに逆らえないシンジは頷いて了承する。
寄り添って月を見上げる二人。
「疲れてるんじゃない?今日は歩かせちゃったから・・・・・。」
シンジの問いかけにふるふると首を横に振り、シンジの腕をしっかりと抱きしめる。
「眠ったから大丈夫。それにシンちゃんと一緒に行くのなら問題無いわ。私は楽しいもの。」
そんなレイの事が無性に愛しくなるシンジ。
自由な右手でレイの頭をやさしく撫でる。
「僕もだよ、レイちゃん。あの滝で言ったようにこれから二人で色々な思い出を作ろうね・・・・・。」
「そうね。」
嬉しそうに頷くレイ。
二人を月の光が優しく照らす。
家の中で大人たちが奏でる喧騒とは別に、外では早くも秋の虫達の演奏が始まっている。
ここ那須では標高が高いので、すでに秋の虫達が活発に鳴いているのだ。
虫達のコーラスを聞きながら月に照らされる二人の姿は、神々しいまでは行かなくても充分絵になるものである。
だが幸いにも記録を撮るのが好きなユイもレイカも気がついていない。
しばらくテラスで寄り添っていた二人であったが、夜もふけて冷えてきたのだろう。
クチュン!
レイが可愛いくしゃみをする。
「冷えてきたようだね。風邪を引くとまずいから中に入ろう。」
レイを包む込むように家の中へと誘うシンジ。
レイも大人しく言う事を聞いて室内に戻った。
「さあ、僕もそろそろ寝るからレイちゃんも自分の部屋に戻ってね。明日は帰らなきゃいけないから掃除もしなければいけないし。
 明日も結構疲れるよ。」
シンジの言葉に素直に頷き床へと戻っていくレイ。
こうしてレイの夏休み最後の旅行は、シンジとの絆を大いに深めるものになったのだった。




(後書き)
何故だぁ〜!どうしてユイとレイカがこんなに前面に出てくるんだろう?
本当ならレイがもっと目立つはずだったのに・・・・・・・。
しかも精神年齢が高校生から中学生ぐらいまで退行しているみたいだし。
あぁ〜、甘甘な場面もきちんと書いたのに母親コンビの怪しさに霞んでしまう。
これがキャラが勝手に動くと言うことなのか?
まあ、私の他の作品ではユイの扱いが非道いからその反動なんでしょうか?
と、とにかく綾吉さんの所のレイちゃん、勘弁してね〜。








綾吉 :という訳でリナレイちゃんの後編です!
レイ  :・・・思い出・・・・結婚・・・・
綾吉 :ユイさんとレイカさんが大活躍でしたね〜。でもNKさん、この二人が前に出てくるのは仕方ないですよ!だっておばさん母親なんですから!(爆)
レイ  :碇君・・・一つになりましょう・・・・
綾吉 :レイさん?
レイ  :何?
綾吉 :今回の感想は?
レイ  :積極的な碇君・・・す・て・き(ハァト)
綾吉 :そうですか・・・・
レイ  :そうそう、後ろを見たほうがいいわよ
綾吉 :え? 後ろ?

振り向く綾吉
恐怖で硬直する綾吉

ユイ  :誰がおばさんなのかしら?
レイカ :教えてくださるかしら?こちらで

死を覚悟する綾吉
何処かへ連れ去られる綾吉


レイ  :皆さんこのままちゃんと私と碇君が結ばれるように感想メールをお願いします(ペコリ)





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