お料理の勉強(?)


トン♪トン♪トン♪トン♪トン♪

軽快なリズムがキッチンから聞こえてくる

料理をしているのは碇家の料理の鉄人・シンジ

サードインパクトを未然に防ぎ、ユイのサルベージも成功して、現在ゲンドウ、ユイ、シンジ、レイの四人で住んでいる碇家

ゲンドウとユイは後始末の為、今も世界を飛び回っている

その為、家事の殆どをシンジがこなす結果となってしまっている

それでは、もう一人の家族であるレイはというと・・・・・

シンジの横でシンジの顔を眺めていたりする

と・・・・・

「・・・碇君・・・お料理・・・楽しい?」

シンジの楽しそうな顔に、レイは小首を傾げながら問う

「え?う、うん、楽しいよ。」

突然のレイの言葉に戸惑いながらレイの方に向いて答えるシンジ

と、余所見したせいと、戸惑ったせいなのだろうか

「痛っ!」

手元がそれて指を切ってしまう

「!!!碇君」

慌ててシンジの元に駆け寄るレイ

目には涙を浮かべている

最近、レイの感情の起伏が大きくなっているのだが、どうにもそれに慣れないシンジ

「あ、綾波、な、泣かないでよ」

そう言いながらレイを優しく抱きしめる

「・・・でも・・・碇君の指から血が」

そう言って、シンジにしがみ付くレイ

「大丈夫、大丈夫だから」

シンジはそう言うと、切った指を口に含み血を止めると

「ほらね?」

血の止まった指をレイに見せる

シンジの指をしげしげと見て

「・・・何故?」

と問いかけるレイ

シンジはそれに微笑みで答える

何故なら、シンジも理由を知らないのだから

ただ、経験からの行動というだけで・・・・・

と、またシンジの指から血が流れ始めた

「・・・碇君」

レイはシンジを見上げてそう言うと、シンジの指を掴み・・・・・

口に含んだ

「あ、綾波!?」

驚き叫ぶシンジ

そんなシンジを無視して、丹念にシンジの指を舐めるレイ

「ちょ、ちょっと、レイ・・・・・止めて・・・・・くすぐったいよ」

指先から感じる感覚はそんなものではなかったが、表現の仕方を知らないシンジは、兎に角そう言う

シンジの言葉に、舐めるのを辞めるレイ

「・・・でも」

その顔は不満そうだった





一騒動が済んだところで昼食タイムに入る二人

「・・・碇君・・・私も料理してみたい」

絆創膏の貼られたシンジの指を見つつ、呟くように言うレイ

「え?」

突然のレイの言葉に驚くシンジ

だが、直ぐに笑顔になると

「じゃあ、今度教えてあげるね」

そう言う

レイは未だにシンジの指を見つめながらもコックリと頷く

「でも、どうしていきなり料理したくなったの?」

不思議そうにレイに問うシンジに

「・・・秘密なの」

俯き、頬を染めながら答えるレイ

「う・・・・・」

レイの仕草に顔を真っ赤にして言葉に詰まるシンジ

「そ、そう・・・・・それじゃ、今夜早速教えてあげるね」

なんとか口を動かしたシンジの言葉に

「・・・ハイ」

満面の笑みで答えるレイ

そんな笑顔がシンジが動きを止める原因となっている事にレイは気がついていない

「・・・如何したの?」

完全にフリーズしてしまったシンジに問いかけるレイ

シンジをじっと見つめている

「あ、い、いや、べ、別に・・・・・」

レイの声に我に返ったシンジは焦りながらも取り繕うと

「さ、さあ、折角の料理が冷めてしまうから食べてしまおうよ」

と言って、猛然と食べだすシンジ

だが、そんな事すれば当然・・・・・

「ぐっ・・・・・」

見事なまでにお約束どおり、ご飯を喉に詰まらすシンジ

「・・・碇君!!」

ガタッ!!

レイは席を蹴って立つと、シンジの傍に駆け寄る

そんなレイに

「み、水・・・水頂戴・・・早く」

苦しそうに訴えるシンジ

「ハ、ハイ!」

レイにしては珍しく、焦った返事をすると、キッチンに駆け込んでいき

「ハイ、碇君」

汲んできた水をシンジに手渡す

ゴクッゴクッゴクッ

レイから手渡された水を一気に飲み干したシンジは

「ぷはっ!た、助かった・・・・・」

ホッと息つく

「・・・大丈夫?・・・碇君」

シンジが危機を脱した事を敏感に感じ取り、いつもの調子に戻ったレイがシンジに訊ねる

「あ・・・うん、大丈夫。御免ね、心配かけて」

苦笑しながら謝ると

「・・・いい」

とだけ返事して、食事し始めるレイ

そんなレイに、シンジは更に苦笑した





「そうそう、そうやって指の背に滑らすような感じで切っていくんだよ」

夜、シンジは早速レイに料理の仕方を仕込んでいた

だが、料理の仕方を仕込むと言っても今まで一度として家事をしたことの無いレイにいきなり調理の仕方を教えるわけにもいかない

シンジは包丁の使い方など、基本的な所から教えていくことにしたようだ

レイの手に添えられるシンジの手

密着する体と体

背後から感じる暖かさにレイは頬を染めつつも、幸せに浸っている

その為か、手が止まりがちになるレイ

「如何したの?綾波」

度々手が止まるレイに思わず問いかけてしまうシンジ

「・・・問題ないわ」

レイはシンジの声に正気に戻ると、野菜を切る事に専念する

そんなレイの態度に疑問を持ちながらも

「綾波、包丁は刃先を支点にして柄に近い所で押し切るようにして切っていくんだよ」

と、指示する

「・・・了解」

シンジに教えられた通りにするレイ

その顔は真剣そのもの

そんなレイの様子にシンジは微笑むと

「綾波、ちょっと一人で切っててね」

そう言ってレイから離れるシンジ

その時、シンジはレイに背を向けたため、気付かなかった・・・・・

レイが

ニヤリ

と笑ったことに・・・・・

シンジが用事を済ませて帰ってくると、ズイッと突き出されるレイの指

その指には紅い流れが・・・・・

「あ、綾波指切っちゃったの?」

驚き訊ねるシンジに、コクリと頷く事で返すレイ

「ちょっと待っててね」

そう言って急ぎ、絆創膏を取りに行こうとするシンジの裾を掴み、引き止めるレイ

「綾波?」

不思議そうに振り返ったシンジの口に突っ込まれるレイの指

「!?!?!?!?!?」

驚き、パニックに陥るシンジ

そんなシンジに

「・・・舐めて・・・それで治るんでしょ?」

と言うレイ

「えええ!!!?」

レイの指を口から離し、驚き叫ぶシンジ

「・・・駄目?」

潤んだ瞳で上目遣いにシンジを見るレイ

「あう・・・・・」

当然そんなレイの仕草に、断る言葉を失うシンジ

「・・・はい」

そう答えるとレイの指を含み、丹念に切った所を舐めるシンジ

シンジの舌の動きに、いつもとは違う快感を感じるレイ

だが・・・・・

「はい、綺麗になったよ」

その快感はシンジのそんな言葉によって突然途切れてしまう

不満そうにシンジを見上げるレイ

だが・・・・・

「綾波、早くご飯作っちゃわないとご飯抜きになっちゃうよ?」

そう言って、レイが切った野菜を使って調理し始めるシンジ

そんなシンジを、レイは恨めしそうに見ていた





後書き

HP開設おめでとう御座います

って事で、開設記念SSです(笑

何だかなって展開ですが、如何でしょうか?

それでは

タッチでした





綾吉:"闇に射す光"のタッチさんから戴きました。タッチさんありがとうございます!しかもサイトオープンに合わせてくれるなんて、感謝感激です!

レイ:・・・碇君、もっと舐めて欲しかったのに・・・

綾吉:・・・・・・

レイ:何故、黙るの?

綾吉:(聞くなよそんな事!)いえ、何でもないです。でもいきなり指を口に突っ込んだらシンジ君も驚くと思うんだけど・・・

レイ:問題ないわ・・・だって・・・愛があるもの・・・(ポッ)

綾吉:そ、そうですか・・・でもこれって私がタッチさんの所に投稿した作品を意識した内容なのかな?

レイ:知らないわ、そんなの・・・碇君が呼んでる・・・行かなくちゃ・・・

綾吉:待ってください〜、って行っちゃった・・・タッチさん次回も期待してますよ(笑)


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