春風は幸せを呼ぶ
2002.4.5(日記よりサルベージ)

「ほんとに風が強いわね」
「桜はもう散っちゃったけど、なんか春って感じよね」
「あ〜あ、新学期かぁ。なんかゆーうつ。受験もあるし」
「でも、みんなおんなじクラスで良かったじゃない」
「……全部で何クラスあるのかしら」
「それは聞いちゃダメ」
「ヒカリはやっぱり委員長するの?」
「どうかな……」
「あん、もお。ほんとにムカツク風ね。ファースト、もっとちゃんとスカート押さえてないと、めくれるわよ」
「うん」
「二人とも、ブルマしてるでしょうね」
「うん、してる」
「抜かりはないわ」
「でも、体育の時ならいいのに、なんでスカートはいてるとブルマでも見られると恥ずかしいのかしら」
「ヒトの心って、不思議」
「アンタが言うとリアル過ぎ」
「ま、まぁいいじゃない」
「あ。ほら、あそこで三バカプラスワンが、アタシ達のスカートがめくれるのを待ってるわよ。目をギラギラさせて。あれで隠れてるつもりかしら。カメラ持ってるのもいるわね」
「す、鈴原ぁ〜」
「碇くんまで……」


「ね、ねぇ。委員長が睨んでるよ。気づかれてるって。もう止めようよ」
「アホ。イインチョごとき怖がってたら男がすたるわ」
「こんなチャンス、滅多にないぜ。もうちょっと待ってれば絶対めくれるって。高く売れるぞぉ」
「待つ価値があるね」
「なんや、シンジは見たくないんか」
「い、いや、そりゃあ見たいけど……」
「そやろ。自分に正直にならなあかんで」
「そういう問題かな」
「疑問の余地はないね」
「でもさ、ブルマだと思うんだけど」
「わかっとらんなぁ、シンジは。だからお子様やいわれるんやで。体育の時とは違うんや。ええか、スカートがめくれるって所に意味があるんやで」
「スカートがめくれて、フトモモがあらわになる。この瞬間の価値は、例えブルマしてようが微塵も下がらないのさ」
「女子中学生のフトモモ。リリンが生み出した文化の極みだね」
「少なくとも文化じゃないと思うけど」
「じゃあ何かい? 僕に男子中学生のほうがいいって言わせたいのかい? 碇シンジ君?」
「か、カヲル君、僕の膝に手を置くのは止めて……」
「いちゃつくのは止めェ!」
「あ、こ、こっちに来る!」
「だから早く止めようって言ったのに」
「か、顔が真っ赤や。こりゃあマジで怒っとるで。あかん」
「まずいよ。綾波の後ろに青白い炎が。本気だよ」
「アスカの後ろにも真紅の爆炎が」
「こうなったら僕にも止められないよ。カヲル君、どうしよう」
「とりあえず逃げるべきだと思うけどね」
「も、もう遅いわ」

「すぅずぅはぁらぁ〜」
「ま、待ってくれ。誤解や。ワシは無理矢理……」
「言い訳は無用よ!」
ばし
「碇くん……見たいの……」
「ち、違うんだ。これは……」
「シンジぃ、さっき見たいって言ってたじゃないか」
「相田君は黙ってて」
ばし
「あ、綾波、お願いだから聞いて……」
「あたし以外の人のは見ちゃだめ」
ぱし
「ま、待てぇ。いま、なんてゆうた?」
「何も言ってない」
ばし
「ブルマとパンツは等価値なんだ。僕らにとってはね……」
「意味がわからん!」
ばし
「ま、待て。聞いてくれ。やむを得ない事象なんだ。売上をトウジの妹の治療に役立てようと……」
「もうとっくに退院してるわよ!」
ばしばし

「さ、行きましょ。バカがうつるわ」
「そうね」
「うん」
「君たちは男のサガというものをだね」
「イインチョ、待ってくれ。誤解なんや」
「綾波、アスカ、今晩は美味しいものを作るから……」
「安易に暴力に訴えるとは、リリンとしての知性が……」
「見苦しい!」
「このドスケベ!」
「碇くん……変態ね……」
がすがすどかばき


「……見たやろな」
「ああ、はっきりとね。写真は撮れなかったけど」
「僕も……見えた」
「美少女に無茶苦茶に踏まれる。リリンの生み出した文化の極みだね」
「これは間違いなく文化だよね。萌えるよ」

 去ってゆく少女達を、ぼろぼろになりつつも恍惚の表情で見送る煩悩の塊が四体。


「平和ね……」
「うん」
「いちばん大事なことだわ」
「あんみつでも食べにいこっか」

 何もない日常の素晴らしさ。普通でいられること。
 その大事さを心の底から知っている彼女たちの言葉には、真の重みがある。

 そして、幸せを噛み締める少女たちには、隙があった。

 一陣の風が吹く。

「きゃっ!」
「おおぉっ!」

 萌える男ども。バカである。が、ここにも間違いなく平和があった。


 そして、こんな文章を二日もかけて書く私も相当なバカです。
 世界に平和の訪れん事を、切に願いつつ。


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