生き抜くことは冒険だよ
2003.2.5(日記よりサルベージ)

 あるいは言葉が少し違ったかもしれないが、生き抜くことは冒険だよ、と言ったのは植村直巳氏だったと思う。あるいは長谷川恒男氏だったかもしれない。

 冒険だろうが何だろうが、なるべくなら生きていた方がいい。霊魂の存在を信じていたとしても、いつかは必ず死ぬ以上、無駄に死ぬのは無意味だし、神、あるいは偶然に与えられた命を無闇と粗末に扱うのは、単純にもったいない。

 だから死なないために、生きて行くために、出来ることは全てやっておくべきだと思う。ただし、命を懸けて何かをするという権利は留保しておきたい。結局は自分の命だから。生きるということは命を懸けているということ、つまり冒険なのだと思う。

 スペースシャトルの事故によって、人命が失われた。スペースシャトルの事故率は飛行機の一万倍だという記事がどこかに載っていたが、そういう比較は間違っている。彼らは命を懸けて冒険に出たのだ。
 検証は今後詳しくなされると思うが、仮にやれることは全てやっていたとしよう。だとすれば、残念だがやむを得ない、と思うべきなのだろう。無論、私が当事者であれば、そんなことを言う奴は問答無用でぶん殴る。やむを得ないで済まされてたまるか、と。
 それでも宇宙開発は止めてはならないと、個人的には考えている。
 とあるノーベル賞受賞者が「それはどんなことに役立つのですか」と聞かれ、「何の役にも立ちません」と即答したという。聞く方もどうかと思うが、こう答えられるのはすごい。相当自信がなければ、こんなこと言えるものではない(宇宙開発は直接的に役に立つと思うが)。

 つまり、人間はそのように作られているのだろう。

 七人の人命が失われた。それは重く受け止めるべきだと思う。ただし一方では、毎日のように名もなき人々の命が、本人には何の覚悟もなく失われていることを忘れてはならない。無念の死。例えば交通事故で。飢餓で。あるいは空爆で。

 あのアメリカとこのアメリカ。同じ国だとは思えないのですよ。

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