話は毎度ループなのだが、二次創作における二次創作であることの必然性、という話がある。平たく言えば、なんでこの話はエヴァFFなのか、という話である。
必然性というのは甘美な単語で(そうでもないか?)、やっぱり重要かななどと思ったりもする。
こういう話は「ひとりごと」に書くべきかもしれず、気が向いたら転載(と言うのか)するかもしれないが、過去もしかしたら書くかもと言って書いた例はないので、たぶん書かない。
オリジナル度の高いエヴァFFがどうこう、という件と関連のあるようなないような微妙な話だが、これはエヴァFFである必然性がない、と誰かが判断したとしても、それはその作品がエヴァFFであっては「ならない」という理由にはならない。エヴァでなくてもいいが、エヴァでもいい。これは「面白ければなんでもいいんだよ」という議論とは異なる。
拙作「NO END SUMMER」を例に挙げると、客観的に見ればエヴァFFでなければならない理由はない。つまり必然性はない。お互い好きあっていながら何らかの理由で別れてしまった彼と彼女が再会する、というストーリーに過ぎないのだから、紅い瞳をコンタクトで隠すとかそういう部分を省くか置き換えるかすれば、オリジナルとしても成立すると思う。面白いかどうかはともかく。全然例は思い付かないが、全く別のキャラにすればそれのFFとしても成立するかもしれない。
少なくとも私にとって重要なのは、客観的に見て必然性があるかどうかというよりは、私がどうしたいかにかかっている。つまり「何らかの理由で別れてしまった彼と彼女の再会」を書きたかったのではなく、「何らかの理由で別れてしまったシンジとレイの再会」を書きたかったのである。これは断言するが、仮に客観的に見て必然性がなくても、主観的に見れば必然性があるのである。
なんでこんな話を急に書くかというと、別にOFFでそう言う話が出たからと言うわけではなく(まぁ出たんだが)、とある小説を読んで、それは私にとってはどう読んでもエヴァFFである必然性は皆無で、シンジもレイも人格は相当異なり、でも面白かったのである。果たしてこの作品が投稿されてきたとしたら私はどう反応するだろうか、と考えてしまったのである。可能性は常にある。戦々恐々としている人がいるかもしれないので書いておくと、その作家の方はここに投稿したことはないし、掲示板に何か書いたこともなく、メールのやり取りをしたこともない。
「NO END SUMMER」において、私はこういうシンジとレイが書きたいと思い、書いた。その作家の方は、ああいうシンジとレイが書きたいと思い、書いたはずである。必然性のなさでは何ら変わることがない。更に言えば、私は上で「シンジもレイも人格は相当異なり」などと書いたが、どこまでが許容範囲かなんて人それぞれである。私の場合で言えば、ストーリーの進行具合というか、時間軸によっても異なる。レイで言えば、使徒戦の真っ最中なら基本的にかなり本編系である方が好きだが、EOE後であれば甘えんぼ天然ボケ系のかけ離れたキャラが好きである。使徒戦中であっても、甘えんぼ系になる過程が描かれていれば許容範囲に入る。
それはそれとして(^^;)、そうなると自分にとっての必然性をどう読者にどう伝えるのか、という部分が大事になってくると思うのだが、これは如何ともし難い話ではある。極端な話、私はレイを救いたいと思っているのだが、救っちまったらレイじゃねぇだろ、という議論も当然ありで、ある意味その通りである。となると、レイを救うような話はすべてエヴァFFである必然性はないということになりかねず、私の立場がない。レイを救いたいと思う人だけ読んで下さい、という話にしかならない。
だとすると、普遍的な必然性などというものは存在しないことになる。そもそもFFを書く必然性なんてどこにもないのだ。
とまぁここまで言い切ってしまうとやや抵抗があるのだが、無駄なことをするのは楽しいので、そういう意味では必然性があるというか、書いても構わんと思う。
ただ、読み手が「必然性が感じられないからこの作品は好きじゃない」と言うのは当然あり、と言うよりも当たり前だと思う。エヴァのキャラが出てくれば全てエヴァFFかという議論はとりあえず置いておくが、読み手にそのキャラが出てくる必要を感じさせるというのは、FFだろうがなんだろうが大事なことであって、感じさせることが出来なければその読み手にとってそのキャラは無駄なキャラであり、それが主人公だったりするとその作品はカスだということになる。
突き詰めると、少なくともそれで喰わねばならぬプロではなくアマチュアであるという前提に立てば、いいんだよオレが書きてえんだから、という事になり、文句があるなら読むな、というオチになる。それはそれでいいのかもしれないが、この結論には抵抗を感じる。
結論を考えぬままに書き始めるとこういう事になると言う、この日記には非情にありがちな話になってしまうのだが、つまり「文句があるなら読むな」という話と「批判は受け付けない」という話は直結しているように感じられるのだが、批判するなと言う立場には受け入れ難いものがあるのですよ。
サルベージ時の注:結局転載してやんの(苦笑)。