怯えた瞳をサングラスと鷹揚な笑顔に隠し、碇ゲンドウはゆっくりと彼らの方に向かって歩いてきた。
「久しぶりだな、冬月」
「碇……。久しぶり、ではない。一年も姿をくらましおって。今までどこにいたのだ?」
「ふ、問題ない」
「一年といえば、十四歳の子供たちが十五歳になる年月だぞ。問題ないではすまされまい」
「も、問題ない」
「碇。問題ないと言っておけば全て解決すると思っていないか?」
「司令! ううん、お父さん! 今までどこに行ってたのよぉ。あたし、心配してたんだからね!」
「誰だ」
「あたしのこと、忘れちゃったのぉ?」
「ま、まさか。レイか?」
「十四歳の子供たちが十五歳になる年月だ、と言っただろう? 一年という歳月は多感な少女を変えるには充分すぎる時間だ。お前がおらぬ間に、レイはすっかりリナ化してしまったのだぞ」
「おとうさぁん。お酌するわ(はぁと)」
「こ、こんなのは私のレイではない!」
「お父さん。人は変わっていくものだよ」
「シンジか」
「ふ、父さん。久しぶりだね」
「お前はちっとも変わらんな」
「大きなお世話だよ」
「あなた。私たちをほっておいて、今までいったいどこにいらしたのですか?」
「ゆ、ユイか!」
「ユイか、じゃありませんよ。まったく。私もりっちゃんも待ってたんですよ」
「司令。ご無沙汰しております」
「リ、リツ……赤木博士……」
「りっちゃんから話は聞きましたわ。あなた」
「ま、待て。待ってくれ。話せばわかる、話せば……」
ぱくっ
この話は実在の人物に実はほんの少しだけ関係がありますが、マジでほんの少しなので、事実上は全く無関係です(笑)。