XXXsさんのこと
2021.10.23

 2021年9月30日、XXXsさんが主宰していたサイト、【エヴァに取り憑かれし心…その容れ物】が閉鎖した。
 私の処女作を掲載して頂いていたサイトである。

 当時のことをそれほど良く覚えているわけではない。

 二次創作という手法が存在することを知って、自分も書こうと思った。投稿する以外に公開する術はないので、どこに投稿するかが次の問題になる。
 なるべく沢山の人に読んで欲しいというのは確かにあったが、まず管理人のフィルターは通りたかった。要するにコメントが欲しかったのだ。そして一定水準以上の作品があり、R18を許容し、何より管理人が自ら書く作品が優れているサイトを探した。
 繰り返しになるが、当時のことを明確に覚えているわけではない。だが結果的に、XXXsさんのサイト、【エヴァに取り憑かれし心…その容れ物】しかなかったような気がする。
 「新世紀エヴァンゲリオン+」、「新世紀エヴァンゲリオン++」は傑作だ。最高峰だと今でも思う。後年公開された++のエピローグも衝撃だった。
 初めてメールした時の緊張感は今でも覚えている。感想メールだった。丁寧な返信をもらった。
 初投稿時の緊張感はそれどころではなかったが、まあそれはいいだろう。
 振り返れば赤面するしかないが、書き上げた話にはそれなりに自信があった。その自信は、数度のやり取りを経て公開された自作をサイト上で読んだ瞬間、粉々に砕け散ることになるのだが、それもまあいいだろう。大した話ではなかったと悔いる私を、そんなことはないよと励ましてくれたのもXXXsさんだった。
 XXXsさんはとんでもない人格者だった。
 色々なことは勢いが大事だと思っていたので、タイミングよく開かれたオフ会にも行く事にした。当然だが全員初対面だ。確か先に待ち合わせをしてくれたように記憶している。花見オフだったと思うのだが、みんなに紹介してくれて、隣に座ってくれて、とにかく気を遣ってもらった。
 掲示板で暴走する私に付き合ってくれて、たしなめてもらった。
 とある話を書いて、いくらなんでもここにこんな話を投稿するわけにはいかない、と思ったのが自分でサイトを作るきっかけだった。長い間、来訪者はその全員が【エヴァに取り憑かれし心…その容れ物】経由だった。
 他にも書けない話はたくさんある。
 不義理もしたし失礼な言動もした。
 私が今ここにこうしているのは、それでも受け入れてくれたXXXsさんがいたからで、それは間違いのない事実だ。いくら感謝しても感謝し切れない。

 そのXXXsさんが、降りた。

 サイトは永久に存続できるわけではない。そう思えばいつかは区切りをつけるべきだし、つけなければならないし、今がそのタイミングだったということなのだろう。その判断は尊重したい。
 死んでしまったわけではないので、不意に思い出して懐かしい気持ちと共にサイトを巡ることもあるかもしれない。その時も私はたぶんここにいる、と今はもう言えない。ネタで仙人キャラなど演じたりしているが、私にも寿命はある。
 私はいないかもしれないが、その精神を継いだサイトがどこかにあるはずだ。このサイトが【エヴァに取り憑かれし心…その容れ物】の精神を継げたとは思えないけれど、そのどこかで、またお会いできれば、と今は願っています。

 XXXsさん、本当にお世話になりました。長い間ありがとうございました。またいつか、お会いしましょう。

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