Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.1 ) |
- 日時: 2010/11/02 20:32
- 名前: 何処 ID:T3XpslAXA8k
- 【ラブラブ仕様】
碇君がフィフスとキスをしていた。 夕暮れの教室で二人の影が重なる。その姿を見送り私は学校を出て部屋へ帰った。
日常。普段と何ら変わる所のない、普通の1日…
制服を脱ぎ、クローゼットに仕舞う。
空調は節電モードのまま。下着姿で過ごすには丁度良い。
宿題を解く。いつも通りテキストの簡易応用問題。 さして難しくはないが、果たしてこれにどれ程の意味があるのかは判らない。
いつも通りの食事、栄養強化ビスケットとミネラルウォーター。 規定量を食べ、行動維持カロリーを摂取する。
処方薬を飲めばミネラルウォーターは空。 その空瓶に水道水を入れカルキ抜き。セカンドから貰った金魚の泳ぐ水槽の隣に置く。
後はシャワーを浴び、睡眠を取るだけ… 替えの下着を持ち浴室へ。
歯を磨き、脱衣場で脱いだ下着を洗濯機に入れ、洗剤を規定量入れる。 電源を入れスイッチを入れ、作動を確認。
シャワーを浴びる。熱目の湯が肌を叩く刺激が心地良い。
水着の跡が最近気になる。赤木博士は遺伝子治療の効果だと説明していた。 通常の保護代謝反応なので気にする必要は余り無いと言ってくれたが、やはり気になると言うと赤木博士はUVカットクリームを処方してくれた。
“…貴女も女の子ね…” “?”
赤木博士の台詞に私は困惑した。遺伝子的に間違い無く私の性別は女だが…どう言う意味だったのだろう。
液体石鹸で体を洗う。皮膚の保護クリームを洗い落とすとさっぱりした気分だ。。
頭を洗う。シャンプーはリンスインタイプ。
碇司令の使っているトニックシャンプーの香りが好きでそれを買おうとしたら碇君に男性用だと指摘されたから、これにした。 コストも安い。だがセカンドには不評だった。
“女のたしなみって奴を持ちなさいよ!”と言っていたが…
そう言えばフィフスはシャンプーとリンスとトリートメントリキッドまで購入していた。
…ふと碇君とフィフスのキスシーンを思い出す。
…もやもやする。
少し頭を洗う時間が長かった様だ。浴室を出ると洗濯機は停止していた。
浴室に洗濯物を干し、換気扇を回す。
下着を着けていると携帯が鳴った。 表示は…
「…はい、綾波です。」
『…綾波、碇だけど…今時間大丈夫?』
冷蔵庫の上に置いた赤木博士に頂いた時計の針は漢字の八を描いている。
「…問題ないわ。」
『…あのさ、今から出られる?その…渡したい物があるんだけど…あ、いや急ぎじゃ無いから別に綾波が出れないなら又でも…』
「いいわ、どこに行けばいいの?」
…考えるより先に私は答えていた。
碇君の指定した場所は近くの公園。
通話を切り、ふと私は気付いた。
…急ぎの用じゃ無いと碇君は言っていた。 なら別に今夜じゃ無くても…
それより、私は何故行くと即答したのだろう。
…脈拍が早くなった気がする。ポカポカしてる。
クローゼットを開ける。伊吹さんから頂いたピンクのワンピースと葛城三佐から頂いたジーンズとデニムのジャンパー、学校の制服が並ぶ。
習慣で制服に手を掛け、ふと赤木博士の台詞を思い出す。
“制服はプライベートでは着ない方がいいわね。”
ジーンズを手に取り、伊吹さんの台詞を思い出す。
“男の子と会う時はスカートの方がいいかもね”
ピンクのワンピースを手にして、ふと私は気付いた。
…未だブラジャー着けて無い…
***
下着を身に付けながら頭の中を過る皆の台詞を反芻する。
“鏡くらい見なさいよね!” “リップなんか付けるといいわよ”
“髪に櫛通すぐらいはしなさい。身嗜みよ。”
“ちょっちアクセサリーなんか付けると可愛いわよん”
…
服を持ち洗面所へ行き、鏡の前に立つ。 私の目前には青みがかる髪と赤い瞳の女が一人。 その女の行動を私は観察する。
もう一度歯を磨く。 髪をとかす。 顔に乳液を塗る。 服を着る。 チョーカーを着け、リップを塗る。 腕時計を巻き、服にブローチを付ける。 何かを確認する様に右を向き左を向き背を向け首だけ振り返りながら背中を見ている。
…彼女は一体何をしているのだろう。 鏡から目を反らし、私は碇君から貰った腕時計を見る…
…急がなきゃ…
靴を履こうとして、ふと思い立ち霧島さんが薦めてくれたミュールを靴箱から出す。
…靴下履き替えないと…
***
公園にはもう碇君がいた。 私は碇君を視認して足を早め…。
何故私は足を早めたのだろう。さして時間は変わらないのに。
「碇君お待たせ。待った?」
「あ、うん。」
碇君はジーンズにワイシャツ姿だった。ベンチから立ち上がり私の方へ体を向ける。 碇君は最近背が伸びてミュールを履いた私と視線が同じ位にある。
「…」
「…」
…碇君は何故か驚いた様な表情で私をじっと見ている。 私も碇君を見る。久々に視線の位置が同じ高さ。 …何故そんな事が嬉しいのだろう。良く判らない。
「…どうしたの?」
「え?あ!う、うんそのあの…」
口籠る碇君。
「な…何かその…せ、制服しか見た事なかったから…つ、つい見とれちゃって…」
「…何を言うのよ…」
…湯冷めしたのかしら?風邪を引いたみたい。何か熱っぽい。脈拍も上がっている。 暫く碇君は下を向いていた。だけれど私は風邪薬を帰って飲まなければいけない。要件を早く聞きたくて私は碇君に問い掛けた。
「…で、何の用?」
「え?あ!あ、そ、そうだ、そ、その…こ、これ…」
「…これは何?」
手にした二枚の紙片の一枚を私に渡した碇君に私は質問した。
「ゆ…遊園地のチケット。ら、来週の日曜日もも、もし良かったらいいい一緒にどどどどどうかなって、あ、あは、あははは…」
「…あ、有難う…」
熱い。身体中が熱い。
「じ、実はカヲル君にその…相談したらこれがいいって…」
「…そう…」
急に熱が消える。
「でも酷いんだカヲル君、してもいないコンタクトがずれたなんて言って『見てくれないかい』って…で見たら何故か洞木さんは『不潔よ!』って騒ぐしトウジとケンスケは挙動不審だしマリさんは『気持ち悪いけど…面白いから良い!』なんて意味不明な台詞吐くし脇で話聞いてた筈のアスカは爆笑してフォローしてくれないし全く…」
「…大変だったわね…」
…何だろう?胸につかえてた何かが消えた気分。
「これ有難う。じゃ、私これで帰るわ。」
風邪薬を帰って飲まなければ。熱っぽいし。
「え?あ、う、うん、そ、そうだね、も、もう時間も遅いし、し、仕方無いよね、うん。」
…何が仕方無いのだろう?もう用件は済んだ筈だ。
「じゃ、おやすみなさい碇君。」
「あ!そ、その綾波…あ、あの、じ、時間も遅いしお、お、おお送ってくよ!」 「…何故?」
「何故って…ほ、ほらもう遅い時間だし女の子一人は危ないしその…」
「そう…じゃ、送って。」
…おかしい。護衛が付いている私達はさほど危険は無いのに。
でも私はその疑問を口に出さず碇君の申し出を受け一緒に帰る事にした。 安全策ならば取るに越した事は無い。
…やっぱり風邪ね。ぽかぽかする。
…あら?碇君、右手と右足が同調して…左手と左足も…どうしたのかしら?
おかしいのは私もだ。何故かしら?顔が変。おかしな位置の筋肉が動いて表情が歪む。
不思議な事に私達は十分の道程を二十分も掛けて歩いていた。
***
…そんな事が昨日あった。どうやら風邪は引かずに済んだようだ。
…ならばもう少し碇君と話していても良かったとふと思う。
何故かしら?
カレンダーの上に赤いマジックで印をつけながら私はそんな事を思っていた。
…でも何故だろう、今日私はほぼ五分間隔でカレンダーを眺めている。
良く判らないが私はカレンダーを見る度胸がポカポカする。
カレンダーの上、来週の日曜日の上に自分で書いた赤くて丸い印。
何度も見直し、印を指でなぞり、又暫くすると同じ事を繰り返す。
長期予報で来週の日曜日の天気予報を確認する。
電車の時間を確認する
チケットの通し番号を確認する。
部屋の中一人歩き回る。 そして又カレンダーを見る。近づいて赤い印を指でなぞり、又私はポカポカしながら同じ行為を繰り返す。
時間の進み方がやたらと長く感じる。
碇君の携帯に電話をかけようとして、話す事が無い事に気付く。
ベッドに横になる。 目を瞑る。 何故か碇君の顔を思い浮かべる。 寝返りをうつ。 時計の秒針の歩む音がする。
…眠れない…
時計を見れば未だ五分も経っていない。又起き出してチケットを…
そんな日曜日。 そんな日曜日。 私はどうしたのだろう。 私はどうしたのだろう。 私は…
…少し人間に近付いたのだろうか?
睡眠を取る必要を感じ、睡眠導入剤を手にして私はそんな事を考える。
明日は碇君に改めてお礼を言おう…そう思い私は錠剤を飲み下した。
…
あ、ご飯食べてな…
***
『あ、どうも。』
『…あなた誰?』
『こんにちは、使徒です。いつもお世話になっております。』
『…は?』
『あ、今晩はでしたね、失敬〃。いやぁこの度は私のペルソナが…あ、いやタブリスがご迷惑おかけしまして。』
『?…良く判らない…』
『あ、お分かりにならない。そうですか、いやそれは失礼しましたな、いきなり人様の夢に入り込んで』
『待って…貴方“使徒”と名乗ったわね?』
『ええ、私使徒です。仮にミカエルとでも名乗りましょうか…どうも口調が固いな、砕けて話していいかしら?』
『?ええ、構わないけど…』 『はあ、助かるわ〜、固い台詞は駄目なのよね〜、あ、説明しなきゃあかんね。使徒っちゅうのは単一存在にして不滅なもんで魂の記憶が永遠に積もるんですわ。ま、それだと記憶容量が大変なんで肉体得る毎にペルソナ作りましてな、その仮想人格に記憶の管理させとるんですわ。』
『はぁ…』
『で、私はその統括管理ペルソナのミカエルと申します。いや、統括と言っても只の図書館司書ですがね。お蔭で記憶も曖昧で言葉使いも色々まじってますが、ま、笑って許してくださいな、あはははは…』
『…で、その司書が私に何故謝るの?』
『いや、貴女と融合しかけた記憶から貴女が碇シンジと言う存在に抱く感情をあのダブリスが』 『待って…ではダブリスはセカンドの心を覗いたあの使徒の記憶も…』
『はあ、一緒に弐号機もですが。ですんでそちらに伺った時同調など簡単に出来た訳で。おまけに何やあの嬢ちゃんに何やえらい肩入れしてもうて、こら当分他のペルソナ出る幕ありませんな、あはははは。』
『…そう…』
『あ、いかんもう朝やな、じゃこの辺でおいとましますよって。』
『いえ…なんのお構いもせず…』
『あんた…ええ娘やな。そや、一つ教えてあげまひょ、昨日のあんたさん、うちのダブさんに嫉妬しとったんや。』
『嫉妬…あれが…嫉妬…』
『で、今日のあんたさんは、好きな相手に誘われて浮かれとったと。ま、所謂“ラブラブ仕様”つーか“恋愛ボケ”やな。』
『…何を言うのよ…』
『さて、これで消えますけん、又うちのダブさんアホやりますけどま、一つおっきな心で見守ってくんなまし、ほいでは失礼〜』
『さよなら…』
***
ピピピピピピピピ…
朝…
今の…夢?
変な夢…
だけど…
夢が本当なら私…
「ふふっ…うふふっ…」
私、ちゃんと感情有るのね…人間の…
そう…これが『嬉しい』って事なのね…
…危うく遅刻しそうになったけど、私は一日笑みが止まらなかった。
そう、私、人の心があるんだ…
使徒さん、教えてくれてありがとう。
ED【恋するボーカロイド】初音ミク ライブ映像 http://www.youtube.com/watch?v=T3XpslAXA8k&sns=em
『わてミカエルでっせ〜…ってあらいやだわ又口調が変ね』
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.2 ) |
- 日時: 2010/11/04 09:22
- 名前: タン塩
- 「雨を見たこと、ある?」
こういう質問には、どう答えたらいいのだろうか。風にそよぐ髪を掻き上げなが ら、私は結局、いつもの答えを返すほかなかった。 「…わからない」 「あれだよ」 碇くんが指差す、その彼方。大平原の向こう、地平線の間際の雲塊の下が、暗く 煙る。雲から滴り落ちるような、灰色のカーテン。 「あれが雨さ」 「そう…」 雨は雲から降る。知識として知っていても、実際に見ると不思議な光景だった。 「…なぜ知っているの?碇くん」 「知らないよ。僕も初めて。でも、多分あれって雨だよね?」 「…そうね。多分」 「やっぱり旅に出ると、いろんなものが見られて面白いね」 「ええ」 確かに、面白い。いろんなものが見られるからじゃなく、いろんなあなたが見ら れるから。未知の世界に目を見張るあなたが新鮮で、面白い。 彼がハンドルを握る車は、平原の中のただ一本の道を滑るように走る。 「スピードを出し過ぎだわ。免許を取ったばかりなのに」 「ああ、ごめん。つい、楽しくてさ」 「楽しいの?」 「楽しいさ。空飛んでるみたいだろ」
【Have you ever seen the rain?】
やがて日が傾く頃、車は寂れた街に滑り込み、一軒のドライブインに止まる。と いうか、そこが街でただ一軒のドライブインだったのだけれど。 「えーと、僕はチリバーガーにコーラ。綾波は?」 「…これ、何かしら?」 「どれ? "Fried Green Tomato"? なんだろ?」 「私、頼んでみるわ。それとコーンブレッドと、ペリエ」 「わかった。Excuse me, we want a…」 注文はいつも彼に任せる。私だってレストランで注文ぐらいできるけれど、彼が 『僕に任せてよ』という時の顔がとても輝いているので。 「綾波、ペリエはないって。クリスタルガイザーでいい?」 「ええ」 ウエイトレス、というほどの服装もしていない中年女性が注文を受けて立ち去る と、彼はほっとしたようにため息をつく。やっぱり、無理してる。 「綾波、疲れた?」 「いいえ。碇くんこそ、疲れてない?」 「僕は全然平気だよ!ほら、この通り」 「……かわいい」 「か、かわいいって何がさ!?」 「碇くんが」 「ぼ、僕のどこがかわいいって…!」 「Excuse me, here's a…」 Fried Green Tomatoは青いトマトをスライスして塩胡椒して、フライパンで焼い たものだった。こんな料理法があるなんて知らなかった。おいしかった。
「この先にモーテルがあるってさ。そこ一軒だけだって」 食事を終えて、私たちは今夜の宿となるモーテルに向かった。部屋が空いていれ ばいいけれど、という心配をするまでもなく、モーテルはガラガラだった。 「シャワー浴びてくれば?」 「ええ、そうさせてもらうわ」 これもいつものこと。彼に言わせると『女性が先にシャワーを浴びるのが当然』 らしい。なぜなのか、よくわからないのだけれど。譲り合って押し問答になって しまうので、結局私が先に浴びるのが習慣になった。 シャワーを浴びると、彼はすぐに寝てしまった。やはり疲れたみたい。その寝顔 を少し眺めてから、私も眠ることにした。
彼が旅に出ると言い出したのは高校卒業も間近い頃。意外だった。彼はどちらか と言えば保守的で、あまり旅好きとも思えなかった。『世界を見てみたい』とい うセリフの似合わない人が、そのセリフを口にした。 私もついて行く、というと、今度は彼が意外そうな顔をした。いや、危ないよと か、綾波が旅好きとも思えないとか、そのままお返ししたいことを言って何とか 諦めさせようとするので、私はだんだん腹が立って来て、とうとう彼をひっぱた いてしまった。彼をひっぱたいたのは久しぶりだった。あの時は後で後悔したけ れど、今度のは多分後悔しないと思う。
翌朝目覚めると彼はまだ寝ていたので、シャワーを浴びた。シャワールームを出 ると、彼も起き出して来た。 「…おはよう、綾波」 「おはよう、碇くん。まだ眠そうだわ」 「ごめん」 「なぜ謝るの?」 「ごめん」 まだ謝ってる。
モーテルをチェックアウトして昨夜のドライブインへ。夕べと違って、地元民ら しいお客がちらほら見える。皆老人だ。入って来た私たちをちらりと見ただけで、 後は無視。私たちが白人ではないから?いや、多分違う。私たちが『よそ者』だ からだろう。田舎の街はこういうものらしい。碇くんはホットドックとコーヒー、 私はパンケーキとコールスローと100%オレンジを頼んだ。 「やあ、どこから来たんだい?」 若い白人男性が声をかけて来た。どこにでも物好きはいる。 「日本です」 「へえ。日本て例のangelとかで大変だったんだろ?」 「ええ。僕らの住んでた街も、使徒のせいで壊滅して住めなくなりました」 「そりゃ災難だったな。ここも、街が一つ消えたんだぜ」 「…!」 「とにかく物凄い火柱みたいなのが上がってよ、それが収まったら何一つ残って なかったんだ。angelの仕業だとか、新兵器が暴発したとか噂になったけど、政 府のステイトメントは何もなしさ」 「……」 「俺が思うに、連邦政府が廃棄をごまかして、核兵器をあそこら辺に隠匿してた んだろうな。ほら、N2兵器が開発されて、ニュークリアは全部廃棄ってことにな っただろ?あそこには軍の研究施設があったけど、多分そこに隠したんだ」 「……」
「知っていたの?」 私たちは街を出て、変わらぬ平原の中の一本道を走っていた。 「知らないよ。だいたいアメリカのエヴァ建造施設なんて、どこにあるのか知ら なかったし。綾波は知ってた?」 「エヴァ四号機の建造施設はカンザス州クリアウォーターにあったわ」 「知ってたの!?」 「…でも、ここがカンザス州だなんて知らなかった」 「……綾波らしいや」
「…あ、また、雨」 どこまで走ってもドライブインが見つからず、道端に車を止めて、前の街で買っ ておいたチーズクラッカーとオレンジジュースで昼食を取っていた時、私はまた 雨を見た。薄汚れたレースのカーテンみたいな雨が、泥混じりの雪玉みたいな白 と灰色と黒の雲にぶら下がっていた。 「…anyway the rain fallsかな」 「今何て言ったの?碇くん」 「なんでもないよ」 話しかけるな。彼の横顔がそう言っていた。だから私は黙って彼の横顔を見つめ た。ただ風が吹いていた。
【終わり】
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.3 ) |
- 日時: 2010/11/06 19:10
- 名前: 何処
- ジオフロントを出ると外は雨だった。
【雨を見たかい】
「うわぁ本当だ、雨…」
碇君は右側の助手席で感嘆している。
「綾波良く判ったね…外が雨だなんて…」
私は軽く微笑みながらギヤシフトしてFRPボディを加速させた。 青い車体は文字通り雨を切り裂きアスファルトを駆けて行く。
ここ数日ジオフロントに籠りきりの私と碇君は漸く一段落したマギ-2ndの調整作業から解放された。 明日は二人揃って公休日、残業も奇跡的に一時間で済み私達は久々の解放感に浮かれていた。 留守の続いた新居へ帰るべく本部棟から一歩出た私は隣を歩く碇君に傘を用意する様に進言し、怪訝な顔の碇君に外は雨だと告げたのだ。
「凄いな、予知能力?」
「内緒。」
ジオフロントは数百万本の光ケーブルで採光している。雨天時等に点灯する補助照明の微かな黄色が外界の様子を伝えるのだ。 これを教えてくれたのは碇司令だった。
***
『今日は雨か…』 『あめ?』
私の前を歩く男はジオフロントの天井を眺め呟く。 私の倍はある体躯の男を見上げ私は質問した。
『雨って何?』 『大気中に含まれる水分が飽和状態となり上空で塵などを核に水滴になる。これが地上に落ちる事を雨と呼んでいる。』 『雨…天から落ちる水…判らない…』 『息に手を当ててみろ』 『…ハー…』 『呼吸にも水分は含まれるのが判るな?』 『はい。』 『気温が低ければ吐いた息に含まれる水分を視認できる。これが高空に発生する雲の正体だ。』 『雲…』
…考えてみれば碇司令は真面目だったのだろう。子供へ論理的に正しく説明する姿は他人から見れば滑稽だった筈だ。
***
フロントガラスを覆う水流はワイパーの意味を無くしつつある。私は碇君に休憩の意図を伝えウインカーを出した。 駐車場へ入り車を停めると、傘を差し助手席から降りた碇君が運転席側へ周りドアを開ける。 青のFRPボディを雨粒が激しく叩く中、車から降り立ち私は後ろ手にドアを閉め、碇君の傘を持つ右手に腕を絡めた。 二人向き直り車に施錠しながら私は左上の横顔を見る。 碇君はやはり碇司令に似て来たなと思う。施設見学の子供にも真っ直ぐ向き合う姿はまるであの日の碇司令だ。
碇君にエスコートされながらパンプスで水溜まりを蹴破りファミレスの入り口へ向かう。 傘を叩く雨音は激しく、もっと一つになりたくて私はそっと彼に身を寄せて首を傾け頭を凭れ掛けた。
***
熱い珈琲は覚醒と安堵を恵らしてくれる。二口をブラックで楽しみスティックシュガーを一本。夫婦になってすっかり私は碇君の習慣に染まったと思う。 別姓にした理由は“綾波レイ”と言う私を規定する名前が私の矜持だから。
『私は人形じゃない』
アスカに告げたあの時、私は本当に人になったのだろう。 “綾波レイ”と言う存在を己と認識し、人と規定した私は“碇”と名乗る事を拒んだ。 たかが名前だ。私は“私”、喩え姓を変えても何の問題も無い。だが私は人として、“綾波レイ”としてこの世界に留まる事を決めたのだ。
リリスから別れた私が肉体を再構成した時、私は髪も瞳も以前通りにする事を決めた。 赤い瞳も、蒼い銀髪も皆私を構成する要因。もし変えるにしてもそれは私“綾波レイ”が人として自ら選択しなければいけない。
向かいに座る碇君と同じ動作でカップの中に入れたスプーンを動かしながら、私は窓の外を眺める。窓ガラスを滑る水滴に私は初めて雨を見た時を思い出していた。
***
『雨を見たか』
唐突に司令は言った。 私の倍はある高さから降りて来る言葉に私はその声の主の顔を見上げながら“否”と首を横に振る。その仕草は研究員の人達が交わすやり取りを見て覚えた。
『…では見に行く。付いて来い。』 『何故?』 『聞いただけでは判らないからだ。見る、聞く、触る、それで初めて理解の第一歩を踏み出した事になる。』 『…良く判らない…』 『これから判る。それと“良く判りません”だ。以後気を付けろ』 『はい…』
IDパスを渡された私はゆっくりと歩き出した司令の後を小走りに追いかけた。 長い長いエスカレーターを司令と並んで昇る。
『…外に出るのは四回目です…』 『…直に毎日出る様になる。』
私の隣に立つ司令は振り向かず私に告げる。 黒い傘片手に私の隣に立つ司令の姿は遠く大きかった。
***
「お待たせいたしました、ケーキセットの苺ミルフィールとザッハトルテになります。」
「「あ、ありがとう。」」
同時に同じ台詞を口にした私達は顔を見合せ、同時に吹き出した。制服も仕草も可愛らしい店員まで笑顔をトレイで隠している。
「ご夫婦ですか?」
「ええ、もう二年になります。」
未だ笑っている碇君の代わりに私は答える。
「いいなぁお二人仲良さそうで。」
「そう?ありがとう。」
未だ少女らしさの残る店員は“私もあんな車で迎えに来て欲しい”と私の向かいに座るペーパードライバーを眺めながら言う。 夢を壊さぬ様に私は笑顔で“でも車のローンで大変だから”とそっと話題をすり替えた。 暫く話をして彼女が去り、ケーキに向かった私の向こう側には…
「碇君、笑いすぎ。」
「ごめんごめん、何か可笑しくってさ。」
「もう…」
私は目の前にある碇君のミルフィールから苺を奪取して自分の口に入れた。
…碇君、その情けない顔は止めて…
***
『これが雨だ。』
司令の傘の中、私は初めて雨を見た。
そっと傘の外に手を伸ばす。その冷たさに私は思わず手を戻した。
『冷たい。』 『雨に濡れるとはそう言う事だ。雨に濡れた冷たさは体験しなければ判らない。』 『…はい。』 『傘の存在理由も判ったか?』 『…濡れない服は無いのですか?』 『ある。雨合羽と言う。だがその服を脱ぐ事を考えれば傘の方が簡便だ。』 『…そうですか…』
傘から一歩外へ、雨粒に叩かれながら空を見上げる。司令は何も言わず私を見ていた。
『…雲の天井から水が…不思議…』 『そうか。』
私は暫く空を見上げていた。 視界が急に黒くなる。振り返れば司令が私に傘を差し伸べていた。
『…そのままでは風邪を引く。そろそろ帰るぞ。風呂に入り服を着替えるといい。』 『…はい。』
司令は私の手を取り歩き出した。だが幼い私の手を取り歩くには司令は背が高過ぎたのだろう。 前屈みに歩くその姿が私には不思議だった。
***
碇司令が何故良く私を外に連れ出したのかは本人が行方不明の今では知る術も無い。 だけれど、私は覚えている。あの雨を、あの空を、そして私の手を引く碇司令の姿と掌の熱さを。 これから先も私はあの雨の記憶を忘れる事は無いだろう。
「そろそろ行こうか。」 「ええ。」
会計を済ませ外へ。雨脚は弱まったが相変わらず止む気配は無い。 私達は一つ傘の下、身を寄せ合い車へ向かう。
「子供…未だ作らないで欲しいみたい…託児所の拡張計画が来期まで伸びたみたいで…」
そう告げると碇君は“未だ子供は早いんじゃ無いかな”と苦笑混じりに私に言い、言葉を継いだ。
「…出来ちゃえば関係無いけどね。カヲル君の処みたいに。」
「…そのせいで私有給消化出来ないのよ?」
今日の残業だって本来は彼女の領分の筈だったのだ。
「…産休から彼女が帰るまで半年か…」
「…ねえ碇君、雨は好き?」
「うーん洗濯は乾かないし」「そう言う事じゃ無くて」
わざとらしく言う碇君を睨む振りをする。
「…今は好きだな。こうして相合い傘が出来るし。」「私も。」
傘の中は二人の世界。雨のカーテンの下、私達はお日様に内緒で唇を交わした。
…新居への帰宅が次の日になった事は秘密。
【レインフィッシュ】初音ミク http://www.youtube.com/watch?v=pDRwy0smo0o&sns=em
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Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.4 ) |
- 日時: 2010/11/07 18:42
- 名前: 何処 ID:MNZ__Lx4b9I
- 【ごちそうさま】
「あ、ヒカリこっちこっち。」
「ごめんお待たせ!綾波さん、アスカ、はいチョココロネと苺クリームサンド。」
「んふ〜、ヒカリのバイト先のパンはこの時間の楽しみなのよね〜」
「…朝御飯又抜いたわね…あら?綾波さん…大丈夫?顔色悪いわよ?」
「大丈夫…」
「でも…」
「ほっときなさいよ…あ、メール。レイったら朝までシンジとパソ通してただけだから。」
「あう…」
「あら…碇君元気だった?」
「ええ、その…」
「…ルームメイトとして言わせて貰うけどさ…」
じろり
「夜中に『好きって言って』とか『碇君より私の方がずっと好き』なんて台詞聞かさ」「きゃあっ!アアアアスカあ!?」
「…相変わらず実にバカップル…」
「あう…」
「ヒカリ…最近突っ込みきっついわね…」
「やだ!トウジさんの影響かしら、気を付けないと。」
「アスカ…聞いて…たの?…寝てなかった?」
「起きたのよ。甘〃トークで。同じ部屋で聴かれ無い訳無いでしょ?時差だから仕方無いにしても向こうだ…又メール!?」
「綾波さんて…結構…」
「言わないで…」
「大体夜10時に始めた会話が起きてみたら未だ続いてて時計見たら夜中の2時よ2時!?課題の相談だって話じゃなかった?」
「ゔ」
「それは駄目でしょ…」
「全く…ん?…でも今朝課題提出…してたわよね?」
「その…課題は最初の一時間で終わってて…」
「「?」」
「それから…その…」
「甘〃トークが」「始まったと。」
「あう…」
「見える…見えるわ、馬鹿シンジが息も絶え絶えな状態でリツコにコキ使われてヒーコラしてる姿が。」
「はうっ!?」
「ぷっ!ご、ごめんなさ…ぷぷっ!」
「そして今頃はロケットの中のレイを眺めてにへらにへらしてマヤとミサトにからかわれてるのよ…あ、又メール…しっかた無いわねぇ…」
「…渚君?」
「そ。お昼御飯一緒にどうだだって。『三人分奢りならおK』っと。」
「あ、あたしも!?」
「愛しの鈴原は明日まで千葉のバイト先よね?」
「うっ!」
「さっきから私ばっかりからかわれて…次は貴女の番。」
「ひっ!?」
「おーい綾波ぃ惣流ぅ、教授が探してたぞぉ、綾波のは課題論文名前抜けてるって。アスカのは題名抜けてるらしいぞ。」
「「嘘ぉ!?」」
「あれ?相田くんバイトは?鈴原と千葉じゃ…」
「トウジは未だ向こう。俺とトウジの課題提出に来ただけ。これから又千葉だよ。」
「仕方ないわね…あら?2人は?」
「今走っていったけど…」
◆◆◆
「フンフンフン…豚骨はいいねぇ…」
「…まさかお手製の豚骨ラーメンとは…」 「思わないわよね…」 「て言うか…渚君エプロン似合いすぎ。」
「うん、これでよし…しかし光栄だね、そんな息堰切って来る程楽しみにしてくれたなんて…」
「…息も絶え絶えっていうのよ…」 「書き直し一時間で終わらせたのは奇跡ね…」 「…走るアスカの後追いかけるの大変なんだから…」
「?アスカさんはチャーシュー増し増し、レイさんはチャーシュー抜き麺固め、ヒカリさんは味玉子一個と…さ、召し上がれ。」
「「「頂きます!」」」
◆◆◆
『で、どうだったの?』
「…今度三人で渚君に弟子入りする事になったわ。」
『ああ、カヲル君は凝るとプロ並みだから…課題は?』
「課題はなんとか…碇君のお陰よ。」
『いや、綾波の実力だよ。』
「ううん、碇君のお陰。お礼をしたいからその…早く帰って来て…」
『綾波…』
「碇君…」
「あんたら…いい加減にしなさい!連日のピロートークもどきで私の睡眠時間奪わないでよね!」
『うわっ!?ア、アスカ居たの!?』「碇君…ボケ過ぎ。」
「はぁ…はいはいごちそうさま。明日は朝からカヲル先生のお料理教室よ、寝坊すんじゃないわよ!お休み!」
「『…ごめんなさい…』」
【とりぷるばか】歌・初音ミク、重音テト、亞北ネル http://www.youtube.com/watch?v=MNZ__Lx4b9I&sns=em
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.5 ) |
- 日時: 2010/11/08 17:54
- 名前: のの
- 手で打った感触。
手に触れた感触。
その残滓。
【Have you ever seen the rain?】(裏)
涙を溜めながら歩く小さな女の子を見た日の夕方、わたしは偽りの黄昏時に包まれたジオフロントを歩 きながら、その女の子のことを思い出していた。必死に表情を保ち、まるでまばたきをしたら死んでしま うかのように必死で目を開き続けていたその子は、どうして涙を流すのをこらえていたのだろう。
戦闘の爪痕が嫌と言うほど残るジオフロントには死の匂いがする。それを感じるのはなにもわたしだけ ではなく、前はよく見かけた、休憩する職員の姿や、時間をかけても庭園を回ってからリニアへ向かう人 を見なくなった。倒れた石造やひび割れた石畳を好んで見たがる人はいない、と副指令が司令室からジオ フロントを見下ろしながら言っていたことを思い出す。
偽りの調和を望む人には耐えられない光景。死の臭い。
わたしにとってはわたしの戦いの、弐号機パイロットの戦いの傷跡そのものになる。だからそれ自体は 何も珍しくないので、わたしはいつものように噴水のある庭園に行っている。さっきも行ってきた。
ネルフの人たちは戦いに対して淡白と言えるほど自然に受け入れていると思っていた。
それは間違いだった。この人気のなさが物語っている。唯一生命力を感じさせる家庭菜園を守ろうとす る二人の人間を思うと、なんとなく、気分が落ち着いた。生命に対して向き合っていると感じたからかも しれない。
さっき別れたばかりの碇くんは、入院中なのにそれを気にして外に出てきていた。わたしはその時のこ とと小さな女の子のことを思い出しながら、リニアに乗って地上へと上る。
『土で汚してはいけないわ』 わたしはサンダルで畑に上がろうとする彼を見つけて声をかけた。あのとき、どうしてわたしの声はあ んなに高かったか、あんまりよくわからない。何故だか妙に声が高かった気がする。 『別にいいんだ、そんなこと』 彼は、とても珍しく、きっぱりと言い切って、本当に畑に入って、落ちていた如雨露を使って水やりを 始めた。 『尊敬する人からお願いされたんだ』 ていねいなのか雑なのか、容量悪そうに水やりを終えた彼は、土で黒くなった足を水飲み場で洗って、 濡れた足を投げ出してベンチに腰掛けた。わたしは黙って、噴水の水に手をつけた。水はぬるく、体温よ りは低く、わたしの手にまとわりつく。冷静になれば奇妙に感じるその感触。この手を熱くさせたのは、 この手が温かいと感じ取ったのは、碇くんに触れたからだった。叩いたからだった。 『ごめんなさい』 『え、なにが?』 顔だけ彼に向けたわたしに、彼は水をまく前の土の色をした顔を向けた。自分が何について謝罪したの か、わたし自身が言葉に出来なかったので、それからわずかな間、心地の良くない沈黙が生まれた。何分 間にも感じた。 碇くんが握ってくれた手だった。 碇くんを叩いた手でもあった。 それを思い出してしまった。カメラのフラッシュのように一瞬思い出し、怒りに身を任せた自分を思い 出し、顔が熱くなった。言葉にするには思い出した時間は短かった。ほんとうに、ほんの一瞬で頭の奥 に押し込めてしまったから。 『綾波が謝るようなこと、何もないよ』 碇くんはいつも以上にくたびれた表情で微笑んだ。こんなわたしなんかに。 『じゃあ、僕、戻らなくちゃいけないから』 わたしは彼と同時に立ち上がって、病院の入り口まで勝手についていった。彼は何も言わず、わたしの 右手と触れそうになるほど近づいた方の手の指を、所在なさそうに折り曲げては伸ばしていた。握られる 事も開かれることもない彼の手と近づいていたわたしの手は、距離を少しでも離さないよう、ほとんど前 後に揺れることなく垂れ下がったままだった。
――明日は、碇くんに会えない? 自分の予定を思い出しながら改札を出ると、湿気を多く含んだ空気を感じた。床が滑りやすくなってい るので、少し気をつけながら階段を上がる。階段の下からわずかに見えた空は灰色ではなかった。雨音も ないので安心して地上へ出ると、相変わらず静かな、とても静かな再開発地区の十字路に出た。見渡して も誰もいなかった。会社もほとんどない中止された再開発地区なので当たり前のこと。歩き出すと同時に、 ネルフと繋がるリニアの階段を振り返った。通りの奥に広がる空は晴れていると思っていたのに、実際に は濃い灰色混じりで、虹がかかってもいない。それどころか、やんだはずの雨粒が落ちてきた。
わたしは構わず、いつも通りの速さで歩いた。雨の擬音があんな表現をすることにとても納得させられ る音が水溜りから聞こえる。 ぽつん。 ぽつり、ぽつり、ぽつりと。 ぽつん。 その空の下を歩いて帰るわたしを誰ひとりとして知らない。それならせめて、わたしが家路の途中で雨 に降られていることを碇くんに知って欲しかったけれど、そんな贅沢は考えてはいけないような気がした ので、軽く頭を振って、少し早足で帰る事にした。
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.6 ) |
- 日時: 2010/11/08 18:01
- 名前: のの
- 感想は後日。
上記の【Have you ever seen the rain?】(裏)は、タン塩さんの投下作品にインスパイアされて書いたものです。 勝手に(裏)とかつけるのは失礼千万とは思いつつ、承諾も得ないまま投下してしまいました。タン塩さん、すみません。
まあ、どこらへんが影響受けたんだって、ほんとに一文です。
>あの時はあの時で後悔したけれど
ってところを、14歳当時のレイを設定に書いてみました。 タン塩さんの今回の投下作品。すげえdoc_itohさんの短編ぽい(ちがうんだけど)気がしました。大好きです。嬉しくなってついつい乗っかって書いちゃいました。
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Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.7 ) |
- 日時: 2010/11/09 19:11
- 名前: タン塩
- 最近裏づいてますなののさん。さすが綾幸の裏番長(爆)裏はウェルカムだす。
というかののさんに作品を褒めてもらったのは初めてな気が。 企画が始まってから何も書いてないので、焦って2時間でデッチ上げたインチキ 作品にアンサーソングを頂いて、汗顔の至りでござるの巻。
追記: 改めてエヴァを見直したら、アメリカのNERV第二支部はネバダ州だった。 まいったねこりゃ(笑)ネバダだと砂漠ばかりで雨が降りそうにないし。
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.8 ) |
- 日時: 2010/11/15 12:52
- 名前: calu
- タン塩さん
まさしくキター!ですね。お待ち申し上げておりました。(レス遅くてスイマセン^^;;)
>薄汚れたレースのカーテンみたいな雨が、泥混じりの雪玉みたいな白 >と灰色と黒の雲にぶら下がっていた。 凄い情景描写です。個人的な経験で恐縮なのですが、かつて見たイベリアの 砂漠の地平線に降りしだく雨を思い出してしまいました。
この作品好きです。またの投下をお待ちしてます。
ps. タン塩さんに焚きつけられた『婚前旅行/バリ島編』は20行位書いたところで突然死に(爆)
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.9 ) |
- 日時: 2010/11/18 06:37
- 名前: tamb
- ■ラブラブ仕様/何処
( No.1 )
男の場合、こういう状況(いきなり呼び出した的な)だとジーンズにトレーナー的なラフな 格好の方が萌えるし、お風呂上りで髪が濡れてたりしたら完全に失神するものなのだが、女の 子はそうは思わないのであろう。そのほうが男の子は喜ぶ、と理解するのはもう少しお互いを 知ってからになる。でもこうやってじたばたするのは本当に恋する女の子だ。 使徒が関西弁っぽいのは良い(笑)。
初音ミクのライブ映像は、これが観客含めてフルCGだったらすげえぞと思ったけど、こうい うイベントがあったんだな。初音ミクそのものはどうやって投影したんだろう? どうしても気になるので調べてみた。DILADボードなるそれ用の透明なスクリーンに投影し たんだそうだ。なるほど。
■Have you ever seen the rain?/タン塩 ( No.2 )
満を持してタン塩さん登場。まるで片岡義男の小説に出てくるような古き良きアメリカ。 自己嫌悪的な部分も含めてお互いがお互いの部分になっているような、ある意味では老夫婦 のような境地に達している感じがいい。期待に違わぬ小品でした。良かった。
■雨を見たかい/何処 ( No.3 )
これはいい話だ。今の話と昔の話が交互に出てくるのがすごく効果的で、しかもあざとさが ない。そして過去が今に生きてる。こういう話はなかなか書けない。 そして
> 私達はお日様に内緒で唇を交わした。
このフレーズがあまりに秀逸。 脱帽です。
■ごちそうさま/何処 ( No.4 )
これはこれでとても面白いが感想は書きにくい(笑)。 そういや新婚の奥さんとビデオチャットだかなんだかやってた人がいたな。ああいうのって、 マジで何を話すんだろう? 愛してるとかなんとか? マジで? ほんとに「ごちそうさま」だ。
■【Have you ever seen the rain?】(裏)/のの ( No.5 )
こういう一シーンを切り取って書くことに関してはまさにお家芸とも言えるほど安定感があ る。 レイがとてつもなくレイらしい。「家路の途中で雨に降られていることを碇くんに知って」 もらうことが贅沢だと感じてしまうレイ。このレイが、かつて良く書いていた大学生くらいの レイに繋がると思うと、やっぱり嬉しくなる。
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Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.10 ) |
- 日時: 2010/11/18 10:01
- 名前: タン塩 ID:fFUMSm7_Zm0
- ■caluさん
お待たせして申し訳ない(笑)お題がなかなか合わない。波長が合うとすぐ書け るんですが。しかしいろんなところに行ってますね(`∀´)
■tamb組長 片岡義男とか村上春樹とか、その手は読んだことない(爆)一番影響を受けたの は獅子文六かな。古い(笑)一番最近買った本は『フロイス日本史全訳「第一巻 :将軍義輝の最期及び自由都市堺」』これは面白い。16世紀のポルトガル人宣教 師の、当時の日本人とも今の日本人とも全く違う発想や思考回路が面白い。 つまり、ブンガクは苦手です(笑)
ぶっちゃけこの作品はメセニー的なものをイメージして書きました。というと、 tamb組長あたりからは「やっぱりな」と言われそうな気が。舞台がカンザスなの はそういう訳だ。As falls Wichita.
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Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.11 ) |
- 日時: 2010/11/20 22:51
- 名前: 何処 ID:iPZruZY0pno
- ネッ、ネッ、ネルフの大爆笑〜♪
…え?あ!す、すいません、い、碇シンジです今晩は!
女の子って良く判かりませんよね?例えば…
【罪無き罪】
◇◆◇
「ん…あれ?綾波?どうしたの?」
「碇君…」
「何?急に一体?」
「…」
「?」
「…」
「…?ど、どうしたの?」
「…ごめんなさい…」
「は?」
「もう…駄目なの…」
「え?」
「…さよなら…」
「ち、ちょっと待って綾波?綾波!?綾波!!」
◆◇◆
「はぁ、はぁ、あ、綾波何処に…あれ?」
キーコ、キーコ…
「こ、こんな所にいた…はぁぁ〜、さ、探したょぉ綾波ぃ。」
「碇…君…」
「…理由を…聞かせて」
「…言えない…」
「へ?」
「だって…碇君は悪く無い…うっ…うっうっ…」
「あああ綾波ななな泣かないで泣かないでぇ…」
「ひくっ…うぅっ…」
「ああぁぁ、ど、どうしようか…」
ギュキャキャー!ガウン!キュキキキィィ〜〜!バタム!
「あ、ミサ」「貴様何女の子泣かしとるかぁ!!」
ボクッ!
◇◆◇
「…ミサト、一つ質問があるんだけど。」
「あによ?」
「…泣いてるファーストはともかくさぁ…何でシンジが気絶して簀巻きにされてる訳?」
「…シンジ君がレイの事泣かせてたからよ。全く男って奴は皆」「えくっ、違うんです…」
「…ファースト、何も馬鹿シンジの事庇わなくても」「碇君は馬鹿じゃない!」
「…あり?」「ミサト…何か違わなくない?」
「悪いのは私…ご、ごめんなさい碇君…うぇ…」
「…ねえファースト、一体何で泣いてるの?理由を聞かせて?」
「ヒック…わ…私…私…とんでもない事を…」
「…ねえレイ、一体何をしたの?」
「い…碇君に…い、いつも面倒みてもらってるから、えぐ…お、お礼に、さ、財布を買って…プレゼントしたの…」
「は?」「財布?」
「…そ、そうしたらい、碇君喜んでくれて…」
「?いい話じゃない?」 「?なのに何か問題あったの?」
「う、ううっ…そ、それでお礼にって碇君が、ご、ご飯を一緒に、た、食べに出ようって…」
「何よりじゃない。」「ねえ、何処で何食べたの?」
「イタ、イタリア料理…」
「おおー、シンジ君たらやるじゃない!」「ま、これもあたしの教育の賜物ね!」
「…碇君が、一度連れて来たかったんだって…」
「ふんふん。」「それで?」
「お、お会計の時、碇君が払ってくれて…」
「ほー、シンジも一応気を利かせる様になったか。」 「…アスカ、貴女もシンジ君見習ったら?」 「っさいわね!で、ファーストそれでどうしたの?」
「…お、お会計したら…お会計したら…う、うぁぁ…」
「ち、ちょっとファースト、泣いてちゃわからないわよ、一体どうしたのよ!?」 「ああ泣かない泣かない、ほら話聞いたげるから。鼻かんで」
「チーン…あ゙…有難うございます…その…皆引いたの…財布の音に…」 「へ?」「音?」
「私…知らなかったの…碇君に買った財布が…財布が…」
「あ」「まさか…」
「お財布がマジックテープ止めだったなんて!」
「…あ〜あ〜あ〜…」「やっちゃったわね…」
「あの…あのベリベリ音に…あの視線に…た、耐えられなくて…わ、私、私!」
「…逃げたのね…」 「判る!判るわファースト!!」
「でも…でも私!碇君見捨てて逃げた!ああごめんなさい碇君!」
「…仕方ないわ…」 「…正解よ、ファーストあんたは悪くない!」
「…グスッ…あ…有難うございます葛城さん…セカンド…」
◇◆◇
…結局瀕死の僕が解放されたのは翌朝でした…
息も絶え絶えな僕にミサトさんは「ごっみ〜ん忘れてたぁ!」の一言。 「あんたはつくづくウルトラ馬鹿ね、雰囲気読みなさいよ!」とアスカには何故か怒られ。 泣いて謝る綾波の手前「…もういいですよ…」と答えたけど…
…
ねえ、何で僕が問答無用で殴られて気絶したまま簀巻きにされて次の日まで放置されなきゃならなかったの?
ちなみに綾波から貰った財布は使用禁止だそうで…
何で?
【彼氏の財布がマジックテープ式だった】歌・初音ミク http://www.youtube.com/watch?v=iPZruZY0pno&sns=em
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.12 ) |
- 日時: 2010/11/21 13:28
- 名前: JUN
- 息も絶え絶えに
味噌汁の匂い。鰹出汁だな、とシンジは一瞬で判断した。この匂いで目覚める幸せを、シンジは噛みしめていた。朝起きたら朝食が出来ている。それは素晴らしいことだ 枕元にある時計は、七時を回る少し前だった。そろそろ起きよう、と瞼に纏わりつく眠気を指先で拭い、上半身を起こす。寝起きは悪い方ではないにしろ、冬に入ると布団から出たくなくなるのは人の性だろう。 寝室を出、台所へ向かう。匂いの源に会うために。 「レイ、おはよう」 「おはよう、シンジさん……」 見慣れたエプロン姿の背中に声をかける。眠いのか、声色はどこかふわふわとして捉えどころがない。珍しいことでもないので、テーブルに置かれた新聞を広げる。 一面に一通り目を通したところで、目の前に塩じゃけとご飯、そして味噌汁が置かれる。相変わらずタイミングがいいな、とシンジは感心せずにいられない。 「ありがとう」 言って早速味噌汁をすする。うん、完璧だ。 「おいしいよ、レイ」 「よかった」 エプロンの後姿が答える。弁当を作っているのだろう。それに満足したシンジは、ハンガーにかけられたワイシャツに腕を通し、スーツを羽織る。アイロン当てはあの頃から得意だ。一人暮らしをしていたのだから、当然といえば当然だが。 振り向くと、レイが弁当箱を差し出していた。特に抵抗もなく受け取る。 「シンジさん、お弁当」 「ありがと。じゃあ――」 行ってきます、いつものように抱き締めて言おうとした時、シンジの動きが止まった。 「……レイ、熱がない?」 「え……」 腕の中のレイは、いつもより異常に熱い。足元も、どこか覚束ないように見える。半ば反射的に、シンジはレイの額に手を当てた。 「やっぱり。レイ、熱がある」 「…………」 「熱があるなら、僕も今日は会社――」 「ダメ!」 普段とは想像もつかない鋭い声で、レイは叫んだ。 「わたし……は、大丈夫だから。シンジさんは、会社…………」 強引に腕を振り解くと、レイはシンジの背を押した。その力も、今となっては幾分弱々しい。 「レイ!」 振り向きざまにレイの肩を掴み、シンジは言った。 「無理しないで。今日は休む。レイがなんて言っても、僕は休むからね」 シンジがそう言った途端――――レイは、その場に崩れ落ちた。
息も絶え絶えのレイをベッドに運び、そっと布団をかける。頬は普段の雪のように白い肌とは想像もつかないほどに紅潮しており、異変に気づけなかった自分を恥じるには十分すぎるものだった。 「ごめんね、レイ……」 いつの間にか“当たり前”になってしまっていたのかもしれない。いつでもレイは、会社に行くシンジを笑顔で送り出してくれた。何の不満も漏らさず、いつでも手を抜かず弁当を作り、帰ってくると既に温かい夕食が出来ている。そしてそれをシンジが帰ってくるまで食べずに待っていてくれる。それがどんなに温かく優しいことか、シンジが理解できないはずはなかったのに。 水で濡らしたタオルを額にそっとのせ、シンジはレイの頬を撫でた。眼の下には、うっすらとクマができていた。知らない間に無理をさせていたことに、シンジは改めて気づいた。 「シンジ、さん……」 弱々しくレイが声を上げ、閉じられた瞼が震えながら開く。 「レイ、レイ」 細い手首を握り、指を絡めると、レイは一筋涙を流した。 「シンジさん。ごめんなさい、ごめんなさい…………」 「何言ってるのさ。レイに謝ることなんて――」 「だって、家のことはちゃんとするって、シンジさんと、約束、したのに……」 「……レイ。僕は召使いが欲しくてレイと結婚した訳じゃないんだよ。レイと一緒に生きていきたいと思ったから、レイを幸せにしたいと思ったから、結婚したんだ」 ゆっくり諭すように言うと、レイはようやく表情を和らげた。 「レイ、食欲ある?」 「……あんまり」 「じゃあ、お粥と雑炊、どっちがいい?」 「……お雑炊が、いい」 「分かった。すぐ作るからね」 手早くエプロンをつけ、台所に向かう。一人分だけでいいだろう。自分はレイの作ってくれたお弁当を食べればいい。 昨日の寄せ鍋の残り汁から手早く雑炊を作る。たまには料理もしなくちゃな。なまっちゃうよ。 「七味は?」 「おねがい、します」 「分かった」 辛すぎない程度にふりかけ、出来上がり。悪くない、とシンジは一人ごちた。 お盆に載せベッドに横たわるレイの元へ運ぶ。折りたたみ式の小さなテーブルを取り出し、その上に置く。 レイの上半身を背中から支えて起こし、レンゲを手に取る。 「レイ。ほら、あーん」 「…………」 「どうしたの?」 「子供みたいだわ」 「気にしたら負けだよ。いいじゃない、たまには」 微笑むシンジに、レイも毒気を抜かれたのか、小さな口をぱくっと開けた。息を吹きかけ冷ました雑炊を、レイの口元に運ぶ。 「おいしい?」 「うん」
レイが食べ終わると、シンジは弁当を広げる。風邪で辛かった筈なのに、やはり手抜きはない。 「レイ、ごめんね。辛いのにお弁当なんて」 「ううん。いいの……」 弱々しく微笑み、レイはかぶりを振った。シンジはそれに笑顔を返し、玉子焼きを口に運んだ。 「美味しいよ、レイ。さすがだね」 「うれしい……」 「レイの前でお弁当食べるの、考えると久しぶりだね」 「そう?」 「うん。一緒にご飯は食べてるけど、お弁当は久しぶりだな」 そんな話をするうちに、シンジの弁当は早くも空になった。レイは思わず目を丸くする。 「早いのね、シンジさん」 「あ、うん。会社で早食いの習慣が付いちゃってさ。晩御飯はレイに合わせてるんだけど」 軽く頭を掻きつつ、シンジは言った。 「会社は、どう?」 「悪くないよ。ただ、やっぱりレイに会いたいかな。寂しいし」 「……そう」
「汗、かかない?」 「少し」 「拭いてあげる。待ってて」 シンジは立ち上がり、湯で濡らしたタオルを持って戻ってくる。レイは耳を紅くして俯き気味だ。 「脱いでくれるかな」 「へんなこと、しない?」 「しないよ。弱ってるレイを襲う趣味なんてないしね。恥ずかしかったら背中だけ拭くよ。前は自分で拭けるでしょ?」 「ん……」 そこまで言われることかえって渋りづらいのか、レイはもぞもぞとパジャマを脱ぐ。シンジは微笑んで、レイの背中を優しくこすった。 「どう?」 「気持ちいい」 「そう、よかった。痛かったりしたら、言ってね」 「平気」 背中の汗を拭き取り、そこで一度タオルを濡らし直して、今度はうなじと髪を拭いた。 「前、自分で拭く?」 「ううん。やっぱり平気」 「そっか」 本当に邪気もなく、ただ愛おしさと労わりを込めて身体を拭うシンジに、レイは安心したように眼を閉じた。 「なんだか……お姫様になったみたい」 うっとりして言うレイに、シンジはその身体を拭きながら笑って、 「昔から、レイはお姫様だよ。たった一人しかない、僕の宝物だからね」 たった一人。そのフレーズに力を込めたと思ったのは、きっとレイの気のせいではないはずだった。 「……だから、勝手にいなくなったら、許さないから」 レイはそれには応えず、ただシンジの胸に背中を預けた。それで十分だった。 「会社も、もしレイが寂しいなら、休み増やしてもらうよ。今はそんなに忙しい時期じゃないし……ていうか、NERVからもらったお金で、生活はどうとでもなるしね。だから――」 「ううん」 シンジの言葉を遮り、レイは言った。 「大丈夫。私……少し寂しいけど、でも、シンジさんのご飯作って待ってるの、嫌いじゃないもの。それに――」 シンジの胸から体を起こし、レイは言った。 「いつまでもNERVに頼ってるわけにいかないし、私、普通の主婦になりたいから」 「……そっか」 シンジは言うと、レイに服を着せ、再び布団に寝かせた。 「明日には治るかな」 「多分」 「何か、して欲しいこと、ある?」 「……手、握って」 レイが布団の端から腕を出すと、シンジはそれを優しく取った。 「たまにはこういう日もいいね」 「うん」 もう大分よくなったのか、レイの表情も普段のそれと変わりなくなっていた。額に手を乗せ、シンジは嬉しげに微笑み、立ち上がった。 「晩御飯、今作るね」 「……待って」 「ん?」 「キス」 「へ?」 「早く」 虚を衝かれたシンジはしばしうろたえていたが、それでも優しく覆いかぶさるようにして、レイの唇を奪った。 「ふ……」 初めて交わしたキスも、そういえば看病中だったかもしれない。半ば不意打ちのような形ではあったが、彼女は怒らなかった。 結局二人仲良く風邪を引くという失態を犯し、散々ミサトやアスカにからかわれたのも今となってはいい思い出だった。 「好き、シンジさん……」 「こら」 「痛っ」 急に額を弾かれたレイが、涙ぐんでシンジを見る。心持ち表情を硬くしたシンジに、レイは抗議の目線を向けた。 「何するの」 「耳元でそんなイケナイこと囁くんじゃありません」 「シンジさんがちゃんと空気を読んでたら、でこピンなんてしないわ」 「空気を読んだらキスで終わんなくなることくらい、レイもそろそろ理解して」 「……ばか」 と、一応言ってはみるが、シンジが耳を紅くしていただけでも、レイは十分に満足だった。 「ほら、もう寝て。明日は元気になれるように」 「わかった。……ねえ、シンジさん」 「ん?」 「今度、お休みが取れたら……旅行に行きたい」 シンジはにっこり笑って、頬をそっと撫でた。 「分かった。今月末にはどこか行こう。どこがいい?」 「……食べ物が美味しいところ」 「ん、分かった。探しとくよ。お肉よりお魚がいいよね」 「うん」 「……下関でも行ってみようか。河豚食べようよ、河豚」 「素敵……」 「だから、おやすみ」 「おやすみなさい……」 レイの目を掌で閉じて、シンジが電気を消す。シャワーは明日でいい。 額は通常の体温に戻っていた。無理をさせた自分を反省する。ゆっくりでいいのだ。どんなものを手に入れても、彼女がいなければ意味が無いのだから。 「愛してるよ、レイ……」 ちゅ、とレイの瞼に口付け、隣に横たわる。普段は少し距離を取るダブルベッドも、今日はそっと寄り添った。 「ぅうん……」 シンジが横たわるやいなや寝返りを打ち、胴に抱きつく。ふくよかな胸が押し付けられ、シンジは瞬時息を止めた。 「シンジさん、だいすき……」 天然でこれをしてるんだから、恐ろしいな。そう苦笑しながら、シンジも眼を閉じた。
明日のお弁当は、久しぶりに自分で作ろう……
彼女に初めて作ったお弁当のおかずは、たしか――
おしまい
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.13 ) |
- 日時: 2010/11/21 13:29
- 名前: JUN
- 無理やりすぎてごめんなさい
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.14 ) |
- 日時: 2010/11/22 02:03
- 名前: tamb
- ■タン塩さん
何が文学で何がブンガクで何がそうでないかという議論はさておき、
> 片岡義男とか村上春樹とか、その手は読んだことない(爆)
> つまり、ブンガクは苦手です(笑)
片岡義男って文学か? と思ったのは事実です(笑)。いや、結構好きだけど。文学を志向し てないならブンガクでもないよなとは思うんだけど。
> フロイス日本史全訳
驚くほど興味がない(笑)。レビューを見ると、読むと面白いんだろうなとは思うけど。古本 屋にもそうそう並んでないだろうしな。というか、そういうコーナーに行かないし 。
> ぶっちゃけこの作品はメセニー的なものをイメージして書きました。
パットメセニーには造詣が深くないので「やっぱりな」とは思わんのだけど 、私にと ってのメセニーは独特のスライドとマークイーガンの「ぱああぁぁん」というフレットレスな ので(あと歯ブラシも)、これよりはAirstreamの方がそれらしい。同じアルバムだけど。普 通の人には何をいってるのかわからんと思うけど 、そーゆーこと。
■罪無き罪/何処 ( No.11 )
流行ったよなーマジックテープの財布。回りにも結構持ってる奴がいたけど、あれは当時か ら謎だった。あまりにも必要性がないわな。あれって今でもあるの? それはそれとして「いくらどんがたべたかったわー」が頭から離れないんですけど。なんと かしてもらえませんかね?
■息も絶え絶えに/JUN ( No.12 )
ぶっちゃけ色々お世話しなくていいから寝かせてやれよという気もしなくもないが 、 まあこれはこれでいいかなと。というか、普通に主婦業をやってて無理して体調崩すならそれ はあまりに虚弱体質なので、まずは体力増強をお勧めしたい(笑)。
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.15 ) |
- 日時: 2010/11/26 00:02
- 名前: 何処 ID:5PEntk2Vld8
- ジオフロントを出ると外は雨だった。
【雨を見たかい-S-】
「うわぁ本当だ、雨…」
僕は思わず驚きを口に出していた。
「綾波良く判ったね…外が雨だなんて…」
運転席の彼女は軽く微笑み車を加速させた。 青い車体は豪雨の中を駆けて行く。
僕達はここ数日ジオフロントに籠りきりだった。 漸く一段落したマギ-2ndの調整作業。激務から解放され、明日は二人揃って公休日。残業も奇跡的に一時間で済み久々の解放感に僕も綾波も浮かれていた。
引き継ぎを終わらせ留守の続いた新居へ帰るべく本部棟から一歩出た時、隣を歩く綾波が傘を用意する様にと言ったのだ。
僕は余程妙な表情をしたらしい。外は雨だと告げた綾波はクスクス笑っていた。
「凄いな、予知能力?」
「内緒。」
綾波は少し得意気に言い、ハンドルを切る。
雨か…
雨の匂いの無いジオフロントはやはりどこか人工的だ。
雨の匂い…これを教えてくれたのは先生だった。
***
『今日は雨か…』
『あめ?』
僕の隣を歩く先生は曇天を眺め呟く。 僕の倍はある楽器ケースを持つ小柄な先生を見上げて僕は聞いたんだ。
『何で判るんですか?』
『匂い。』
『匂い?』
『そう…風に混じる埃や水分が肌触りや匂いで私達に雨の来る事を伝えてくれる。』
『雨の…匂い?…判らないや…』
『判らないんじゃない…どう言う匂いか知らないだけ。』
『え?』
『今、シンジ君は私の話を聞いて雨の匂いや肌触りの感触の存在を知った。が、どんな匂いや感触かは知らない。だから知る事ができない。』
『…?…』
『例えば…チェロも呼吸をしている、雨の日は空気の水分で僅かに音が変わる。知らない人にはチェロの音としか判らない。が、知っている人には明らかに違う。』
『へえ…』
『それに気温が低ければチェロも寒がり、暑ければ暑がる。』
『まるで生き物だ…』
『生きてる。』
『え?』
『楽器も音楽も生きている。奏者は楽器と言うパートナーと音楽と言う生き物を育ててる。』
『生き物…楽器も、音楽も…』
…今になって僕は人に説明する事の難しさに直面し、先生の苦労を思い改めて尊敬する。 先生の音楽教室には色々な年代の生徒が集まっていたが、僕ら子供達へも先生は敬語を使い、疑問を誤魔化さず正しく説明しようとしていた。
…綾波にも先生を紹介したかったな…
そんな事を思いながら視線を左へ。左の席で車と対話する様にハンドルを握りシフトチェンジする綾波の手先は弦を持つ先生の手を連想させる優雅さと激しさを宿して動いている。
…僕は一瞬その姿に見とれた…
***
雨は益々激しく、フロントガラスを水流が覆いワイパーはその存在意義を無くしつつある。 流石に綾波も疲れたのか、僕に休憩の意図を伝えてウインカーを出した。
…たまに僕が運転するとウインカーとワイパー間違えるんだよね…
ファミレスの駐車場へ入り停車。僕は傘を差し助手席から降りた。 青のFRPボディを激しく雨粒が叩き、弾ける散弾が僕の胸に飛ぶ。 運転席側へ周りドアを開ける。車から降り立つ綾波は後ろ手にドアを閉め、僕の傘を持つ右手に腕を絡めた。
毎度の事ながら…女性って何でこんなに華奢でいい匂いで柔らかいんだろう?
二人向き直り車に施錠。綾波の為だ、背広の背中に少し耐えて貰い綾波に傘を傾ける。
…華奢だよな…
彼女をエスコートしながらファミレスへ。パンプスで水溜まりを蹴破る様に早足で進む綾波。 傘を叩く雨音は激しく、綾波はそっと身を寄せて首を傾け頭を凭れ掛けてきた。
…こっそり雨に感謝。
***
熱い珈琲に安堵の吐息。 最初の二口をブラックで楽しみ、熱と苦味が胃から脳に伝わった所でスティックシュガーを一本。 目の前で珈琲に砂糖を入れる蒼銀の髪が微かに揺れる。 彼女と夫婦になってもう二年、彼女が別姓にした理由を僕は知らない。 僕が判っている事は彼女が“綾波”と言う名を選んだという事実だけ。
最も、たかが名前だ。喩え姓を変えなくても何の問題も無い。
だが他人は時として“綾波”姓を名乗る妻に、その外見を絡めて憶測と偏見を交えた好意と言う干渉をしたがる。 けど僕は決めたのだ。彼女を妻に迎えると決めた時に『彼女を守る』と。
名も、瞳の色も、髪も彼女の持つ個性だ。もし変えるにしてもそれは僕や周りが決める事ではない。 それは“綾波レイ”が自ら選択する事だから。
窓の外を眺める彼女。窓ガラスを滑る水滴に彼女は何を見、何を思うのだろう。 雨の景色…僕は綾波やアスカやミサトさんや先生と見た雨を思い出していた。
***
『何を見てるの?』
唐突に金色の髪の少女が問い掛けた。音楽を聞く気にもならず壁に凭れて座り只ぼんやりしてた僕はやっぱりぼんやりしながら“雨”と一言呟くように彼女に答えた。
何を思ったのか、彼女も僕の隣に腰掛け、窓の外を眺める。
『止まないわね…』『うん…』
隣の体温が気持ち良くて逃げ出したくなる。だけど動く気にもならず僕は只外を眺め…
二人揃って寝転けていたらしい。僕らは頭を凭れ合って寝ていて…ミサトさんに毛布を掛けられた僕らの姿を証拠画像に撮られていてあの後大変だった…
ミサトさんは帰ってこなかった。遺された遺言状には財産の相続人としてアスカ、綾波、僕の三人が指定されていて、僕らが成人した日、アスカはフェラーリ、綾波はもう一台のルノーを受け取り、僕はマンションを相続した。 ミサトさんと最後に見た雨の風景は…
『雨ね…』
『折角の休みに残念でしたね。』
『…ねぇシンジ君…』
『はい?』
『雨の海って見た事ある?』
ミサトさんの顔を見上げながら“否”と首を横に振る。
『…じゃ、今から見に行きましょ!』
『え!?い、今からですかぁ!?』
『そ!思い付いたが吉日よ!』
『…結局自分が行きたいだけじゃ…』『あんか言った?』『いえ何も』
そして僕はミサトさんのドライブに付き合う事になった。着いた海は…
『誰も…居ませんね…』
『そうね…』
車を降りた僕らの前には荒れる海。 鉛色の空、降り頻る雨、波頭は白く砕け灰色の砂浜を洗う…その景色に僕は圧倒された。
『…こんな海、初めて見ました…』
『…私は…何度か…』
…ミサトさんもこんな顔をするんだ…
『…何でここに来たんです?』
『…私が最後に笑った海…だからかな?』
『え?』
『…シンジ君…心から笑うってとても大切な事なの…』
僕は何も言えず、ミサトさんと暫く海を見ていた。
『…帰りましょ。』
『…はい。』
帰りの車内でもミサトさんは無言だった。
…あんな寂しそうな姿を、僕はもう一人しか知らない。 そのもう一人…綾波と雨を最初に見た時…あれはシンクロテストの日だった…
ジオフロント入口前、不意に少女が傘を畳み空を見上げる。
『!?…綾波、何を…』
『…雨に当たっているの…』
目の前に立つ少女は振り向かず告げる。その彫像の様な姿は遠く…美しかった。
『濡れるよ…』
『…これからシンクロテストだから濡れるのは一緒…』
『だ…だけどさ…』
『時間ね…じゃ、行きましょ。』
『あ、ま、待って綾波!?』
歩き出した綾波を慌てて追いかける。
『…何故?』
『何?』
『何で傘を閉じたの?』
『…雨を感じたかったの。』
『だからってわざわざ濡れるなんて…』
『?…良く判らない…雨に当たれば当然濡れるわ…』 『そ、そう言う意味じゃ…はぁ。』
『?』
雨に打たれる綾波を再び見たのは全てが終わり、又始まって一年が過ぎた頃だった。
***
回想に耽る僕に不意に声が掛かる。
「お待たせいたしました、ケーキセットの苺ミルフィールとザッハトルテになります。」
「「あ、ありがとう。」」
僕らは同時に同じ台詞を口にし、思わず顔を見合せた。 その間抜けさに思わず僕と綾波は同時に吹き出してしまい、可愛らしい店員にまで笑われてしまった。
「ご夫婦ですか?」
「ええ、もう二年になります。」
未だ笑いの止まらない僕の代わりに答える彼女。
「いいなぁお二人仲良さそうで。」
「そう?ありがとう。」
未だ少女らしさの残る店員は“私もあんな車で迎えに来て欲しい”と僕を見る。 …僕ペーパードライバーなんだけどな…
夢を壊さぬ様に笑顔で“でも車のローンで大変だから”とそっと話題をすり替える綾波。 その気遣いが又何故か可笑しくて僕は笑いを止められずにいた。 暫く話をして彼女が去り、向き直った綾波は僕がまだ笑っているのを見て不機嫌な様子だ。
「碇君、笑いすぎ。」
「ごめんごめん、何か可笑しくってさ。」
「もう…」
ハムスターみたいに頬を膨らませ綾波は僕のミルフィールから苺を取…あああああああっっっ!?
…それは無いよ綾波ぃ…
***
あれは高校の夏休み、雨の中買い物に出た僕は公園に佇む蒼銀の髪の少女を見た。 傘も挿さず雨に打たれて空を見上げている。
『綾波!?』
走り寄り傘の外に手を伸ばし、少女の手を掴む。 その冷たさに思わず手を戻しそうになり、なんとか踏み止まって僕は彼女の手を握り続けた。
『冷たい。』
『…雨に濡れるとはそう言う事。』
『…知ってる…』
『…そう…』
…そう、知っている。あの日の僕も雨粒に叩かれながら空を見上げていたから。
雨粒に叩かれながら空を見上げる綾波。 雨粒に叩かれながら空を見上げる僕。
先生は何も言わず僕を見ていた。 僕は何も言えず綾波の手を握っていた。
あの日の少年が呟く 『…僕は…いらない子供なのかな…』
目の前で天を仰ぐ少女が呟く 『…私…人…それとも…』
視界が急に黒くなる。振り返れば先生が傘を差し伸べていた。
僕は綾波に傘を差し伸べていた。驚いた様に振り返る少女に僕はあの日の先生と同じ事を告げる。
『『…そのままでは風邪を引くよ。帰って風呂に入って服を着替えて美味しいご飯を食べよう。』』
『…はい。』 僕は答える 『…はい。』 綾波が答える
先生は僕の手を取り歩き出した。 僕は綾波の腕を握ったまま歩き出した。
この手は錨、僕を停める錨。錨を握り返す僕の腕は錨鎖。 僕の手は錨、引き留める為に掴む君の腕は絆。
先生… 綾波…
***
あの時何故綾波が雨に打たれていたのか、理由は今でも知らない。 けれど、僕は覚えている。あの雨と、僕の手を引く先生の姿と掌の熱さ、雨に打たれてなお美しい少女の姿とその身体の冷たさを。
雨の度思い出す記憶…忘れる事は無いだろう。
「そろそろ行こうか。」 「ええ。」
会計を済ませ外へ。雨脚は弱まったが相変わらず止む気配は無い。 僕らは一本の傘の下に身を寄せ合い車へ歩く。
「子供…未だ作らないで欲しいみたい…託児所の拡張計画が来期まで伸びたみたいで…」
綾波が告げる。
「未だ子供は早いんじゃ無いかな…」
苦笑混じりに答える僕は、言葉を継いだ。
「…出来ちゃえば関係無いけどね。カヲル君の処みたいに。」
あ、綾波がむくれてる。
「…そのせいで私有給消化出来ないのよ?」
それはそうだ。今日の残業だって本来は彼女の領分の筈だったのだ。
「…産休から彼女が帰るまで半年か…」
綾波がふと視線を遠くに向けた。雨煙る景色の向こう側に… その表情はあの日の綾波と同じ。 …だけど綾波は僕に手を絡めている。その手は僕の錨、君の絆。
「…ねえ碇君、雨は好き?」
不意に綾波が問い掛ける。
「うーん洗濯は乾かないし」「そう言う事じゃ無くて」
わざと言う僕を振り向き睨む綾波。何と言うか…可愛い…
「…今は好きだな。こうして相合い傘が出来るし。」「私も。」
傘の中二人、雨の天幕の下で僕らは太陽に隠れてこっそりキスをした…
…新居への帰宅が次の日になった事は秘密。
【I Sing For You】巡音ルカ http://www.youtube.com/watch?v=5PEntk2Vld8&sns=em
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.16 ) |
- 日時: 2010/12/04 08:37
- 名前: tamb
- ■雨を見たかい-S-/何処
( No.15 )
裏バージョンは表バージョンに優ることはない、ってな話がありますが、これもその頚木か らは逃れられない。同じ話だからね。でもこっちを先に読んだらこっちの方がいいって思った かも。そのくらいには良く書けた話。
> ウインカーとワイパー間違える
良くある話だw
はるか昔、女の子と車で走っていて夜になって、海を見よう、と言ったら、真っ黒だよ、と 言われたことを不意に思い出した。
> I Sing For You
展開に無理があるのではなかろうか 。
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.17 ) |
- 日時: 2011/04/17 23:51
- 名前: tamb
*****雨の日の幸せ*****
雨が降っている。 わたしは部屋の窓からそれを見ている。
たとえば猫たちは、こんな雨の日はどうしているのだろう。 きっとどこかの軒下や東屋、橋の下とかのお気に入りの場所があって、そこで雨を見ながら うずくまったり寝転がったりして、雨止みを待っているのだろう。今の私と同じように。 わたしも猫たちのお気に入りの場所に行って一緒に雨止みを待ちたいけれど、きっと迷惑だ し場所もわからない。 雨止みと綾波――わたしの名前だ――はちょっと似ていると不意に思う。
猫たちは姿を隠しているけれど、カエルやでんでん虫は元気だ。 カエルたちは晴れの日でもそれなりに元気で、夕方にはげこげこと大合唱を始めるけれど、 でんでん虫は何をしているのだろう。やっぱりお気に入りの葉っぱの裏で殻の中にうずくまっ て雨を待っているのだろうか。
雨が降ってくると、わたしは碇くんの差し出してくれる傘の中に入る。濡れた髪を拭いても らって、甘い紅茶を口にする。ぬくもりをもらって、少し冷えた身体が暖かくなる。そこはま るで猫たちの好きな陽だまりのような、暖かな場所。
わたしは碇くんに傘を差し出してあげられているだろうか。
振り向くと、彼はベッドにもたれかかり、読みかけの本をそのままに居眠りをしていた。 ほっぺをつまんで引っ張ってみる。彼のほっぺは柔らかで、びっくりするくらい長く伸びた けれど目は覚まさない。 キスしてみる。 やっぱり起きない。 王子様は白雪姫のキスでは目を覚まさないということがわかった。あるいは碇くんも私も白 雪姫だったり王子様だったりはしないということか。たぶん、その両方だろう。 居眠りを続ける碇くんに毛布をかけ、私もその中に入った。彼の肩に頭を預ける。皮膚が溶 けてしまいそうな安心感に身を委ねた。目を閉じれば今にも眠ってしまいそう。 碇くんのキスで目を覚ましたいけれど、わたしも碇くんも白雪姫でも王子様でもないなら、 やっぱり眠ったままだろう。 気づいたら朝だったでは眠りすぎ、と思いながらわたしは眠りの中に落ちていった。 夢の中でもわたしは碇くんの隣にぴったりくっついている。たぶん。きっと。
雨は止んでいる。
時は春、 日は朝、 朝は七時、 片岡に露みちて、 揚雲雀なのりいで、 蝸牛枝に這ひ、 神、そらに知ろしめす。 すべて世は事も無し。
------- ロバート・ブラウニング「春の朝」/海潮音(訳詩:上田敏)より
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息も絶え絶え ( No.18 ) |
- 日時: 2011/05/05 13:33
- 名前: タン塩 ID:Ud-0vhTmEFc
- 「綾波、それ何?」
「とうとう買ったの。ジョニー・ウィンターシグネチャーのファイアバード」 「た、高いんじゃない?」 「たいしたことないわ。たった八十万円」 「十分高いよ!」 「ジョニー・ウィンターのギターなら買わない訳にはいかないの」 「そんなにジョニー・ウィンターが好きなの?」 「ジョニーのソウルが私を揺さぶるの。アルビノでもあれだけ出来るということ を教えてくれたから」 「綾波のiPodに入ってる曲って…」 「今は『ジョニー・ウィンター・アンド/ライヴ!』がヘビーローテなの。スト レートなロックンロールも、ディープなブルースも好き」 「でも、八十万も出してギター買わなくても…」 「碇くんこそ、そのギターは何?」 「ロ、ロリー・ギャラガートリビュートのストラトだよ。五十万で安かったんだ」 「無駄遣いだわ」 「何言ってるのさ!ロリーこそ最高のブルースロッカーだよ!」 「もしかして、碇くんのDATには…」 「『ライヴ・イン・アイルランド』だよ。ロリーのアイリッシュ魂が僕を揺さぶ るのさ。漢の中の漢だよ」 「漢の中の漢はジョニーよ」 「ロリーだよ!」 「ジョニーよ」 「言い争ってても仕方ないよ。ギター・バトルで決着を付けよう」 「望むところよ」
「はぁ、はぁ…」 「だ、大丈夫?綾波。途中から違うバトルになっちゃったけど」 「よかったわ……」 「僕もよかったよ」 「認識が変わったわ。本当の漢の中の漢は、い・か・り・く・ん」
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.19 ) |
- 日時: 2011/05/12 01:04
- 名前: calu
-
■□ 息も絶え絶え - Thrill - ■□ 「碇くん、またやってしまったわ」 「ど、どうしたんだよ、綾波……ま、またATフィールドで父さんを打っちゃったの!?」 「違うわ。ギターを買ったの」 「そ、そう。それなら良かった…じゃなくって! こないだファイアバードを買ったばかりじゃないか!」 「必要なんだもの」 「で、でも、また高かったんじゃないの?」 「そんなこと無い。あのランディ・ローズの74年レスポールカスタムが、たった六十万円だったもの」 「た、高いよ!」 「問題無いわ。ネルフカード使えたもの。一回払いで」 「ええっ!? 来月、落ちるかなぁ? 実はさ、僕も今日さ、本部からの帰り道に、その…やっちゃったんだ」 「人でも刺したの?」
ちがうよ、これ、と足元に置いていたブラウンのハードケースを上がり框に置くと、シンジは宝箱を見つけ た子供のように表情を輝かせケースを開けた。
「67年のフェンダームスタングなんだ。昔チャーが使ってたのと同じものなんだけど、三十万円で安かった んだ」 「無駄遣いだわ」 「ど、どうしてさ? 必要だったんだから仕方がないじゃないか!?」 「嘘。碇くん、こないだストラト買ったばかり」 「違うんだよ。こいつのフェイズアウトサウンドじゃないとダメな曲も、その、あるんだ」 「シングルコイルの音、良くわからない」 「音像がデカいだけのハムバッカーとは違うよ」 「音だけじゃない。とても奇麗なの。見て、このランディローズホワイト」 「黄ばみ具合じゃムスタングも負けないよ! チューニングなんて全然合わないんだ!」 「碇くん、酷い。わたしのギター黄ばんでなんかない。チューニングも狂わないもの」 「…やっぱり決着をつけるしかないんだね、綾波」 「ギター・バトルなら受けて立つわ」 「じゃあ、僕は『スモーキー』。綾波は?」 「『クレイジートレイン』。じゃ、お先に。碇くん、アンプはこれで行くわ」
気まぐれな風にふわりと捲られたスカートのように、翻ったシーツの下から顔を見せたのは一点の曇りなき 1959RRの純白のヘッド。これも一回払いなの、と清流のようにシンジの耳を過ったレイの言葉に、エド ヴァルド・ムンクの叫びそのものの形相に顔をモディファイさせたシンジ。その無辜の少年を尻目に、レイの 怒涛のチョーキングビブラートが天地を裂く。
「ちょ、ちょっと待ってよ、綾波!」 「何?」 「その、もう少しストラップを長くしてさ、ギターを立てるように構えた方がカッコいいと思うよ」 「……こう?」 「い、いや、ちょっと後ろからゴメンよ。……こう、こんな感じでさ」 「いい感じだわ」 「うーん、でも、まだ何かが違うんだ、けど……そうだ! スカートが長過ぎるんだ」 「制服なんだもの……あっ、でも、このあいだマリが泊っていったときに忘れていったのがあるわ。あれなら 短い。ちょっと待ってて、碇くん」 「う、うん」
「どう、碇くん?」 「あ、綾波、いい、凄くいいよ。その、とてもカワイイよ」 「でも、何だかスースーするわ」 「それでギターを構えてよ。……そう、ヘッドを立てるように構えて」 「こう?」 「それでさ、少し脚を開くんだ」 「え?」 「こう!」 「ひゃん!」 「あ綾波、もう少しだけ、こう…」 「嫌…碇くん、いや…」 「ああ綾波、ダメだよ、さ、最強のメタルガールを目指すんなら、我慢しなくちゃ。ぼ、僕も我慢してるんだ からさ」 「何? 我慢って…嫌、碇くんの息…荒い……あ?」 「な、何さ?」 「……鼻血」
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……ごめんなさい、タン塩さん
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.20 ) |
- 日時: 2011/05/12 19:04
- 名前: tamb
- ■息も絶え絶え/タン塩
( No.18 )
ジョニーウィンター萌えの綾波さんというネタはちょっと前にリークがあって、確か煽った ような覚えがある。で、そのネタがここに結実。この無意味さが実にいい(笑)。
いわゆる麻雀漫画(劇画)というものがある。これにはヤクザ同士の抗争の決着を麻雀でつ けるという物で、なぜ麻雀で決着がつくのかは謎に満ちているが、一定程度以下の抗争であれ ばやたらと血で血を洗うよりは遺恨を残さないというヤクザの智恵なのであろうと思われる。 いずれにせよ異常に麻雀の強い構成員というのもそうそういるわけはないので、健とか哲とか 竜とかそういう才能を代打ちとして雇って戦うわけだ。
ジョニーとロリーのどちらが漢かという論争の決着をギターバトルでつけるというのは、上 記のような抗争を麻雀でつけるというよりははるかに分かりやすく必然性もある。だが途中か ら違うバトルになるというのはヤクザが抗争の決着を麻雀でつけるよりもはるかに深い断絶が あると言わねばならない(笑)。その違うバトルがどのようなバトルなのかにもよるが、恐らく ギターは置かねばならぬであろうし。 私の経験だと、アマチュアがギターバトルを行った場合、演奏技術やフレーズというよりも 音量勝負に向かう傾向がある(笑)。音がでかい方が勝ちである。レイとシンジのバトルもその 方向に向かったとすると、近隣から苦情がきたという可能性は想像に難くなく、それがギター を置いたきっかけになった可能性はある。繰り返しになるがその違うバトルがどのようなバト ルかにもよるのだが、バトルである以上それなりの音声は発せられた可能性は否定できず、そ れはそれで近隣にとっては迷惑な話ではある。そういやドクター秩父山にそんなバトルのネタ があったなと不意に思い出した。
話をギターバトルに戻すが、前にもちょっと書いたような覚えがあるがギターバトルという とクロスロードという映画を思い出す。映画のネタバレをどこまで書いていいのかは悩ましい が、終盤で主人公が悪魔の手先とギター対決をするわけだ。この悪魔の手先を演じているのが なんとスティーヴ・ヴァイである。スティーヴ・ヴァイ、ルックスがいかにも悪魔っぽいのも 素晴らしいが、演技力も実に素晴らしい。普通の演技も素晴らしいが、ギターを下手に弾くと いう技術も驚異的なものがある。これには感動した。本当に弾けないように見える(笑)。 ちなみに主人公の少年はラルフ・マッチオという『ベスト・キッド』という映画の少年なん だが、そんな超絶ギターテクを持ってるはずもなく、実際のギター演奏は大部分は音楽監督で あるライ・クーダーが弾いている。ギターバトル部分もライ・クーダーが弾いてると思ってた んだが、最後の部分はスティーヴ・ヴァイが弾いてるとwikiに書いてあった。いずれにせよ、 少年の当て振りの技術も素晴らしい。 ここまで書いたのでアドレスも書いてしまおう(笑)。今さらなんだけどネタバレなんでよろ しくね。パガニーニ最強、ネオクラシカルメタル無敵である。 http://www.youtube.com/watch?v=qs9Nc5QHkL0
ちなみにジョニーウィンター、去る4月13〜15日に来日公演があった。なんと初来日である。 http://www.barks.jp/news/?id=1000069058
■息も絶え絶え - Thrill -/calu ( No.19 )
既に無意味なのか難解なのかすら判然としない(笑)。 今もあるのかどうか良くわからんけど、俗に百貨店と呼ばれていた楽器屋が御茶ノ水にあっ た。たぶん須賀楽器、もしかすると三鷹商店なんだがよくわからん。で、そこにあったムスタ ングをCharが買ったという話があった。その話が本当だとしたら私はそのムスタングを楽器屋 で見ている。色はチェリーだったかキャンディアップルレッドだったか。値段は5〜6万だった ような気がする。少なくとも10万は切れてた。私としてはそのイメージが強いので30万は高す ぎると思うのだよ(笑)。
> 「黄ばみ具合じゃムスタングも負けないよ! チューニングなんて全然合わないんだ!」
うけた(笑)。昔、先輩が持ってたパールホワイトだかの楽器が黄ばんでるような気がしたの で、この楽器、黄ばんでませんかと言ったら、これはこういう色だと力説されたことがあった。 そして一部マニアには、このギターチューニングあわねえんだよなと嬉しそうに言う奴が実 在する。 アンプの話は……まあいいやw
音の抜ける楽器はいい楽器だというのが定説というか当然なんだが、何でもかんでもスコー ンスコーンと抜ければいいというものでもない。やかましくてしょうがない(笑)。
ランディローズでもジョニーウィンターでもなんでもいいんだが、とにかく金銭感覚を何と かしろ(笑)。それからタン塩さんもcaluさんも、レイの買うギターの方が高額なのはなぜだ!
> 最強のメタルガールを目指すんなら
目指してるのか!?
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.21 ) |
- 日時: 2011/05/15 14:39
- 名前: タン塩 ID:mDZnwPzE8GE
- ■caluさん
ランディ白カスで来たか!綾波さんはギブソン党なのか!? ちなみにムスでなくデュオソニを買ったのは、まさにチューニングの問題です。 なんせムスのダイナミック・ビブラートは、チョーキングだけで狂うという噂の ある危険な奴です。一方デュオソニはチューニングは問題なし。チューニングが 狂わなくて値段が安いと来ればデュオソニ買うでしょう(笑)ちなみにファイア バードもギャラガーストラトも持ってない!まさかcaluさんは白カスを!?
■tambさん ドサ健や坊や哲や哭きの竜!あんた、背中が煤けてるぜ…… しかしクロスロード(映画)。いかがなものか的な意見多発の問題作。ヴァイが出 ると聞いて見に行って悶絶とか、あんなR&B臭いウィリーブラウンがあるかとか 多方面からのツッコミに曝されましたな。
というわけでウィリーブラウン。
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.22 ) |
- 日時: 2011/05/19 17:46
- 名前: tomo
- ■ギターの話
tambさん,caluさん,タン塩さんのお話がディープすぎてついていけない(笑) でも,tambさんが紹介してくださった映画の映像はすごく面白かったです。
ギターバトルというのをはじめてみたんですけど,映画の演出がちゃんとしているから,見ていて意味がわかる。 最初の小手調べのような掛け合い,その後,悪魔の手先と踊り子のお姉さんの共演,それに対応するかのように,主人公と老人の二人組。 そして,圧倒的な力を見せつけられて負けそうになる主人公とそれを覆す見事な最後。
シーケンスがしっかりしているから(たとえば老人の演技で主人公が不利になっていることが分かる),ギターについてそれほど詳しくなくともちゃんと意味がわかる。すごいなって思いました。 ……あ,作品の感想じゃなくなってる。 すいません(爆)
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Re: サイト開設十周年カウントダ ( No.23 ) |
- 日時: 2011/05/21 20:18
- 名前: タン塩 ID:rDNP-NEe2C8
- tomoさんありがとうございます。そもそも発表するつもりじゃなかったんですが、
某tambさんが「いいから載せろ」とご無体な命令を(笑)
という訳でロリー・ギャラガーの動画を。この動画は伝説のアイリッシュツアー 1974ですね。冒頭の観客の盛り上がりがハンパないですが、その背景を最近知り ました。 当時のアイルランドは北アイルランド問題でテロが相次ぎ、経済もガタガタで失 業率がすごく、職のない若者が街頭で暴動を起こす状況でした。 ロリーのベルファストでのライヴ当日に同時多発爆弾テロが起きて大騒ぎになり、 交通もマヒしたためライヴ中止の話が出たが、夕方になるとチケットを持った若 者達がライヴ会場を取り囲んで騒ぎ始めたため、中止すると暴動が起きるかもし れないということでライヴが決行されました。この動画の観客の熱さはそういう 背景のある、いわば切羽詰まった熱さなんですね。ロリーのファン層は、失業し た若者層そのものですから。そして、そんなファンを前にして男臭さムンムンの ロリー。たまんねっす。
『いれずみの女』 http://www.youtube.com/watch?v=rDNP-NEe2C8
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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十一月 ( No.24 ) |
- 日時: 2011/05/28 10:35
- 名前: calu
- ■tambさん
>既に無意味なのか難解なのかすら判然としない(笑)。 無意味です(笑)。単にタン塩さんの作品に反応しただけでして(爆)。 >レイの買うギターの方が高額なのはなぜだ! 「決済するの、碇くんの口座だもの」
■タン塩さん >綾波さんはギブソン党なのか!? あい。出ないっすかねー、カスタムショップから白カスのレイギター。 白いからイメージはぴったりだと思うんですが。買えないだろうけど(笑)。 >まさかcaluさんは白カスを!? VOSを物色しようとした時には既に完売ですた…。
■tomoさん 読んでいただき有難うございました! ギターの世界にようこそ、なんて。なんとも特殊な世界ではありますが、 綾波さんも少しづつ機材をシンジくんに内緒で買い揃えているらしいので、 またこのシリーズで投下したいです。タン塩さんの作品をトリガーにして(爆)。
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