Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十月 ( No.16 ) |
- 日時: 2010/12/04 08:39
- 名前: tamb
*****輝ける未来の果てにあるもの*****
すぱーん。
軽快な音がいきなりキッチンに響いた。
「なにすんのよ!」
じゃんけんに負けてみんなの分のコーヒーを淹れていたアスカがお尻を押さえて振り返る。 そこにはカヲルが立っていた。
「いや、君のお尻がぶってって言ってたからさ」 「アタシのお尻は喋りません!」 「喋るよ」 「喋りません!」 『ぶって』 「ほら」
すぱーん。
カヲルはアスカの腰に手を回し後ろを向かせてお尻を叩いた。
『いい音。ぶって。もっとぶって』
すぱーんすぱーんすぱーん。
実際、アスカのお尻は喋ってはいない。当然である。 声はリビングの方から聞こえていた。 リビングではレイが雑誌を眺める振りをしながら視界の隅でアスカの様子をうかがっていた。
まったくコイツは――。
妙なことばかり憶えやがってとアスカは口の中で毒づく。
『ぶってぶって』
すぱーんすぱーん。
「いい加減にしなさいよ!」
アスカがついに切れる。
『じゃあなでて』 「なでたら殺す!」
ソフトに手を伸ばそうとしたカヲルに向かって、アスカはドスの効いた声で凄んだ。カヲル もさすがに笑顔を引きつらせて思い止まる。 睨み付けるアスカ。 脂汗を流すカヲル。 この状況からどうやって逃れればいいのか。 結局、カヲルにはこうするしかなかった。
『ぶって』
シンジは事態を打開しようと立ち上がってキッチンに向かおうとしたところだった。シンジ はカヲルの――自らの尻の声を聞いて立ち止まった。 レイがゆらりと立ちあがり、シンジに歩み寄る。 そして。
すぱーん。
軽快な音が響いた。
シンジは続く展開を予想した。自らの意思によらない自らの行動を。そして、彼の予想通り に事態は展開した。
『ぶって』
アスカの――レイのお尻の声に導かれ、シンジは行動を起こした。あたかも自動機械の如く。
すぱーん。
「……わたしのお尻が、喋ったの?」 「う、うん……」 「……そう。なら仕方がないわね」
そして、誰かの尻またはお尻が再び喋り始めた。
『ぶって』すぱーん。 『もっと』すぱーん 『甘く』すぱーん。 『ああ』すぱーん。 『下から』すぱーん。 『とっても』すぱーん。 『くせに』すぱーん。 『稲妻が』すぱーん。
既に誰の尻あるいはお尻が喋っているのか判然としない状況の中、誰かの尻またはお尻の声 と軽快な音が響き続ける。
『なんだか』すぱーん。 『どうして』すぱーん。 『んぅ』すぱーん。 『すぼめて』すぱーん。 『このままじゃ』すぱーん。 『開く』すぱーん。 『ほぐれて』すぱーん。 『未知の領域に』すぱーん。
もはや完全な無限ループ、四面楚歌というかガマの油というかそういったゾーンに突入して おり、そこから抜け出すのは容易ではない。何とかしなければと四人が四人とも思う。このま までは衰弱死する。愚かな話である。だがどうすれば脱出できるのかわからなかった。
『夢の中で』すぱーん。 『チャクラが』すぱーん。 『アラバマ』すぱーん。 『まばゆい閃光』すぱーん。 『枯葉よ』すぱーん。 『純白の』すぱーん。 『ほとばしる』すぱーん。 『限界が』すぱーん。
だが全員が死を覚悟した時、奇跡は起きた。ミサトという名の生贄が能天気にも現れたのだ。
「ただいまー。あれ、みんなどうしたの?」
四人の心がひとつになった。
『ぶって』
完璧なユニゾンと共に四人はミサトのお尻に殺到した。
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