Re: 親父補完委員会((笑))【ゲン ( No.32 ) |
- 日時: 2014/02/26 21:47
- 名前: 何処 ID:nFnstsJPD5g
- 【外伝−大人のお仕事(或いは通常営業)−その1−】
《ぼくらの16bit戦争》 http://www.youtube.com/watch?v=GvYf8qdr0s8&sns=em
平日の真っ昼間、シンジ君の現場教育と気分転換を兼ねてリツコと3人で第四使徒解析現場へ見学に行った。
彼に必要なのは自信、それと私達に必要とされている事実と向き合う勇気。 自分の成果をその目で確認させ、その身で実感して貰う。 …などと偉そうな御託並べ立て申請許可をもぎ取ったものの、その実態は只のガス抜きだ。私とシンジ君の。
何しろ養育義務放り出して仕事にのめり込んでろくに面倒見なかったツケで一度は彼がエヴァから降りる事を認めてしまった負い目がある。 ペンペンの世話から家事一切まで彼に任せてひたすら仕事に… …認めよう。私は仕事に逃げていた。
親愛の情を必要以上に持てば辛くなるのは昔の男で散々やらかした挙げ句身に染みていた筈だったのに。 私はシンジ君を…見るのが怖かったのだ。
人類の希望なんて凡そ覚えも着かないだろう、どこにでも居そうな14歳の少年にその大きすぎる存在…エヴァンゲリオンを委ねざるを得ない。 そんな事態でなければ私は何の感傷も躊躇いも無く壱現場指揮官として彼に対しても振る舞っていられただろう。
それが一番楽だからだ。
普段はともかく、いざと言う時の冷徹さ、冷静さを保ち命令を下す為には配下との完璧な信頼か、或いは完全な割り切りが必要だ。
そんな大人の対応を当然と受け止め、自我に惑わされず命令が無くとも目前の現実に対処出来るプロフェッショナル。 それこそが対使徒決戦兵器たるエヴァの搭乗員に求められる資質だろう…本来なら。
そう、レイの様に端からエヴァンゲリオンパイロットとして訓練された相手ならば、実務的な遣り取りだけで済む。
だけれども私は彼を引き取ってしまった。
重なってしまったからだ。 大人の事情を振り翳し私達大人の都合で振り回される少年の姿が、昔の私と。 そして…
案の定、私は彼を恐れてしまった。
一緒に暮らして漸く判った。今更乍だが。 彼は私の憐憫感傷や贖罪意識の解消相手でも幼いだけの子供でも物分かりの悪い餓鬼でも大人の都合で振り回されるだけの道具でも無い、 極普通の在りふれた只の思春期の少年だ。
その普通さが私を恐れ怯えさせた。
稀に見せる彼の屈託無い笑顔は私の良心を刺激し 彼の拗ねた表情は私に罪悪感を与え 彼の寂しげな表情に私は過去の自分を重ね 彼の無気力に遠くを見る姿に所詮他人だと思い知らされ 彼の真剣な表情に期待と信頼を無責任に寄せている自分を嫌悪し それでも彼に頼らざるを得ない己に絶望しながら
…大人の無責任を、いいえ私の罪を彼の姿に見出して
私は彼に恐怖した。
だから
彼が彼自身の決断でエヴァを降りると決めたと知って私は安堵したのだ。
無責任にも私は彼に責任を負わせずに済み、私自身彼の上司としての責務から解放される…その事だけしか思わなかった。
昔に戻るだけ、一人の部屋、ペンペンとの暮らしに帰る…
パイロットが居なくなると言う重大性すら些細な事だった。 寧ろ彼が自ら決断を下せた事を喜んでいた。
何故か至極あっさり彼の解任が決まり、私自身も身辺整理を始めた。 パイロットを引き留めもせず辞めさせた人間が責任を問われる事は間違い無いだろうから。 幸か不幸か仕事に没頭していたお陰で引き継ぎも至極簡単に済みそうだった…皮肉な事に。
そして彼が第三新東京を去る日
私はやはり寂しかったのだろう。 気付けば仕事を人に押し付け駅へ彼を送りに自ら向かっていて
そして…彼は。
―――
「あーっ疲れた〜!しっかしリツコも意外と冷静で面白く無かったわねー、もう一寸興奮してるかと思ったのにな〜。」
「…人間に近い…使徒が?」
「ん?どったのシンジ君?」
「え?あ、いや何でも…あ、僕これからシミュレーター訓練ですんでここで…」 「え?今日だっけ?」
「その…どうせ来たなら今日やって明日休ませて貰おうかと…」
「お〜、シンジ君も要領良くなったわねー。」
「ミサトさん見習ってますから。」
「…それ、どう言う意味〜?」
「良い意味ですよ。多分。じゃこれで。」
プシュン
「ちょ!…やっぱ親子ねー、稀に見せるあーゆー可愛げの無い所は。ん?あそこで珈琲飲んでサボってるのは…丁度良いわ。」
カッカッカッカッ
「ねー日向君、ちょっちいいかしら?」
「?はい、何ですか葛城さん?」
「君確か今度予備自衛官訓練で向こうに行く筈よね?」
「はぁ、申請通り相模原です。古巣の実験中隊で航空適性検査を3日程の予定ですけど。 何しろ機種転換訓練の後全翼大型機では暫く飛んで無いもんですからね、正直ここのシミュレーターだけじゃ不安ですから勘を取り戻さないと。」
「あらぁ?元戦術教導隊首席操縦士が随分とご謙遜ねぇ?」
「何しろ“元”ですから。 そりゃ今の機体はほぼ電子制御でオートパイロット使えば手離しでも航路選択から離発着だって勝手にしてくれますけど、幾ら自動化が進んでもやっぱりいざと言う時に物を言うのは自分の腕ですからね。 全翼機、しかもエヴァキャリヤーなんてデカブツをぶっつけ本番で飛ばすなんて羽目になったら流石に怖いですから…で、それが何か?」
「いや、その古巣に用件があるのよ。 あそこで開発中の陽電子砲の話…知ってるわよね?」
「陽電…あぁ、あれですか?衛星軌道からの質量兵器迎撃用の?あれなら確か技研本部に放置してある筈ですよ?」
「放置ぃ?」
「まあ設計値上での威力だけなら折紙付きなんですが。 そもそもその威力発揮する相手も無いわ演習場は無いわ燃費は悪いわ何よりでか過ぎってのが問題で。」
「そんなに大きいの?」
「ええ。確かあれ文部科学省主導で開発してたスーパーソレノイド研究用の粒子加速機が原型でしてね。 セカンドインパクト後の緊縮予算でお約束の財源不足、製作途中で工事止まってた奴を技研で引き取ったんですよ。 ついでに同じ理由でやっぱりそのまま放置されてた核融合試験研究用のプラズマ保持装置も徴発転用して試作したもんですからまあ無駄に出力容量デカイ上に重量も半端無いし、図体もこれがまたやたらバカデカイんですよ。」
「ほ〜…しかしよく知ってるわね〜、感心するわ。 ん?でも一応あれ機密指定じゃなかった?」
「一応は。とは言え砲身長だけで50m超の代物なんか隠匿の仕様が無いですし、そもそもあれが機密なのは別口の理由が大きいですから。」
「別口ぃ〜?」
「ええ、大々的に予算取って当初は華々しく試射で護衛艦撃沈なんて画は流しましたけど… あまり大きな声では言えませんが、私が現役自衛官当時から口の悪い奴は面子の為の予算無駄使いとか開発局の道楽だとかこき下ろしてましたよ。 酷いのになればやれ自決用自滅兵器だの波動砲だの自衛三大馬鹿兵器その1だのと散々言ってましたね。」
「何その3馬鹿兵器って。」
「その名の通り馬鹿馬鹿しい兵器ですよ。 この場だけの話ですがね、予算取る為にでっち上げた計画が何故かすんなり通って担当者が首を捻ったって代物ばかりです。 誰が考えたか知らないけどよくもまぁこんなの考えたと呆れ飛び越えて感心しますよ?」
「ここ(ネルフ)来て初めてエヴァンゲリオン見た時から大概の事は驚きゃしないわ。…で、どんな馬鹿兵器よ?」
「机上プランだけでしたけど陸上巡洋艦、研究予算は付いたけどそれだけだった原子力駆動ロボット、それと今話に出た陽電子砲…仮制式名称“隕石迎撃用ポジトロンキャノン”で3馬鹿です。」
「…一つ質問。前の2つは名前聞いただけでおおよそ見当付くんでまぁ判るけど…何でポジトロンキャノンも馬鹿なの?」
「それが…何しろ初期計画では原爆カートリッジ使ってプラズマ弾体発射する代物でしたから。 流石に諦めて陽電子砲に変更したんですが普通の給電方式だと容量不足だからってやっぱり当初は原爆カートリッジ使用前提でしたからね。」
「原爆ぅ!?」
「馬鹿兵器でしょ?一射撃ごとに一発使うぐらいなら端からミサイル積んで使えよって話ですよ。 そもそも何処で使えって言うんですかこんなの、試験場だって手狭なのに静止衛星軌道射程の兵器なんか全力射撃実施出来ます? そもそも演習場一つ取っても何処で撃つって話ですよ。 まさか富士や矢臼別?あそこで原爆使えますか? それとも演習場代わりにネバタやタクラマカンまで持って行って衛星軌道の標的撃ちます?」
「あ…頭痛い…それ何処に設置して運用するつもりだったのよ一体。」
「だから馬鹿兵器なんですって。 隕石迎撃用って事で開発予算取って有り合わせの物組合わせてそれっぽいの作って見ただけです。 一応北アルプスに基地造る計画は有りましたけど、仮に設置したとしてそもそも固定砲台で射角制限有るのにその有効射程内にそうそう隕石なり質量兵器が落ちて来ますか? 要するに“国防の面子に懸けてネルフに対抗しようと勢いで作ってはみたものの実際問題撃てない代物が出来ました”って事らしいですよ。」
「…呆れたわ…ネルフも大概非常識だけど勝るとも劣らぬわねそれ…」
「そもそもが民製品流用の急造品ですからね、無駄に馬鹿でかくてやたら重い上取り回しも最悪、電源の関係から仮設置も移送も困難、その上試験だって電源確保に四苦八苦。 もし核カートリッジ使わずに撃とうとすれば日本の総発電量の半分以上の電力喰いますからねぇ? 外部電源で1/10出力試射した時なんか標的艦貫いた挙げ句離島の山腹大穴空けて山火事起こしたり付近停電しちゃったりで近隣自治体から大目玉喰らったって話ですし。」
「…訂正、未だネルフの方がマシね。」
「て事で既存電源での実験だと制約厳しい上に容量限界有るし、ろくに試射なんか出来ないじゃないですか。 試験すらろくに出来ないわ面子があるから今更放棄も出来ずそもそも解体するにも予算は無い。 で、結局只の粒子加速実験装置として普段は文部科学省にレンタル中…最も加速機自体向こうに自前のが出来たもんで目下の処開店休業中だそうで。」
「開店休業でも役に立ったならいいんぢゃなーい?まぁそこらは法と権利の関係で民需転用しようが無いウチ(ネルフ)よりは未だマシって事だわ。」
「とは言え予算の割に合わないのは事実ですし。 ろくに撃てない役立たずの馬鹿大砲って事で技研本部の研究者までピラミッド・万里の長城・戦艦大和に次ぐ第4の無駄と言ってましたからね。 そこらの自治体と一緒で上層部の面子立てる為だけのお高い美術品ですよ。」
「んー…まー新技術検証目的と割り切ればそうそう無駄じゃ無いかもよ? そもそも陽電子砲自体未だに未完成な技術だしねー、そんなもんじゃない?…そっか、面子だけの問題か…」
「どうかしました?」
「ん?いーや何でも無いわよ、いい話聞かせて貰えて為になったわ。」
「え?只の雑談でしたけど…」
「いいえ、けっこー参考になった、ありがとね日向君助かったわ。 じゃああたしこれから次期迎撃作戦会議なんでお先。」
カツカツカッカッカッカッ…
「…?」
http://www.youtube.com/watch?v=nFnstsJPD5g&sns=em
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