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[523] 1111111ヒット記念企画
日時: 2010/05/14 20:26
名前: tamb

 というわけで、このスレは1111111ヒット記念ぷち企画ということで、1111111ヒットにか
こつけて何か適当に書いてみませんかというスレでございます。

 お題は「1111111」から連想されるものなら何でもOK。単に1でも問題なし。綾波レイが7人
行進して来るでもOK(笑)。とにかく何でもOK。

 サイズ等の制限は基本的になし。それこそ100文字でもOK。ただし読むのに五時間とかかか
るような大長編はご遠慮ください(笑)。あと連載もダメ。書き上げて一気に投下してください。
ゲンレイもダメ(笑)。18禁もアウトです。

 感想とかの反応もこのスレで。結果的に割り込みになっても気にしなくてOK。

 一見さん歓迎です。お気楽にどうぞー。もちろん常連さんも歓迎。

 これはという名作が出てきたらサルベージも考えます。異常な盛り上がりを見せたら通常企
画に変更もありえるかも!

 締め切りは、そうだな、2000000ヒットまでかな。一日平均350くらいだから……ま、そのく
らい先です(笑)。

 こんなもんかな? 何か質問とかあればこのスレでお願いします。

 というわけでよろしくお願いします。盛り上げましょう。私もこれから考えます。

 最後に、提案してくださった名も無きROM氏に感謝を。

-------------------------
締め切り修正します。2000000ヒットまでだと長すぎるんで、10周年記念企画発動までに変更です。
ま、だいぶ先ですよね(笑)。
メンテ

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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.35 )
日時: 2010/06/07 02:16
名前: calu


「……遅いわ」

 黒く澱んだ霧を薄めるように、切っ先を入れる陽射しだけが光源となる茫漠な空間。ネルフ本部総司令室。
 森閑とした空間に独り言を浮かべた少女の髪の色は美麗なるプラチナブルー。微かな陽光の照りかえしを受けては、
ときおり零れる煌めき。
 今その少女はどこかで見たハイバックチェアに背を預けつつ、そのたおやかな身体に這わせるように下腹部の上で
両手の指を組んでいる。リクライニングさせた本革のハイバックは究極の寛ぎをその少女に捧げたかに見えたが、先
の呟きに具現化されているように、ややご機嫌はよろしくない。

「……まあ、直にやって来るだろうて」スポットが当てられたように姿を現したのは副司令の冬月だ。陰鬱さを隠さず
コツコツとレイに歩を進めた。「レイ、ところでな……」
「……何でしょうか?」
「……いや、その、おまえが座ってる椅子なんだが」
「…………」
「私専用の椅子なんだが――」
「いい椅子だと、思います」
「そう…いや、そうでは無くてだな」
「…………」
「長年私が――」
「碇くん、遅いわ」
「……そうだ、な」

 確かにいい椅子だとレイは思った。体重を絶妙のバランスで受け入れてくれるイタリー製の牛革は、全身から緊張
というものを蒸発させるように奪い、心地良さの波間を漂う意識は、ときおり沼の底に引きずり込まれるような睡魔
に幾度も襲われることとなった。そして極め付けはオットマンだ。両のふくらはぎを妙なる優しさで抱きとめてくれ
る猫脚を持った天使のスツール。触れ合うその心地良さは――

 まるで碇くんのよう……。

 沈思黙考に沈むレイ。冷厳たる表情とは裏腹に、胸のなかは既にぽかぽかしているようだ。実にエコであるが、シンジ
が姿を現したら一度オットマンになって貰おうなどと真剣に考えていた。
 
 様々な妄想で想定外の時間を費やしてしまったが、このハイバックチェアはどう考えても副司令の将棋専用チェアと
しては些かオーバースペックだという結論に至った。マッサージ機能が付加されていないのが惜しいところだが、いず
れにしても今は腰を上げる気にはなれない。せめて、その到着を心待ちにしている少年が来るまでは。
 そうだ。どうせゼーレから一方的に割賦されたネルフの予算で購入した備品に相違無いのだ。組織の資産である限り、
誰が使用しようが問題は無い筈だ。副司令も健康のためには、偶には立ちっぱなしもいいだろう。筋力増強は基礎代謝
を涵養するのだ。さらに腹筋も併せて鍛えれば、或いは腰痛も――。

「おはようございまーす!」
「遅くなってごめん! 間に合ったかしら!?」
「いやー悪い。ご婦人方の身支度に時間が掛っちまって」
「おっはよー。あれ? シンジまだ来てないの?」

 ディラックの海でゆらゆら小舟に揺られていたレイの意識は、総司令室に突如なだれ込んだ大量の闖入者によって
強制サルベージされた。俄かに騒然さに支配されたエアロックドア周辺に目をやり、駆け込んできた葛城ミサトに長
門マキ、そしていつもと変わらず加持リョウジにぶら下がるように纏わりつく惣流・アスカ・ラングレーに表情の無
い一瞥を送った。ちょっと待って、今日こんなに出るのかしらと独りごちたレイは、そっと台本を手に取り頁を繰り
始めた。

「ねえファースト、それ台本?」
「そう」
「えーとっ、タイトルは『anniversary』だったっけ? どんなプロット? なんか1111111ヒット
記念企画ってことだけ聞いてんだけど」
「"1"を絡ませればいい、らしい。だから設定上、わたしは中学"1"年生になってるわ」
「はあー、それで使徒襲来の"1"年前ってヤツね…どうにも安直、貧困極まりない発想だわ」
「作者が作者だもの」
「どうせならシンクロ率並びに使徒殲滅能力ナンバー"1"たるこのアタシの話にしときゃあいいのに」
「綾幸だもの」
「それで? アタシたちの出番はいつなのよ」
「知らない。いま読み始めたばかりだもの」
「相変わらず素っ気ないわねー。まいっか、いつも通り出たとこ勝負ってことね。ほんっと、いい加減な作者の作品
だと苦労は絶えないわ。……ところで、バカシンジほんとに遅いんだけど、どこほっつき歩いてんのかしら」
「……シンジは購買部だ」
「!」

 ぽっかりと口腔を開いた大地から絞り出されたような低いトーンにアスカは数十センチも飛び上がってしまった。瞬間
冷凍された首をギリギリと後方に向けると、光届かぬ中央付近にモニュメント然とした執務机とセット物となった碇ゲン
ドウの姿が幽鬼のように浮かび上がった。ローバックに背を預けることを潔しとせず、組んだ指で口元を隠すポーズは相
変わらずである。

「し、司令…いたんですね? ……ビックリしたわ」
「……ああ」
「で、でもバカシ、いえ、曲がりなりにも主役なんだから。購買部なんかで道草食ってるなんて」
「ふん、大方忘れ物でもしたのだろう。どんくさい奴だからな」
「碇くんはどんくさいやつではないわ」
「でも、マズイな。カチンコまであと十分も無いぞ。シンジ君、間に合えばいいんだが」
「あと、リツコもまだ来てないわ」
「そう言えば、マキ。今日ミキちゃんは、来んの?」
「さっき携帯にメールが入ってたわ。食堂でゴハン食べ終わったら覗きに来るって」
「ふむ…本当にマズイな…いよいよ残り時間八分を切ったぞ」
「ふ、問題無い」
「ああ、だめだ。さっきから碇の携帯を鳴らしてんだけど電源を切ってるみたいで全然繋がんないや」
「何やてぇ!? そら、ごっつマズイやないか」
「ちょっとぉ、何で三バカの残り二バカまで来てんのよ」
「何ぬかしとんねん、このアマぁ。ワイかてチルドレンやねんで――ん、何やこのええ匂いは?」

「「お待たせ」しました!!」

 派手なエアの開放音に続いて大きく口を開けたエントランスから飛び込んできた三つの影。

「ああリツコ、良かった。間に合ったわ…でも」
「何で、シンジ君とミキちゃんも一緒なの??」

 カチンコまでのカウントダウンなど歯牙にも掛けない落ち着いた佇まいを見せるリツコ。その後ろには、果たして
碇シンジと長門ミキがいた。何やらその手に持って。

「マギまで使って本部施設内を探索したら、呆れた事にこのふたり購買部の物産展催事コーナーにいたのよ」
「ぶっさんてん?」
「そう、そこの催事コーナーで"たこ焼き"を焼いていたの」
「た、たこ焼き?」

 ……たこやき。小麦粉を水に溶き、中に細かく刻んだ蛸の小片その他のものを入れた粉物料理。大阪が産んだ
超ド級B級グルメ、と呟く空色の髪の少女を尻目に、二人に注目している全員に向かって、ゴメンとバツの悪そうな
表情を浮かべるシンジ。コクコクと大仰に頷くだけのミキはたこ焼きを頬張っているからだろう。はふはふと熱そうでもある。

「そう、たこ焼き。何でも実演販売の職員が持ち場から離れた隙に、彼女がトライしたらしいのよね。でも通り
かかったシンジ君が見てられないって飛び入り参加でヘルプに入ったらしいのよ」
「はー、このええ匂いはそのたこ焼きから来とんねんなー。ワイもひとつ頂きまっさ……おおっ、こりゃごっつ
上手いでえ! 外はカリカリ中しっとりや! シンジ、若しかしてワレたこ焼き検定持っとんのとちゃうやろな」
「こっちの舟のはあたしが最後に焼いたものなの。良かったら皆さんも――」
「ミキ、今はたこ焼き食べてる場合じゃないのよ。カチンコまでもう時間が無いのよ。シンジ君の飛び入り参加
を許したのは不味かったわ」
「お、おねえちゃん、ごめんなさい。あたし、いつもシンジ君のこと見てるだけだから、少しだけお話ししたくて……」
「まーまーマキ、もういいじゃない。何とか間に合いそうだし。それにこのたこ焼きすっごく美味しいしぃ。ほんでミキちゃん、
どうだった? シンちゃんからちゃんと教わった?」
「はい…シンジ君、ホントに凄いんです。料理針の捌き方もプロみたいだし、生地の仕込みもすっごい緻密なんですー」
「ふーん。それで、手取り足取り腰取り指導を受けてたんだ。そんで、そんとき変なとこ触られなかった? コイツこれで結構
スケベなんだからね」

 アスカによる想定外のN2アタック。仄暗い室内に沈殿した空気にピシリと奔った音は空耳に依るものか。組んだ手の裏でもぐもぐ
大ダコを咀嚼していたゲンドウはその口の端を歪ませ、レイはビクンと肩を震わせた。

「ななな、な何てこと言うんだよ、アスカ!」
「あーら、ゴメンあさあせ。本当の事言っちゃってえ」
「……そう言えば」
「……そう言えば?」

 ポトリと落ちたミキの言葉に十戒の如くの亀裂が入った司令室の雰囲気。身を乗り出し目を細めた冬月の眉間には五百円玉が二枚挟
めるほどの深皺が刻まれている。

「シンジ君が蛸を切っているときなんですけど……」
「…………」水を打ったような司令室内に誰かの固唾を呑んだ音だけがやけに目立った。
「包丁を握ったシンジ君の右肘が……後ろでシンジ君の手元を見てたあたしの胸をツンって突いたりしたかな……二回、いや三回くらい」
「えええ!! そそそんな、ぼ僕はただ」

 だってシンジ君たら何も言わずにイキナリ触るんだもの…少し声が出ちゃった、と小さく舌をだすミキを尻目に、ガタッと椅子を鳴ら
して立ち上がったゲンドウは、右手で鈍色に光ったサングラスを直すと冷厳な表情を崩さずシンジを見据えた。

「……シンジ、お前には失望した。なぜそれほどまでコソコソする必要がある? 堂々と正面から鷲掴みにすれば良いではないか」こう
いう風に、とでも言うように暗色の士官服を翻し右手を突きだしたゲンドウ。そのサングラスには怪しげな光を湛え、口の端は容赦なく
歪められていた。
「な、なな何言ってんだよ、父さんまで!」
「わたしは以前、碇くんに押し倒されて正面から胸を掴まれた事があるわ」

 この上無いタイミングでレイから放たれた二発目のN2アタックに三度凍りついた総司令室。それでも誤解(?)を解こうと必死の表情
で顔を上げたシンジだったが、レイの血よりも紅く染まった瞳に見据えられ、忽ちの内に金縛りにあった。
 身体中の毛穴という毛穴から滲み出る不快な脂汗を感じながら、耳の奥深く響く自分の鼓動に重ねるように、シンジは心の中で叫び声を
上げていた。助けてよ助けてよ、誰が助けてよ。
 次の瞬間、シンジの視界と意識を過ぎったプラチナブルーの少女の影は、シンジに一瞥をくれることも無く、時間だわ行きましょ、何が
あったかは後から聞く、とシンジだけに聞こえる声で囁いた。
 斜日が、索莫たる司令室に差し込む陽射しを一層強くした。少女の声の向こうにカチンコの音が弾けたような気がした。



 

  
 
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