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[836] 箱の名前/のの
日時: 2021/11/13 02:20
名前: tamb

 『#貞シンレイ強化月間』参加作品。

 貞エヴァにおけるシンジあるいはレイがアニメ版とどう異なるかというのは難しい問題で、ここに焦点を当てると解像度という話になる。
 実のところあんまり深く考えたことはなくて、キャラの振り幅の観点から考えて、どっちもシンジだしレイじゃね、くらいに思っている。思っているが、これは趣味の問題でもあって、貞エヴァを読んであれとか思うことがあるのは事実なので、貞シンだったらこうだよな、とか考える焦点を当てるのは楽しい。こういう楽しさには一人ではなかなか気づかない。
 ただし、私が貞シンあるいは庵シンをどこまで忠実に高解像度で描いているか、という根本的な問題はある。意図的に別人方向で書くことすらある。というかその方が多い。こうなると貞シンレイとかとは別の話であるので、それはそれ、これはこれということにしかならん。

 貞シンレイと言えば、やはり紅茶で、レイ的には続いて「関係ないもの」と「楽しくお喋りって感じじゃないものね」が浮かぶ。感じじゃなくて雰囲気だったかな。
 いずれにしても、あくまでも綾波レイでありつつ人間臭さを感じさせるような描写になっていると思う。
 この話はまさにそうで、「昨日は、ありがとう」とか、一緒に笑うとか、貞本レイって感じがすごくする。この解像度は結構すごいと思う。

 カナメちゃんが良い。学校にいる時、店にいる時、レイと二人の時の雰囲気の書き分けがすごくいい。なぜ孤立するようになったのかは良くわからないけれど、頑張って突っ張ってる感じと、ナチュラルな雰囲気、年上の人と話をしている時の感じの書き分け。
 そういう点だと、作品全体を貫く空とか、作者が拘泥する人称視点の問題もそうだし、韻を踏んでるかのようなリズム感とか、カナメとシンジの笑顔の共通項とか、いちいち細かいところに神経が行き届いてる。作者たらんとするする人は参考にすべし。

 いっぱいになった大切なものを、もっともっと詰め込んで、たくさん並べて、いろんな人と一緒に笑って欲しいと、そう思います。

 アスカでもなくヒカリでもなくカナメ、という点も含めて、とても良い話でした。

作品はこちら。
http://ayasachi.sweet-tone.net/cont/nono/nono20.htm
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Re: 箱の名前/のの ( No.4 )
日時: 2021/11/13 10:17
名前: のの

◆史燕さん
いつも感想ありがとうございます。幸せ!

>他のクラスメートとも違う価値観と自己主張をしている存在で、だからこそ綾波レイという、同級生でも少し特殊な立ち位置にいる彼女を気に掛けて、行動に移してくれたのかな、と思いました。

そうですね。彼女は形成されつつあった学内ヒエラルキーに嫌気がさしてそこを脱してその結果苦手に入れた自由と孤独に苦しんでもいます。
その中で、ヒエラルキーなんぞどこ吹く風の綾波レイに対する何らかの思い入れがあるようです。
結果、そうしたヒエラルキーはアスカという女王によって「等しく皆下民」となってしまい、彼女もそのことについてアスカに対して一定の感謝があるようです。

>>そして、一緒に笑った。
>これが、読了後にも私の中ですごく効いていて、一緒に笑える存在が彼女に出来たこと、そして彼女自身が誰かと笑える用になったこと、それが、本編(貞・庵共通して)で自分自身をあまりに省みなかった彼女にとって、大きな大きな変化なのだと思います。とても喜ばしいことだと思います。

そうですね。綾波レイの笑顔って作品世界の象徴とも言えるもので、物凄く貴重なだけに軽々しく扱えない、みたいなことを思っているのですが、
今回はあえてそこを崩して、むしろ新劇のアスカが言うとところの「そうか、アタシ、笑えるんだ」に近いかもしれません。
なんとなく「レイの笑顔=シンジに向くもの=シンジのためのもの」という図式がうっすら成立しているのも、2021年の世の中においてどうなのよ、という風にも思いまして。
なにより、彼女の笑顔は彼女のためにあるので、クラスのアウトローと通じ合う、という、これもまた一種の形式ですが、そこでも適用されていいのではないか、と思いました。

>>レイは手に持った缶の蓋を開け、香りを嗅いだ。頭の中にしまってあっ記憶が宇宙に散らばり輝いた。それらを拾い上げて抱きしめる。

>その様子が、想いが、頭の中で再生されました。
>この部分を何度も読み返しました。
>彼女の記憶が、思い出が、そしてそれに対する彼女の愛おしさが、如実に、明白に、これでもかというくらいに、突きつけられていたので。

とにかく感情めいた表現を抑えに抑えた(というか、発生しない)状態が続いていたんですけれど、どこかで何かが生まれる話であってほしくて。
そのひとつが、元々のクライマックスとして想定していた「ただの空き缶に別の意味が付与されていることを自覚する」この点でした。
捨てられない時点で思いはあるのだけど、それが何かわからない。
それが、香り一つで、名前も言葉も言わずとも、すべて彼女の宇宙に彼が生まれて消えることができる。
記憶と結びつきがちな「香り」が持つ魔法だなと思います。

>大海を知らずとも空の青さを知った彼女は、きっと大きく羽ばたいていく、羽ばたいてくれる、そう思わせていただけました。

空の青さを知れるのは、大海を知らない中学生の特権だと思います。
今回は、それを味わってもらいました。
大人になった時に、上手に淹れられなかった紅茶の香りと共に、思い出してくれたらなあ、と思います。
メンテ

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