Re: 親父補完委員会((笑))【ゲン ( No.48 ) |
- 日時: 2014/06/13 06:10
- 名前: 何処 ID:Yppk4jt0yo4
- 旧東京。
セカンドインパクトによる地軸変動に伴い発生した海面上昇と核テロにより破壊されたとされる、半ば水没し放棄され廃墟と化した旧首都。
又の名を廃都東京。
ここはその廃都の直中に存在する。
無数の廃墟の中をその中心部へ向かい進んで行けば、まるで切り取られた様に広大な空間が不意に出現する。 上空から見れば真円の更地と化しているそこの中央に立てば、周りを遠巻きに囲む無数の建造物の残骸達はまるで巨大な墓碑の如くに見える。
死と静寂に満ちた廃墟群の中、そこは虚無に満ちている。
“旧東京閉鎖区封印エリア”
ここはその存在を知る者達からそう呼ばれている。
誰もいない、何も無い、虫も草も、およそ命の息吹きの欠片すら感じられない。 否、ここには死の香りすら存在しない。 全てが静止したかの様なここは正に虚無の地。
そこには何故かナスカの地上絵を思わせる巨大な人型が描かれている。
その巨大さ故に遠景からしか確認出来ない人型の絵。 それの存在すら知らぬ者が殆どの世、大衆にはその由来を知る者も無く、だが今もそれは存在している。
見る者も無く、変わる事も無く、それは只無為に存在していた。
だが今日は少し…否、ほんの僅か、微かにだが変化があった。
その人型の中心に、遠景からは肉眼ではまず判別出来ない程小さい何かが置いてある。
風に吹かれ微かに揺れる白い花弁達、回りを包む紙が作る円錐の底を纏める桃色のリボン。
その下側には幾つかの石で囲まれた棒状の香の束が揺らぐ煙をたなびかせている。
彼方へと流れ消えて行くその煙と、僅かな風に擦れる花束の包装紙の発てる音が虚空へ彼方へとどこまでもどこまでも拡散してゆく。
ほんの数分前までは何も無かった筈のそこに捧げられた一つの花束と線香の煙、只それだけが虚無の地に色を乗せていた。
そして時は流れ…
【−月光(インターミッション −影絵− )−】
「どうした碇?急に呼び出しとは珍しいな。首相との会談が不首尾に終わったか?」
「首相の口からJAの名が出た。探りの為か恩を売るつもりかは不明だが、有難く拝聴させて貰った。」
「ほう?」
「…内閣府でも漸く国防省の動きに気付いた様だ。重工始め企業連への接近も話題に挙がったが…」
「国防省か、そう言えば戦自がポジトロンキャノン接収の件で未だゴネておったな。」
「ああ、自分達が半ば開発放棄…言わば見限った兵器をネルフに拾われ、しかもそれで使徒を倒されてしまったのが大分効いたようだ。」
「だろうな、戦自内部では国防省や幹部の批判に加えネルフと政府に恨み節を唱える一派が増えておるらしい。 ポジトロンキャノンの一件で国防省高官や現役戦自幹部達の面子は丸潰れだからな、当然か。」
「今まで彼等が抑えていた防衛庁解体を主張する自衛隊吸収統合派やUN軍への参加拒否を唱える反ネルフ派がここに来て又勢力を伸ばし出している。 現に戦自内の一部では政府がネルフに廻す予算が有れば戦自単独で使徒は倒せると公言しだした。 国防省批判論や装備開発計画見直し論、果ては幹部更迭論も内部で出ているそうだ、その流れに乗った国防省右派と企業連の思惑が一致した結果がこれ(JA)のようだな。」
「それにしてもよりによってJA計画か。あまりに馬鹿馬鹿しいので気にもしておらんかったがまさか現実に開発中とは。 しかしJA計画が机上のダミー企画で無かったとすれば…目眩ましか?」
「ああ、JA計画自体が他の極秘計画の隠れ蓑のようだ。 会談中、首相宛に内調から連絡が届いた…国防省がJA計画に投入した筈の資材と予算、既に5機分が支出済みだ。試作機にしては多い。」
「そうか?通常なら試作機と試験機、同時に先行量産型を作るなら3から5機は…」
「“通常なら”だ。 国防省正規開発や戦自の独自開発なら兎も角ベンチャー事業の自主提案への補助事業、しかも未だ現物の無い代物だ。 戦時中ならいざ知らず、試作機完成前の量産型先行製作発注、それも実績の無い新型だ。 例え航空機や車両でもよほど将来的見込みが立たなければ現時点では流石に無い。」
「…横領にしても多過ぎるな、となれば…」
「何らかの方面への流用だろう。」
「表沙汰に出来ぬ計画への…か。」
「ああ、幾ら国防省の戦自関連予算内容詳細が機密指定で会計監査がザルとは言え流石に堂々とこの額は隠匿出資出来まい。 企業連の対使徒兵器自費開発計画は良い機会だったろう、国防省にとって渡りに舟だった筈だ。 それへの支援事業なら簿外出資の名目には絶好だ、堂々と請求出来る。」
「成る程、民間主導、しかも対使徒兵器開発への支援名目となれば資金貸与や物資調達は容易だろう… しかし予算確保に懐かしの戦艦大和方式か、何処もやる事は一緒だな。」
「だが余りに遣り方が雑だ。 計画内容の仔細も改めて正式に確認したが低スペック過ぎて話にならない。 何しろ駆動機関は今更ながらのスチームタービン式核融合炉だ、そもそも使徒戦に核動力なぞ自滅以外何物でも無い。」
「話にならんな。 使徒相手にATフィールドすら持たん機械人形で対抗なぞ出来ん、おまけにスチームタービンだと? よりによって格闘想定の機体に態々破損に弱い蒸気配管を組み込むとは…」
「ああ、増してやそもそも接近出来るかどうかすら怪しい上、融合炉など冷却出来ねばそれまでの代物を積んだ危険物をわざわざ使徒相手に繰り出すとは無謀過ぎる。」
「まぁ例え組み付けたとしても効果有る攻撃が出来るとは思えんな。 最後の手段で例え自爆したとしてもN2ですら滅せぬ使徒相手には大した効果は無かろう、只周辺への被害が増えるだけだ。」
「それだけなら未だ良い、このJAの遠隔操作装置は民製品転用の民間周波数仕様、 補助的に積んである自律行動プログラムは一般のソースコードで組んである…」
「!彼等にはセキュリティの概念は無いのか!?」
「しかも肝心の動力源…新型核融合機関は未だ開発が停滞中だ、もし完成が間に合わなければ試作機の動力源は核分裂炉仕様になるそうだ。」
「…セキュリティどころかセーフティまでそれか…古の核動力爆撃機宛らだな。」
「ああ。 だがその低性能振りもある程度は納得出来る、 例え実態は技術検証実験機とは言え他に使い道の無い張りぼてに誰も態々無駄に予算を注ぎ込みたくは無いだろうしな。 問題はJAが完成し、もし仮採用された場合だ。」
「うむ、そうなれば出資内容や会計報告も公にせねばならん。何を考えて… まさか…失敗前提の計画か!?」
「恐らく。 計画に参加している各社の技術力からしてもこの設計は余りに不自然だ。 恐らく開発陣に渡った使徒戦に関する情報が操作されている。」
「失敗させる為にか…となれば…今回貧乏籤を引くのは重工企業連か。」
「正確には開発主導者だな、作る程赤字になるのが目に見える補助金頼みの事業なぞ企業連でも端から本気に押してはいないだろう。」
「ふむ、単なるデモンストレーターとして打ち上げた代物に他所が絡んで思わぬ大事になって退くに引けなくなったと言った所か。 企業連も頭が痛い所だろうな。」
「この計画、誰もが失敗を望んでいる。 先ず我々ネルフには単なる障害物として除去対象だ。 戦自にとってはポジトロンキャノンの件がある、ここでもし民間主導開発品が制式採用となれば…」
「…面子面目が立たんか。開発計画関係者の責任どころか自前の開発機関の存在意義まで問われるな。 下手を撃てば自分達の責任まで追及されかねん戦自幹部は皆、頭を抱えておるだろう。」
「ああ、それにもし制式採用となれば配備計画の再策定と作戦戦略見直しが必要となる。一先ず状況静観と言う所だろう。
国防省は極秘資材の備蓄と機密予算確保が目的だ、証拠は残したくあるまい。 加えて自ら手を汚さずネルフに圧力を掛ける道具にも使える。 後はこれを口実に内部の不平分子や強硬派を粛清し、用済みのJA計画担当者の首一つと引き換えに全ての責任を失敗した企業連に端金で押し付ければ良い。
企業連も重工側も例外では無い、一時的に名は落ちるが元々乗り気で無かった計画からJA開発の技術資料を獲た上で堂々と手を引ける。 何より、JA計画関連のどの企業も成功失敗に関わらず今季決算では名目赤字を計上する事だ。 実質国防省の全額出資事業で殆ど出資の無い企業が僅かな賠償支出で補助金の交付と法人税の減免措置を受けられ、加えて責任者の処分と併せて復興特需終了でだぶついている人員の整理を進められる。
そして政府もだ。戦自とネルフに貸しを作り、会計監査に加える手心次第で企業連への影響力も強くなる。となれば…」
「…で、それが担当者を除く皆の望み通りの結末だとして…引導を誰が渡す? 悪役を担うのは何処になる?」
「何れにせよ、何処かが最終的に片を付ける羽目になるのは間違い無い。 そしてその準備も手打ちの仕方も皆用意済みだ。 だが、皆その準備を自分が使う気は無い…」
「皆が最後に引いたカード次第と言う所か。…ババ抜きだな。」
「ジョーカーは一枚で充分だ、一枚だからこそ切り札の価値がある。」
「…彼女は使わんのだな?」
「ああ、北極海の始末が先だ。 それに未だ奴に頼るべき局面には無い。」
「ではJA計画の進行状況は青葉に監視させよう、後は…」
「ああ、最も…彼等が恥を忍んで我々に泣き付く度胸があるなら悪役を引き受けるのもやむを得まい。 シナリオの進行具合によってだが最悪赤木君に動いて貰おう。」
「良いのか?」
「彼女も既に我々の計画構成員だ、共犯者としてAAAまでの情報を得た見返りに働いて貰う。」
「そうか、遂に彼女にも開示したか…だがまぁAAA程度までなら問題有るまい。 それにそこまで知ったならばもう抜けられぬ、計画の歯車の一つとしてここで仕事を任せるのも良いだろう…実行犯としてな。」
「子細は任せる。」
「うむ、ではその様に…」
―――
「ヘックシ!!」
『どうした?風邪か?』
「うんにゃ、まぁたどっかでアチシの美貌の噂してるみたい。」
『…元気そうで何よりだ。取り敢えず依頼の品、そちらの手荷物に入れておいた。』
「せんきゅータレ目、やっぱ婦人用品は日本製に限るからにゃあ。」
『お陰で随分白い目で見られたよ、貴重な体験だった。』
「まー君は下っ端だから仕方無いわな。 寧ろ世の御婦人方の苦労の末端を覗けた訳だし良かったぢゃん。 そんじゃま代金は後程って事で。」
『後程ねぇ…出来ればスーツケースも返して欲しいんだかな。』
「ケチだねー査察官殿は、んじゃそっちの監査終わったら取りに来な。 料金込みで渡したるにゃ。」
『はいはい、お嬢様の仰るが儘に。では後程…』
―――
「…しかし大人の事情に子供を巻き込むのはどうも気が引けるな…」
―――
「…やっぱ子供の事情に大人を巻き込むのは気が引けるにゃあ…」
【ALICE iN BLACK MAKERT】 http://www.youtube.com/watch?v=Yppk4jt0yo4&sns=em
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