Re: 親父補完委員会((笑))【ゲン ( No.54 ) |
- 日時: 2014/07/21 22:15
- 名前: 何処 ID:5jr06ektI0k
- 【−都合と思惑T−】
第三新東京港第4埠頭第2桟橋
数隻の曳船がゆっくりと台船を離岸させている。 その台船上には足場ごと防水布で覆われた球体が鎮座していた。
「…しっかし司令も太っ腹ですね、まさか使徒のサンプルを太平洋の向こう側へ送るとは…」
「米国ネルフからの要請よ、特に引渡しを断る理由は無いわ。 それに調査も終わってるし向こうに送るのはサンプルとしての一部分だけ、別に使徒丸々一体送る訳じゃ無いわ。」
「まあそうですけど。 しかし横浜で向こうの船に積み替えでしたか?又手間の掛かる事を…」
「仕方無いわ、こないだの戦闘被害復旧でこっちの港は立て込んでるから。」
「エヴァ輸送用全翼機使えれば話は早いんですが… 早く全翼輸送機の他国乗り入れ解禁になりませんかね。」
「あら?パイロットの血が騒ぐ? 今副司令が関係先と交渉調整中だけどどうも難しいらしいわ、解禁は未だ先の話になりそうね。」
「やっぱり。 それにしても今回の輸送、良く政府や戦自がゴネませんでしたねえ、てっきり…」
「何?“てっきりサンプルの所有権主張して騒ぐかと”とか?」
「ええ、そもそも使徒の遺骸をネルフと国連の合同調査団が分析するのにも文句垂れてましたし。」
「うげ…やな事思い出させないでよ日向くん、あれ司令に対応押し付けられてあたしが交渉したのよぉ…も、最悪。」
「うわ、それはご苦労様でした。」
「特に某大臣やら戦自の某陸将補にその幕僚団とかは凄かったわよぉ。
“我が国家の資産たる使徒のサンプル体を国の正式な調査団発足前に勝手に調査するとはけしからん!”とか
“況してや我が国の研究機関を後回しにして海外にその情報を流出させるなど国家機密漏洩罪の適応も視野に入れねばならん!”とか
“使徒の調査は本来我が国が責任を持って行うべき事案であり君達の今回の行動は国家主権に抵触している!”とかね。」
「あー…あの人なら言いそうな…」
「おまけに陸将補と取り巻きの幕僚団がまたね…
“そもそも使徒戦に際して我が国が国防観点上問題になるレベルの兵力を出しておる事を君達はどう思っておるのか!”
“そうだ、我々が戦闘後の総合戦力低下が懸念される程の膨大な兵力を抽出してまで君達ネルフを支援しているのに、それに対して今回の君達ネルフの対応は一体何だ!”
“現に今までの使徒迎撃戦により一部の部隊は兵力の損耗が激しく以後の国防作戦計画に支障を来す程になっておる。 だのに肝心の使徒の調査結果はUNからの公式発表を待てとはどう言う事だ! 戦場で戦う私達を差し置いて先に情報がUNに行くとは順序が逆ではないか!”
…とかまぁネェチネチネッチネチとこれが又しっっつこい事しつこい事。」
「…台詞全部覚えてられる程強烈だったんですね判ります。 と言うか口調でもう誰が誰だかありありと判るあたりが特に…」
「あ〜…大半君の古巣からの出向組だったわね…」
「出向と言うか厄介払い的な面が有りまして…私も含めてですけど。」
「え?…あぁ、なーる程ぉ〜了解了〜解…君も大変だったもんねー。」
「まあ命令違反には間違い無かったですし、正直馘にならなかっただけ儲け物でしたよ。」
「にしても航空教導隊主席から事務屋、更にそこから警務隊、輸送隊、内調、果てはうち(ネルフ)出向…」
「中々に華麗な職歴でしょ?葛城さんには負けますけど。」
「まーねー、しっかし何処も事情は似たような物ね〜。あたしもネルフから引き抜き掛けられた時にはまさか又日本に帰って来る事になるとは思わなかったわよ本当。」
語る2人の前を大きな影がゆっくりと過る。 曳船に牽かれた浮きドックだ。 その浮きドックに中からはみ出して見える程巨大な物体が載せられている。
「そう言えば…あれ、結局海没処理だそうですね?」
「うん。No.4と違ってNo.5は破損が酷くて“サンプル採った後処分”で方針は決まってたけど肝心の処分方法で揉めたからねー。」
「文科省なり戦自なりゴネた所が責任持って引き取ってくれませんかねー…」
「ねー? …一応あっちこっちに打診はしたけどね、どこもサンプルだけで十分だってさ。」
「そりゃそうでしょ。 欲しがる所へトン単位でサンプル送り付けましたからね、皆懲りたんじゃないですか?。 そもそも数万トンからの代物丸々保存なんて造船所の大型ドック一つ専拠しないと無理ですし。」
「て事ね。で、処分は決まったけど一応あれ残骸とは言え使徒だった物じゃない? 散々揉めたけど結局それ(海没処分)しか選択肢が無かったのよ。」
「…まぁ汚染海域ならそもそも生物が存在出来ませんから妥当は妥当ですがね…」
「そーゆー事。」
―――
『…で?』
『は、彼等が実証実験用に製作中だった新型核融合リアクターは無事完成、先日試運転に成功したと報告がありました。』
『そうか、これでやっとJA計画の役目は終わったな。』
『やれやれ、一時はどうなる事かと…』
『全くですな、折角の投資が無駄になるかと冷や汗物でしたよ。』
『しかし無事完成して良かった。お陰で我が国のトライデント計画はこれで息を吹き返します。』
『ネックだった超小型リアクター開発が成功したとなれば当初計画通りに…』
『はい、これで三軍共同次期新兵器トライアルへ向けた試作機製作が間に合います。』
『うむ。しかし肝心のリアクターを我が国内で開発に失敗したのは痛かったな。』
『ええ、ですが案外安い対価で入手出来るのは幸いでした。』
『対価か。確か試作機と…』
『はい、トライデントの試作機と共に我々の保有するネルフとエヴァンゲリオン関連の機密情報を彼等の要求通り提供。 そしてその見返りに我々は新型リアクター実機の購入優遇及びそのライセンス製造権の有償取得を優先的に受ける… と言う事になっております。』
『トライデント計画か…しかし概念図を見た時は思わず笑ってしまったよ。』
『ええ、覚えておりますよ。 “エヴァンゲリオンも大概だったがまさか我が国でもこんな玩具を真面目に開発するクレイジーな所があるとはな”と…』
『HAHA!やれやれ私とした事が君の記憶力を失念していたよ!』
『まぁあの概念図ならば君のその反応も仕方無いだろうよ、実は私も最初はそうだった。 “全領域行動可能な陸上巡洋艦”とはまた荒唐無稽な計画だと思ったが…』
『その実態は動く戦略弾道弾基地、歩く核サイロ…』
『加えて1個師団級の火力と全領域での高機動能力、言わば走るハリヤー型戦略原潜、それも自律兵器だ。 となれば核抜きにしてもその戦略的価値は計り知れん。』
『そう言えば彼等に引き渡す為貴社で建造予定の試作機…何と呼びましたかね?』
『“ライデン”だ。 制式名称トライデント型陸上軽巡洋艦試作3号“艦”ライデン。』
『ライデン…確か“サンダーボルト”の意味でしたな。』
『そうそう。で、その“雷電”だが、やはり例の生体デバイスを付けるのかね?』
『まさか!?“Aユニット”はその存在自体が極秘機密です、そもそも“Aユニット”は完全自律式兵器でもあるトライデントの脳髄にして三本の切っ先の一つ、超高機動戦闘能力の胆ですからそこまでサービスは出来ませんよ。』
『ではやはり?』
『ええ、3号までの試作機は非常用操縦席(コックピット)に火器管制席と補助操作席を“Aユニット”用スペースへ増設した完全有人機体になります。 加えて彼等に引き渡す機体はステルス塗装や廃熱処理装置も1世代前の艤装になりますね。』
『何だ、それでは在来兵器の延長に過ぎんな。』
『穂先が欠け刃も2本しか無いのではトライデントではあるまい。』
『モンキー向けモンキーモデル…すまん、失言だった。』
『お気になさらず。まぁその代わりと言っては何ですが向こうの要求通り大型陽電子砲を搭載予定…でしたね?』
『ああ、最もその方が彼等の求める防衛兵器としては最適だろう。 何しろエヴァンゲリオンの様な極端に専門特化した戦力は幾ら強大でも使い所に困るしな。 汎用性が有り克つ強力、これが軍の求める戦力だよ。』
『まああれは“対使徒用決戦兵器”ですからな。』
『仰る通り、第三新東京と言うサーキットでの戦闘に特化したフォーミュラーマシンとクロスカントリー車を比べる事自体が間違いですよ。 そうそう、エヴァンゲリオンで思い出しました。例の陸将補ですが、ネルフへ某大臣の鞄持ちで乗り込んだそうで…』
『…不味いな。SS機関の件もある、今ネルフとは揉めたく無い…』
『とは言え某氏には前々から我々が支援し色々と協力して貰っておる…』
『恐らく陸将補の派閥に担がれたのだろうな…。』
『しかし易々と甘言に乗るあたり“某”大臣も困った物で…』
『全くだ。それにしても彼等は何を考えているのやら。』
『新型リアクターと引き換えにまでしてネルフとエヴァンゲリオンの情報を求めるなど、彼等にはネルフこそが仮想敵のようですな。』
『“仮想敵”では無く“敵”なのでしょうね。 幾ら対使徒戦とは言え軍人から指揮権を取り上げれば将校達の反発は大きいでしょうし。』
『成る程、加えてネルフは国連傘下なだけに追い出しも表立って非難も出来ぬとなれば…』
『敵視も当然ですな。』
『ええ、何しろ得体の知れぬ怪しげな組織が自軍を顎で使っているのです。 軍が自国の指揮を離れる、この一点だけでも国粋主義者からすればさぞ許しがたい事でしょうな。』
『我が国ならば軍が反乱を起こすな。』
『つくづく使徒迎撃を日本で行う事になって良かったと思うよ。』
『国粋主義者か…厄介者は何処も変わらんな。』
『で、某氏ですが…用件は済んだ訳です、切りますか?』
『多少は役に立ったんだ。鞍まで取り上げる必要は無かろう。』
『うむ、繋がりは残しておこう。あの国の言い回しでは確か“ブシのナサケ”だったかな?』
『…さて、次の案件だ。 リアクターが完成しこれでJA計画は晴れて用済みになった訳だがその始末はどうするのかね?』
『は、どうせなら派手な花火になって貰おうかと。』
『ほう?』『…』『と言うと?』
『JA完成後の公開起動試験を利用します。 JAが起動した時点で機体のメインCPUに感染済みのウイルスが目覚め哀れJAは暴走、新型リアクターも制御不能となり自爆…』
『おいおい、良いのか?君の祖国の資産をそんな簡単にスクラップにして?』
『ましてやリアクターの暴走(メルトダウン)?歩く中性子爆弾なぞ付近は壊滅間違い無い、被害は甚大だぞ?』
『証拠は消すのが一番です、使えないと知れた代物は後生大事に取っておいても邪魔なだけですから。 それに何しろ実験場は廃都湾岸部、端から物的損失は無視して良いし人的被害も考慮せずに済みます。』
『クレイジー…リアクター関連特許を買い叩く為にそこまでやるのかね?』
『人材もだよ。新型リアクター開発計画を我が国の研究機関に任せた結果がこの現状だ。』
『散々事故と開発遅延を繰り返し予算超過の挙げ句出来た物は不良品…でしたな。』
『国防費削減が痛かったが、やはり外部依託事業は駄目だな。』
『加えて連中は自分達の失敗を棚に上げて堂々と予算の桁一つ平気で上乗せしますし。 我が社も頭を痛めておりましたが他にリアクターを新規開発出来る所は自国では…』
『そうですね、我々も折角持っている自前の開発組織を些か経済原理に拘り過ぎて蔑ろにして来た。 そろそろ方針を見直さねばならん時です。』
『しかし今からの開発部門建て直しなど容易で無い大事だぞ?』
『ええ、その為にもこれを期に一つ大規模な人材登用を』
『素直に引き抜きと言いたまえ、だが果たしてそう上手く行くかね?』
『なぁに、暴走した時点で既にその事実は残りますから此方の目的は半ば達成してます。 何しろそんな代物を売り付けようとしたのです、値引きの材料には事欠きませんし。』
『うむ。それに真っ先に疑われる存在(ネルフ)があの国に在る以上、我々の関与は先ず表には出まい。』
『表向きあくまで我々は他人だからな。それはそうとUNの委員会だが…』
《secret》 http://www.youtube.com/watch?v=5jr06ektI0k&sns=em
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