Re: 親父補完委員会((笑))【ゲンドウ ( No.59 ) |
- 日時: 2014/08/17 21:26
- 名前: 何処 ID:fEhtIScf7LQ
【−都合と思惑W−】
『パンジャドラム?』
「ああ、元戦自のお前なら戦史には詳しいだろう?」
『懐かしい奴が急に電話掛けて来るから何かと思えば…ああ、知ってるとも。有名な兵器だからな。』
「そうなのか?」
『ああ、失敗作の代名詞だな。』
「失敗作?」
『パンジャンドラム、又はパンジャドラム。前大戦において連合国が開発した兵器の一つだ。 外観はタイヤ外した馬鹿でかい自転車のリムを幅拡げてみたって感じだな。』
「あ?何だって?」
『あ、やっぱ判らないか…うーん、丁度良い喩えが出て来ないな…旧車のスポークホイールとか…幅広い車輪… !あぁ、鼠の乗る滑車だ!うん、あれが一番形は似てる。』
「…成る程、一応形は理解した。」
『で、その滑車を100倍にスケールアップした代物を想像してくれ。 こいつに大量の爆薬積んでこれまた馬鹿でかいロケット花火を中の鼠代わりにスポークへ沢山くくりつけて完成だ。』
「一寸待て。車輪に…ロケット?
…
…今、想像したが…
…それ、小学生が悪戯用に工作した玩具か?只の縦置きした鼠花火じゃ…」
『ああ、巨大鼠花火がこいつの正体さ。 回転推進するこいつは標的目掛け一直線、ぶち当たった標的ごとドカン! …って予定だったんだが…』
「失敗した…と。」
『ものの見事に。』
「…当然だろうな、そもそも直進するのかすら怪しいだろそれ… しかし…そんな物を本当に態々作ったのか?馬鹿か?」
『ま、普通はそう考えるよな。』
「普通ってお前…!?おい、まさか…失敗見越しておきながら作ったって事か? 判らん…又何だって高い金掛けてそんな突っ込み所満載の阿呆な兵器を開発したんだ? …何処からかの圧力か?」
『圧力と言えば圧力だな。 開発経緯から説明するか、こいつは大陸反攻開始時の上陸作戦用にって個人提案から生まれた兵器さ。 “上陸の障害になる海岸防壁やトーチカ、堤防や堰堤等を破壊出来る上陸用舟艇から発射可能な簡易且つ安価な大威力破壊兵器”って発想だ。』
「…ま、まあ発想は兎も角… それで出来たのが何で巨大鼠花火なんだ? 大体実物の形を聞いただけでももう判る位に失敗確定な代物じゃないか…」
『そうさ、成功する筈が無い。 現に最初の試作品は基本設計の欠陥と低予算が祟って案の定大失敗。 あれこれ直してそれでも一応は完成させたんだがな、試験場となった海水浴場で発射したら暴走して大騒ぎ、漸く開発中止さ。』
「ふーん…
(しかし昔の人は馬鹿馬鹿しい物に金を掛けたもんだなあ、まあそこまで追い詰められてたって事だろうけど…)
いや有難う、参考にな…
(ん?待てよ…JAとこれがどう…?てより何処で実験したって言った?)
…なぁ、暴走は兎も角…実験場所が何処だって?」
『海水浴場だよ。』
「はぁ、海水浴場ね…海水…海水浴場!?海水浴場で?それ本当か!?」
『ああ、それも夏の海水浴場でな。 衆人環視の中でやらかしたからニュースにもなったそうだ。』
「…戦時中じゃなかったか?海水浴なんて良く許可されてたな…」
『戦時中だからこそ庶民の不満を逸らす為にもリクレーションって息抜きは大切だったのさ。 それに連合国側は制海権を取り海上を抑えてたからな、潜水艦被害による物資不足や心理的不安は兎も角、爆撃機の到達範囲だった大都市を除けば民衆は旧日本ほど戦争の影響を受けてはいなかった。 つまり安全地帯に住む庶民にとっては戦場は遥か遠くの出来事だったって事だ。』
「成る程、同じ国でも当事者以外は所詮他人事って事か。」
『最も制空権を取り返し国内は小康状態だったとは言え依然戦争継続中、戦線は膠着状態。 そんな中で幾ら安全地帯とは言え態々海水浴場で失敗するかも知れない実験をする意味は無い。』
「…どう言う事だ?」
『つまり、この実験自体が開発状況を故意にリークさせる為に行われたって事だ。』
「故意に?故意に失敗状況を見せ付けたって事か?」
『ああ、情報戦における一種の罠…つまり囮にされたって事だ。』
「囮だって?」
『ああ、上陸時期と上陸地点を誤魔化す為のな。』
「?ちょい待て、何でこれが囮なんだ?どうしてこいつの失敗が上陸地点や時期と繋がる?」
『あ〜…そこから説明しないと駄目か…口頭だと説明が少し長くなるぞ、時間は大丈夫か?』
「ああ、大丈夫だ。」
『よし、んじゃま説明するか。元を糺せば…』
―――
『…と言う訳だ、わざわざ戦自寄りの秘書官に失敗兵器の話を振る辺り、官邸はそっちの動きを掴んでいると思って間違い無い。』
『…警告だろうな。 大丈夫だ、この件について戦自自体は介入してはいない。 何しろ国防省制服組の大半は端から傍観を決め込んでいる、寧ろ失敗した方が良い位に思っている筈だ。』
『…て事は…例の大臣様か…』
『ああ、例の大臣様だ。 あれは丁度大臣なりたてで張り切ってあちこち騒がせた挙げ句、若手極右派に担ぎ上げられて調子に乗りだした頃だよ。 昔の埃被ってた没企画案をお気に入りから聞き齧ってな、 “これでネルフに一泡吹かせられる” と浮かれて録に検討もせず飛び付いた訳だ。 最も所詮没企画の焼き直し、開発会社を只儲けさせるだけで中身はスカスカの“張りぼて企画“ってのがJA計画の実態だよ。 まぁ、まともな幹部連中には散々反対されたんだかな… 例に依って例の如しさ。』
『だろうな…まああの性格だし幾ら反対意見出たって素直に聞きはしないな、逆に意地になって開発強行したって所か。 あ!ひょっとして例の時期外れの人事は…』
『ご明察の通り。反対してた連中は軒並み異動や出向さ。後釜に入り込んだのは言わずもがな…だな。 まぁどうせあのボンボン陸将補殿率いる頭でっかち参謀本部エリート組連中の差し金だろう。』
『…だから素人の世間知らず三世議員を空いたポストに適当に突っ込むのは勘弁して欲しいんだよ… コネ持ち出入り業者や取り巻き茶坊主にとっては有難くも都合の良い道具じゃないか…』
『全くだ、今の大臣はJAと同じロボットと言う道具だからな。』
『まあ操られる本人は仕方無いにしても操る側がもっと質が悪いな。 あの自称天才だろ?』
『全くだ、機械なら良いも悪いも操縦次第、機体の性能を生かすも殺すもパイロットだがな…今回ばかりは…』
『敵なら兎も角一応味方な上に機体役もパイロット役も三流だからなぁ…』
『本当その通りだよ、はぁ〜勘弁してくれよ全く…。』
『しかし或る意味凄いな。
片や資産も権力も家柄も申し分無いがオツムの出来がいま一つな世襲政治家。 片や自分達を特別だと言い切るトップエリート気取りの若手集団代表、極右傾れな世間知らず坊っちゃん。』
『…最悪だ…』
『やる気のある無能大臣とお山の大将な凡人参謀の組み合わせか…最強だな。否、大凶か。』
『誰が上手い事言えと。 しかし…』
『お互いがお互いを利用する事しか頭に無い組み合わせだからな。』
『最も本人達は気が合うらしいからな、ボンボン同士で仲良いんだろうよ。』
『成る程、ボンクラ坊やの成れの果てにエリート自任の凡才坊主がいらん事吹き込んで操縦してる訳か。』
『だから誰が上手い事言えと言った。 まあその通りだが。』
『…しかし厄介だな、これで大臣の首のすげ替えでは済まない話になって来たぞ。』
『ああ、今や参謀本部の極右派分子が省内深くまで食い込んでる状況だ。 今大臣が替わっても一度内部に入り込んだ不穏分子は中々入れ替えられんからな、これで連中の目的は達成されたと言える。』
『ふむ、連中にとってJAは端から当て馬で事は既に成り、もはや大臣は用済み…って事か。 待てよ、って事は…』
『ああ、どんな関与したかは知らんが右の連中がJAの失敗を見越してるのは間違い無い。』
『やれやれ…ここ(ネルフ)が悪鬼悪霊蔓延る魔神の巣窟地底迷宮ならそっちは魑魅魍魎の跋跨する悪夢の巨大伏魔殿だな。』
『おまけに連中ときたら内輪揉めや権力闘争ごっこに明け暮れるしか能が無いしな。 考えてみろよ、敵と味方の区別もつかん様なそいつらが味方だぞ?そいつらに背中預けるんだぞ?本当やれやれだよ。 …なあ、俺今からそっちに転職出来るかな?』
『あのな、幹部候補の現役教導隊員引き抜きなんてどんな裏技駆使したって出来ねーよ。 それにそもそも俺は首になるよりマシだから異動人事に同意しただけの話だ、そんなに飛べないウイングマークが羨ましいか?』
『そこはほれ、お前のコネで何とか… それともあれか?やっぱ撃墜命令無視してアレスチングフックで引っ掛けた機体強制着陸させるなんて荒業出来ないと駄目なのか?』
『言うなよ…あれは上手く行く訳が無かったんだ。 一歩…否、半歩間違えていれば相手も俺も機体ごと消し飛んでた。 後先考え無しに無茶したらたまたま奇跡の女神の悪戯で成功しただけだ。』
『ツキも実力の内だぜ?』
『ツキはそれで使い果たしたよ、お陰でパイロット資格剥奪の上三階級降格だからな。』
『まぁ次期参謀総長予定者の鼻へし折っちまったからな。 最も簡単に撃墜命令出すあんな馬鹿が参謀総長なんぞにならなくて良かったよ。』
『そっちは良くともこっちはそのせいで上に目をつけられ厄介者扱いさ、お前も知ってるだろ? って事で後はお馴染み各部署たらい回し、果ては行く先行く先圧力掛けられ難癖つけられ挙げ句に内調へ出向。 終いにはここ(ネルフ)以外行き場が無くなったって事さ。』
『そう言うなよ、内調での活躍は聞いたぜ? そのお陰で積年の悪事がバレた元参謀総長候補殿は元空将補殿となり檻の中だしな。 あ!そう言えば覚えてるか、あの腰巾着爺!あいつも今じゃ場末の管理棟で資料整理の毎日だそうだ、しかも定年まで一等空尉止まり確定だとさ。 無能が現場から消えて皆お前にゃ感謝してるぜ。』
『感謝は要らないよ、好きでやった事だ。 …いっそ馘になっても本物の鼻もぶん殴ってへし折ってやれば良かったな、檻の中じゃ手出し出来ないし。』
『言うねえ。しかし良く知らせてくれた、良い情報だったよ、助かる。』
『恩に着ろよ、その内返して貰うからな。』
『ラジャー…こりゃ高くつきそうだ、じゃあ又な。』
『ラジャー。』
―――
「…て事です、葛城さん。」
「成る程…急に司令の代理で式典出席しろだなんて言われたから裏取って貰って正解だったわ。 今回の話、裏はそう言う事なのねー。 そもそもJAなんて代物聞いた事無かったから一体何かと思えば… …で、マギによる通話内容の分析結果は?」
「済んでます。声紋に加工は無し、登録通りです。 背景音、ノイズも異常は無し。通話回線も同じく盗聴ありません。 声域、声調共に正常な範囲ですね、嘘はついて無い様です。」
「お待たせしましたー、生大二つとお新香に冷奴、こちらが鳥串盛合せでーす。」
「あ、有り難う。そこ置いといて。あ、空のこれも下げちゃって。」
「はーい。」
「さて、それじゃ改めてか」ゴックゴックゴックゴック…「って葛城さん!?もう飲んでるし!?」
ゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッゴキュッ…
「…うわすげ…」
「…ッッぷっはぁー――っ!!くあぁぁー――っっ!!んんんー―っ、生ビールやぁっぱ最強ーーっ!お姉さーん生おかわりー!」
「はーい只今ー。」
「…俺も飲もう…」
《Marble Bright》 http://www.youtube.com/watch?v=fEhtIScf7LQ&sns=em
注※この話の世界においてグー●ルとアマ●ン、スマートフォンは存在しておりませんのでご了承下さい※
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