このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
[573] サイト開設十周年カウントダウン企画・十月
日時: 2010/09/30 03:10
名前: tamb

月々のお題に沿って適当に書いて投下して頂こうという安易な企画です。作品に対するものは
もちろん、企画全体に対する質問や感想等もこのスレにどうぞ。詳細はこちらをご覧下さい。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/10y_anv_cd/10y_anv_cd.htm

今月のお題は

・一番大切なこと
・わたしのお尻は喋らない
・Knockin' On Heaven's Door

です。
八月の企画、九月の企画、1111111ヒット記念企画も鋭意継続中です(これ、ずっと書くのだ
ろうか 。八月九月十月十一月十二月一月……)。

今月中には、インフォシークiswebライトのサービス終了に伴う雑談掲示板「新・「綾波レイ
の幸せ」掲示板 二人目」移転記念企画もありますので(あるのか?)そちらもよろしくお願
いします。

では、どうぞ。

以上、ほぼコピペ(爆)。
メンテ

Page: 1 | 2 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・十月 ( No.7 )
日時: 2010/10/20 00:01
名前: ななし


綾波が開いてくれた食事会は楽しかった。
父さんも綾波も口数が多い方じゃないから会話は盛り上がらなかったけど、でも凄く楽しかった。
3人でご飯を食べているとなんだか懐かしい気持ちになった。
こんな時がいつまでも続けばいいのに、そう心の片隅で思った。

「父さん、今日はありがとう」
「……うむ」
「あの、今日は嬉しかった。父さんと食事できて」
「そうか」
「次は……」

高望みしちゃいけないと思っていても僕は願わずにいられなかった。
それが次の孤独や苦しみ、恐怖を生み出すと知っていても。

「シンジ、もう私を見るのはやめろ」
「えっ?」
「人は皆、自分ひとりの力で生き自分ひとりの力で成長していくものだ。親を必要とするのは赤ン坊だけだ」

父さんは僕に背を向けて語りだした。

「そしておまえはもう赤ン坊ではないはずだ。自分の足で地に立って歩け。私自身もそうしして来た」
「でも、僕は……」
「私と分かり合おうなどと思うな。人は何故かお互いを理解しようと努力する。しかし覚えておけ。人と人とが完全に理解し合うことは決してできぬ」



「人とはそういう悲しい生き物だ」


それからの僕の記憶は断片的にしかない
父さんと別れ
道を歩き
ミサトさんのマンションにたどり着き
暗い部屋の中で
ベットに倒れ


涙を流した



◇ 男の戰い  ななし


私は人に興味ない。昔からそうだった。父にも母にも興味を覚えなかった。何が楽しくて、何が面白くて私は生きるのだろうか。生存カリキュラムの意味を理解できないまま生きてきた。
そんな私の前に現れたのがエヴァンゲリオン。この機体を見た時、私は思った。「この機体に乗る事こそが私の運命」そう、決め付けた。それからの私はエヴァに乗るために辛い事も苦しい事もやってきた。そうして少しずつ、少しずつ世界の流れと仕組み、大人の裏の事情とかを垣間見て理解して本当の生きる強さを学んだ。
そしてようやく辿りついた。この場所に。私は今、エヴァに乗っている。エヴァに比べれば人なんてちっぽけ過ぎる。あぁ、なんて、なんて


気持ちいいんだろう




目の前のモニターに映るグラフがもの凄い速さで様々な形に変化し、シンクロ値を表示していく。
その動きを目で追っていると日向君が声をかけてきた。

「ミサトさん、何だか疲れてません?」
「色々とね」

リツコが私の隣に立ち、顔を近づけ耳にそっとささやく。

(加持君?)
(ノー)

ささやきにはささやきで返答。リツコはあら、そうと残念そうな顔をした。私はグラフの変化が落ち着いたところでマヤちゃんに聞く。

「どう、新しいパイロットのシンクロは?」
「見てくださいよ」

マヤちゃんのモニターを覗き込むとグラフはあるラインを突破して更に伸びていき止まる。

「おぉ……」

大画面のモニターにも同じ映像が映し出され他のオペレーター達がどよめく。日向君や青葉君もこりゃたまげたという表情をしていた。

「やるじゃない。もっともこうじゃなきゃいけないけど」
「ユーロの使者、お手並み拝見ね」

シンクロ率48.5%
私はモニターから弐号機に向き直り複雑な顔で見上げた。
別画面に映るエントリープラグ内の彼女は目をつぶりながら微笑んでいた。







『真希波・マリ・イラストリアス』

ミサトの口から出た名前は予想外だった。

『代わりの弐号機パイロットよ』
「リアリィ?」

ガラスの向こうにいるミサトはどこか諦めたような表情で頷いた。

『ユーロ直々のご使命なの。初号機の左腕復元を最優先に修理してるけどまだ時間がかかるし、零号機は予備パーツがまだ来ないから修理中断。日本のエヴァが万全に使える状況ではないと申請したらようやく弐号機の封印解除が出たんだけどね……』

封印解除に1つの条件が出された。それはユーロが指定したパイロットを使えという事だった。
本当は私の弐号機に誰も乗ってほしくなった。弐号機は私のモノ。でも、

「……バカシンジやエコヒイキに乗られるより断然マシ」
『彼女とは知り合い?』

知らない、関係ないと言っても私の経歴と比べればおのずと分かる事。誤魔化しても後からバレる。嘘をつく事にメリットなし。私は正直に答えた。

「先輩よ、同じ訓練を受けた」

自分の台詞で過去を思い出し同時に屈辱と悔しさが胸に湧いた。
弐号機に乗りたくてやっとここまでたどり着いたのに、先輩は私の望んでいた場所をさらりと奪い取ってしまう。いつもそうだ、成績や能力から胸の大きさ、何もかも全て敵わない。

あの人には敵わない。
でも、だからこそ弐号機を安心して預けられる。
だって、先輩は誰よりも人を信じない孤高の人だから。
でも、悔しい。

こんなところで油売ってる暇はない。でも、ここから出られる術もないし、弐号機パイロットが存在する今、ネルフには私の居場所がない。今の状況に歯痒さを感じ、ベットのシーツを強く握り締めた。





EMERGENCY・EMERGENCY・EMERGENCY・EMERGENCY・EMERGENCY



「西区の住民避難、あと5分はかかります」
「目標は微速前進中。毎時2.5キロ」

発令所後方のドアが開くとミサトが駆け込んできた。

「遅いわよ」
「ごめん」

ミサトをたしなめ私は青葉君に確認を急ぐ。

「富士のレーダーサイドは?」
「探知してません、真上にいきなり現れました」

モニター画面いっぱいに映る球形。黒と白のゼブラ模様の球形は第三新東京市に突然現れビル郡の真上に浮かんでいる。市街の真ん中に浮かんでいる為、住民の避難が終えるまで戦時もこちらもうかつに使徒に手を出せない。

「パターンオレンジ、ATフィールド反応なし」
「反応なし?」
「まさか、新種の使徒?」
「MAGIは判断を保留してます」
「弐号機、パイロット共に準備ができました」
「了解。とりあえず待機で」
「住民の避難の99%が終了しました」
「!」

日向君が急に慌てた。私とミサトは彼を見る。

「どうしたの?」
「弐号機が単独で地上に!」
「なんですってぇ?!」

彼のモニターには弐号機が昇降機で射出されている映像が映っていた。

「無線は?」
「繋がりません!」
「これはユーロの指示?」
「分かりません!」

ミサトは日向君に再度指示して何とか弐号機と連絡を取ろうと試みる。
でも、無駄だろう。私は後ろを見上げた。そこにある席に人は座ってない。

「こんな時に碇司令はいないのね」

モニターに映っている使徒は静かに浮かんでいた。







「ケーブルを引き上げてみたら、先はなくなっていたそうよ」
「それじゃ」
「内部電源にたいした容量はないけど彼女が闇雲にエヴァを動かさず、生命維持モードに切り替えていれば16時間は生きていられるわ」







「…………」

浅い眠りから目を覚ました私は顔を上げスイッチを入れた。
金属板の景色がモニターに変わる。表示されたモニターはどこまでも白かった。

「やっぱり、白い」

レーダー電波やソナーは帰ってこない。空間が広すぎる。
スイッチを切り金属板へと戻す。プラグスーツの腕時計を見るとあの戦いから12時間経とうとしていた。

「私の命もあと4、5時間」

金属板に映った人影が一瞬彼に見えた。ドクンと胸の鼓動が早くなった。目を逸らし胸の動悸を抑え再び金属板を見る。そこに映っていたのは青い髪に赤い瞳、白いプラグスーツを着た私の姿。やっぱり気のせいだった、安心した。でも少し寂しくもなった。息を一つ吐くとタイミングよく照明が落ちた。
私は目を閉じた。そして、あの戦いを思い出す。


弐号機は単独で使徒殲滅のために地上に出撃。
何度も無線での連絡を試みたが無駄だった。
私と碇君に下された命令は零号機と初号機での援護。
プラグスーツを身にまとい零号機に乗り込む。その前に碇君が声をかけてきた。

「綾波は何の為に生きるの?」

その質問はこの前の使徒の戦いで待機してた時に会話した質問に似ていた。

「何の為?」
「いや、ごめん。なんでもない」

碇君は謝ると初号機の搭乗タラップへと向かっていった。その後姿は小さく見えた。
エントリープラグに乗り込み神経を接続する。
私のシンクロ率は18.4%だった。良とは言えなかったけど動かせない数値ではない。
でも、碇君はダメだった。
シンクロ率3.9%
理由は分からないけど、碇君はエヴァに対して心を閉ざしていた。
葛城さん達の色んな声が飛び交う中、碇君はその声に反応することなく震えながら「父さん……父さん……」と何度もあの人を呼んでいた。
モニターに弐号機がビル陰から使徒を伺ってる映像が映し出された。
その奥をゆっくりと動いている丸い球体。
映像を見た葛城さんは決断し命令を下す。

「初号機は待機!零号機は第15ビルの屋上でライフルで狙撃準備!」

地上に出た私は武器庫から二脚ライフルを手に取り第三新東京市内で一番高いビルの上に登るとライフルを設置し使徒と弐号機を観察した。
ゆっくり動く使徒、それを追う弐号機。
最初に攻撃を仕掛けたのは弐号機の方だった。
ビルから飛び出しライフルを3発撃った。狙いは正確だった。当たると思った瞬間、使徒は消えた。
直ぐに使徒の確認を急ぐ。でも、見つからない。
焦りが募る中、エントリープラグに司令室の警報が無線を通して聞こえた。

「重力異常!弐号機の真下です!」

弐号機の立っている地面を見る。そこはエヴァにしては不自然すぎる大きすぎる影が広がっていた。
弐号機は気づいていない。弐号機に司令部から無線が入ってないなら気づかなくて当たり前だと思う。
私は設置したライフルを取り外しビルを飛び降りた。
できる限り弐号機の元へ早く、それだけを考えた。
弐号機の近くに辿りつく、その前に私はライフルを構え弐号機の足元に2発打ち込んだ。

「ちょ、なにすんのよー!」

弐号機との無線が繋がった。今、弁解や言い訳してる暇はない。
走りを止めるとちょうど弐号機に寄り添う位置に付いた。私は弐号機の首を掴み、そのまま投げた。
その場から私も離れようとした時、遅かった。
右足を捕られた。ガクッと体制を崩すと左足も捕られる。
下を見ると影の中に零号機は沈んでいた。
残っていたライフルの弾を全て撃ち込む。弾は影の中に沈んだだけで手ごたえは得られなかった。
私が投げた弐号機を見る。
弐号機は高層ビルにしがみついていた。その高層ビルも私と同様沈み始めている。

「え、あ、ちょっと、どうしよう」

弐号機パイロットのあせりの声が聞こえた。
その声に答えれないまま、私は使徒の中へと沈んで行き、暗闇の世界へと落ちていった。



プラグスーツの腕時計を再び見る。あれからまだ20分しか経ってない。いや、もう20分も経ってしまった。私の命の時間は刻々と近づいている。再び目を閉じた。目を閉じて思い浮かんだのはあの時震えていた彼。

「碇君……」

誰に伝わりもしない、彼の名を口にした。







男子更衣室のドアを開けるとシンジ君はベンチに腰掛けていた。彼の姿はプラグスーツで、口をぽっかり開けたまま気力なく座っていた。
私は彼に近づき、声をかける。

「シンジ君」
「…………」

反応はなかった。

「お願いがあるの、シンジ君」
「…………」
「レイを救い出して欲しいの」

彼女の名前でシンジ君は身体は少し震えた。

「……無理です」
「貴方しかできないの」

か細い声での拒絶の言葉。そんなことはないと私は説得する。彼の目を覗き込む。まだ、瞳には光が宿っていない。
私の言葉を遮る為に彼はこの部屋から逃げようと立ち上がりドアへと向かった。私は彼の左手を掴みその行動を阻止する。彼の左手はとても冷たかった。

「離して下さい」
「ダメ」
「離して下さいっ!」
「これは命令よ」
「無理です!」
「本当は救いたいんでしょ!」

私の手を振り払うために全力で抵抗していた彼の動きが止まった。
知ってるわ。だって、私がこの部屋に入った時は反応しなかったのに、レイの名前を出しただけで心が動揺していたのだから。

「私もレイを助けたいの。私だけじゃない、みんなレイを助けたいの」

さっきの戦闘での彼のシンクロ率は5%を切っていた。何故、そこまでシンクロ率が下がったか原因は分からない。心の問題なのだと思うけど、彼の心を抉った原因は私には分からない。
そんな彼にエヴァに乗れてと言う事は地獄に等しいかもしれない。

「シンジ君も同じ気持ちなら、一緒に戦って欲しい」
「ミサトさん……」
「もし……もし私達の夢や願いを貴方に重ねてるだけだったら本当に申し訳ないと思ってるわ。でも、私にはそれを貴方に託す事しか未来を紡げない」

勝手な言い分だって分かってる、でも、私達には貴方が必要。世界を救うためには貴方の存在が必要なの。

「……どうやって助け出すんですか?」

私に左腕をつかまれたまま、背を向けたまま、うつむいたまま、彼は私達と共に戦ってくれる事を選択してくれた。

「それは――」

シンジ君を説得しておいて言うのもなんだけど、作戦はまだ決まっていなかった。いや、正確に言うと決まりかけている作戦に私は反対している。
今まで分かった情報はあの使徒の中は宇宙空間に繋がっている可能性があるとのことだった。その理論が正しいのなら、日本に現存する992個のN2爆弾を使徒に投下。その際に起きる莫大的な瞬間的エネルギー量を利用してエヴァ2体がATフィールドを展開し使徒を破壊、零号機を回収する――――強制サルベージの作戦が行われる予定だ。
この作戦は、パイロットの生死を問わない。機体回収のみが目的。
レイの生死よりエヴァを優先する、そんな事があってたまるもんですか。人の命を粗末に扱ってたまるもんですか。
でも他に作戦は浮かばない。シンジ君を見る。彼の目は真剣だった。瞳にようやく光が戻ってきた。おびえてはいけない、救いたいなら事実から目を逸らさない。逸らさず向き合った者だけが新しい道を見つけることができる。
私は決意して、現状の作戦を彼に伝えようとする。
 
「ひとつだけ方法はあるよ」

更衣室のドアが開き、ピンクのプラグスーツを着た少女が入ってきた。この子はさっき弐号機に乗っていた独断先行・作戦無視・とんでもない問題児、真希波・マリ・イラストリアス――――

「でも、君は真正面から立ち向かえるかな」

シンジ君の目の前に立った彼女は不敵な微笑で彼を挑発した。






私はもう戦う事をしなくてもいい
何もしなくていい、何も考えなくてもいい
ここが私の場所になる

でも、どうして?

黒い雲が私の心を覆う


誰かの心が聞こえてきた
目を開けるとそこは走っている電車の中だった。窓から赤い夕日が綺麗に見えた。
目の前に一人の小さな少年が座っていた。少し大きめの縞々のTしゃつに短パン。脚を揃えて座っていた。

「お姉ちゃん、捨ててよ」

私の膝元にS−DATが置いてあった。知ってる。これは碇君のモノ。

「もう、それいらないんだ
父さんが僕を守ってくれないから
どんどん目の前が暗くなってきたよ
きっと僕は必要のない人間なんだ」

貴方がエヴァの心を閉ざしたのは碇司令に拒絶されたから?
必要のないなんてそんなことはない。
本当に必要のないのは――――

いつの間にか少年は少女に代わっていた。少女の姿は私にそっくりだった。

「誰?」
「綾波レイ」
「それは私」
「貴女は私よ。人は自分の中にもう一人の自分を持っているの」
「私は人じゃない」
「貴女は人よ」

「碇君がそう望むから、貴女は人でいられるの」






僕が第7ケイジに向かうとそこに父さんはいた。
父さんは切ない目で初号機を見ていた。僕がやってきた事に気づいていない。

「父さん」

僕が呼ぶと父さんはこっちを振り向いた。さっきまで初号機を見ていた目ではなく、憎しみが込められた目。そう感じた。
後ろに下がりたくなった。逃げ出したくなった。
恐怖で身体が強張った時、胸元にこつんと何かが当たる。
さっきミサトさんが僕にお守りよと言ってかけてくれた白い十字架のペンダントだった。

『父さんと向き合う怖い気持ちは知ってるから』

胸元のペンダントを握り締めながら父さんに近づく。



怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い



でも、何もしないなんてそんなのもっとイヤだ。助けられる人を助けないままにするなんてもっとイヤだ。
手を伸ばせば父さんに届く、その位置まで近づくと父さんの脚が一歩後ろに下がった。
僕は父さんが見つめていた初号機を見上げ、今までエヴァの中に感じていた思いを言葉にする。

「この中に母さんはいる」

父さんの動きは止まった。サングラス越しに視線を感じる。憎しみが込められた目、というより達観した目だった。

「僕一人じゃ何もできない。けど今、母さんの力を借りれば僕にできることがある。親の力がないと何もできない、赤ン坊。でもそれで救える人がいるなら僕は赤ン坊のままでいい」

あの日の父さんの言葉に返す答え。僕は答える事よりも悲しみに負けていた。でも、それじゃ何も変わらない。ようやく歩み寄った距離がまた離れていくだけ。

『ワンコ君。君は自分に向けられた言葉から逃げちゃダメなんだよ。辛い事から苦しい事から逃げても面白い事はないんだから』


「人と人は完全に理解できない。好きもあれば嫌いもある。自分の主張の為に醜い言葉や争いは生まれてきた。僕はそんな世界に絶望して生きてきた」

眼鏡の子は辛い事に対峙しろと言った。それがエヴァに乗って綾波を助ける近道だと言った。

『きっと、そうすれば道は見えるから』

「でも僕を理解しようとしてくれる人がいる。分かち合い手を取ろうという人がいた。一緒に戦ってくれる人がいる。だから、僕は分かり合おうとする努力はやめない」

緊張で何を言ってるのか僕自身分からなくなってきた。もう一度、胸元のペンダントを強く握りなおす。

諦めない

生きる為に
みんなと一緒に生きる為に
僕はもう逃げない

「父さんがいくら拒絶しても僕は父さんを見ることをやめない。僕は父さんとわかりあいたいから。それが無駄だと言われても、僕は諦めない」

周りの大人たちの言う事に振り回されず
甘えず、駄々をこねず、殻に閉じこもらず
自分の意思で決めた

「それが僕が選んだ進む道」

ミサトさんやアスカやリツコさん、父さん
そして、

「僕はエヴァンゲリオン初号機パイロットです。綾波を助ける為に……僕をエヴァに乗せてください」

綾波を助ける為に
みんなを守る為に
僕は戦う







水が濁ってきている
浄化能力が落ちてきたのだろう

生臭い血の匂いがする

「もう、終わりなのね」


全てを諦めようとした時、音が聞こえた
何を叩く音
最初は叩く速度はゆっくりだった
徐々に早く、力強くなっていく
私の中をこじ開けようとしている

やめて、ここは私の居場所

ここでしか私は存在できない

叩く音は鳴り止まない

Knockin‘ On Heaven’s Door…

助けて

Knockin‘ On Heaven’s Door…
Knockin‘ On Heaven’s Door…

助けて

Knockin‘ On Heaven’s Door…
Knockin‘ On Heaven’s Door…
Knockin‘ On Heaven’s Door…

助けて、碇君っ!


叫んだ時、扉は開かれた
扉の向こうに立つ人は助けを求めた人だった

「綾波っ!」

碇君は私を見つけてくれた。息を切らした碇君は私に微笑んで手を差し伸べてくれた

私はここが自分の居場所だと思っていた
でも、違った

Knockin‘ On Heaven’s Door!

私の本当の居場所は扉の向こう、碇君がいる世界

「碇君っ!」

私は私の意思で駆ける。
黒い雲から光が差しこんだ。見えなかった扉への道が照らされる。
私は無我夢中でその道を駆け抜け、碇君の手を掴んだ。







エヴァンゲリオン初号機は地上に射出されると静かに使徒に向かって歩き出した。
その姿に畏怖を感じた。
いつもと変わらない機体に何故俺の手は震えているのだろうか。
いや、違う。変わっている。昨日まで初号機の左腕は失ったままだった。それが今、復元され両目が光り輝いている。
そうか、そういうことか。

「まさか、自らの意思で覚醒するとは」

先ほどの戦いでシンクロできず動かせなかったシンジ君。短時間で何が彼の心を動かした?何が彼を変えた?やはり、取り込まれたあの子の為なのだろうか?
影の淵に立った初号機。立っているだけで何も動かない。
どうなると固唾を飲み見守っていたら先に動いたのは使徒の方だった。
球体を分解させ大きな風呂敷となった使徒はそのまま初号機を包み込み、元の球体へと戻った。
そう、飲み込まれたのだ。
飲み込まれて数分、使徒に変化は現れなかった。
俺はポケットのイヤホンを耳につけ、周波数を合わせある場所へと繋ぐ。
音は聞こえなかった。慌てる事も喚く事もなく。
何故冷静でいられるんだ?またパイロットがエヴァごと取り込まれたのに。
葛城が泣いてる、シンジ君を返せと叫んでるかと思った。
でも、不気味なまでに無音だった。

パシィィィィィィ!!!

いきなり音が生まれた。ガラスが割れるような音。音がした方、使徒を見る。
使徒に亀裂が走っていた。次々と走っていく亀裂。
割れ目から咆哮が聞こえ、赤く染まる2つの手が現れた。それは初号機と零号機、それぞれの片手だった。
使徒が割れていく。いや、引きちぎられている。
初号機の左手が使徒の体を内側から引き裂いている。使徒の内臓らしき物体が地上へと流れた。
使徒の返り血を浴びた初号機と零号機の頭部が現れる。朝日の光に照らされたその姿は悪魔に見えた。
イヤホンから「なんてものをコピーしたのかしら……」とリッちゃんの声が聞こえた。
使徒の身体を二つに裂いた初号機は零号機を抱きしめながら地上へと降り立った。
俺には初号機の顔が笑ってるかのように見えた。

「ゼーレが黙ってはいませんな。これもシナリオの内ですか、碇司令」






初号機を援護する為にビルの屋上に登っていた。本当は援護なんてガラじゃないけど今回は仕方ない。お姫様を救う役はやっぱり王子様じゃないと。
その屋上から使徒と初号機の戦いを一部始終見ていた。戦いと言うには静か過ぎるものだったけど、ワンコ君は無事に無事に王子様になれた。

これから王子様は世界を救う為に魔王と戦わねばなりません。
しかし、王子様はその運命をまだ知らないのです。

ワンコ君とのファーストコンタクトを思い出す。明らかに私達とは違った匂いを纏っていた。

「やっぱり、面白いね。ワンコ君は」







「時計の針は戻す事はできない。だが、自ら進める事はできる」
「これでいいのか」

ゲンドウは冬月の質問に肯定も否定もしなかった。

「全てはここからだ」

その答えはこれから分かると、言った。





9月の続きをイメージして。
天国のキーワード以外は何とかお題通りだと思うんですが(自信はなし)


メンテ

Page: 1 | 2 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成