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1111111ヒット記念企画
日時: 2010/05/14 20:26
名前: tamb

 というわけで、このスレは1111111ヒット記念ぷち企画ということで、1111111ヒットにか
こつけて何か適当に書いてみませんかというスレでございます。

 お題は「1111111」から連想されるものなら何でもOK。単に1でも問題なし。綾波レイが7人
行進して来るでもOK(笑)。とにかく何でもOK。

 サイズ等の制限は基本的になし。それこそ100文字でもOK。ただし読むのに五時間とかかか
るような大長編はご遠慮ください(笑)。あと連載もダメ。書き上げて一気に投下してください。
ゲンレイもダメ(笑)。18禁もアウトです。

 感想とかの反応もこのスレで。結果的に割り込みになっても気にしなくてOK。

 一見さん歓迎です。お気楽にどうぞー。もちろん常連さんも歓迎。

 これはという名作が出てきたらサルベージも考えます。異常な盛り上がりを見せたら通常企
画に変更もありえるかも!

 締め切りは、そうだな、2000000ヒットまでかな。一日平均350くらいだから……ま、そのく
らい先です(笑)。

 こんなもんかな? 何か質問とかあればこのスレでお願いします。

 というわけでよろしくお願いします。盛り上げましょう。私もこれから考えます。

 最後に、提案してくださった名も無きROM氏に感謝を。

-------------------------
締め切り修正します。2000000ヒットまでだと長すぎるんで、10周年記念企画発動までに変更です。
ま、だいぶ先ですよね(笑)。

メンテ

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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.57 )
日時: 2010/07/10 08:16
名前: tamb

《7days》


 一日目・月曜日

 目を覚ますと昼過ぎだった。明け方近くまで起動テストをこなしていたせいだ。まだ寝不足
の感じもする。身体が重い。窓の外を見ると、夜半から降り始めた雨が今もまだ降り続いてい
た。
 今からでも学校に行くべきだろうかと思う。だが体調はすぐれない。鏡を見ると、顔色もあ
まり良くなかった。今日は休もう。身体を休めるのもパイロットの仕事のうちだ。それに、無
理して学校に行けばすぐれない顔色を見て碇くんが心配してしまうかもしれない。ただ疲れて
いるだけだということはわかっている。無用な心配はかけたくなかった。
 そう決めると、また眠くなってきた。わたしはブランケットに身体を包み、目を閉じた。


 二日目・火曜日

 雨はまだ降り続いていた。体調は悪くなかった。良くもなかったけれど。
 制服に着替え、傘を持って部屋を出る。
 風はあまり強くなく、さほど濡れずにすんだ。
 学校に着き、授業が始まる時間になっても碇くんは姿を見せなかった。何があったのだろう。
わたしは表情を曇らせる。

「バカシンジなら休みよ」

 休み時間、近寄ってきた惣流さんがそう言った。

「緊急のテストだって、朝早くに呼び出されて出かけていったわ」
「そう」

 緊急テストならば長時間に及ぶことはあまりない。早退しようかとも思ったが、午後にでも
登校して来るかもしれない。

「ふーん……」

 惣流さんがわたしの顔を覗き込んで、感心したような声を出した。

「……なに?」
「あんたって、意外とかわいいのね」

 いったい何の話だろう。

「バカシンジが言ってたのよね。綾波って、あれで結構くるくる表情が変わってかわいいよっ
て。よく見てるとわかるって。あいつの言った通りだわ。実はわかりやすいって言うか」

 自分の表情がそんなに変るとは思わなかったが、碇くんがわたしのことをそんなに見ている
とは思いもしなかった。頬が熱くなる。

「ほら、赤くなった」惣流さんが笑いながら言う。「ま、がんばんなさい。シンジも午後には
来るかもよ?」

 何を頑張るのかわからない。
 それにしても、とわたしは思う。彼女はわたしの心が読めるのだろうか――?

 昼休み、まだ降りしきる雨の中を碇くんは登校して来た。

「あ。おはよう、綾波」

 彼は教室に入るなりまっすぐにわたしのところに歩いて来た。碇くんがわたしを見る――。
 思わず顔を伏せてしまう。

「さっき聞いたんだ。日曜日は明け方までテストだったんだって?」
「……うん」
「大変だね。月曜日休んだから心配してたんだけど、大丈夫?」
「今はもう、平気」
「そう。よかった」

 そっと顔を上げると、碇くんは笑顔でわたしを見つめていた。すぐにまた顔を伏せる。惣流
さんと洞木さんのくすくす笑いが聞こえた。
 何か話をしたいと思う。でも何を話したらいいのかわからない。彼の笑顔が見たい。でも見
ていられない。
 碇くんが前の席に座る。わたしは動けない。

「雨、やむといいね。洗濯物が乾かなくて、困っちゃうよね」
「……そうね」

 洗濯は全てコインランドリーで済ませているわたしも、そう答えた。彼が外を見ているのに
気づいてわたしも雨を見る。空は暗く、雨がやむ気配はなかった。
 チャイムが鳴るまで、わたしたちはずっと外を見ていた。


 三日目・水曜日

 今日も一日中雨降りだった。
 学校では視線を意識してしまい、碇くんを見ることもできなかった。見てなんてくれなくて
もいいと思う。碇くんを見ることができればそれだけでいいのに。彼の笑顔を見られるなら、
他には何も望まないのに。

 着る物がなくなってきたので、洗濯物と本を持ってコインランドリーに向かう。途中で制服
をクリーニングに出し、汚れ物を洗濯機に放り込んで本を開いた。
 今度晴れたら、コインランドリーなど使わず洗濯は自分の部屋でしようかと思う。碇くんの
ように。洗濯機はベランダにあったはずだ。使ったことはなかったから、動くのかどうかはわ
からないけれど。

 小さな女の子が、黄色いレインコートを着てお母さんと一緒に歩いているのが見える。買い
物帰りだろうか、お母さんは大きな袋を下げている。あめ、やむといいねー。女の子が大きな
声で言う。そうね、とお母さんが答える。毎日雨だと嫌になっちゃうわよね。
 女の子は、手に何か白いものを持っている。
 てるてるぼーずーてるぼうずー、あーしたてんきにしておくれー。
 女の子の歌で、それがてるてる坊主だとわかった。
 雨がやむと何かいいことがあるのだろうか、と思う。洗濯物が干せるということに、すぐに
気づいた。

 洗っているのはほとんど下着だけだったから、乾燥もすぐに終わった。きれいになった洗濯
物を紙袋に詰め、部屋に戻る。
 下着や靴下をチェストに入れ、指定された薬を服用すればもう他にすることはなかった。シ
ャワーを浴びてベッドに横になる。碇くんは今頃きっと惣流さんや葛城さんと食事をしている
だろうと思うと、本を読む気にもなれない。もちろん、肉は食べられないし空腹を感じたこと
すらないわたしがその場にいたとしても邪魔になるだけだということはわかっている。それで
も、言いようのない焦燥感を抑えることはできなかった。
 窓を叩く雨の音が耳について離れない。わたしの中にも雨が降っている。
 このままずっと、やまなければいいと思う。


 四日目・木曜日

 雨は相変わらず降り続け、それに加えて風も強かった。女の子の願いは届かない。少なくと
も、今日は届かなかった。
 学校は休むことにした。そもそも学校に行くことに意味はない。碇くんの顔を見ることがで
きるわけでもない。無理に行って、雨に濡れて体調を崩している時に緊急召集でもかかったら
困る。
 時間がたつにつれ、雨も風もますます強くなった。行かなくて良かったと思う。
 でも学校に行けば、綾波びしょびしょだね、傘のさし方が下手なんじゃないの、と言って碇
くんは笑ってくれたかもしれない。そうしたらわたしは、傘のさし方ってわからないのと少し
恥ずかしそうに笑って答えられるだろうか。それとも怒った振りで、傘が小さすぎるのと言え
ばいいだろうか。
 わたしにはできそうになかった。
 笑うことも、怒ることも。


 五日目・金曜日

 雨も風も相変わらず強かったけれど、わたしは傘をさして学校に向かった。学校に行くこと
に意味はないけれど、行かない理由も見当たらなかった。体調さえ崩さなければそれでいい。
 碇くんの顔が見られなくても、同じ教室の中で同じ空気が吸えればそれでいい。傍にいられ
なくても、心配なんかしてくれなくても、誰かと話をしている彼の声が、彼の笑い声が聞けれ
ばそれでいい。
 それなのに彼はわたしの傍によって来た。

「綾波、おはよう」
「……おはよう」

 わたしは顔を伏せ、それだけをやっと答える。

「調子悪いの? 昨日休んだけど。……なんだか顔が少し赤いよ。熱、あるんじゃない?」
「昨日は、すこし調子が悪かっただけ。今日はもう、大丈夫」

 顔が赤いとすれば、それは熱のせいではない。

「そう。ならいいけど、でも無理しないでよ。心配しちゃうからさ」
「大丈夫。……ありがとう」

 心配なんてしてくれなくていい。学校に来られなくなる。

「ね、ねぇ綾波……」

 その少しかすれた小さな声に、わたしははっと顔を上げた。碇くんはわたしから目をそらし、
何かをためらっている。
 わたしはその横顔を見る。こんなに近くから彼を見つめるのはいつ以来だろうと、ふと思う。
 彼はほんの一瞬だけわたしの目を見て、またすぐに逸らす。

「あの、さ……」

 碇くんがためらいがちにそう言った時、始業のチャイムがなった。

「あとで、また」

 彼はわたしを見ないまま、自分の席に帰っていった。わたしは彼の姿を追う。

 その日、彼は一日中わたしを見なかった。だからずっと彼のことを見ていられた。これでい
いと思う。いつものわたしでいられる。でも彼を見ていると、わたしの中に自分を見て欲しい
という気持ちがあることに気づく。見つめられたら見つめ返せない。それなら、ただ見つめて
いるだけの方がいいのに。

 放課後。わたしはどうしたらいいのかわからなかった。彼の言った「あとで、また」はまだ
果たされていない。このまま帰るわけにはいかないかもしれない。でもあとでというのが今日
のこととは限らない。
 このままじっと待っているのは変だと思う。でも、そのまま帰ってしまうのも碇くんを無視
しているようで嫌だった。自分から話し掛ければいいのかもしれないけれど、何を話したらい
いのかわからない。
 結局、雨が小止みになるのを待つ振りで、わたしは窓の外を見ていた。

「綾波、一緒に帰らない?」

 突然のように碇くんが話し掛けてくる。胸が高鳴ってどうしたらいいのかわからない。

「……うん」

 わたしはようやくそれだけを言って、静かに立ち上がった。

 碇くんと二人、傘をさして並んで歩く。二つの傘の作る距離感がわたしの心を平静に保った。
 彼は何も話さない。わたしも何も言わない。
 その沈黙が心地よかった。
 彼はわたしを見ない。わたしも彼を見ない。
 それでも彼の傍にいるというだけで、彼と一緒に歩いているというだけで、わたしは満たさ
れていた。
 でも、わたしの部屋と彼の部屋への分かれ道が近づくにつれ、わたしは落ち着きを失う。
 離れたくなかった。でも、離れないためには立ち止まるかわたしの部屋に来てもらうしかな
い。どちらもありえない選択肢だった。立ち止まっていても雨に濡れるだけ。わたしの部屋に
来ても、話をすることはない。わたしは一緒にいて楽しい女ではない。

「綾波の、部屋の前まで行くよ」

 かすれた声で彼が言った。わたしは驚いて碇くんを見る。彼はまっすぐ前を向いたままだっ
た。

「そんなに遠回りじゃないし。……いいよね?」
「……かまわないわ」

 断る理由などどこにもなかった。

「……ずっと雨で、洗濯物が乾かないだろ?」

 それをきっかけにしたように、彼が話し始める。

「洗濯さぼってたら、なんか着る物がなくなってきちゃってさ。それで、その……」

 彼が口ごもる。わたしは黙って彼の言葉を待つ。

「今度の日曜日、せっかくだから服でも買いに行こうかと思うんだ。最近、買ってなかったし」

 どんな服を買うのだろうか。そう言えば、彼の私服を見た記憶はなかった。わたしとは違う
のだから、私服を持っていないはずはないのだけれど。
 見てみたい、とわたしは思う。彼を知りたい。わたしの知らない彼のことを、もっと知りた
い。

「それで……よかったら綾波も一緒に行かない?」

 想像もしなかった彼の言葉に、わたしは思わず立ち止まってしまった。ただ買い物に付き合
って欲しいと言っているのではないということは、わたしにもわかる。わたしにも服を買った
らどうかと、彼は言っているのだ。
 わたしは服など買ったことはなかった。スーパーやコンビニで下着類を買ったことはあるが、
それは服を買ったとは言わない。どんな物を買ったらいいのか、想像もつかなかった。

「……碇くんが、選んでくれるなら」

 わたしは自分で言った自分の言葉に驚いた。わたしは何を言っているのだろう。碇くんにわ
たしの服を選んでもらおうだなんて。
 でも碇くんは、一瞬だけ驚いたような顔になったあと笑顔で言った。

「いいよ。僕で構わないなら、選んであげる」

 わたしは無言で小さくうなずき、そのまま下を向いた。

 日曜日に迎えに来ると言って帰ってゆく碇くんを見送ったあと、わたしはベッドに倒れこん
だ。心臓の鼓動は激しく、何をしたらいいのかわからないのにじっとしていられないような、
不思議な気持ちだった。
 買い物に着て行く服は制服しかない。それでいいのだろうか。買った服は何に入れて持って
帰ってくればいいのだろう。買い物を終えたらどうすればいいのだろう。碇くんはどんな服を
選んでくれるのだろう。わたしにはどんな服が似合うのだろう。どんな服を選んでもらえばい
いのだろう。Tシャツ? ブラウス? スカート? ワンピース? 何もわからない。何をど
うすればいいのだろう。
 わたしはベッドに横たわったまま、じっと動かずに身悶えていた。


 六日目・土曜日

 雨はまだ降り続いている。
 学校は休みで、補習を受ける必要もなく、午後から定期検診で本部に向かった。

「問題ないわね」

 一通りのチェックが終わり、赤木博士はそう言った。

「最近、安定してるわ。薬を少し減らしてみるけど、身体の不調を感じたらすぐに連絡するこ
と。いいわね?」
「はい」

 わたしはブラウスのボタンを留めながらそう答えたが、気持ちはここにはなかった。

「じゃあ、あがっていいわよ。お疲れさま」

 せめて傘だけでも、もう少し何とかした方がいいかもしれない。今使っているのは、もうず
いぶん前にコンビニで買った、汚れた安いビニール傘だった。

「どうしたの?」

 碇くんはどんな服を着てくるだろう。わたしは制服しか持っていない。飽きれたりしないだ
ろうか。嫌われたりしないだろうか。

「レイ?」
「は、はい」
「どうかしたの?」
「明日、碇くんと服を買いに」

 そこまで言って、わたしは口をつぐんだ。いつものわたしなら、問題ありませんと答えたは
ずだ。碇くんとの買い物のことなど赤木博士に報告する必要はどこにもない。

「……それで?」

 思った通り、赤木博士は冷たい目でそう言った。

「いえ、問題ありません」
「そう。ならいいけど」

 なぜこんなことを口にしたのだろう。わたしは失礼しますと言って席を立とうとした。

「制服で行くしかないわね。どうせ他に服なんて持ってないんでしょうから」

 私は浮かせかけた腰を止めた。口調は冷たいものだったが、その表情にはかすかに笑みが浮
かんでいたからだ。

「まず」

 赤木博士は冷たい口調を崩さずに続けた。

「今日は早めに寝て、睡眠をたっぷり取ること。どきどきして眠れないかもしれないけど」
「……」
「返事は?」
「は、はい」
「明日の朝は少し早起きして、シャワーを浴びて身体をしっかり洗って全身ぴかぴかにするこ
と。もちろんシャンプーもするのよ。言うまでもないけど、下着は新しいものを付けること。
寝るときに付けてたのをもう一回使ったらダメ」
「……はい」
「ムダ毛の処理は前に教えたわよね。ちゃんとしてる?」

 赤木博士はわたしのくつ下をおろして脚を確認し、満足げに深くうなずいた。

「シンジ君と会って、もし彼が“制服で来たんだ”みたいなことを言ったら、できるだけ甘え
た感じで……それはあなたには無理ね。そうね、下を見て、小さな声で“服、これしか持って
ないの”って言って、それから少し上目遣いに彼を見る」
「……」
「言ってごらんなさい」
「ふ、ふく、これしかもってないの」
「まあまあね。本番でもそんな感じで少しどもった方がいいかもね。あとは……リップとか制
汗剤は持ってる?」
「……いえ」
「ついてらっしゃい」

 赤木博士は立ち上がると、私の手を引いて本部に入っているコンビニに向かった。

「リップと制汗剤は、どんなコンビニでもだいたいこの辺にあるから。何でもいいけど、定番
はこれとこれ。とりあえずこれを使って、あとは好みで選ぶといいわ。香りとか色々あるから。
でもあんまり強い香りは避けた方がいいわね。あなたはあんまり汗をかかない体質だから、特
に制汗剤は香りの弱い物を選んだほうがいいわ。興ざめだから」

 赤木博士は商品を二つ取り、レジに並びながらそう言った。興ざめとはどういうことだろう
か。わたしはただ赤木博士の勢いに圧倒されていた。

「制汗剤は、お風呂上りにわきにスプレー。リップは要するに口唇に塗ればいいんだけど」

 部屋に戻ると赤木博士は買ったものをわたしに手渡し、口唇を噛むようにしてみせて言った。

「塗ったあとこんな風にすると、リップが口唇に馴染んでいいの。ちょっとやってごらんなさ
い」

 わたしはリップを塗り、教えられた通りにしてみた。

「そうそう、上手。口唇がかさかさしなくて、うるおった感じになるでしょう?」

 差し出された手鏡を見る。少し湿ったような、つやつやした感じになっていた。

「シンジ君、きっとドキってしてくれるわよ」

 碇くんがわたしを見てどきっとするというのは想像できなかった。あり得ないこととしか思
えない。そんなことが起きるはずがない。意味がない。

「お金は持ってるの?」
「カードが――」
「男の子と買い物をするのにカードは感心しないわね」

 赤木博士は三万円をわたしに手渡した。

「あなたが出世したら返してもらうわ。あ、おつりは返してね?」

 もうはっきりと笑顔だった。

「これでばっちり。成功を祈ってるわ」

 何かに挑戦するわけでもないのに、成功とは何のことだろうか。それでもわたしはそのこと
は口にせず、お礼を言って部屋を出た。

「がんばって」

 その言葉を背中に聞きながら。

 地上に出ると、雨はまだ降り続いている。制汗剤とリップ。傘をさし雨の中を歩きながら、
鞄の中にいれた二つの品物のことを思う。体育の授業の後、クラスの女の子が何かをスプレー
しているのを見たことがある。お手洗いで鏡に向かって口唇に何かを塗っているのを見たこと
もある。興味はなかった。だから知ろうとも思わなかった。碇くんと買い物に行くのに、リッ
プと制汗剤が必要だと赤木博士は判断した。だから選んでくれた。それはどういう意味なのだ
ろうか。

 ベッドに横になり、両手に制汗剤とリップを持った。じっと見つめてもわからない。これを
使うことがどういう意味なのか。
 窓を打つ雨の音が聞こえる。明日は晴れるといい。雨がやめば傘を差さなくてすむ。そうす
れば傘の分だけ、少しだけ碇くんの近くにいることができる。
 ――てるてる坊主。
 わたしはチェストからハンカチを出し、包帯の切れ端を中に入れて巻いてみた。紐で軽く止
める。顔が必要な気がした。笑顔がいい。ボールペンで顔を描いた。線が歪んで上手には描け
なかったけれど、笑っているようには見える。
 窓際に置いて、自立はしなかったから包帯で支えた。てるてる坊主は包帯に寄りかかって、
笑顔で外を見ている。明日は晴れるような気がした。女の子の願いとわたしの願いと、もしか
すると碇くんの願いがひとつになれば――。







 綾波レイはまだ眠っていた。両手に制汗剤とリップを握り締めている。
 てるてる坊主が笑顔で見つめる空は、もうすぐ朝焼けが始まろうとしてる。わずかに浮かん
だ薄い雲がまだ地平線の下にある陽の光に照らされ、星がその姿を隠してゆく。
 綾波レイはまだ眠っている。穏やかなその表情には、かすかに笑顔が浮かんでいる。少しだ
け開いた窓から遠慮がちに入ってきた風が、彼女の細い髪を揺らす。


七日目・日曜日








メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.58 )
日時: 2010/07/17 00:49
名前: calu

tambさん

《7days》。最終日。雨も上がり、……。
想像を掻き立てられ過ぎて、悶え疲れてきました(^^;)。なにとぞ、続きを……。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.59 )
日時: 2010/07/18 10:16
名前: のの

その終わり方はずるいでしょう、御大将。
やはり甘酸では敵わないなあ。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.60 )
日時: 2010/07/18 20:34
名前: JUN

おおう、続きを書いてください師匠……
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.61 )
日時: 2010/07/18 21:39
名前: tamb

 一部の方、というか約一名から問い合わせがありましたので、その方には既に返事を差し上
げておりますがここでもお答えしておきますと、日曜日の本文がないのは不具合ではなく仕様
でございます(笑)。読者の皆様に妄想を繰り広げて頂き、存分に悶えて頂くのが目的の話でご
ざいますので。

 まぁあれですよ。ここから先はステレオタイプの初デートで、手を繋ぐわけでもなく歩く二
人の手と手が不意に触れ合ってしまい「ご、ごめん!」「いいの」とか、シンジに選んでもら
った薄いピンクのシャツを抱き締めて眠るとか、レイがまっぱで寝ると判明して真っ赤になる
シンジとか、そんなのを妄想していただければよろしいかと、かように思っております。レイ
が全裸で寝るかどうかはともかく(笑)。

メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.62 )
日時: 2010/07/19 00:05
名前: calu

tambさん

はい。更に妄想を重ねて悶えます(爆)。
最終日に至るまででも、リツコがレイに対してお姉さんのように面倒をみるシーンには
かなりジーンときました。個人的にも弱いシチュエーションではありますが。
それにしても、レイの揺れる心をここまで描き切られる筆力は、やはり凄いデス。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.63 )
日時: 2010/09/07 12:25
名前: ななし

前回の書き込みで煙幕と弾幕を書き間違えてすいませんでした。ガンダムファンの皆様、もうしわけありません。

◇ 《7days》 tambさん

一週間綾波レイ。レイの心の一本道に周りの人との会話、交流、風景が色添えられ7日目の朝を迎える。みんなの心に7日目を妄想できたのはレイの心を書いた6日間の出来事があるからだと思います。
しかし、私がこの話で妄想したのは7日目ではなかったりします。結末よりそこに至る故の舞台裏を想像しました。
7daysの世界観とキャラを読み終えた後「うん」と頷いてしまいました。
執筆お疲れ様でした。好きです、この話。

メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.64 )
日時: 2010/09/16 05:04
名前: tamb

> 7daysの世界観とキャラを読み終えた後「うん」と頷いてしまいました。

ありがとうございます。嬉しいです。
が、どんなに遅くなっても意地でも書き上げるぞのヒット記念の次回作は、全てをガラガラと
ひっくり返す世界観とキャラになっておりますので(笑)、そちらの方もいつになるかわかりま
せんが気長にお待ちくださいませ。
メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.65 )
日時: 2010/09/20 22:05
名前: ななし

> tambさん

お忙しい中お疲れ様です。次回作のお話を聞いてわくわくしました。お言葉に甘え気長に待ってます。
ですが、体調には気をつけて下さい。過密スケジュールも溜まりすぎると趣味を維持するライフラインに影響してしまいますので。心と体の健康が趣味を楽しむ栄養源かと。


> tomatoさん
7月の返信を今頃お許し下さい。
良い作品を作る自信だけはまったくない私です。努力はしていく所存です。むしろ作品を書くには私には努力が不可欠だと思ってます。応援ありがとうございます。頑張ります。


◇ 《七つ目の絆創膏》 by JUNさん

JUNさんの作品を作るペースは凄いと思うばかりです。見習わねばと思いながら日々の生活に流されるこの頃です。アレー。そんな素晴らしいJUNさんの作品の1つ、七つ目の絆創膏を見てストレートに言ってしまうとこの話のレイとシンジはすれ違ってると感じてしまいました。すれ違っているシンジとレイの気持ちはラストはシンジの気持ちに依存させて結びつける、と。
そのせいなんでしょう、絆創膏のシンジはホスト調にカッコいい。甘い言葉を吐くシンジがカッコいい。
すれ違っている原因は多分JUNさんの設定に破の設定を取り入れたからだと思います。最後まで破の設定で突っ走ればカッコいいシンジがレイを包んでくれなかったのでこれはこれでいい話だと思うのです、はい。



メンテ
Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.66 )
日時: 2010/09/29 20:19
名前: JUN

■ななしさん
感想、どうもです。僕のシンジ君が気障ったらしいのは間違いなく破の影響です。創作意欲は相変わらずなんですが、僕の方も日々の生活に流され気味。あれれ。
破のラスト、最後レイは腕を回していないのですね。ごめんなさい、何も出来なかったと言うだけ。
だからなんだと言うわけではありませんが、これから腕を回せるレイにしていきたい、と思ってます。
メンテ

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