「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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fld_nor.gif ゲロ甘ベタベタLRS企画
投稿日 : 2011/03/18 23:40
投稿者 tamb
参照先
 東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
 2011年3月11日14時46分に発生したこの地震は、東北地方のみならず北海度や関東地方にも
甚大な被害をもたらし、多くの死者、行方不明者を出す戦後最悪の自然災害となっています。
一週間を過ぎた今も被災地での生活は極限状態にあり、原子力発電所は危機的状況にあります。
 幸いにも大きな被害に遭うことのなかった私たちにもできることがあります。節電もそうで
すし、募金もそうです。無理をする必要はありません。できることをすればいいのです。コン
ビニの募金箱にわずかなお金を寄付することも、立派な行為だと思います。個人にできること
は小さくても、全体でみれば無視できない大きさになります。

 そのできることをするために、私たちは元気を出さなければいけません。この企画はそうい
う企画です。
 一人でも多くの人が、この企画でほんのわずかでも慰めを得ることができ、暖かな気持ちに
なって、被害に遭われた方々の力になれることを願っています。

 詳細は「謎の企画」内の「ゲロ甘ベタベタLRS企画」をご覧下さい。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/earthquake/earthquake.htm
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件名 Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画
投稿日 : 2011/03/26 21:56
投稿者 JUN
参照先
勢い任せなんで、とっても荒削りですが、勘弁してください
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件名 Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画
投稿日 : 2011/03/26 21:54
投稿者 JUN
参照先
 春の暖かな陽だまりの中目を開くと、そこには天使が眠っていた。



 綾幸ゲロ甘企画vol.1/Written By JUN





買い物が終わった後、束の間の怠惰を楽しもうと、シンジは窓際に移動した暖かいベッドに横になる
と、いつの間にか眠ってしまっていた。枕元にはキズのない、ぴかぴかと光るIDカードが見える。
これを届けに来たのだろう。

 控えめな寝息を立てながら眠るレイは本当に綺麗で、無邪気な表情が柔らかな日差しに照らされる
と、放つ雰囲気はどこか高尚なものすら感じさせた。

 制服のリボンを解いた状態で、胸元は軽く開いている。身じろぎする度にその隙間から薄いレース
が見えて、シンジは釘付けになるのをこらえた。


 無防備すぎるんだよな、綾波は。


 そのくせ悪戯すると機嫌を損ねたりする。誘惑したのはそっちじゃないかと言いたくなるが、彼女
を怒らせると後が恐ろしいので、シンジとしては平謝りに徹するほかない。それでも、今のレイの表
情は、キスをねだる時のそれと酷似していて、シンジの理性を大きく揺さぶった。ぷっくりとした桜
色の唇から、目が離せなくなる。


(この位なら、いいよね……?)


 眠る彼女の唇を、気付かれないようにそっと奪う。僅かな背徳感はシンジの胸の高鳴りとあいまっ
て、かえって満足感をかきたてた。
 彼女の柔らかい唇を味わうように、シンジは目を閉じた。細い肩に、優しく手を添えて。

 幸せだ、と思う。彼女と一緒に、この平和な時を過ごせることは、辛いことばかりだったあの頃を
考えると、身に余る幸福だった。


「ん……」


 夢中でレイの唇を味わっている内に、不意に彼女の口から小さな声がこぼれ、シンジはぎくりと身
を固くした。
 長い長いまつげに縁取られた真紅の美しい眸が、ぱちりと開かれる。
「あ……」
「ご、ごめん」


 慌ててレイの身体を離したシンジを見つめながら、しばしレイの紅い眸は虚空をただよっていたが、
状況を理解するやいなや、悪戯っぽい光をそこに宿した。

「……えっち」
「あ、綾波がそんな所で寝てるからじゃないか」
「碇くんは、寝てる女の子にキスするのね。アスカに告げ口しようかしら」
「そそそそれはまずいかなあ」
「……したの?」
「あ、いや、その……」
「し・た・の?」
「や、やめたよ。途中で……」
「最低」
「い、今キスしたいって思うのは綾波だけだよ……」
「どうだか」
「う……」

 先程までの高揚感はどこへやら、レイの激しい追及にたじろぐシンジ。シンジに安心を与えてくれ
る筈の眸は、今シンジを咎める炎に燃えていた。

「か、勘弁してよ綾波。悪かったって」
「……じゃあ、素敵なキスしてくれたら許してあげる」
「素敵なキスってどんなのさ」
「それは碇くんが考えること」
「……分かった。目、閉じて」

 レイを抱き寄せ、そのまま柔らかなキス。やっぱり起きてる綾波の方がかわいい、と思った。目を
閉じていても、彼女の表情は分かる。こつんと額をレイのそれに当てると、彼女の腕がシンジの背へ
と回された。
 どうやら許しを得たらしいとほっとする反面、彼女をもっと感じたいと思う心もまた、シンジの中
に湧き上がってきていた。
 蕩けたレイの唇を、自分の舌で優しく開く。初めてのこと。シンジがずっとしたいと思ってきたこ
と。
「んぅ……」
 レイの舌は、シンジが思っていたよりずっと柔らかく、甘かった。永遠に続いていくような、身体
が浮き上がってしまいそうな、そんな感覚。
 そんないつまでも続くような甘い時間も、シンジのほうから終止符を打つ。ゆっくりとレイの唇か
ら離れると、二人の唇を一本の唾液の糸が繋いだ。
「……どう、だった?」
「ごうかく……」
「……すごくかわいいよ、綾波」
 学校でも彼女を見る人間は多い。その度にシンジは不安になる。だがこうして眸を潤ませている彼
女を見ると、やはりそれは杞憂に過ぎないのだと思う。
「僕のこと、好き?」
「好き……」
 抱き締めて、キスをして。いつでも自分を護ってくれた彼女を、今度は自分が護りたい。あの紅い
海から還ってこられたのは、彼女がいたから。
「ずっと一緒だよ、綾波」

 彼女と交わすその約束は何よりも固く、そして重い。応えるように腕に力を込めるレイを抱き締め
て、シンジはもう一度、深い口付けを交わした。



 ――君は今、幸せ……?
 ――私は今、幸せ……

 

 ――君のことが、好きだから……
 ――あなたのことが、好きだから……



 蕩けるようなキスは、アスカが帰宅するまで、何度となく続いた。







                    おしまい
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件名 Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画
投稿日 : 2011/03/24 18:45
投稿者 tomo
参照先
【世界は美しく,人生はかくも素晴らしい】




 咲いて咲いてくるりと廻る

 舞姫の如くたまゆらに

 春深く桜の花弁は弧を描き

 僕らの影の輪郭を

 ぼかして行き過ぎて舞い戻る

 乱舞する桃色の吹雪の只中で

 静かに僕は月に願う

 これからも久遠に僕の傍らで輝いてほしいと

 同時に僕は月に誓う

 これからも久遠に君を照らし続けようと










 「ここにいたのか……」

 
 僕の声は聞こえているはずなのに,それでも,綾波は桜の樹の下でただ咲き乱れる花々を見上げている。

 僕が見つけたときと同じ格好で。


 「……何やってんの?」


 ゆっくりと近づいて。

 綾波は未だに視線を空に向けている。


 「……きれいだよね。桜。」


 綾波につられて,僕は視線を上にあげた。

 桜。

 多くの人々が,最も愛し,最も心を寄せた季節の風物詩。

 大きく伸ばされた枝の先には,包み込まれるがごとく広がった花・花・花……
 
 その色はすべて生命力に満ち溢れた淡い淡いピンク。

 
 「……思い出していたの」

 
 見上げた視線の先に魅せれていた僕に,こちらに向き直った綾波の声。
 
  
 「何を?」

 「初めてこの桜を見たときのことを……」

 「……10年以上前だっけ? ずいぶん昔の話だね」

 「……そういう言い方は,ちょっと年よりくさいわよ」

 「実際,そんなに若くはないしね」
    
 「……そうね」


 言って綾波は笑った。


 『碇君はね』


 その笑顔はそう物語っているように見えた。 
 
 
 10年前,僕たちもよく知っている一人の科学者が,失われた桜を再び蘇らせた。
 
 そして,僕たちの第2の母親ともいうべき人物が,僕たちにその桜を見せてくれた。

 時はめぐり。

 僕たちは再びこの桜の木々に埋め尽くされたこの地を訪れた。

 僕たちの新たな門出のスタート地点とするために。


 「……どうしてここを選んだか言ってなかったわね」
 
 「そうだね」

 「理由,聞きたい?」


 それは問いかけではなく独白の懇願。


 「教えてくれる?」


 だから,受け入れることを示すのが僕の役目。


 綾波は,舞い散る桜を一枚右手で受け止め,そして,祈るようにやさしく胸に抱いた。


 「……私の人生は,碇君に出会って始まった。無色だった世界に鮮やかな色どりが加わって。それからのことは何もかも新鮮だった。でも――」

 
 胸に抱いた桜の花びらを僕にそっと見せつける。


 「碇君とのこと以外で,今でも一番印象に残っているのはこの桜。生まれて初めて見た視界いっぱいの淡い色の世界とそこで過ごした優しい時間」

 
 くるりと踵を返して,手に抱く桜をぱっと手放して。


 「そのとき私は初めて,世界は美しいんだって思えたの。だからね――」


 桜の樹の下で,再び綾波は薄紅色の空を見上げてる。


 「初めて世界の美しさを教えてくれたこの場所から始めたら,これからもずっと世界の美しさを感じていけるだろうって思ったの」


 決意を込めた言葉とは裏腹に,綾波の背中は儚かった。

 消えてしまいそうなほどの弱々しさ。 

 だから。

 僕はそっと綾波を後ろから抱きしめる。

 寄り添うように。支えるように。


 「……あったかい……」


 瞳を閉じて,綾波は一言そうつぶやいた。


 僕はきっと何かを言わなければならない。

 僕にしか言えない,僕だけが言える何かを。

 ただ,それを言う前に。

 どうしても一つだけ綾波に確かめておかなければならないことがある。

 

 「綾波」


 抱きしめた腕にほんの少しの力を込めて。

 僕は綾波に尋ねる。


 「……本当に僕でいいの?」

 
 それは僕を縛る最後の戒め。
 
 綾波の望みだけがその戒めを解き放つ。


 「バカ」


 呟いて,綾波は抱きしめる僕の腕にそっと手をかける。


 「碇君じゃなきゃだめなの」


 その一言で僕はすべてに覚悟する。
 

 「レイ」

 「……! 今度は何?」

 「君を愛してる」

 「…………!」

 「いままでも。そして,これからもずっと。レイが天に帰るそのときまで,僕は君を愛し続ける。そして――」

 
 言葉に偽りはない。
 
 絶対に偽らないと既に決めたのだから。


 「レイに世界の美しさをもっと見せてあげるよ」

 「……………………バカ」


 僕の言葉をかみしめるように間をおいて,レイはまた,そう呟いた。

 そして。

 ぱっと僕の腕をふりほどいて向きかえる。


 「私も愛してるわ……シンジ」

 
 初めて呼ばれた名前とともに,レイは僕にキスをする。

 それは今までで一番甘くて,情熱的で,そして,強烈だった。


 「……………」

 「……………」
 

 お互いに光り輝く糸を引きながら,僕たちはゆっくりと唇を離す。

 僕はもう一度,レイを抱きしめた。

 
 「……こら!! そこの2人! いつまでいちゃついてんの。主役が来ないと式が始まらないじゃないの!」


 ……なんというか,相変わらず絶妙なタイミングでアスカの叫び声が聞こえる。


 「ほら,早くする! とっくに準備はできているんだから!」


 「……また,怒られてしまったわね」


 腕の中でレイが笑っていた。

 この笑顔を守るためなら,きっとなんだってできる。


 「行こうか。みんなを待たせたら悪いし」

 「うん」


 そして僕はレイの手をとりアスカのほうに向かっていく。

 この手はもう離さない。

 レイがそう望み続けてくれる限り。
  








 
 咲いて咲いてくるりと廻る

 舞姫の如くたまゆらに

 春深く桜の花弁は弧を描き

 僕らの影の輪郭を

 ぼかして行き過ぎて舞い戻る

 乱舞する桃色の吹雪の只中で

 静かに僕は月に願う

 これからも久遠に僕の傍らで輝いてほしいと

 同時に僕は月に誓う

 これからも久遠に君を照らし続けようと


  
 
 世界は美しく,人生はかくも素晴らしい

 ただ君がそこにいるだけで
 
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件名 Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画
投稿日 : 2011/03/20 09:59
投稿者 何処
参照先
※注※この作品は残念ながら閉鎖された某サイトより返却された物に加筆修正した物です。



【最後の歯科】作・何処


「歯が痛いの。」

私が碇君に相談した時…あの碇君の表情の変化は忘れられないかもしれない。

…何故か私、泣きたくなった。

「そ…そそそれは多分虫歯だね、は、歯医者にい、いいい行ったほほほうがいいい、良いかもねねね…」

「虫歯…何?」

「う、うん虫歯…知らないの?。」

「?虫歯って何?」

「…鏡で見てみれば。」

成る程。碇君の進言に従い私は手鏡(アスカ…今はそう呼んでいる…から『女の子のたしなみその3』とプレゼントされた物)で口腔を観察してみた。

「…何これ…ねえ碇君、見て。これが虫歯なの?」

「ゔ…み、見なきゃ駄目?」

「ええ…見て…」

「う…うん……あ、やっぱり虫歯だね…綾波はなった事初めて?」

「ええ…」

「あ、やっぱり…」

「…治療には歯医者に行けばいいの?」

「う…うん一応行った方が…」

「了解…」

ふと気付いたが、碇君が震えている。心無しか顔色も悪い…体調悪いのかしら?
兎も角、歯痛の原因は解った。治療の必要がある事から帰宅後に歯医者へ向かう事にして私は教室を出た。

◆◇◆

ざわ…ざわ…

『やるな碇!』『碇君不潔よ!』『ナチュラルに綾波さんの口腔眺めてんじゃねー!』

『え?あ、い、いやそのあのだ、だから今のはたまたま偶然不可効力な巡り合わせな訳で…あ、あは、あはは…み、皆様目が怖い…』

『馬鹿だな碇、なんでそこであと一歩前ヘブッ!?』『殴れ殴れ幸せな男なぞ滅びろ!』『このリア充め!』

『…に…逃げて良いよね逃げて良いよね逃げなきゃ駄目かな逃げなきゃ駄目だよねむしろ逃げなきゃ駄目かないや逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だぁ…』

『…何処へ行く碇』『い~か~り~…よくも綾波さんの口に触ったなぁ~』『幸せ者め!』『許すまじ碇!』『このリア充碇!嫉妬パーンチ!』『嫉妬キック!』

『い、いや今のはだから止め止めて痛い痛い皆止め~!た、助けて~~…』

◇◆◇

「やあ、綾波レイ、今日は不機嫌そうだね。どうしたんだい?」

「貴方はいつもご機嫌ね渚カヲル。」

…私はこの元使徒が余り好きでは無いのかも知れない。最も彼は女子には人気がある様だ。アスカは嫌っているが。
この間から彼はある女生徒と恋愛関係になった。何時もその女生徒と図書室に入り浸りの彼がこの時間に帰宅する私と出会うのは不可解だ。

「私これから出掛けるの。用件は何?」

「何、僕は彼女と待ち合わせさ、何でも歯医者に行くのに一人は怖いらしい…リリンは可愛いね。」

歯医者が怖い?
私は碇君のあの表情の理由に思い至った。

…リツコさん(赤木博士はこう呼ぶ様に私達元チルドレンに指示している。)に相談しよう。

私は目的地をネルフ本部に変更した。

◆◆◆

駅へ歩いていると見馴れた青い車が私を追い越し、少し離れた所で停止した。

「ハーイレイ!珍しく一人ね、どうしたの?」

助手席から降りた彼女は朱金の塊の様に見えた。それは錯覚では無く文字通りの意味で。

今日の彼女は和装だった。。金糸の刺繍入り花帯に赤の振り袖、ストロベリーブロンド…金混じりの赤髪を結い上げ金の髪飾りを付けた青い瞳の少女は私の同僚にして友人、式波・アスカ・ラングレー。
ドイツの両親の離婚に伴い彼女は母親…養母の籍に入った。式波は彼女の新しい父親の名だ。

「どうこれ!来年のネルフカレンダー用衣装よ!さっきまでママ達とミサトまで入れて一緒に記念撮影!」

「綺麗ね…良く似合ってるわ。」

「えへへ…ありがと。」

「で、ご両親は今週一杯は日本に?」

「うん。新婚旅行ですもの、目一杯サービスしなきゃ!」

「アスカ、まだネルフ本部での撮影が残ってるわよ。」

運転席から声を掛けたのは葛城三佐…いや、現二佐。昔から美人だったが最近更に美しくなったとネルフスタッフの間で評判だ。留め袖に結い上げた黒髪が良く似合う。

「レイ、貴女はこれから何処へ?」

「…本部に向かうのですが何か?」

「なぁんだ、じゃ乗っていきなさいよ!」

…返事する前に後部座席に押し込められた。アスカ…相変わらすマイペースなのね…

「「How We Let,s Go!!」」

葛城二佐の運転を思い出し、私は思わずシートで身構え…

…?

…珍しく安全運転だ。

「?レイ、何不思議そうな顔してるの?」

「アンタが珍しく安全運転だからよミサト。普段からこの運転にしとけば良いのに全くこの乳女は…」

「あによぉ、アスカの着物着崩れさせない為に安全運転してるんじゃな~い!…何なら飛ばす?」

「「飛ばさないで下さい。」」

「ちっ!」

◇◇◇

ネルフ本部に到着。ミサトさんとアスカは待機していた化粧箱を持ったマヤさんと報道班のカメラマン達に連行されていった。何でもジオフロント案内パンフレット用の撮影も有るらしい。…半日で終わるかしら?

「「聞いて無いわよ~!」」

「話してませんから。さあその経費で落とした着物代分きっちり働いて返してもらいますよ!はーいお二人様ご案内~♪」

「「「「了解」」」」

「「嫌~!」」

悲鳴を上げつつ引き摺られて行く彼女らと別れ、私はリツコさんの研究室へ向かった。

◇◇◆

「…レイか…どうした?」
リツコさんの研究室に行くと碇司令がいた。

「赤木博士は今仮眠中だ。急用か?」

「…実は…歯が痛いのです。碇君に相談したら『虫歯だね』って…」

…碇司令のサングラスが輝いた気がした。

「…それであいつ…シンジは何と?」

「歯医者に行った方が良いと勧めてくれましたが…何か?」

「それだけか?」

「…随分蒼い顔色してましたが…」

「歯医者の椅子の上に勇者は居ないと言うが…ダラシの無い奴だ。」

「あら?誰かと思ったらレイ、テストも無い平日に珍しいわね。」

不意に奥の仮眠室からリツコさんが出て来た…何かしら?なんと言うか…色っぽい。

「お久し振りですリツコさん。今日は相談が有りまして…」

「あら、何かしら?」

「はい、実は虫歯になりました。」

「あらぁ…一寸見せてくれる?」

「はい。」

「どれどれ…菌の出す酸でう蝕したのね…最近甘い物口にしてるでしょ?ちゃんと歯磨いてる?」

甘い物…碇君の唇…何を思うの私?物理的な甘い食べ物でしょ?其程糖分は摂取してはいない筈…となれば歯磨き…あ。

…そう言えば最近キスした後勿体無くて…そのまま…あ…碇君…碇君…シ…シンジさ…シンジさん…


「レイ?レイ?…あ、良かった。又違う世界に行ってたわよ貴女。…何赤い顔してるの?」

「…何でもありません…歯医者…何故皆嫌がるのですか?」

「歯医者に喜んで行く人間はいないわよ…考えるだけでも憂鬱だわ。」

「あの…一つ伺って宜しいですか?」

「え?珍しいわね、一体何かしら?」

「…やっぱりいいです。何でもありません…」

「?」

アスカが『あんたねぇ、何でも思った事口に出しちゃ駄目よ!』と警告してくれたのを思い出した…やはりアスカの言う通りにしよう。

何故かストッキングを履いて無いリツコさんの紅潮した頬といつに無く艶やかな肌を疑問に思ったが聞かなかった。理由は後で碇君にでも聞こうと思う。

◆◇◇

本部の歯科は予約制らしい。リツコさんに第三新東京の歯科へ紹介状を書いて貰い私は帰宅する冬月副司令に送って貰う事になった。
副司令は以前は電車通勤だったそうだが最近車通勤に替えた。私は副司令のこの丸い形をした古いドイツ製大衆車が好き。少しうるさいけど、車が陽気に語りかけてくれる感じだ。

「やぁ待たせたね、さあ乗りなさい。で、どこに行けばいいのかな?」

「ええと…こちらへ…」

「どれどれ…ああ、この歯医者は私も世話になっている、腕は確かだ。」

「医者によってそんなに違うんですか?」

「ああ、大分違う。では行こうか、シートベルトをしたかね?」

葛城さんと比べたらいけないが、副司令はとても安全運転だ。
楽しいドライブで歯科に着いた。中に入り待合室へ…

「あ、綾波!?」
「碇君!?」

「碇君も虫歯なのね…」

「う…うん…」

「「…」」

「そ、そう言えば綾波ってアスカみたいにお菓子そんなに食べないよね?何か虫歯になる心当り有る?」

「実は…最近夜ちゃんと歯磨いて無いの…」

「え?」

「歯磨き…碇君とキスした後で…勿体無くて…つい…そのまま…」

「じ…実は僕も…あ、綾波とその…キキキキ、キ…キ…ス…し、した後でその…夜の歯磨きがあの…も、勿体無くて…」

「碇君…」
「綾波…」

ズキン

「「痛っ!?」」

私達は同時に頬を押さえ、涙目で苦笑し合った。

「私達…馬鹿ね…」

「あ、あはは、ほ、本当にば、馬鹿だね僕ら…あはは…はは…は…」

「…アスカには言えない…内緒にしましょ…又『…あんたらって…ほんっっっとぉ~~~に馬鹿ねぇ…』って言われるわ…。」

「ゔ…た、確かに…」

◆◇◆

私の最初で最後の歯科体験はこんな風だった。

余り痛くは無かったがもう行きたくは無い。余韻が少し惜しいがキスした後でも歯磨きはしようと思う。






…碇君以外の人に唇を触れられたくは無いから。


【メルト】初音ミク
http://www.youtube.com/watch?v=p0XDQBw_ymE&sns=em
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