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桜
件名 | : Re: 桜 |
投稿日 | : 2014/04/06 03:08 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
> そんなに大したことを意識して書いてないので、反応に困ります(汗)
作品は時に作者の思惑を超える。
言葉の力とはそういうものです。
恐ろしいですね(笑)。
作品は時に作者の思惑を超える。
言葉の力とはそういうものです。
恐ろしいですね(笑)。
件名 | : Re: 桜 |
投稿日 | : 2014/04/05 01:44 |
投稿者 | : 史燕 |
参照先 | : |
〇tambさん
感想ありがとうございます。
個人的には梶井の桜へのあれは、美文であり、深いな、とは思いますが、「あれは凡人には理解できないから」と全力で気にしないようにしてます。
5万ヒット企画ですが、お見かけしたことのある名前ばかりで、作品を読んでただただ「すごいなあ」と思いました。
他人様の作品と拙作を比較すると、どうしても、こう、身につまされるような思いがするので「他人様は他人様、自分は自分」と、必死に考えないようにしております。
>花は咲けばいずれ散ってしまう。それは悲しいことだけれど、一年が過ぎてまた春が来れば、また花も咲く。その一年を信じられるというのはとても大事なことで、それをストレートに信じられるレイがとても嬉しい。それは一生懸命に生きるということでもあるのだから。
そんなに大したことを意識して書いてないので、反応に困ります(汗)
私は桜は散るから美しい、それはとても悲しいことだけど、だからこそそこに刹那的な美しさがあると思うタイプの人間ですので、それをレイにシンジを通して教えただけだったりします。
感想ありがとうございます。
個人的には梶井の桜へのあれは、美文であり、深いな、とは思いますが、「あれは凡人には理解できないから」と全力で気にしないようにしてます。
5万ヒット企画ですが、お見かけしたことのある名前ばかりで、作品を読んでただただ「すごいなあ」と思いました。
他人様の作品と拙作を比較すると、どうしても、こう、身につまされるような思いがするので「他人様は他人様、自分は自分」と、必死に考えないようにしております。
>花は咲けばいずれ散ってしまう。それは悲しいことだけれど、一年が過ぎてまた春が来れば、また花も咲く。その一年を信じられるというのはとても大事なことで、それをストレートに信じられるレイがとても嬉しい。それは一生懸命に生きるということでもあるのだから。
そんなに大したことを意識して書いてないので、反応に困ります(汗)
私は桜は散るから美しい、それはとても悲しいことだけど、だからこそそこに刹那的な美しさがあると思うタイプの人間ですので、それをレイにシンジを通して教えただけだったりします。
件名 | : Re: 桜 |
投稿日 | : 2014/04/05 01:14 |
投稿者 | : tamb |
参照先 | : |
とてもよいです。
桜を題材にするのって、結構難しいと思うんですよ。花見で酒飲んで酔っぱレイ、とかいう方向ならともかく。つまり「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる!」という梶井基次郎のあれをどう乗り越えるかという問題なんだと思うんです。ま、私の問題ですが。
それでも、ちょっとこれはどうなのよ、的な駄作というのは意外とない。それは桜という花の持てる力なんだと思いますが、ちょっと間違えると危険になったり。まあそれはいいや。
で、本作。
花は咲けばいずれ散ってしまう。それは悲しいことだけれど、一年が過ぎてまた春が来れば、また花も咲く。その一年を信じられるというのはとても大事なことで、それをストレートに信じられるレイがとても嬉しい。それは一生懸命に生きるということでもあるのだから。
蛇足。
桜で真面目に話を書いたことがあったな、と記憶をたどると、実は企画だった(爆)。
自サイトなので直リン。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/50k/50k_index.htm
懐かしいメンバーだ。私のはともかく、珠玉の作品群です。あのKameさんの埋もれた作品もあったりします。
桜を題材にするのって、結構難しいと思うんですよ。花見で酒飲んで酔っぱレイ、とかいう方向ならともかく。つまり「桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる!」という梶井基次郎のあれをどう乗り越えるかという問題なんだと思うんです。ま、私の問題ですが。
それでも、ちょっとこれはどうなのよ、的な駄作というのは意外とない。それは桜という花の持てる力なんだと思いますが、ちょっと間違えると危険になったり。まあそれはいいや。
で、本作。
花は咲けばいずれ散ってしまう。それは悲しいことだけれど、一年が過ぎてまた春が来れば、また花も咲く。その一年を信じられるというのはとても大事なことで、それをストレートに信じられるレイがとても嬉しい。それは一生懸命に生きるということでもあるのだから。
蛇足。
桜で真面目に話を書いたことがあったな、と記憶をたどると、実は企画だった(爆)。
自サイトなので直リン。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/50k/50k_index.htm
懐かしいメンバーだ。私のはともかく、珠玉の作品群です。あのKameさんの埋もれた作品もあったりします。
サードインパクトの後、再び日本には四季が戻り、春には桜が咲くようになった。
今日はNERV一行でお花見である。
といっても、もう粗方騒ぎ終えて辺り一面には空き缶やビール瓶が転がり、死屍累々といったありさまだ。
時刻はそろそろ夕暮れを迎えようとしている。
シンジは「いつものことだ」と半ば諦めながら、それを片付けている。
ふと、遠くを見やると、見慣れた人影が目に入った。
(どうしたのかな)
そう思っていると、ふいに後ろから声をかけられた。
「シンジ君、そこからは私たちがやっておくわ」
「葛城は、まだ飲み続けるみたいだしね。俺たちは付き合うけど、子供たちはもう帰ってもらおうかって話になったんだ」
声をかけたのはリツコと加持だ。
その後ろには、未だに一升瓶を抱えて飲み続けるミサトと、彼女に捕まったであろう日向達三人が、転がっている様子が見て取れた。
「たしかに、あれじゃあ飲み尽くすまで帰りそうにありませんね」
「だろう?」
しょうがない奴だ、と肩をすくめながらも、加持は楽しそうに笑っていた。
「碇司令たちも、もう少し飲み続けるみたいだわ」
リツコが目線を向けた先には、ちびちびと二人で盃を交わし合うゲンドウと冬月の姿があった。
「それじゃあ、ミサトさんは加持さんに、父さんはリツコさんにお任せしますね」
「ええ」
「任せてくれ」
二人にこの場を辞することを伝えると、シンジは先程見かけた人影の方へと向かった。
「やれやれ、ようやく王子様は行ったわね」
「まったく、お姫様を待たせるのはよろしくないよ、シンジ君」
「あらあら、それを加持君が言っていいのかしら」
「勘弁してくれよ、リッちゃん」
「ふふ、そういう意味でもシンジ君は加持君の弟分ね」
「それをいうなら、リッちゃんはお母さんになるわけなんだが、そこのところはどうなんだい?」
「あら、そうね。だとしたら自慢の息子だわ」
「はは、こいつは一本取られたな」
「まったく、いつになってもリッちゃんには敵わないな」そう言いながら二人は未だに飲み続ける数年来の友人の元へ向かった。
――桜
――桃色の花
――桜
――きれいなもの、みんなが好きなもの
――桜
――すぐに散ってしまうもの
一本の大きな桜を背に、一人の少女が腰かけていた。
桜の花びらが舞い落ちる中、碧い髪の少女がそこに座っている姿は、まるで一枚の絵画がそのまま現実へと抜け出してきたかのように、シンジには感じられた。
シンジは、このままずっと眺めていたい誘惑に駆られたが、彼女の横顔が、やや淋しそうにしていることに気付き、彼女の側へと歩み寄っていった。
「綾波」
彼女の隣に腰を下ろしながら、シンジは声をかけた。
「……いかりくん」
彼女はシンジに気が付くと、ぱーっと表情を明るくした。
シンジにはそれだけであたりが一気に華やいだように思え、うっ、と言葉を詰まらせる。
シンジとレイが見つめ合う、その間は二人の周りだけ流れる時間さえ異なるものとなる、そういう風な錯覚に、シンジは陥っていた。
しかし、このままずっと見つめ合っているわけにはいかない。
なにより、シンジには先程の横顔が気にかかった。
「それで、綾波、一体どうしたの?」
我ながら抽象的すぎる質問でどうしたものかとも思ったが、どうにもこうにも上手く言葉に出来ない。
結局シンジは、後に続ける言葉を見つけ出すことが出来ず、二人の間は沈黙が支配していた。
「……碇君」
ポツリ、とレイがシンジを呼んだ。
「なに? 綾波」
シンジはレイの言葉を聞きのがすまいと一心に耳を傾けた。
「どうして桜は散るの?」
レイはまるで今にも泣きだしそうな顔でうつむきながらシンジに訊ねた。
「どうして、ねえ」
シンジにしてみればどう答えればいいのかわからない問いである。
桜は、花は、いつか散る。
それが自然の摂理である。
無論レイもそのことは理解している。
彼女の問いはそれらをすべて理解した上で、あらためて発せられた問いである。
「淋しいよね」
「えっ」
質問とは噛み合わないシンジの言葉に、レイはぱっ、と顔を上げた。
「桜が散るのは淋しいと思う」
「それが当たり前なんだけど、みんなきっとそう思ってるよ」
シンジの、依然として要領を得ない言葉に首をかしげながらも、レイはその言葉に耳を傾けた。
「だけど――」
シンジは更に言葉を紡ぐ。
「だけど、みんな桜が散るのは淋しいって思ってるけど、それでもそのことは嘆かないんだ」
「それはどうしてかわかる?」
――フルフル――
シンジの言葉に、質問をしたのは私のはずだと思いながらも、首を横に振った。
「綾波、上を見てごらん」
シンジの言葉に従い、レイはおもむろに中天へと目を向けた。
「あっ」
夕刻を迎え、少しずつ茜色に染まりゆく大空を背景に、桜の花びらが、風に乗って舞い落ちていた。
「……きれい……」
レイの口から、すっと自然に、感嘆の声がこぼれた。
「だからだよ、綾波」
しばらく二人で桜が散る様子を眺めていると、唐突にシンジは言葉を発した。
「桜の花は綺麗だよね」
「でもそれは、一生懸命咲いた後、そっと儚く散って行くからこそ美しいんだ」
「それはとてもとても淋しいことだけど、だからこそ素晴らしいことでもあるんだ」
シンジの言葉は、レイの胸にゆっくりと染み渡っていった。
「……碇君」
「なに? 綾波」
「一瞬、なのね」
風が止み、桜の花びらが落ちた枝には、少しだけしか花は残されていなかった。
「……碇君」
ぎゅっとシンジの胸に飛び込みながら、レイは言った。
「なんだい? 綾波」
「また――」
レイはその瞳に涙を湛えながら言葉を紡いだ。
「また、来年も一緒に来ましょう」
「ああ、今度はふたりで来よう」
そんな二人の様子を桜の木々だけが、そっと眺めていた。
~~Fin~~