「綾波レイの幸せ」掲示板 四人目/小説を語る掲示板・ネタバレあり注意
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fld_nor.gif 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/09 21:23
投稿者 tamb
参照先
 HIROKIさんの手による「3年目の微笑み」は、なんと拙作「離れていても、どこにいても」の二次創作。一般にこういうのを三次創作といったりもしますが、二次の設定を使えば全て三次かというと違うような気もするので、そのあたりはどうでもいいということで。

 さてシンジ君ですが、というかシンジ君に限らず一般論として、14年間待てるかというと待てないんですよね、やっぱり。彼もそれなりにもてるだろうし、桐島さんみたいな女の子がいれば、余計に。
 シンジ君は高二で、それまで恋人らしき人がいた気配はありません。

> 別に友達がほしいとは思わない。誰からも関心を持たれなくていい。
> 僕はただ、生きているだけでいい。ただ、時が過ぎていくだけでいい。

 ただこうして、他人を傷つけたり自分が傷つくことを恐れ、自分の居場所なんかなくてもいい、みんなとの関係性から遠く離れて、ただしゃがみこんで生きていればいい、という生き方を恐らくはしてきたのでしょう。初デートで相手に「他に好きな子がいるんでしょ?」と指摘されるくらいです。肉体はそこにあっても魂は遊離している。これは相当なある種の中二病ですが、初期シンジ君の本質とも言えるでしょう。逃げちゃダメだ、というからにはどこかから逃げるわけですが、その「どこか」すらないという。

 それでもなお生きていこうと思うのは、レイが待っててねと言ったからで、そうでなければ彼は死んでいたのではないでしょうか。
 確かに綾波さんはずるいんですが、ヒトとしてもう一度シンジに逢うという決意をした以上、「待っててね」と言わなければならなかったのはギリギリの選択肢だったのではないでしょうか。

 しかし、こんな廃人同然の生活をレイが望んでいるはずはないでしょう。私がシンジ君なら心の中で「綾波、ごめん!」とか言って余裕で押し倒しますね(爆)。いや、私の話はどうでもよろしい。彼は桐島さん――いや、マナちゃんと呼びましょう――マナちゃんみたいな「華奢で、繊細で、柔らかくて」「優しくて……元気で……とても前向きな……」そして強い女の子に出会って、もちろん親友と呼べる同性の男の子にも出会って、自分を取り戻し、そして成長していくのだと思います。「待つ」というのはとりあえず忘れて、恋人と呼べる相手を見つけてもいい。レイと再会し、そういうことになった時に手慣れた感じで服を脱がすというのは私の願いでもあります(爆)。だから私の願いはどうでもいいって。
 告白する女の子が劇的に増えて思わず――なのか慌ててなのか――帰って来ちゃった、というのはくろねこさんの話ですが、この設定だとレイはまだ三歳の幼児です。気にすることはありません。いざレイと再会して修羅場になったとしてもその時はその時だ!(爆) 頑張れシンジ君! 待つというのはその場でただうずくまることじゃないんだ! マナちゃんがそれを教えてくれたんだ! 相手の女の子に失礼なのはその通りだけど、それはそれ、これはこれだ! もう一度言おう。無理かもしんないけど頑張れシンジ君!

 というわけで、素敵な話をありがとうございました。

 マキさんやミキちゃんは何してますかね?

 作品はこちら
http://ayasachi.sweet-tone.net/cont/hiroki/hiroki01.htm
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/09/13 20:26
投稿者 HIROKI
参照先
> 名作「離れていても、どこにいても」の二次創作ということで、大変面白く読ませていただきました。
ありがとうございます。衝動のままに、あまり吟味せずに書いたので、支離滅裂かなとも思っていました。楽しく読めたと言ってくださって嬉しいです。

> これでシンジの止まっていた時間が前に進みだす、
ということだと、僕も思います。抜け殻(廃人同様?)になったシンジを、どうやって前に進めさせてあげるか?と、しばらく思い悩みました。たぶん、こんな出会いが必要なんじゃないかと思ったんです。でも、そんな出会いまで、3年もかかるというのは、ちょっと辛いかもしれません。そこは、実は、タイトルを考えてて、・・・例のフレーズとの語呂合わせ・・というのはちょっと違うけど、・・・あの・・・分かります? (^_^;

> 個人的には最後かなあ。
そりゃあ、どう考えたって、最後なんですが、あのマナちゃんですし、このシンジくんですから、そんなにすんなりうまくいくシナリオは思いつかない。と、いうわけで、書けないでいます。シンジ君は綾波一筋(!)ですから(笑)、マナちゃんとは自然消滅して、それで、あのムサシ君も結構、男らしくカッコいいですから、将来的に、自然に、そういうことになってる。って感じも悪くないかなぁ、と。

> 色々な意味で大変おいしかったです。
> ごちそうさまでした。

お粗末さまでした。m(_ _)m
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/09/06 21:09
投稿者 史燕
参照先
名作「離れていても、どこにいても」の二次創作ということで、大変面白く読ませていただきました。

ののさんと同じく「感想書いていいのかな」と躊躇っていたクチです(笑)

レイがいなくなってからのシンジって、やっぱり抜け殻みたいになっちゃってて、なんとなくそうかなとも思ってはいたんですが、レイにしてみればそれは望んでいたことでは決してないはずですよね。

そこに「親友」として桐島マナが登場する、これでシンジの止まっていた時間が前に進みだす、と。
それは小さな一歩なんだけど大きな変化なんじゃないでしょうか。

いや、完全に私見なんですけどね。

結局シンジ君とマナちゃんは付き合うのか付き合わないのか。
それともシンジ君がいろいろとお膳立てするのか(某同居人のようにお節介を焼く感じで)。

個人的には最後かなあ。
ムサシ君とマナちゃんの関係を考えたらシンジ君絶対動いちゃうだろうから。

色々な意味で大変おいしかったです。
ごちそうさまでした。
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/09/04 22:51
投稿者 HIROKI
参照先
べ、別に、いちゃいちゃだなんて……そ、そんなことしてないじゃないか。な、なに言ってんだよ……Σ( ̄ε ̄;|||

いや、その……私としても、シンジ君に可愛い子とつきあわせてあげたいのは、やまやまなんですが…、でも、だって……
だってだって!『碇くん、信じてる。待っててね』なんですよ! 綾波にそう言われて……やっぱり、シンジ君は、待つしかないじゃないですか!(爆)

……tambさんは「待てない」と言った……でも、僕は……、僕は「待てる」と思うんだ……そう信じてる。
いや、もしかすると……信じたいだけ…なのかもしれない…。でも!  だから、あんな話になったんじゃないかな、と(笑)

待ち方はいろいろ。それでも、やっぱり。廃人同様にジッと身を屈めて待つことだけは、させちゃいけない。じゃあ、どういう風に待たせておくのか? 楽しく幸せな状態をキープしながら、ひたすら待っている。そんな状況って、どんな状況かな? と思う訳です。って、今頃、そんなこと考えているんですけどね(^^;

では、あやすみなさい。

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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/09/01 03:31
投稿者 のの
参照先
感想を述べようにも、元ネタの人と作者がいちゃいちゃしていて感想なぞ挟む余地がないようにみえる(笑)

なにはともあれ、まさかの「離れていても~」の二次創作、びっくりしました。
目の付け所もさすがというか。

いや、あのね、いいじゃないですか。ユー付き合っちゃいなよ!いやこれ変か。
でもなんでしょう、甘酸っぱい。そう、甘酸っぱいのです!
最近わりとシビア~な話を書いてたので、こういう甘酢成分が不足がちな現代人だった僕にはぴったりでござんした。
ごちそうさまです。
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/26 21:09
投稿者 HIROKI
参照先
「シンジぃ、お願い。ねえ、いいでしょ?いいでしょ?」
「え?……う、うん、僕は、別にいいけど……」

「やったぁー! ありがと、シンジ」

マナは、僕の返事に大喜びして両腕を揚げて、僕の胸の中に飛び込んでくる。僕はマナを受け止める。
僕の曖昧な態度は、本当によくないと思っている。これじゃダメだと思う。だって、僕は今でも綾波のことが……
でも、僕は、少し目尻の下がった瞳でされるマナの懇願に弱い。いつも、こんな調子でマナのペースに載せられてしまう。

「マ、マナ……あの……」

マナは、僕の腕の中で、不思議そうな顔で僕を見上げる。

「その……」
「なに?」

普通、親友同士では、こんな……抱き合ったりは……それに…

「う、うん……その……みんなが……」
「うふふっ、シンジは、気になるの?」

マナは、そんなことは、気にもせず、僕を見上げながら、いつものように答える。

「だ、だって、その……ムサシだって見てるし……」
「そっか、ごめんね、シンジ」

僕が小声でそういうと、マナは残念そうに僕から離れる。

「でも、大丈夫だよ。今度、アイツがシンジに暴力振るったら、私が許さないって、キツく言ってあるから」
「そ、そうなんだ。でも……」

僕は、ちらっとムサシの方をみる。ムサシは、明らかに、怒り心頭という感じの表情で僕を睨んでいる。
マナは、僕の視線をおってから、ムサシに向かって叫ぶ。

「ムサシ!私とシンジは、親友なんだからね!アンタがどうこう言う筋合いじゃないでしょ!」
「ああ、そうだったな。すまん」

ムサシはマナにそう謝ってから踵を返して、立ち去る。

「あ、あの……いいの?マナは、ムサシのこと……」
「いいのよ。あんな奴。昔っから乱暴ばっかりして、私は大っ嫌いなんだから!さっ、行こっ、シンジ」

そういって、マナは僕の腕をとって歩き出す。僕はマナに引きずられるようにして歩き出した。

----
うーん、完全に即興です。なんか違う気もしますが……

このあと、シンジ君がキューピッド役やっちゃいそうですね(笑)
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/21 21:03
投稿者 HIROKI
参照先
> ちなみにマキさんの妹、ミキちゃんはcaluさんの「彷徨う虹」が初出です。

なるほど、あの長門さんがミキちゃんだったのね。第一話は、ちょっと前に読んでたんですが・・・

最初、公認非公式設定の「ミキちゃん」と聞いた時は、ミキちゃんが空白の14年間を埋めるということかと思ったんですが、シンジ君の彼女としては、ちょっと、オトナ過ぎな感じですね。

> > 「お前・・・本気なんだな?」
> と聞かれて即座にレイのことを想うようだと……。うーむ。

ハイ。私としても、このシンジ君の返事には、不自然さを感じつつ書きました。だって、ムサシがマナちゃんのことを言ってるということにシンジが気づいてしまうと、当初考えた話と違ってきてしまうので(^^; 不自然だからといって、改めてしまうと、話が変わってしまう・・・と、前だったら、それでもなんとか、無理矢理つづけたかもしれませんが。つくづく、俺も薄汚いオトナになってしまったものだと。14歳だけど(笑)

でもでも! この直前の状況によっては、即座にレイのことを思ってしまう場合だってあるだろう!・・と、いうわけで、直前のシンジ君の思考状況によっては、アレはアリなのだと思う訳です(と、言い訳)。 で、そういう状況じゃない瞬間には、マナちゃんに揺れ動いちゃってる瞬間だって、きっとありうる。 そして、「僕は、いったい何をやってるんだ。こんなんじゃダメじゃないか。僕は綾波が・・・でも・・・」と、やっぱり、ウジウジと思い悩む。 それがシンジ君なんじゃないかなぁ・・・とね。さすがに、「綾波、ごめん」といって押し倒すシーンは僕には想像できないので(^^;

というわけで、実は、続きを書きたくてしかたなくなってる今日この頃なのですが・・・


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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/16 04:00
投稿者 tamb
参照先
この掲示板は、基本的には小説とか絵とかの感想をみんなで書くというか、私はこう思いましたがあなたはどうですか、的な交流ができればいいなという趣旨の掲示板なんですが、応用的にはなんでもありで、小説の投下とかも全くOKです。

> だって、最後のあれって、お付き合い宣言でしょ?

おっと、それは読めませんでした。しまった(^^;)。
まあでも、確かにマナちゃんは積極的だし、デートみたいなことは繰り返すでしょう。それはやっぱり外見的には恋人同士ってことなんでしょうけど、しかし

> 「お前・・・本気なんだな?」

と聞かれて即座にレイのことを想うようだと……。うーむ。


シンジ君の高校生時代は全く想定してないんですが、マキさんとべったりというか、同居とかそういうことはないと思うんですよね。マキさんも北海道行きの選択肢はないでしょう。で、シンジ君はマキさんの教え子ということなんで、マキさんがいる大学に行って長門ラボに入ったはずなんですよね。たまたま入った大学に偶然マキさんが、ということもないと思うんで、何らかの交流はあったんでしょう。日曜日とかに急に来てご飯食べて帰るとかね(爆)。

ちなみにマキさんの妹、ミキちゃんはcaluさんの「彷徨う虹」が初出です。
http://ayasachi.sweet-tone.net/cont/calu/seven_side_stories_plus_index.htm
絶賛連載中断中ですが、これも名作です。
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/15 22:20
投稿者 HIROKI
参照先 http://hiroki.dotera.net/suki/
■tamb様
お忙しいところ、掲載ありがとうございます。コメントまで付けて頂きましてありがとうございます。
4人目というのが、どういうものなのか、もう一つ把握できていませんで、申し訳ありません。

>恋人と呼べる相手を見つけてもいい。
マナちゃんとシンジ君は、当面は、少なくとも外見上は、恋人同士ってことでいいんじゃないかと思ってます。だって、最後のあれって、お付き合い宣言でしょ?・・・のつもりで書いたんですけど・・・受け取り方は、読み手の自由ですので、まあ、つづきを書かない限りは、どうとって貰ってもいいんですが。
それで、つづきを書くとして(書くつもりないですけど)、シンジ君が奥手で、しかも、綾波というストッパーまでかかってますから、なかなか進展しないでしょうねぇ。けど、でも、なにしろ、このマナちゃん、かなり前向きで積極的ですからねぇ、どうなるか?(笑)

で、なぜか、ムサシ君が登場するってシチュが思い浮かんじゃって・・・この三角関係(綾波を入れて四角関係)も面白いかも・・なんて(^^; とりあえず、この時点では、マナちゃんは幼なじみで乱暴者(?)のムサシ君のことは「変な奴で大っ嫌い!」という感じなわけなのは、お約束設定ですね(笑)
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/15 22:01
投稿者 HIROKI
参照先 http://hiroki.dotera.net/suki/
「おい、ちょっといいか?」

彼は、隣のクラスの男子生徒だった。
彼は、僕にそう声をかけてから、じっと僕の顔をみた後、ついて来いという仕草とともに歩きだした。
突然、声をかけられて、僕は訳が分からなかったが、とにかく、いわれるがままに彼の後をおった。

彼が小さな喫茶店のドアをくぐる。僕もあとに続く。
彼はカウンターでアイスコーヒーを2つと告げた後に、奥のテーブル席に座り、向かいの席をあごで示す。

「・・・・・・」

彼は、向かいに座った僕の顔をじっとみる。
僕は、思わず、目線を下げて、テーブルをみる。

「オマエ・・・」

彼は、怒ったような表情で口を開きかけて、思い直したようにキッと口を結ぶ。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

沈黙のまま、お互いに、相手の様子をうかがう。
アイスコーヒーが運ばれ、彼は、目の前のグラスを一気に飲み干す。
僕は、目の前に置かれたグラスをみながら、ゆっくりと口をひらく。

「あ、あの・・・僕が、なにか・・・」
「お前・・・本気なんだな?」

僕の問いかけに、つぶやくように彼が口を開く。

「え?」
「だから、本気で好きなんだなって聞いてんだよ」

突然の質問に、僕は顔をあげて問い返すと、彼は口調を少し荒げて、再び問いかける。

本気で好きか?・・・もちろん、そんなのは当たり前だ。
僕は本気で・・・アヤナミ・・・僕は君を愛している。

「あ、あたりまえじゃないか、僕は本気で・・・」
「・・・そうか」

僕の答えを途中で遮るように、彼は小さく冷静な声でつぶやく。

「それじゃあ、何があっても、お前は彼女を守れるんだな?」
「う、うん。もちろん・・・僕は彼女を守る。僕は、もう絶対に、彼女を放さない」

僕は彼の目を見返しながら答えた。

彼は、なぜ、僕のことを・・・綾波のことを知っているのだろう?
いや、そんなことは、今はどうでもいい。
僕は、綾波が好きだ。その気持ちは、ずっと変わらない。だから、僕は待ち続ける。
そして、再び出会う。僕が綾波を守るんだ。今度こそは、もう2度と綾波を放さない。

彼は、真剣な表情で、じっと僕の顔を見る。

「わかった・・・お前を信じる」
「え?」

そういって、彼は、ふっと笑みを浮かべてから、伝票をもって立ち上がった。
僕は驚いて、彼の方をみる。

「俺、ムサシ。ここは奢る。俺が誘ったんだからな」
「あ、ありがとう・・・僕は、シンジ」

「知ってるって」
「あ、そ、そうだね・・・そりゃそうだよね」

「オマエ、暗そうな奴だなと思ってたけど、案外、ヒョウキンな奴なんだな」
「ひょ、ひょうきんって・・・そんなことはじめて言われた」

「まあ、コーヒー飲めよ。じゃ、俺はこれで」
「あ、ありがとう」

そういって、僕は、アイスコーヒーのストローに口をつける。
彼・・・ムサシは、ウインクをして、喫茶店から立ち去っていく。去り際にひとこと残して・・・

「桐島のこと、よろしくな」

----
この後、シンジがコーヒーを吹き出して、エラいことになったのは言うまでもない。
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件名 Re: 3年目の微笑み/HIROKI
投稿日 : 2015/08/15 21:07
投稿者 HIROKI
参照先 http://hiroki.dotera.net/suki/
「シンジ君は、本当にそれでいいの?」
「はい。マキさんはどうするんですか?」

「そうね・・・」

そういって、マキさんは、焦点を定めずに、中空をみやった。

マキさんは、初めから全て分かっていたはずなんだ。綾波が何者なのかを。
そして、綾波の選びうる選択肢がこれしかなかったことも。
いや、あのまま、幻のまま存在しつづける選択をする自由をマキさんは示してもいたのかもしれない。
でも、そんなことは・・・きっと、綾波は苦しんだに違いない。
全てを知りながら、何もできなかったマキさんも苦しんだに違いない。

「牧場・・・行かないんですか?」
「あたしは、やっぱり、ここでマギをもう少し・・・」

マキさんは、中空を見たまま、そこまで言った後、自嘲的な笑みを浮かべて僕をみながら続ける。

「ギャラはともかく、レイちゃんとの再会の可能性を見定めたいとも思うしね。
そのためには、エヴァやサードインパクトの真実を、もうちょっとわかってないとってところかな」

マキさんだって、僕たちに関わった以上・・・いや、真実にもっとも近づいてしまった人間として、
全てを投げ出すわけにはいかないことは分かっている。マキさんは涙をこぼしながらつづける。

「ただね・・・シンジ君が・・・ううん、シンジ君を言い訳にして、北海道に逃げ出しちゃってもいいかなぁって。
・・・ごめんなさいね。」

そういって、マキさんは涙を拭う。僕は分かっている。マキさんが僕を本当に心配してくれていることを。
だからこそ、僕は、マキさんに頼ってはいけない。頼りたくないと思う。

実際のところ、僕は、このあと、どうやって生きていけばいいのか分からない。
でも、僕は、僕自身で僕の生き方をみつけていかなければならない。
マキさんには頼りたくない。きっと、マキさんは親友としてというよりは、僕の保護者をやってしまう。
それじゃダメなんだ。僕は、自分の力で、綾波を待つんだから。

「本当に・・・いいの?」
「いいんです。僕のことを考えるなら、僕のことは放っておいてください」

「・・・シンジ君」
「お願いします」

僕の真剣なお願いに、マキさんは、ひとつ小さく息を吐いた後、ゆっくりと答える。

「わかったわ。でも、私たちは親友のままよ。それは覚えておいてね」
「はい。決して忘れません。ありがとうございます、マキさん」
「それじゃ、またね」

僕が深々とお礼をすると、マキさんは、笑顔を僕に向けてひとこと小さくいって部屋を出て行った。
いつのまにか、僕の瞳からは、一筋の涙が溢れている。

僕は綾波を待つ。そのために、これからの生き方を見つける。
今、僕は、その第一歩を踏み出したんだ。

----
というわけで、その3年後なんですが・・・いかがでしょ?

とりあえず、決意はできるでしょう、あの瞬間。でも、現実は・・・という感じで。

いや、しかし、やっぱり、どう考えても、マキさんが放っては置かないだろうなぁ・・・というのは、
3年目の・・を書いてる途中でも思ってました(^^;  すいませんm(_ _)m
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