ワタシハダレ?
アナタハダレ?
ワタシノココロハドコ?
ワタシハ......

虹と共に

第二章〜二人ノワタシ〜

from Kaz.Ueda

ワタシ

それは道具
わかっていたこと
作られし存在



諦めていたこと

それは自由
そして、どこか求めていたもの


それを与えてくれたヒト
今はもう居ないヒト


イヤ!
まだどこにも行かないで!
せめて私の心の中にいて
お願い
まだ消えないで
......



けたたましい警告音が鳴り響く。


「ダメです!信号、拒絶されました!」
今、ワタシは水槽の中。


「ファーストチルドレンから強力なA.T.フィールドの出現を確認!
すべての光、音、電波が遮断されました。
モニターできません。」
みんなはワタシから奪おうとしてくるの。


「警報を消せ!委員会には誤報と伝えろ。」
大切なヒトの記憶を。


「なぜだ!なぜレイの記憶が消えんのだ!」
楽しかったときの記憶を。


「ファーストチルドレンから電磁波が発生!
すべての機器類が使用不可能。」
だから壊すの。


「実験、失敗です。」
忘れたくない。


「原因はなんだ。」
もう会えない。


「恐らく記憶の部分的消去をファーストチルドレンが拒んだためと思われます。」
もう一度会いたい。


「本当に会いたいの?」
誰?
あなた


「本当に会いたいの?」
だれなの?


「本当に会いたいの?」
こたえて!


ジジジジィーージジジジィーー......

蝉の音?

ここはどこ?


「やぁ、綾波。待った?」
何を言っているの?
あなたは誰?


「どうしたの?顔色悪いよ。」
なんなの?


「どうしたの?」
やめて・・・


「早く行こうよ。」
変なもの見せないで!!


「会いたいんでしょ?」
違うわ!


「なにが違うの?」
あんなの彼じゃない


「なにが違うの?」
あれはあなたの中の彼よ


「なにが違うの?」
あんなの人じゃない


「あなたもよ」
彼がくれたの


「あなたもよ」
人の心を

「あなたもよ」
私はもう人


「あなたもよ」
あなたとは違うの


「あなたもよ」
あなたは人じゃない


「あなたなの」
何を言ってるの?


「私はあなた」
違うわ


「私はあなた」
違う


「違わない」
あなたは物


「違わない」
私は人


「違わない」
全然違うわ


「私はあなたなの」
何を言っているの?


「わたしはあなたなの」
やめて・・・


「ワタシはアナタなの」
やめて・・・


「ワタシハアナタナノ」
イヤァァーーーーーーーー!!!!


バアン!!


ここはどこ?
病院?
何があったの?


「教えてあげる」
またあなたなの?


「教えてあげる」
・・・・・・


「おしえてあげる」
なぜなの?


「オシエテアゲル」
忘れさせてよ!


バアン!!


「ファーストの周辺のLCLが爆発しました!」


「なんですって!原因は?」


「MAGIは回答を保留しています。」


「情報が少なすぎますね。」


「とりあえずA.T.フィールドは消えたわ。
ファーストを病院へ。
機材の回収も頼むわよ。」
こう言ってリツコさんは帰っていった。
私なんてやっぱりどうでもいいのね。


「まずいぞ碇。
レイがA.T.フィールドを出せることが委員会に知れたら・・・
老人たちが五月蝿いぞ。」


「問題ない。
エヴァの暴走と言えば良い。」


「それで通ると思うか?
甘いぞ碇。」


「問題ない。」


「まったく...」


「綾波!大丈夫だった?
入院してるってミサトさんから電話があって飛んできたんだ。
何があったの?」
碇くん!
・・・・・・・・・心配してくれてありがとう。
大丈夫よ。


「良かった
じゃあもう僕は帰るよ
さよなら」
そんな・・・せっかく会えたのに


「誰に会えたの?」
またあなただったの?


「あれはあなたが見たいって言うからみせたの」
言ってない


「あれはあなたが見たいって言うからみせたの」
何を言ってるの?


「だってアナタはワタシ」
だからなんなの?


「私が見たかった」
なら一人で見て


「あなたも見たかった」
勝手に決めないで


「だってアナタはワタシ」
なんなのあなた


「あなたの深層心理」
知ってる


「もう帰りなさい」
言われなくてもね


「ちょっとファースト!」

・・・・・。なに?


「宿題見せてって言ってるでしょ!
なんでシカトすんのよ。」

ごめんなさい。
考え事してたの。
・・・はいこれ。


「ありがと。
そういえばシンジもよく考え事してこのアスカ様を無視したわね〜。
あっ!ご、ごめん。」

いいわ、別に気にしてない。


「そう?
ごめんね。
(嘘。絶対気にしてる。無理しなくていいのに。)」

昨日、変なことがあったの。


「え?何が?」

なんだか赤木博士が頭の中に入ってきたの。


「は?アンタバカ?
いくらあのサイエンスバカでも流石に人の脳の中に入りはしないわよ。
夢でも見てたんでしょ。」

ユメ?
そうかもしれない。


「え〜、早く席に着きなさい。」


「ヤバッ。
まだ宿題写せてないじゃない。
じゃあね。」

ええ。


「え〜、サードインパクトとは皆さんも知っての通り戦略自衛隊の最新兵器実験中の事故なんですが、
その事故の所為で地球の生命すべてが失われ、我々人間以外戻ってはいないのです。
ですが、最新の遺伝子工学により馬・豚・牛・鳥・犬・猫等の人間に関わりの深い動物は新たに生命を与えられています。
しかし、最近世界各国で動物の異常発生、巨大化、凶暴化なども起こり、大変危険な世の中になっています。
そこで、近年作られた国連直属の特殊部隊ANGELは、先ほどの問題解決の為に日夜奮闘しているわけなのです。
その為に使用されている兵器を少し説明しますね。
まず、接近戦特化型の『AK-175-A』。
これはベーシックの機体に超大型の日本刀を2本装備、頭部のバルカンをマシンキャノンに換装してありシールドも接近戦用に小型化、強化されたタイプです。
次は、遠距離支援特化型の『AK-175-B』。
これはベーシックの機体に超長距離射撃可能な大口径ツインENキャノンを搭載し、頭部のバルカンを排除、そこに追加のENタンクを搭載したタイプです。
そして次は、汎用人型決戦兵器『EVA-00〜02』。」

 
「ちょっ!!
何それ!
何でエヴァがそんなとこにあんのよ!
エヴァはネルフのもんでしょー!」

“惣流さんの言う通りね。
あの人がエヴァを手放すわけないわ。
弐号機ならまだしも零号機や初号機まで。
何を考えてるの?”


「え〜、そう言われてもね〜・・・そういうことはネルフやANGELに聞いてください。
では説明を続けますね。『EVA・・・・・・・・・・・・」

惣流さんどうしたの?


「どうもこうも無いわよ!今からミサトんとこ行くわよ。」

私も?


「あったりまえよー。アンタが居なきゃ碇司令に会うことすら出来ないじゃない。」

でも、授業は?


「あんなの後でケンスケに聞いたほうが1,000倍わかりやすくて10,000倍詳しくわかるわ。」

それもそうね。行きましょう。
“司令に会えば碇くんの事、居場所ぐらいはわかるかも。”



「ミサトっ!
何でエヴァを他のところにあげたの!
あれが無きゃここのある意味無いじゃない!!
説明してよね!!」


「何よあなた達、学校は??」


「学校なんてどうでもいいのよ!
早く説明しなさい!!!」


「まあいいわ。
どうせANGELのことでしょ。
そのうちあなた達にも教えてあげなきゃいけなかったし。
あれはね、公的にはああ言ってるけど全部嘘よ。
ゼーレが五月蝿くてね、『碇にエヴァを持たせていては危険だ。』ってね。」


「じゃあ弐号機はここにあるのね。」


「とーぜんでしょ。
あれが無かったらうちは何すりゃいいのよ。
葉っぱを半分に切った形の饅頭でも売るしかないわね。」


「そうよね。」


「ユメは見れた?」
またなの?


「ユメは見れた?」
いい加減にしてよね


「アナタが見たかったのはこれ?」
いいえ


「アナタが見たかったのはこれ?」
違うわ


「ならどんな世界?」
現実よ


「フフフ」
ふふふ


「見せてあげる」
見るんじゃなくて行うのよ
生きるということをね


「成長したわね」
アナタのおかげでね


「私は必要ないのね」
必要になったら呼んであげるわ


「そう、アリガトウ
そして、サヨウナラ」
さよなら




ありがとう、アナタ
そして碇くん
あなた達のおかげで強くなれた気がします
これからも碇くんのことを胸に、生きてくわ
また戦いになるかもしれないけどそのときは見守っててね
貴方が私の心の中で笑ってくれたら私はどこまでも強くなれる、いつまででも戦える
だから笑って見守って
私は待ってる
だから貴方に私の心を少し分けてあげる
貴方を守れるだけの心を
大丈夫
恐れずに生きて
たとえ貴方が危険なことに挑んでも私が居る
私が守る
だから貴方は見守って
碇くん・・・




ピピピ、ピピピ、ピピピピピピピ、ピピピ、ピピピ、ピ、ッピ。

ハイ。


「レイ!出撃よ!!早く来て。」

わかりました。


ッピ




「作戦内容を説明するわよ。
しっかり聞いてしっかり覚えっちゃって。
第一に巨大生物の殲滅。
以上!わかり易くていいでしょ。
ちなみに今回はANGELとの共同作戦、気合入れていくわよ!オー!」


「……」

……


ぐっ、しらけたわね。しけしけムードなのでタイムスケジュールを説明するわ。
現在の時刻が1100。
デッキに集合が1130。
エヴァに各員搭乗が1200。
地上への射出が1210よ。
わかったわね。」


「わかったわ。」

了解。


「んじゃあ。準備はじめちゃって頂戴。」



「射出!!」


「ぐっ、慣れたとはいえ凄いGね。
女の子の体にはこたえるわ。」

ええ。色々な意味でね。


「こちらAK第壱師団。
ネルフに共同作戦を申し込む。」


「了解したわ。
指揮権はこちらで。
異論、無いわね。」


「了解。」


「にしてもANGELはやたら気合入ってるわー。
なんてったって一個師団投入してくるんだからねー。
なんかちょっとやり過ぎじゃなーいー。」


「そんなことないわ。
だって敵の戦力がわからないんだもん。
仕方ないわよ、みんな怖いんだから。」


「たしかに、私も怖くないわけじゃないけど...」


“『AK-175-A』、形状は完全な直立二足歩行。
どちらかというと量産型に似てる。
翼は無いみたいたけど。
色はありきたりな迷彩色、この辺りでは目立つだけね。
後方にいるのが『AK-175-B』。
かなり大きいENキャノンが付いてるそうだけどここからじゃ見えないみたい。
少し初号機に似てる。
角がついてるあたりが。
色は赤。
惣流さんが喜びそうな色ね。
・・・あれは何?”

惣流さん。


「なに?レイ」

何かしら。
あれ。


「なにあれ。
わかんない。
ちょっとミサト!
なにあれ、あんなの聞いてないわよ」


「大丈夫、あれもANGELの機体よ。
認識ナンバーは『X-AK190-S』、試験機だからまだ1機しかないわ。
ほら、認識ナンバーの最初に『X』がついてるでしょ。
それが試験機をあらわしてるわ。
パイロットは凄腕だそうよ。あなた達では到底敵わないほどの技量。
あの『X-AK-190-S』は、『AK-175』系の機動力を更に強化、音速を超えるわ。」


「音速!?」

凄いわね・・・


「火器の説明だけど・・・」


「それは僕にやらせてもらいますよ。」


「ケンスケ!
そこで何やってんのよ。」


「何って、もう僕はネルフの一員だよ。
雇われたのさ。
エヴァ専属メカニックとしてね。
で、火器の説明だけど、簡単に言えば『AK-175-A』と『AK-175-B』を足したようなものさ。
詳細は・・・・・・説明してる暇は無さそうだな。」


「くるわ!」

ええ。


「牛?馬鹿でかい牛の群れね。
にしてもでか過ぎよ。」

たしかに、ただの牛と思わないほうが良いかも。


「僕にやらせてもらう。」

“だれ?
あの『190』に乗ってる人。
私、どこかで・・・”



その後、『190』に乗った少年は牛の大群をたやすく撃破。
私たちが手を出す隙すら与えなかった。
まさに完璧。
恐るるに値するわ。
でもあの戦闘スタイル。
誰なの?思い出せない。
思い出したいのにわからない。
彼方は誰?



「ちょっとレイ!!
新たな機影を確認したわ!
早くあっちへ向わないと、またあいつに手柄を横取りされるわ。」

ええ。



次の敵は・・・識別不能!!
ミサトさんの情報によると、After 2015社の『AC』と呼ばれる機体。
詳細は一切不明。
わかってることといえば四足歩行ということ程度ね。



キュイーン・・・カタカタカタカタ・・・プログラム・・・システム・・・ハーフコンタクト・・・パワー・50%・・・スピード・30%・・・ディフェンス・80%・・・固定・・・モーションデータ・・・タイプ‐S・・・v0.820・・・AC起動・・・戦闘・・・開始・・・



『AC』は突然弐号機に飛びつき、腹部に付いていると思われるビーム砲を弐号機に向けて発射。
2秒後に弐号機は完全に沈黙。
パイロットの生存は確認済み。



なんだ?あいつの動き・・・まさか!僕のモーションデータを流用しているのか!
だとすると、弱点はやつの機動力の低さだ。
ならば、僕の機動力でかき回し、
後は零号機のプログナイフに『B』のENキャノンの一斉射撃を加え、
最後に『A』の刀でフィニッシュ。
よし。いける。

「AKとエヴァ全機に今から僕の言うことをやってほしい。
敵は恐らくAIで動いている。
そしてそのモーションデータとして使われているのは、僕のデータだ。
僕は機動力のない機体は苦手なんだ、だからそれを利用する。
まず、『S』の機動力で敵を引きつけて、
その隙に、零号機のプログナイフと『B』のENキャノンの一斉射撃をくらわせ、
最後に『A』の刀でフィニッシュ。
みんなわかったかい?」

了解。


「全機、了解しました。」



キュイーン・・・カタカタカタカタ・・・プログラム再起動・・・システム・・・フルコンタクト・・・パワー・スピード・ディフェンス・・・フルスペック・・・固定・・・モーションデータ・・・タイプ-S・・・v2.503・・・AC-S起動・・・戦闘・・・開始・・・



ん?あいつ、目の色が変わった?
どういうことだ?っぐ!は、速い!スピードがまるでさっきと違!なっ!僕が追いつけないなんて。
くそ、一時撤退もやむ無しか...

「皆!聞いて!一時撤退するよ!
ぐはっ!さっきの作戦はだめだ、見ての通りあいつは僕より速い、
『B』は、撤退の援護を。残りは全速で撤退。急いで!」



“・・・撤退?仕方ないわね。
なに!?キャッ!!
私を狙っている?
なら...私が囮になる。”



レイがパレットガンを構え、ACに向けて一斉射撃。
しかし、あっさりとかわされ、次はACの非実体剣がレイを襲う。
そこに『B』のENキャノンがACの装甲を融解させ、彼女を救った。
だが、ACの火力はその比ではなく、背面についた無数のマクロミサイルやガトリングガンが20にも及ぶ『B』を一瞬で戦闘不能に追い込む。
これでもう彼女を援護する者はいなくなった。
これからレイとACの一騎撃ちが始まる。



・・・敵・・・水色・・・髪・・・毛・・・あ・あや・・みれ・・・茶・色・・・髪・・・そう・・そりゅ・あれ・ぐ・・れん・・・誰だ・・・我を・・・・乱す・・・モノは・・必要・・ナイ・・・邪魔・・.・な・・だけだ!・・・必要ない・・・殺す・・・殺す・・・殺す・・・・・綾波=レイ・・・惣流=アスカ=ラングレー・・・邪魔だ・・キエロ!!



動きが鈍くなった。今ね!パレットガン...ファイヤー!!くっ、かわされた。流石ね。
なに?零号機が・・・動かない!なぜ?…なっ!ハッキングされてる。
発信源は...ACね!これじゃあ何も出来ない。
MAGIでもなければ発信源を突き止めるのが精一杯、でも、囮役は成功ね。
『B』はほとんど全滅だけど『A』は皆無事のようだわ。
あれ?
『S』がいない...どこへ行ったの?





ACはハッキングに成功しレイの動きを完全に止めた。
そして勝利を確信した。
ただ一つの誤算を残して...



後書き

ども。先日PCが吹っ飛んでやっと復活したKaz.Uedaです。
『虹と共に〜第二章〜』。前のよりいいような気がするんですが...
気のせいですかね?
批判でもなんでもいいですので、掲示板にでも一言いただけると第三章を皆様に早くお届けできる気がします(微笑)。
それではこのへんで。さようなら。

<第一章 | 第三章>

ぜひあなたの感想をKaz.Uedaさんまでお送りください >[kaz_ueda_vv@yahoo.co.jp]


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