「レイ・・・」
「あうっ」
もう記憶は白濁の中
何からはじまったかなんて
もういま私を突き刺す快感に消されてしまう
私はだれなの
もうわたしの中のメモリーはすべて消えていきそうで
ただ・・・ただ・・・
「おにいちゃん・・・」
と呼ぶ一人の男性で埋められていった
彼が私に触れる、彼がわたしの名を呼ぶ
彼が
いま、私の中に・・・
カレガワタシノナカニハイッテイク・・・
ハイッテイク・・・
イクッ・・・
「・・・はっ!」
何という夢を見てたの
私が・・・おにいちゃんと・・・
「レイ・・・」
ぼっ!
ブンブンブン
何を考えてるの
兄妹で・・・
「お兄ちゃん・・・」
「レイ・・・」
ぼっ
ブンブンブン
・・・うぅ
これのせい?
クンクン
この匂い・・・
布団のシーツ
おにいちゃんの匂いがする・・・
クンクン
匂いがする
・・・ん?
・・・・しめっぽい
「おはよう」
「レイ、早くしないと学校間に合わないわよ」
「うん」
「もう、、、ちゃんと起きてるの?
お兄ちゃんはもう出ちゃうわよ」
もうそんな時間
眠い・・・
だって私は三にん・・・、低血圧だから
「いらない・・・」
「もう、パンでもいいから朝ごはんくらい食べなさい」
「わかった・・・」
パンを口にくわえ
私は家を出る
でも急いだりはしないの
マイペースがわたしの信条
だけど今日は少し加速
なぜか加速
なぜ?
「あっ・・・レイ」
「おはよう」
加速停止
夢のせい?
顔があわせられない
「・・・?どうしたの?」
「なんでもないわ」
変に意識
そして、なぜかお兄ちゃんの後ろを歩きたいの
なにかを隠したい気持ちがいっぱいでそうしてたつもりだったんだけど・・・
春風ざわめく5月の空のした
目の前から香る匂いに
私は釣られていたのかもしれない
「えぇー特異点というのは、ここでいうとアームの角加速度が・・・」
大事な物理の授業も右から左へ
窓際の私の席は暖かい皐月の光で私をまどろみへと誘(いなざ)おうとする
いつもなら負けるその光にも今日の私は、我思う事有り、で誘いには乗らなかった
「(なぜ、わたしはこうもお兄ちゃんの匂いに弱いの?
好きだから?・・・
恋をしたというの?
わからない・・・
見知らぬ感情・・・)」
それを確かめようと匂いを思い出そうとしたのだけど
なにも記憶は伝えてはくれなくて
わたしは・・・
「はい、ここを碇君」
先生にしかられた
「レイ、洗濯物乾いたのおいとくからお兄ちゃんのと一緒に持っていって」
「わかったわ」
・・・
急いでるようにはできる限り見せないように
急いで私の部屋に駆け込む
床に座り込み目の前の洗濯物と向き合った
一撃必殺と書かれたTシャツ
お兄ちゃんのTシャツ・・・
どこかいけないことをしているようで
いけないことなのだけど
私の心は簡単に本能が支配してしまった
すーーーーーー
「はぁはぁ・・・」
すーーーーーー
「はぁはぁ・・・」
洗いたてのシャツの奥底から吸い出すように
匂いをかぐ私
匂いを捕まえると私は次第に指を股間に指をはわすようになっていた
すーーーー
「はぁ・・・んっ・・・くぅ・・・」
何も考えずに
ただ、匂いを、誘われるままに
快楽を求めていたの
すーーーー
「はぁー・・・んん、あっ・・・くはぁ・・・」
トントン
「レイ、いる?」
ドアをたたく音、私を呼ぶ声、お兄ちゃんの声
ビックリした私は急いでシャツを戻し
「いるわ、なに?」
「いや、かあさんがさっき洗濯物レイがもって言ったって行ったから」
「もってるわ、最初に私のものから入れてただけ」
「あっ・・・そか、
んじゃついでだし、自分の分もっていくよ」
お兄ちゃんの分の洗濯物を渡すと
なにか寂しい気がして
でも、どこか変な感じがして
空気が、私にもわかるくらい、ぎすぎすしてたの
「あっそだ、母さんがお風呂入れって」
「そう、それじゃあ・・・」
私の中の悪魔がささやいたの
「いいわ、少しやりたいことがあるから先に入って」
「う・・・うん、それじゃあ先に入るよ」
まだ少しだけど争ってるの
いけないこと
だけど、なにか止められなくて
なにか、違う自分になったようで
気づいたら・・・
「・・・」
持ってきてしまった
お兄ちゃんの
パンツ(脱ぎたて)
なぜか向き合うように座ってしまった
とりあえず・・・
「こんにちは・・・」
あいさつ?
「・・・お世話になります」
何の?
戸惑ってるのね・・・
「怖いの?」
自分に問い掛けてみる
言い訳、扉の前でたじろんでる
だけど・・・
間接的な匂いが
浮かび上がる匂いが
容赦なく私をひきつける
もう、迷いはなかった
「ハァハァ・・・
すぅーーーあはっ
ハァハァ・・・あうぅ
くっ・・・とまなない・・・
ゆびが・・・あうっ・・・」
言葉で自分を追い込んでいく
自分のできる限りで
鼻で
指で
声で
耳で
自分自身の感覚を犯していく
「あぁ、ん・・・
指が・・・止まらない
ハイッテイク・・・
トマラナイ
・・・」
!
「ッ!」
ピりっとした痛みが私を貫き
「あぁーーーーーーーっ!!」
ちろちろ、ちろちろ・・・・
「あう・・・あう・・・こぼれてる・・・」
ぼうっとした意識の中
自分の体から流れる液体を
止めようとも意識はそこまでもまわらなくて
「レイ、どうした・・・の・・・」
「あぁ・・・あぁ・・・」
とまらなくなった・・・