サードインパクト以来、日本にも四季が戻りつつあった。
そして、それは平和な一日の一コマ…
とある暖かな春の日。
いつものように定期診断を終えたレイは、シンジとともに桜並木の元を歩いていた。
「どうだった、綾波……?」
「順調だそうよ。
だいたい予定通りらしいわ。」
そういうと、自分のおなかの辺りをさするレイ。
「ふ〜ん、後7ヶ月か……
待ちきれないね……」
そういうシンジに、レイはクスリと微笑む。
「そうね……
それと、シンジ……?」
「何?」
「『綾波』ってよぶの、いい加減やめてくれない?
『レイ』って呼んでって、何回も言ったのに……」
照れ隠しにぷくっとふくれるレイ。
「わ、分かったよ、あやな……レイ。」
真っ赤になって答えるシンジ。
「分かればいいのよ。」
すると二人は、どちらからともなく声を立てて笑う。
「ハハハハハハ……」
「ふふふふふふ……」
と、レイは上を見上げる。
「桜、綺麗ね……」
「そうだね……」
シンジもつられて上の方を見る。
「まだちょっと早いけど、お昼にする?」
「そうね……」
と、カバンから弁当を出すシンジ。
最初からそのつもりだったようだ。
「はい、どうぞ。」
差し出された弁当を受け取り、ふたを開けるレイ。
中に入っていたのは、いつにもまして凝った弁当。
「おいしそうね……」
「そりゃどうも。
っていうか、レイ、今まで僕の作った料理を、まずいって言ったことあったっけ?」
珍しくシンジが意地悪そうに笑う。
「……私の負けね。」
並んで弁当を食べる二人。
壮絶なおかずの取り合い(侵略とも言う)も終え、20分もすれば綺麗に片づいた。
「「ごちそうさま。」」
「ったくもぉ、レイってば。
いくらなんでも、食べ過ぎだよ…」
「いぃの!
二人分なんだから、これでも少ないぐらいよっ!」
ため息をつくシンジ。
「ま、いいか……」
その後も、何もするでもなくぼぉっと座っている。
最近、お互い忙しくてなかなか二人っきりでゆったりした時間をとれなかった。
たまにはこういう休日も……と思うシンジ。
「レイ……」
「なに?」
「好きだよ。愛してる……」
最後の方はもうぼそぼそと聞き取れないような声になるシンジ。
「え?なんか言った?」
「分かってるくせに。よく言うよ、レイ。」
真っ赤になってふくれるシンジ。
「シンジ、私も……」
桜が咲き、春風が吹く……
彼らによって戻ってきた四季。
それを存分に感じている。
それを存分に感じていられる。
世界は……平和に回っている。
あとがき
おかしいですね……
最初はこんな終わり方じゃなかったハズなんですが……
ま、いいとしましょう。(爆)