「そこに神社があるからそこで休もう。加持さんの話が本当なら悪魔が寄って来ない筈だから安心して休めるぜ」

 ケンスケの提案に従ってすぐ近くにある神社-音屡風(ネルフ)神社で休むことにした。
 僕らは音屡風神社で、意識を取り戻した女性から話を聞くことが出来たんだけど・・・それはとても信じられないような内容だった・・・
 そして僕はこのとき、心の底から今までの日常が崩れていくのを実感した・・・・・そして、もう後ろに戻ることが出来ないことも自覚させられた・・・・






<ペルエヴァ8話 エヴァンゲリオン?>





 音屡風神社。
 「この神社の由来は完全には明らかになっていません。それはこの神社には殆ど資料が残っていないからなんです。でも神社の木材を調べたところ少なくとも江戸時代くらいからは存在しているということです。で、20世紀末にこの街が開発されるときに建て直しをして今現在こうなっているらしいです。
 何を祭っているのかもはっきりしませんが、どうやら神道の神様ではないらしいということだけはわかっています。今一番有力な仮説は自然を神格化したものだろうと言われていますが、その説では納得出来ない面があって未だにはっきりとはわからない状況なんです。
 唯一存在する資料が街の総合博物館の郷土資料コーナーにあるんですけども −勿論置いてあるのは複製ですけど− それはまだ未解読なんですよ。なにせマイナーな存在ですからきちんと研究する人がいないらしくて・・・」

 山岸の説明によると、この街が出来るより前からあった、とても古い神社で、開発時に建て直して今の神社になったらしい。何を祭っているのか、どんな由来があるのかなど一切が謎という、ちょっと薄気味悪い神社で神主さんも管理する人もいない、地元の人間は誰も近寄らない場所だ。事実僕なんか、商店街から意外と近くにあるのにも関わらず名前だけは知っていても場所を知らなかったくらいだし・・・・。
 『地元の人間は』といったけど、過去にどこかのオカルト雑誌に不思議スポットとして紹介されたことがあるらしく、その手の話が好きな人たち −山岸みたいな趣味の人たち− には多少メジャーらしく観光のため(?)に訪れる人もちらほらいるらしい。それを聞いたときは世の中には物好きがいるものだくらいに笑ってたけど、まさか自分が訪れようとは・・・・・・・・・。




 神社の境内は思ったよりも広く、誰も管理している人がいない筈なのに綺麗に掃き清められているように見えた。と思ったら町内のお年寄りが交代で掃除しているらしい。
 曰く、
 「何を祭ってあるかとかはわからなくても古くからある神社なんだから大事にしよう」とのことだ。
 ってこれも山岸からの受け売りだけど、お年寄りの信心深さには頭が下がる。世界トップレベルの無神論者国で育ち、21世紀という科学全盛時代に生きるIT世代の子供である僕にはちょっと理解しがたいけど。それにしても、住宅地の真ん中にあるにしてはとても静かで、人気のない神社でもやっぱり賽銭箱が置いてある。『誰かこんな神社の賽銭箱にお金を入れる人がいるのだろうか?』、と疑問に思いつつ中を覗いて見たけど、まだ作ったばかりのような感じがする賽銭箱の中は何も見えなかった。
 何かはわからないけど祭ってある筈の何かに対して、心の中で『すいません、緊急なんです』と謝りながら無用心にも、僕達にとっては運のいいことに鍵のかかっていない扉を引き開けて中に入った。普通は鍵がかかっていると思うんだけど、でも盗られるものもないし何よりここに人が来ること自体滅多にないことだからどうでもいいのかもしれない。
 うっすらと光が差し込んでいるけど、中は暗くてひんやりしていて気味が悪いことこの上ない。それでも蝋燭に火をつけると、目が慣れてくるに従って段々と中の様子がわかり始めて・・・・・一番最初に目に入ったのは人の顔だった。それも一つではなく壁一面に人の顔が浮き上がっていたんだ。最初は悪魔かと思ったけど、一向に何も起きる気配がないので恐る恐る近づいてよく見てみると、それらは全部仮面だった。
 けっこう広い室内の壁一面に仮面が飾ってある神社・・・・不思議というよりも不気味だ。しかも仮面の一つ一つがリアルというか、精巧に出来ていてちょっと見ただけだと仮面とはわからない出来で、どうやら人間をモチーフにしたものみたいなんだけど、どの仮面もすべて醜悪というか不気味な、見る人に嫌悪感や不快感を感じさせるようなものばかりで・・・はっきり言って恐い。それだけじゃなく、その仮面が僕らのことを「視ている」ような気がして薄気味が悪くてしょうがない。蝋燭の火が揺らめく度に今にも動き出しそうな気がする。ここまで来ると何が起きても不思議はないって感じなんだけど、それでもやっぱり自分自身心のどこかで今目の前にあるリアルを受け入れることが出来てないみたいで『ペルソナ』も、病院での出来事も、夢のように思える自分がいて・・・・・・。
 こういうものが大好きな山岸も声も出せないようだし、相田もカメラを構えることも出来ずに立っている。惣流も「脅かさないでよね」とか「趣味悪いわね〜」とか言っているけども声が上ずってるんで強がりだというのがバレバレだ。惣流って興奮してるときに口数が増える癖があるんだよね。もっとも昔から付き合いのある僕だからわかることなのかもしれないけど。しかも、何事にも動じない渚君でさえも一言呟いたきり黙ってしまった。仕方ないよね、この仮面に見られてると思ったら大人でも恐いと思うし・・・。



 僕らは神聖なものに対する畏怖なのか、未知のものにに対する恐怖なのか、何ともいえない神社の特殊な雰囲気に呑まれたまま蝶が飛んでいることなんて全く気付きもしないで −ほんの僅かの間とはいえ− 立ち竦んでいた。社の中央、僕の目の高さよりもほんの僅か上くらいの高さで何かが光り始めて、やっと気付いたときにはまた『あの場所』にいるという有様だった。
 『この場所』に来るのは2度目だけど、前回と違うのは僕一人ではなく皆もいること。あの女の人はいなかったけど。
 古代ギリシャの神殿を思わせる巨大な柱に囲まれた円形の空間。白い丸テーブルと、それにセットの白い椅子が2脚誰の為かは知らないけれども置いてあり、テーブルの上にはやはり白いティーセットが置かれていて、丁度そのテーブルの上を蝶が音もなく翅を羽ばたかせて飛んでいた。その翅からは金色の光が零れ落ちていて、それに見とれていると瞬間的に光が強くなり思わず目を閉じて見ると目の前にはフィレモンが立ったまま僕を、僕の心を見通すような視線で見ていたんだ。僕は、自分の心の中の全てを、自分でさえ知らないような暗い闇の奥底までもフィレモンに知られているような気がして恐怖に怯え、まともにフィレモンの姿を見ることが出来なかった。自分の中のもう一人の自分に僕の狡さ、臆病さ、そんなものを嘲笑い、責められているような感じといえばいいのか・・・・・もしも神様が存在したとして目の前に現れたとしたら、皆きっと今の僕と同じような気持ちになるに違いない。何故なら生きるうえで罪を犯していない人間なんかいないからだ。


 「久し振りだね諸君。『ペルソナ』の扱いにはもう慣れたかな?」
 「まあね。それより、あんたには聞きたいことが山ほどあるんだけど」
 「お答えしたいのは山々だが時間がない」
 「ちょっと!勝手にこんなところに私たちを連れてきてぬわぁにが『時間がない』よ!!」
 フィレモンが何か言ってる。惣流が怒鳴ってる。
 ・・・・・・・まるで貧血のときのように視界が暗くぼやけみんなの声が遠く感じる。
 「ん? 気をつけたまえ。碇シンジ君。ここは『意識と無意識の狭間』、全ての存在が稀薄になる。意思を強く持たないと存在が消えてしまう事もありうる」
 「え? 僕?」
 惣流に背中を叩かれ、やっと意識がはっきりする。小さい頃から起こしてもらっているからパブロフ状態だ。
 「あんたってば、ほんと鈍感ね〜。しゃきっとしなさいよ!!」
 「さて、君達が見てきたように世界はあらぬ方向へと動き出した」
 「人の話を聞きなさいよっ!!」
 「この狂った流れを止める事が出来るのは強い意志の力を持つ者だけだ」
 「それが僕たちだと?」
 「その通り。この先君達には幾つかの道が開けるだろう、そしてその先々で様々な人の業を見るだろう」
 「しかし、どの道に進むもそれが自分で決めた生き方であることを忘れぬように進みたまえ」
 「何言ってのんよ! アンタが何とかしなさいよっ!!」
 「では諸君、頑張りたまえ」





 フィレモンがそう言うと目の前が真っ暗になり、また元の神社に立っていた。ただ、今の出来事が夢ではないかのように、黄金に輝く蝶々が光を撒き散らしながら静かに翅を羽ばたかせていた。
 この神社に対して持っていた小さな疑問は今ではとても大きなものになっていた。

 「何なの、今のは?」
 「ああ、また貴重な体験をしてしまいました」
 「なぁ、フィレモンが言ってた事憶えてるか?」
 「ええ、はっきりと。私たちが街をどうにか元に戻さないといけないってことでしょ? でもどうやって!!? 私たち、ただの中学生よっ!!」
 あの空き教室での出来事からずっと不可思議な現象ばかりで、生命の危険に曝されて遂に限界がきたみたいだ。生真面目な分、こうした突発的で不可解な事態に対応しきれないんだと思う。彼女が持つ長所が逆にあだになってしまったみたいだ。とはいえ知らぬ間に崩壊してしまった日常をいきなり前に突きつけられて、個人差はあってもみんないっぱいいっぱいで、声を荒らげて今にも泣き出しそうな委員長にどんな言葉をかければいいのかわからない。でも委員長の言葉はみんなの気持ちを代弁している。例え『ペルソナ』があっても、正しい道を照らしてくれるなんて事はなくて自分で答えを探さなくてはならないけど、何もかもが謎でわからない事だらけの迷子のような僕らにどうしろと言うのだろうか?
 「・・・・・ヒカリ」
 「アスカぁ・・・何でこんな事になっちゃったのぉ?」
 僕らのあいだに気まずい雰囲気が流れ始めた。というよりも無理矢理押し込めていたモノが表面に現れたというほうが正しいのかもしれない。
 「おっと、どうやら目を覚ましたようだ」
 霧島と山岸が見つけたという女の人が目を覚ましたらしい。僕の隣で惣流が息を呑むのがわかった。パーマがかったショートカットの黒髪は染めているのかところどころ紫が混じっている、僕もこうして落ち着いてよく見てみるとなんだかこの人に見覚えがあるんだけど、どこで見たんだろう? そう思っていたら目が覚めた女の人に渚君が状況を説明している横で、相田が小声で「どこかで見たことある人だよな」と聞いてきたから、「僕も」と答えた途端に思い出した。
 「ナオコさん!!」
 「? シンジ君!?」
 「この人知ってるの碇君?」
 「う、うん、・・・リツコ先生のお母さんだよ」
 「そうか!どこかで見たと思ったらリツコ先生にそっくりなんだ!」

 赤木ナオコ博士
 次世代コンピューターの研究者でその分野では世界的権威。10年くらい前にスーパーコンピューター「MAGI」を開発してノーベル賞を貰い一躍世界中に名を売った人で、僕らの学校に勤めている赤木リツコ先生の実の母親だ。今はこの街にある多国籍企業ゼーレに勤めているエリート科学者で、僕たち中学生の想像を絶するくらい忙しいらしく、リツコ先生も年に1回顔を見ればいい方だというくらいだ。当然僕らなんかが顔をあわせることはないけど、何故か僕は過去に数回会ったことがある。それは、ナオコさんが綾波の保護者だからだ・・・・・・・。勿論保護者といっても血が繋がっているわけじゃなく、綾波の両親と付き合いがあったために綾波を預かっているだけらしいけど。綾波の家庭環境に関しては僕は殆ど何も知らない。綾波は何も言わないし、僕にもそれを聞く勇気はないから・・・・・・・・

 「シンジ君っ、あっ、うう・・・・」
 「大丈夫ですかっ!!」
 「え、ええ。それよりレイは!?」
 大丈夫なわけがない。顔色は悪く蒼褪めているし、左の太腿に巻かれたハンカチも真っ赤に染まっている。このまま放って置いたら出血多量で危険なことになるだろう。一刻も早く学校に運ばないと。そんな状態でもナオコさんは傷ついた自分のことよりも綾波の事を心配している・・・・まるで本当の母親のように・・・
 「すいません」
 僕にはそれしか言うことは出来ず、うつむき唇を噛みしめながら不意にナオコさんが綾波のことを「本当の娘のように思っている」と言っていたのを思い出した。



 あれは初めてナオコさんに会った時のことだったと思うから小学校の低学年の頃か。まだ綾波の身体が今よりもずっと弱くて入退院を繰り返していた頃の話だ。綾波は入院していない短い期間の間はほぼ必ず僕たちと外で遊んでいた。実際には身体を動かさずに僕たちがはしゃいでいるのを見ているだけだったけども。
 僕達は小さな公園で一緒に遊んでいて、周りには僕たちと同じような年頃の子供たちがそれぞれやっぱりグループを作って遊んでいる。楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕方になるにつれて一人、また一人と家に帰って行く。今の子供はどうか知らないけど、僕たちが子供の頃は(今でも子供なんだけど)、夕方は5時になったら帰らなければいけないというルールがあった。今思うと何故5時なんだろうと思うけど、あの頃は何の疑問にも思わず従っていた気がする。公園にある時計は4時45分になると鳴り出したし、大人たちももうすぐ5時だからおうちに帰りなさいと注意していたものだったし。段々と子供たちが消えてゆく公園、茜色に染まる空、夕日を浴びて輝く綾波の髪の毛、何故かそのシーンだけを鮮明に憶えてる。
 家に帰れば誰かが待っている子供はそれでもいいけど、僕も綾波にも家に帰っても待っている人は誰もいなかった(ペンペンが家に来たのは小学校5年になってからだ)。だから、自然といつも帰るのは僕らが一番最後で皆が帰るのを見送るのが習慣になっていた。そしていつも二人きりの時間が必ず出来た。ほんの僅かではあったけど。
 僕が「もう帰らないとね」と言うと、決まって綾波は僕の服の端を掴んだまま「もう少しだけ・・・」と言っていた。今考えて見るとその行為はその頃から綾波は「好き」と言うことを意識していたからかもしれないし、いつも孤独な女の子の寂しさから来ているものなのかもしれない。理由がどちらであろうと僕はそんなこと気付くどころか想像すら出来なかった。小学校の低学年だし、女の子に較べて男の方が成長が遅いって言うし。でも僕が綾波の気持ちをもう少しでも思いやっていればとあの頃の自分の馬鹿さ加減に今頃になって気付いて後悔し自分を責めてしまう。
 そんなある日、僕は珍しく自分からは帰ろうとは言わなかった。はっきりとは憶えていないけど、多分父さんと約束していた何かが急に駄目になってそれで拗ねてたんだと思う。綾波に父さんが僕を構ってくれないと愚痴を言ったら、綾波は「私にはお父さんもお母さんもいない」と言って俯きながら必死で泣くのを我慢していた。僕が何も言えないまま立っていると綾波は「私には碇君しかいないもの」と言った。僕は「そんなことないよ」と言いたかったけど言えなかった。代りに口から出てきたのは「ごめんね」の言葉だけ。
 そのうち本格的に暗くなってきて恐くなってきて帰ろうと言い出そうとしたとき。綾波を呼ぶ声が聞こえたんだ、「レイちゃん」って。それがナオコさんだった。驚くことにその隣には父さんが居てサングラス越しに僕をじっと見ていた。ナオコさんは綾波の前まで歩いて来るとしゃがみこんで優しく綾波に話しかけた。「どうしてこんな遅くまでお外で遊んでいるの?」、「リっちゃんが心配するからおうちに帰りましょう?」って。
 それを見ていて僕は綾波が羨ましくなった。父さんは僕に一言も声を掛けようとはしない。それには理由があって、父さんは綾波の家庭環境を知っていてわざと僕に声をかけなかったんだ。もっともそんなことは当時の僕にわかる筈もなく、僕は綾波に思ったまま正直に話しかけていた。
 「レイちゃん、お母さんがいないって言ってたけど「お母さんじゃないわっ!!」
 僕は綾波の声のあまりの鋭さに立ち竦んでしまった。そして綾波と横に居るナオコさんの顔を見て言ってはいけないことを言ってしまったんだと気付いた。ナオコさんはとても悲しそう微笑しながら綾波に話しかけていた。
 その後の記憶はぼんやりとしていて思い出せないけど、多分家に帰ってから父さんに怒られたんだと思う。




 その後も3,4回はあったことがあるけども挨拶くらいしかした覚えがない。それが突然会うことになるなんて・・・・。それでなくても今日は夢にも思わなかったような常識を覆すような事ばかりで混乱しているのに、まさかナオコさんに会うとは・・・。誰も知ることのない闇の奥で世界を狂わす歯車が動き出す、そんな陳腐なゲームのストーリーに無理矢理登場されられているような気分だ。でも陳腐よりももっと最悪なことにこれはゲームでもなんでもない醒める事のない現実(リアル)だ。そして今ここに綾波がいないことも・・・・。
 「これは?・・・・もしかして」
 「銃創じゃないかっ!!」
 「「「「銃創っ!?」」」」
 「一体誰に?」
 「ええ・・・逃げるときに・・・・キールの部下に」
 「キール! もしかしてそれは前ゼーレ会長キール・ローレンツのことですか?」
 「ええ、そうよ。  「どうかしたの渚君?」
 「いや、なんでもないよ。話を続けて下さい赤木博士」
 「それより、シンジ君、レイは?」
 再度の質問にも僕は答えられなかった。答えは出ていても・・・
 でも答えなくちゃいけない。他の誰にも代る事は出来ない、僕が言わなくちゃいけないことだ。
 気が遠くなるくらい長い時間悩んだようにも思えたけど、実際は1分も経ってないと思う。ナオコさんの太腿から染み出す紅いモノを見て僕は決心出来た。
 「すいません、ナオコさん。・・・・綾波は・・・」
 「・・・・レイ、は?」
 「綾波は、さっきの地震のときにはぐれてしまってどこにいるのかわからないんです・・・・」
 「そう」
 ナオコさんはそれだけを振り絞るように呟くと、何かを決意したようにしっかりと目を開き僕を見据えて話し始めた。僕はその顔を見て一瞬、「やっぱりリツコ先生に似てるなぁ」と馬鹿なことを思ってしまった。
 「『ペルソナ』で何とかならないのかしらっ?」
 「無理だと思うよ。中に弾が残ったままではね。それに傷はふさげても血はどうにもならないし」
 「あーもう!どうしてこんなときに役に立たないのよ!」
 「私のことはいいからよく聞いて、シンジ君、この街全体に関わる大事なことなの」
 「!? ・・・わかりました」
 「私がゼーレに勤めていることは知っているわよね?」
 「はい、次世代コンピューターの研究をしているって」
 「そう、でもそれは表向きの事。私はある装置を開発していたわ」
 「ある装置? それが街の異変に?」
 「エヴァンゲリオン・・・空間に人為的作用をもたらすモノ」
 「エヴァンゲリオン?」
 「通称"エヴァ"、キールはエヴァを悪用する気だわ。早く、止めないと」
 「止めないとって言われても・・・・なぁ?」
 「うん。警察とかも機能してないみたいだったし、ねえマユミちゃん?」
 「はい、マナさんの言うとおりです。公的機関は殆どが機能停止状態のようです」
 「・・・・・キールの仕業ね。キールは始めから私たちが作り上げたものを己の為だけに使うつもりだったのよ。それに気付いた私たちは・・・・抗議をしたけど無駄だった。挙句に監禁されて無理矢理。そして今日、完成して油断している隙をついて私だけが何とか逃げ出したのよ」
 「どうやって逃げてきたんですか?」
 「廃工場が資材の搬入口になっているの。この、『セキュリティカード』を使って・・・」
 「廃工場がゼーレにつながっていたなんて・・・・」
 「く、お願いシンジ君、このことを、冬月先生に伝えて欲しいの。ゼーレはレイを人質に、するかもしれない・・・」
 「ナオコさん!」
 「気絶、しただけみたい。でも早く治療しないと」
 「うん、学校へ急ごう」
 今僕に出来る事はナオコさんを1秒でも早く学校へ連れて行くことだと思うから。










楽屋

 シンジ :ペルエヴァ8話でした〜
 アスカ :また随分と遅かったわね! 前回から5ヶ月も経ってるじゃな〜い〜!
 シンジ :それと今回は登場人物が多いから『楽屋』は一人一言だって
 アスカ :何ですって? ただでさえ出番が少ないのに一言だけですって!?
 シンジ :ハイ、次は?
 ケンスケ :いつになったら俺は『ペルソナ』を使えるようになるんだっ!?(T_T)
 トウジ :セリフがなくて楽やったわ
 ヒカリ :またわからない事が増えたわ
 シンジ :マナたちは?
 マナ  :セリフがたった一言?
 マユミ :今回は出番が増えて嬉しいです
 カヲル :次回から僕が目立ちそうな予感がするよ
 シンジ :では今回のゲストのナオコさん、加持さん
 加持 :う〜ん、出来れば本来の加持としての役で出たいね(^^;
 ナオコ :私、レイちゃんに嫌われてるの?(T_T)
 シンジ :それじゃあ、次回もサービス! サービス! です。


 

後書き
 遅れて申し訳ありません(^^; しかし何故でしょう? プロットの通りに進まないのは? とっても不思議です(爆) こんなSSでも待っている方が居ましたらすいません。前回ドヴァイで乗り継ぎがあったんですが、免税店で遊んでいるうちに飛行機が行ってしまいました。で、急遽それを修正する為に新しい飛行機の席を予約しようとしたのですが、言葉が上手く通じなくて四苦八苦。悪戦苦闘の末何とか飛行機にも乗れて、大幅に遅れながらも本来の目的地に着けて万々歳の筈なんですが、何か忘れ物をしているような気がしてなりません。本来乗るはずだった飛行機にあるトランクが紛失していたりして・・・・
 しかし、本当不思議。プロットが大雑把過ぎるのか、それともプロット作成から実際に書くまで間が空きすぎなのか、それとも書いてる途中で間を空けるからなのか・・・どうなんでしょうね〜?
 それはさておき次回は頑張って早めにアップしたいと思います。


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