Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.1 ) |
- 日時: 2011/03/20 09:59
- 名前: 何処 ID:p0XDQBw_ymE
- ※注※この作品は残念ながら閉鎖された某サイトより返却された物に加筆修正した物です。
【最後の歯科】作・何処
「歯が痛いの。」
私が碇君に相談した時…あの碇君の表情の変化は忘れられないかもしれない。
…何故か私、泣きたくなった。
「そ…そそそれは多分虫歯だね、は、歯医者にい、いいい行ったほほほうがいいい、良いかもねねね…」
「虫歯…何?」
「う、うん虫歯…知らないの?。」
「?虫歯って何?」
「…鏡で見てみれば。」
成る程。碇君の進言に従い私は手鏡(アスカ…今はそう呼んでいる…から『女の子のたしなみその3』とプレゼントされた物)で口腔を観察してみた。
「…何これ…ねえ碇君、見て。これが虫歯なの?」
「ゔ…み、見なきゃ駄目?」
「ええ…見て…」
「う…うん……あ、やっぱり虫歯だね…綾波はなった事初めて?」
「ええ…」
「あ、やっぱり…」
「…治療には歯医者に行けばいいの?」
「う…うん一応行った方が…」
「了解…」
ふと気付いたが、碇君が震えている。心無しか顔色も悪い…体調悪いのかしら? 兎も角、歯痛の原因は解った。治療の必要がある事から帰宅後に歯医者へ向かう事にして私は教室を出た。
◆◇◆
ざわ…ざわ…
『やるな碇!』『碇君不潔よ!』『ナチュラルに綾波さんの口腔眺めてんじゃねー!』
『え?あ、い、いやそのあのだ、だから今のはたまたま偶然不可効力な巡り合わせな訳で…あ、あは、あはは…み、皆様目が怖い…』
『馬鹿だな碇、なんでそこであと一歩前ヘブッ!?』『殴れ殴れ幸せな男なぞ滅びろ!』『このリア充め!』
『…に…逃げて良いよね逃げて良いよね逃げなきゃ駄目かな逃げなきゃ駄目だよねむしろ逃げなきゃ駄目かないや逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だぁ…』
『…何処へ行く碇』『い〜か〜り〜…よくも綾波さんの口に触ったなぁ〜』『幸せ者め!』『許すまじ碇!』『このリア充碇!嫉妬パーンチ!』『嫉妬キック!』
『い、いや今のはだから止め止めて痛い痛い皆止め〜!た、助けて〜〜…』
◇◆◇
「やあ、綾波レイ、今日は不機嫌そうだね。どうしたんだい?」
「貴方はいつもご機嫌ね渚カヲル。」
…私はこの元使徒が余り好きでは無いのかも知れない。最も彼は女子には人気がある様だ。アスカは嫌っているが。 この間から彼はある女生徒と恋愛関係になった。何時もその女生徒と図書室に入り浸りの彼がこの時間に帰宅する私と出会うのは不可解だ。
「私これから出掛けるの。用件は何?」
「何、僕は彼女と待ち合わせさ、何でも歯医者に行くのに一人は怖いらしい…リリンは可愛いね。」
歯医者が怖い? 私は碇君のあの表情の理由に思い至った。
…リツコさん(赤木博士はこう呼ぶ様に私達元チルドレンに指示している。)に相談しよう。
私は目的地をネルフ本部に変更した。
◆◆◆
駅へ歩いていると見馴れた青い車が私を追い越し、少し離れた所で停止した。
「ハーイレイ!珍しく一人ね、どうしたの?」
助手席から降りた彼女は朱金の塊の様に見えた。それは錯覚では無く文字通りの意味で。
今日の彼女は和装だった。。金糸の刺繍入り花帯に赤の振り袖、ストロベリーブロンド…金混じりの赤髪を結い上げ金の髪飾りを付けた青い瞳の少女は私の同僚にして友人、式波・アスカ・ラングレー。 ドイツの両親の離婚に伴い彼女は母親…養母の籍に入った。式波は彼女の新しい父親の名だ。
「どうこれ!来年のネルフカレンダー用衣装よ!さっきまでママ達とミサトまで入れて一緒に記念撮影!」
「綺麗ね…良く似合ってるわ。」
「えへへ…ありがと。」
「で、ご両親は今週一杯は日本に?」
「うん。新婚旅行ですもの、目一杯サービスしなきゃ!」
「アスカ、まだネルフ本部での撮影が残ってるわよ。」
運転席から声を掛けたのは葛城三佐…いや、現二佐。昔から美人だったが最近更に美しくなったとネルフスタッフの間で評判だ。留め袖に結い上げた黒髪が良く似合う。
「レイ、貴女はこれから何処へ?」
「…本部に向かうのですが何か?」
「なぁんだ、じゃ乗っていきなさいよ!」
…返事する前に後部座席に押し込められた。アスカ…相変わらすマイペースなのね…
「「How We Let,s Go!!」」
葛城二佐の運転を思い出し、私は思わずシートで身構え…
…?
…珍しく安全運転だ。
「?レイ、何不思議そうな顔してるの?」
「アンタが珍しく安全運転だからよミサト。普段からこの運転にしとけば良いのに全くこの乳女は…」
「あによぉ、アスカの着物着崩れさせない為に安全運転してるんじゃな〜い!…何なら飛ばす?」
「「飛ばさないで下さい。」」
「ちっ!」
◇◇◇
ネルフ本部に到着。ミサトさんとアスカは待機していた化粧箱を持ったマヤさんと報道班のカメラマン達に連行されていった。何でもジオフロント案内パンフレット用の撮影も有るらしい。…半日で終わるかしら?
「「聞いて無いわよ〜!」」
「話してませんから。さあその経費で落とした着物代分きっちり働いて返してもらいますよ!はーいお二人様ご案内〜♪」
「「「「了解」」」」
「「嫌〜!」」
悲鳴を上げつつ引き摺られて行く彼女らと別れ、私はリツコさんの研究室へ向かった。
◇◇◆
「…レイか…どうした?」 リツコさんの研究室に行くと碇司令がいた。
「赤木博士は今仮眠中だ。急用か?」
「…実は…歯が痛いのです。碇君に相談したら『虫歯だね』って…」
…碇司令のサングラスが輝いた気がした。
「…それであいつ…シンジは何と?」
「歯医者に行った方が良いと勧めてくれましたが…何か?」
「それだけか?」
「…随分蒼い顔色してましたが…」
「歯医者の椅子の上に勇者は居ないと言うが…ダラシの無い奴だ。」
「あら?誰かと思ったらレイ、テストも無い平日に珍しいわね。」
不意に奥の仮眠室からリツコさんが出て来た…何かしら?なんと言うか…色っぽい。
「お久し振りですリツコさん。今日は相談が有りまして…」
「あら、何かしら?」
「はい、実は虫歯になりました。」
「あらぁ…一寸見せてくれる?」
「はい。」
「どれどれ…菌の出す酸でう蝕したのね…最近甘い物口にしてるでしょ?ちゃんと歯磨いてる?」
甘い物…碇君の唇…何を思うの私?物理的な甘い食べ物でしょ?其程糖分は摂取してはいない筈…となれば歯磨き…あ。
…そう言えば最近キスした後勿体無くて…そのまま…あ…碇君…碇君…シ…シンジさ…シンジさん…
「レイ?レイ?…あ、良かった。又違う世界に行ってたわよ貴女。…何赤い顔してるの?」
「…何でもありません…歯医者…何故皆嫌がるのですか?」
「歯医者に喜んで行く人間はいないわよ…考えるだけでも憂鬱だわ。」
「あの…一つ伺って宜しいですか?」
「え?珍しいわね、一体何かしら?」
「…やっぱりいいです。何でもありません…」
「?」
アスカが『あんたねぇ、何でも思った事口に出しちゃ駄目よ!』と警告してくれたのを思い出した…やはりアスカの言う通りにしよう。
何故かストッキングを履いて無いリツコさんの紅潮した頬といつに無く艶やかな肌を疑問に思ったが聞かなかった。理由は後で碇君にでも聞こうと思う。
◆◇◇
本部の歯科は予約制らしい。リツコさんに第三新東京の歯科へ紹介状を書いて貰い私は帰宅する冬月副司令に送って貰う事になった。 副司令は以前は電車通勤だったそうだが最近車通勤に替えた。私は副司令のこの丸い形をした古いドイツ製大衆車が好き。少しうるさいけど、車が陽気に語りかけてくれる感じだ。
「やぁ待たせたね、さあ乗りなさい。で、どこに行けばいいのかな?」
「ええと…こちらへ…」
「どれどれ…ああ、この歯医者は私も世話になっている、腕は確かだ。」
「医者によってそんなに違うんですか?」
「ああ、大分違う。では行こうか、シートベルトをしたかね?」
葛城さんと比べたらいけないが、副司令はとても安全運転だ。 楽しいドライブで歯科に着いた。中に入り待合室へ…
「あ、綾波!?」 「碇君!?」
「碇君も虫歯なのね…」
「う…うん…」
「「…」」
「そ、そう言えば綾波ってアスカみたいにお菓子そんなに食べないよね?何か虫歯になる心当り有る?」
「実は…最近夜ちゃんと歯磨いて無いの…」
「え?」
「歯磨き…碇君とキスした後で…勿体無くて…つい…そのまま…」
「じ…実は僕も…あ、綾波とその…キキキキ、キ…キ…ス…し、した後でその…夜の歯磨きがあの…も、勿体無くて…」
「碇君…」 「綾波…」
ズキン
「「痛っ!?」」
私達は同時に頬を押さえ、涙目で苦笑し合った。
「私達…馬鹿ね…」
「あ、あはは、ほ、本当にば、馬鹿だね僕ら…あはは…はは…は…」
「…アスカには言えない…内緒にしましょ…又『…あんたらって…ほんっっっとぉ〜〜〜に馬鹿ねぇ…』って言われるわ…。」
「ゔ…た、確かに…」
◆◇◆
私の最初で最後の歯科体験はこんな風だった。
余り痛くは無かったがもう行きたくは無い。余韻が少し惜しいがキスした後でも歯磨きはしようと思う。
…碇君以外の人に唇を触れられたくは無いから。
【メルト】初音ミク http://www.youtube.com/watch?v=p0XDQBw_ymE&sns=em
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/03/24 18:45
- 名前: tomo
- 【世界は美しく,人生はかくも素晴らしい】
咲いて咲いてくるりと廻る
舞姫の如くたまゆらに
春深く桜の花弁は弧を描き
僕らの影の輪郭を
ぼかして行き過ぎて舞い戻る
乱舞する桃色の吹雪の只中で
静かに僕は月に願う
これからも久遠に僕の傍らで輝いてほしいと
同時に僕は月に誓う
これからも久遠に君を照らし続けようと
「ここにいたのか……」
僕の声は聞こえているはずなのに,それでも,綾波は桜の樹の下でただ咲き乱れる花々を見上げている。
僕が見つけたときと同じ格好で。
「……何やってんの?」
ゆっくりと近づいて。
綾波は未だに視線を空に向けている。
「……きれいだよね。桜。」
綾波につられて,僕は視線を上にあげた。
桜。
多くの人々が,最も愛し,最も心を寄せた季節の風物詩。
大きく伸ばされた枝の先には,包み込まれるがごとく広がった花・花・花…… その色はすべて生命力に満ち溢れた淡い淡いピンク。
「……思い出していたの」
見上げた視線の先に魅せれていた僕に,こちらに向き直った綾波の声。 「何を?」
「初めてこの桜を見たときのことを……」
「……10年以上前だっけ? ずいぶん昔の話だね」
「……そういう言い方は,ちょっと年よりくさいわよ」
「実際,そんなに若くはないしね」 「……そうね」
言って綾波は笑った。
『碇君はね』
その笑顔はそう物語っているように見えた。 10年前,僕たちもよく知っている一人の科学者が,失われた桜を再び蘇らせた。 そして,僕たちの第2の母親ともいうべき人物が,僕たちにその桜を見せてくれた。
時はめぐり。
僕たちは再びこの桜の木々に埋め尽くされたこの地を訪れた。
僕たちの新たな門出のスタート地点とするために。
「……どうしてここを選んだか言ってなかったわね」 「そうだね」
「理由,聞きたい?」
それは問いかけではなく独白の懇願。
「教えてくれる?」
だから,受け入れることを示すのが僕の役目。
綾波は,舞い散る桜を一枚右手で受け止め,そして,祈るようにやさしく胸に抱いた。
「……私の人生は,碇君に出会って始まった。無色だった世界に鮮やかな色どりが加わって。それからのことは何もかも新鮮だった。でも――」
胸に抱いた桜の花びらを僕にそっと見せつける。
「碇君とのこと以外で,今でも一番印象に残っているのはこの桜。生まれて初めて見た視界いっぱいの淡い色の世界とそこで過ごした優しい時間」
くるりと踵を返して,手に抱く桜をぱっと手放して。
「そのとき私は初めて,世界は美しいんだって思えたの。だからね――」
桜の樹の下で,再び綾波は薄紅色の空を見上げてる。
「初めて世界の美しさを教えてくれたこの場所から始めたら,これからもずっと世界の美しさを感じていけるだろうって思ったの」
決意を込めた言葉とは裏腹に,綾波の背中は儚かった。
消えてしまいそうなほどの弱々しさ。
だから。
僕はそっと綾波を後ろから抱きしめる。
寄り添うように。支えるように。
「……あったかい……」
瞳を閉じて,綾波は一言そうつぶやいた。
僕はきっと何かを言わなければならない。
僕にしか言えない,僕だけが言える何かを。
ただ,それを言う前に。
どうしても一つだけ綾波に確かめておかなければならないことがある。
「綾波」
抱きしめた腕にほんの少しの力を込めて。
僕は綾波に尋ねる。
「……本当に僕でいいの?」
それは僕を縛る最後の戒め。 綾波の望みだけがその戒めを解き放つ。
「バカ」
呟いて,綾波は抱きしめる僕の腕にそっと手をかける。
「碇君じゃなきゃだめなの」
その一言で僕はすべてに覚悟する。
「レイ」
「……! 今度は何?」
「君を愛してる」
「…………!」
「いままでも。そして,これからもずっと。レイが天に帰るそのときまで,僕は君を愛し続ける。そして――」
言葉に偽りはない。 絶対に偽らないと既に決めたのだから。
「レイに世界の美しさをもっと見せてあげるよ」
「……………………バカ」
僕の言葉をかみしめるように間をおいて,レイはまた,そう呟いた。
そして。
ぱっと僕の腕をふりほどいて向きかえる。
「私も愛してるわ……シンジ」
初めて呼ばれた名前とともに,レイは僕にキスをする。
それは今までで一番甘くて,情熱的で,そして,強烈だった。
「……………」
「……………」
お互いに光り輝く糸を引きながら,僕たちはゆっくりと唇を離す。
僕はもう一度,レイを抱きしめた。
「……こら!! そこの2人! いつまでいちゃついてんの。主役が来ないと式が始まらないじゃないの!」
……なんというか,相変わらず絶妙なタイミングでアスカの叫び声が聞こえる。
「ほら,早くする! とっくに準備はできているんだから!」
「……また,怒られてしまったわね」
腕の中でレイが笑っていた。
この笑顔を守るためなら,きっとなんだってできる。
「行こうか。みんなを待たせたら悪いし」
「うん」
そして僕はレイの手をとりアスカのほうに向かっていく。
この手はもう離さない。
レイがそう望み続けてくれる限り。
咲いて咲いてくるりと廻る
舞姫の如くたまゆらに
春深く桜の花弁は弧を描き
僕らの影の輪郭を
ぼかして行き過ぎて舞い戻る
乱舞する桃色の吹雪の只中で
静かに僕は月に願う
これからも久遠に僕の傍らで輝いてほしいと
同時に僕は月に誓う
これからも久遠に君を照らし続けようと
世界は美しく,人生はかくも素晴らしい
ただ君がそこにいるだけで
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.3 ) |
- 日時: 2011/03/26 21:54
- 名前: JUN
- 春の暖かな陽だまりの中目を開くと、そこには天使が眠っていた。
綾幸ゲロ甘企画vol.1/Written By JUN
買い物が終わった後、束の間の怠惰を楽しもうと、シンジは窓際に移動した暖かいベッドに横になる と、いつの間にか眠ってしまっていた。枕元にはキズのない、ぴかぴかと光るIDカードが見える。 これを届けに来たのだろう。
控えめな寝息を立てながら眠るレイは本当に綺麗で、無邪気な表情が柔らかな日差しに照らされる と、放つ雰囲気はどこか高尚なものすら感じさせた。
制服のリボンを解いた状態で、胸元は軽く開いている。身じろぎする度にその隙間から薄いレース が見えて、シンジは釘付けになるのをこらえた。
無防備すぎるんだよな、綾波は。
そのくせ悪戯すると機嫌を損ねたりする。誘惑したのはそっちじゃないかと言いたくなるが、彼女 を怒らせると後が恐ろしいので、シンジとしては平謝りに徹するほかない。それでも、今のレイの表 情は、キスをねだる時のそれと酷似していて、シンジの理性を大きく揺さぶった。ぷっくりとした桜 色の唇から、目が離せなくなる。
(この位なら、いいよね……?)
眠る彼女の唇を、気付かれないようにそっと奪う。僅かな背徳感はシンジの胸の高鳴りとあいまっ て、かえって満足感をかきたてた。 彼女の柔らかい唇を味わうように、シンジは目を閉じた。細い肩に、優しく手を添えて。
幸せだ、と思う。彼女と一緒に、この平和な時を過ごせることは、辛いことばかりだったあの頃を 考えると、身に余る幸福だった。
「ん……」
夢中でレイの唇を味わっている内に、不意に彼女の口から小さな声がこぼれ、シンジはぎくりと身 を固くした。 長い長いまつげに縁取られた真紅の美しい眸が、ぱちりと開かれる。 「あ……」 「ご、ごめん」
慌ててレイの身体を離したシンジを見つめながら、しばしレイの紅い眸は虚空をただよっていたが、 状況を理解するやいなや、悪戯っぽい光をそこに宿した。
「……えっち」 「あ、綾波がそんな所で寝てるからじゃないか」 「碇くんは、寝てる女の子にキスするのね。アスカに告げ口しようかしら」 「そそそそれはまずいかなあ」 「……したの?」 「あ、いや、その……」 「し・た・の?」 「や、やめたよ。途中で……」 「最低」 「い、今キスしたいって思うのは綾波だけだよ……」 「どうだか」 「う……」
先程までの高揚感はどこへやら、レイの激しい追及にたじろぐシンジ。シンジに安心を与えてくれ る筈の眸は、今シンジを咎める炎に燃えていた。
「か、勘弁してよ綾波。悪かったって」 「……じゃあ、素敵なキスしてくれたら許してあげる」 「素敵なキスってどんなのさ」 「それは碇くんが考えること」 「……分かった。目、閉じて」
レイを抱き寄せ、そのまま柔らかなキス。やっぱり起きてる綾波の方がかわいい、と思った。目を 閉じていても、彼女の表情は分かる。こつんと額をレイのそれに当てると、彼女の腕がシンジの背へ と回された。 どうやら許しを得たらしいとほっとする反面、彼女をもっと感じたいと思う心もまた、シンジの中 に湧き上がってきていた。 蕩けたレイの唇を、自分の舌で優しく開く。初めてのこと。シンジがずっとしたいと思ってきたこ と。 「んぅ……」 レイの舌は、シンジが思っていたよりずっと柔らかく、甘かった。永遠に続いていくような、身体 が浮き上がってしまいそうな、そんな感覚。 そんないつまでも続くような甘い時間も、シンジのほうから終止符を打つ。ゆっくりとレイの唇か ら離れると、二人の唇を一本の唾液の糸が繋いだ。 「……どう、だった?」 「ごうかく……」 「……すごくかわいいよ、綾波」 学校でも彼女を見る人間は多い。その度にシンジは不安になる。だがこうして眸を潤ませている彼 女を見ると、やはりそれは杞憂に過ぎないのだと思う。 「僕のこと、好き?」 「好き……」 抱き締めて、キスをして。いつでも自分を護ってくれた彼女を、今度は自分が護りたい。あの紅い 海から還ってこられたのは、彼女がいたから。 「ずっと一緒だよ、綾波」
彼女と交わすその約束は何よりも固く、そして重い。応えるように腕に力を込めるレイを抱き締め て、シンジはもう一度、深い口付けを交わした。
――君は今、幸せ……? ――私は今、幸せ……
――君のことが、好きだから…… ――あなたのことが、好きだから……
蕩けるようなキスは、アスカが帰宅するまで、何度となく続いた。
おしまい
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.4 ) |
- 日時: 2011/03/26 21:56
- 名前: JUN
- 勢い任せなんで、とっても荒削りですが、勘弁してください
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.5 ) |
- 日時: 2011/03/28 17:19
- 名前: tomo
- >JUMさん
甘いな〜そして,エロいな〜(爆) 持ち味がよく出ていると思います。 でも,キスで悪事を許しちゃだめです,綾波さん。それは,遊び人のすることです(爆)
どーでもいいけど,キスのあと,唇を結ぶ糸っていうあたりの描写が,私とかぶっていて笑ってしまった。 よくある描写だからだけど,なんだか面白かった。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.6 ) |
- 日時: 2011/03/29 15:05
- 名前: JUN
- >tomoさん
感想、ありがとうございます。この企画は僕にしてみればある程度やりやすいかな 甘いキスのお約束ですね。糸は(爆) どの位書けるか不明ですが、いけるところまでいきたいです。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.7 ) |
- 日時: 2011/03/30 00:33
- 名前: aba-m.a-kkv
それは、始めて見る、冷たい白い欠片が、傷だらけの世界を覆い尽くした、そんな夜。
でも、手元にあるマグカップの中身に、その白が落ちても、その中身は白くも冷たくもならなかった。
それは、私たちの、心の中のように。
ココア aba-m.a-kkv Pray4TOHOKU
「どうしたの?」
私がふと零した微笑に、キッチンで洗い物をしていた彼が首を傾げた。
対面式のキッチンとはいえ、窓の外を眺めていた私の表情を良く見ているものだ。
可笑しさ半分。
私をいつも見ていてくれているそのことに胸の奥が熱くなった。
あのときの約束は今も続いているのだ。
「雪」
私は少しだけ彼のほうを見て、誘うように窓の外へ視線を向けた。
青闇色の暗幕を背景に、踊り巡る白い踊り子たち。
「ああ、今夜半から降り出すって、天気予報で言ってたけど。
降り始めたんだね」
最後の食器を乾燥棚に立てて、彼は蛇口を捻る。
私たちのいる空間に音が消えて、窓の外の無音の演劇の音が聞こえてきそうだった。
タオルを手に取りながら、彼がエプロンを着けたまま私の隣に座る。
「それで、雪の降り始めるのを見て、何を笑ったの?」
彼の二度目の問いに、私は姿勢を低くして彼に擦り寄った。
そして、彼の漆黒の瞳を見上げ見つめながら甘えた。
「ココアを入れてくれたら、教えてあげる。
お願い、インスタントのでいいから」
彼が頬を染めながら頷いて再びキッチンに向かうのを少し見送って、私は大きなブランケットを取りにいった。
持っている中で一番大きなブランケットを引っ張り出し、テーブルに戻って耳を澄ませば再び部屋の中に音が満ちていく。
お湯を沸かす音。
食器棚から二つのマグカップを取り出す音。
そこにインスタントのココアパウダーを落とす音。
沸騰したお湯を注いでそれを溶かす音。
そのどれもが、昔は何も感じなかった、今では愛しくてたまらない音だ。
最初は無感覚に掌を滑り落ち。
次に崩れて消えていくそれを握り締められず。
そして形を汲み上げていけることに気がついたときから、その大切さを、その愛しさを育んでいけたもの。
でもそれは、私に新しい始まりがあったから。
私が私であったから。
独りではなかったから。
彼が一緒にいてくれたから。
「おまたせ、淹れたよ。それで――」
白い煙をくゆらす二つのマグカップを持って彼が私の所に戻ってくる。
私はブランケットを広げてその片側を自分に羽織りながら彼を迎えた。
それからすぐ傍に寄り添って、もう片側を彼の肩に掛ける。
そして促す。
「ありがとう、じゃあ、いきましょう」
見渡す限り一面に広がる瓦礫の平原。
隙間なく爆撃を受けたかのように要塞都市の名残さえ何一つない。
戦禍がまさに地上を嘗め尽くして消え去った痕だ。
その中央にくず折れる神々の亡骸があった。
そして骸だけに成り果てた九つの残骸に囲まれるようにして、ただ一つだけ巨人が立ち尽くしている。
だがその眼にもう光はない。
すべてが過ぎ去ったのを顕すように。
その足元に二つの影があった。
瓦礫の中に埋もれたであろう学校の制服を纏った二つの小さな影。
その二つが寄り添うように巨人の足元で火を囲んでいた。
「地上部隊が来るまでは、ここにいてくれってさ」
世界を満たしていた赤い海が引いて幾許かして、軍用のヘリが伝令と物資を落としていった。
その中にあったガスコンロで水を沸かしながら黒髪の少年が明るく言う。
「よかった
人も、自らの形を自ら思い出すことが出来ているのね」
伝令を付した手紙を読みながら蒼銀の髪を纏う少女が呟いた。
そこには良く知る人たちのメッセージも添えられている。
少女の欠片が海へと誘ったものたちも、少年と少女の願いの元に戻ってきているのだ。
「僕たちが、生きることを望んでシナリオをねじ曲げたように、生きることを諦めなかった人たちは強いよ。
大丈夫、人は滅びたりしない」
少年が少女の手に指を絡めて握りしめた。
少女も頷くように刻み込むように握り返す。
「そうね、行きていこうと思えば、どこだって天国になるのよね。
例え傷を帯びていても、幸せになる機会は無限に広がっているのだから」
少女が少年の肩に身を委ねる。
少年はその髪に頬を寄せて頷いた。
「うん、そうだね。
自分で進む道は自分達で切り開いていかなきゃならない。
でも僕たちはまず一歩を切り開けたんだ。
この世界を天国にするのも、生きていれば必ず出来るよ」
天が開ける。
蒸発していく海を集めた天上から混じり気のない真っ白な欠片がゆっくりと落ちてきた。
「これ、なんだろう」
少年が手を伸べてそれに触れる。
とても小さい独特な形をしたそれは少年の掌で瞬く間に消えていく。
「前、本で読んだことがあるわ。
雪っていうもの」
少女が呟いた。
それは記録に残る事象に重なるけれど、二人ともそれを見たことがなかった。
「これが雪。
なんだか冷たいね。
空気も冷えてきたし。
ちょっと待って」
繋いでいた手を離して少年が投下された物資を探る。
一瞬、少女の口唇から声にならない声が漏れた。
少年は一枚の大きな毛布を引っ張り出して広げて片方を少女にもう片方を自分にかけてくるまった。
そして、少し遠慮がちに、でも確実に、その距離を縮めて寄り添う。
「これに、くるまっていれば暖かいよ、それから――」
がさごそとステンレスのカップを取りだし、いくつかある銀色の袋に入った粉をその中にあける。
それから携帯式ガンコンロで沸かした湯をそこに注いで溶かしていく。
チョコレート色の渦がステンレスのカップの中に生まれ、疲れきった体を溶かすような薫りが二人を包んだ。
「ココアだ。温まるよ」
熱いから気を付けて、そう囁きながら少年が手渡す。
ありがとう、と少女はそれを受け取り、暫くその水面を見つめてから一口飲み込んだ。
「……甘い」
少女が驚いたように見つめ、そして目を細めた。
それから少年にもカップを差し出して勧める。
「それに、暖かいわ……」
少年は少し頬を染めながら、カップをその少女の掌と共に包み込んで傾ける。
そしてぬくもりに溶けるように笑みを称えた。
「うん、そうだね。暖かいな」
巨人の影の下にあって二人の上に雪が積もることはない。
けれど目の前の世界は、まるでそれが失われたものへの手向けの花束のように白く白く見渡す限りに覆われていく。
崩れ果てるところまで崩れきった世界。
凪の海のように残骸が広がる光景は、少年と少女が知っている全てだった世界が終わったことを顕すようだった。
この地面から上は、子供たちがまだ知らない子供たちのための世界。
そしてその上に、雪が白く白く覆う光景は、まだ何も描かれていないページのようだ。
自分達の血で洗って白くした新しい本。全ては終わり、歩き出すための全てが整い始める。
「生きて、いこうね」
覆われていく世界を見渡して少年が呟いた。
「ええ」
少女がその言葉を刻み込む。
「今度は、もう君を離したりしないから」
少女は目を見開いて少年を見つめた。
少年が、一度は離しかけてしまった少女の掌に自分のぬくもりを重ねる。
その言葉の意志を込めて。
「君が君であることを、僕の中に刻むから。
僕が僕であることを、君の中に刻むから。
ずっと君の隣にいるから」
少年が少女の紅い眸を覗き込む。
雫に揺れるその眸の奥の、欠けた心を優しく撫でるように。
それぞれの失ったものを、それぞれの持っていなかったものを、結い合わせて。
月の道を辿る言葉をのせて。
「だから、一緒に、生きていこう」
「うん……うん……」
少女の紅い眸から雫が落ちる。
少年の瞳からもまた同じく。
それは、世界を始まりに染める白よりももっともっと純粋だった。
それから互いに涙を拭い、互いに指を絡め、笑顔を交わしあって、荒廃した世界を二人で見通した。
何もない世界、何もないから新しく建て始めることのできる世界。
切り開いていく世界。
それを見つめて。
「いつか、この終わりと始まりがあったから、今の幸せがある、そう思えるだけの世界になるように、生きていきましょう」
火を灯す、ココアを飲み込んだ胸の中のように熱い火を。
生きていくと決めた意志を、幸せになると決めた意志を灯す。
切り開き、築き上げて行くために。
この世界を、この新世紀を。
「あの時の続き、ね」
私は、今でも鮮明に思い出せるあの時のことを思い浮かべながら、彼の淹れてくれたココアを飲む。
ベランダの欄干に寄りかかり、彼と二人ブランケットにくるまって寄り添いながら。
あの時と同じで、ココアはとても甘く、とてもあたたかい。
「そっか、あの時も、雪の降る日だったね。
初めて雪だった」
彼が息を白く凍らせながら懐かしそうに言う。
今、目の前に広がるのは雪景色、白い欠片たちが優雅に舞い降りる。
部屋の中の電気を消してベランダに出てきたから、外の景色も良く見えた。
「これが、私が笑顔になった理由よ」
雪の薄霞の向こうに、街の明かりが見える
私たちが生きる街
私たちが生きる世界
始まりから、築き上げてきたもの。
「覚えている?」そう訪ねようとして、聞く必要なんてなかったことに気が付く。
寒さからくるんじゃない組む腕と繋ぐ手に伝わる震えと、隣を見上げた先にある彼の笑顔が私のそれと同じだから。
「ほんとだね
ここは、天国じゃないけれど、人は生き続けることを形に出来ていってるんだ」
海から帰れない人も、帰らなかった人も少なからずいる。
でも帰ってきた人たちは皆生きようと、幸せになろうと、ここまで頑張ってきた。
その証が今ここに見える景色だった。
「そう、あの時、この終わりと始まりがあったから、今の私たち、人がいると言えるような世界を願った。
その願いはたぶんずっと続くものなんでしょうけど、いま、この世界を見て笑顔を浮かべられるまでにはなったんだと思うわ」
幸せになる機会を人は切り開いていっている。
例え罪があり、傷があり、心を隔てる壁がいまだ人の心を遮っていたとしても。
今は、過ぎ去っていった世界より力強いと言えるかもしれない。
ほんの少しだけわかりあえるようになったと、言えるかもしれない。
「それが、私は嬉しかったの」
世界がそうなら、私たちはどうだろう。
口には出さない。
私たちもまた道の途中。
でも、この世界が新しい形を持ったのと同じ、否、それ以上に、私たちの絆はあの時よりも強くなっている。
私がここにいて、彼がここにいる。
彼の中に私の象が刻まれ、私の中に彼の象が刻まれていっている。
命を保てるのかも分からなかった私が、自分を保てるかも分からなかった彼が、やはりあの時終わりを迎え始まりを受け入れ、そしていま共に生きて歩んでいる。
一緒に生きていこう、その言葉を繋ぎ続けられている。
それは、この世界がいまここにある以上に嬉しい。
私の想いが伝わったように、彼は私を見つめて微笑んで、そして優しく抱き締めてくれた。
雪を見つめ、世界を見つめて、私は彼に寄り添う。
彼の存在を感じ、それを通して私自身を感じる。
それから私はココアを口に含む。
甘味を食み、あたたかさを飲み込む。
「どうかな、あの時みたいに甘かったかな」
彼が愛しい笑顔で尋ねてくれる。
その問いに私は一瞬考える。
あの時のココアと、今の自分を。
それから私は胸を熱くしながら答えた。
「ええ、とても、甘いわ
けれど、今ではそれ以上のものを持っているから」
そうでしょ、そう心をのせて私は瞼を閉じた。
重なるそれはココアよりも、ずっと甘く、そしてずっとずっとあたたかかった。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.8 ) |
- 日時: 2011/03/30 15:53
- 名前: tomo
- >aba-m.a-kkvさん
綾波さんが幸せそうです。 こういう雰囲気の二人をすっきりと描けるのはすごいと思いました。 改めて尊敬します。
あと,最後のシーンはやらられたと思いました。 同じ行為同じ甘さを描いていても,これだけ差が出るんですね。当たり前ですけど。 私は,直球より婉曲な表現の方が好きなので,ラストの表現はとても好きです。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.9 ) |
- 日時: 2011/04/04 01:12
- 名前: aba-m.a-kkv
- tomoさん、感想ありがとうございます。
褒められすぎて、照れてしまいます。 でも、最後の一文は、このお話のすべてを架けた部分だったので、好きと言っていただけて嬉しいです。
tambさん、投下に当たってはいろいろお世話になりました。
tomoさんもJUNさんも何処さんも、テーマどおりとてつもなく甘いお話を書かれているので、なんだか読んでいて溶けてしまいました。爆 逆に私のは甘さ控えめで、しかもある意味直接的なのでどうかな、とも思ったのですが。 でも、どちらにしても、この企画のお話を読んだ人たちが、甘さだったり温かさだったりで、ふと口元が緩んでくれたらいいなあ、と思います。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.10 ) |
- 日時: 2011/04/06 22:19
- 名前: tamb
***** A Day in the Life *****
「綾波のこと、思い出さないよ」
碇くんは乾いた目でそう言った。
「だって、忘れないから。ずっと憶えてるから。忘れないから思い出さないんだ」
わたしは文庫本に目を落としたままでいた。碇くんの顔を見れば、きっと泣いてしまう。
「そろそろ行くよ」
またね、とわたしは小さな声で言った。 さよならは言わない。それは彼との約束だったから。 またね――。その小さな声は、彼には届かなかったかもしれない。
「じゃあね」
でも、彼もさよならは言わなかった。
そして彼は出て行った。
わたしは顔を上げ、彼の出て行ったドアを見つめた。
もっと彼の顔を見ておけばよかった。もっと彼の声を聞いておけばよかった。 もっと彼に見て欲しかった。もっと彼に声を聞いて欲しかった。 もっと彼に触れて、彼に触れてもらって、キスもたくさんして――。
今すぐ外に飛び出して、彼の背中にすがりたかった。 ただ隣にいてくれるだけでよかった。行かないで、ここにいてと叫びたかった。 でもそれは出来なかった。してはいけないことだった。 わたしに出来ることは、ただ涙をこらえることだけだった。
「ただいま」 「おかえりなさい!」
二時間後。 買い物から帰ってきた彼に、わたしはまるで一人でお留守番をしていたわんこのように 飛びついた。しっぽがあれば千切れんばかりにぱたぱたと振っていたことだろう。 ひとしきりキスしたあと、わたしは彼に聞いた。
「おなか減った。今日のごはん、なに?」 「丹波産夏野菜のエスカリバーダにしてみようかなと思って」 「なにそれ」 「知らない。なんか小説に書いてあったんだ」 「ごはんのおかずなの?」 「知らない」 「どうやって作るの?」 「知らない」 「……」 「これから調べるよ。何とかなるんじゃないかな」 「美味しいの?」 「知らない」 「……」 「あ、シュークリームも買ってきたよ」 「わーい!」 「ごはんのあとね」 「……」 「わかった。先に食べよう。だからみだりにA.T.フィールドを展開するのはやめようね」 「うん!」
わたしは飛びっきりの笑顔でうなずいた。 彼も笑顔で、その笑顔にわたしはとろけそうになった。 だからもう一度抱きついて言った。
「碇くん、大好き!」 「僕とシュークリームと、どっちが好き?」 「…………シュークリーム」
ほっぺをつねられた。
痛かった。
痛くって、幸せだった。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.11 ) |
- 日時: 2011/04/07 10:32
- 名前: tomo
- >tambさん
とりあえず。 「あんたバカ〜!! 2時間ぐらい我慢しなさいよね! バカップルぶりもいいかげんになさい」
と,私の内なるアスカ様が突っ込んでいました。
にやりとさせて,ぽかぽかさせるのは,さすが御大。
私的には,シュークリームと答えるレイちゃんが可愛くてすっごく好きです。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.12 ) |
- 日時: 2011/04/10 22:07
- 名前: JUN
- 「あれっ」
河原で景色を眺めていたシンジを、どこか聞き覚えのある声が捕まえた。茶色がかった髪の、眼鏡 をかけた少女。どこか大人びて、達観したような表情を見せる彼女は楽しそうに土手の坂を駆け下り、 シンジの肩に手を置いた。 振り返ったシンジはこの世の終わりのような暗澹とした表情をしており、少女は一瞬気まずそうに 表情を歪めたが、すぐにいつもの明るさを取り戻した。 「いつかのワンコ君だよね?久しぶり」 「あ、あなたは、屋上の、えっと……」 「マリでいいよ。真希波・マリ・イラストリアス」 「あ……マリ、さん。えっと、僕は――」 「知ってるよ、碇シンジ君?結構有名人だからね」 「あ、どうも」 「で、何してるの?こんなとこで。遊び盛りの少年が一人でいるところじゃないなあ」 「あ、いや、別に――」 「なんでもない、なんて言わせないよ?そんなくらぁい顔で」 「う……」 「ウジウジしてたって楽しいことないって言ったの、覚えてるよね?こうして独りぼっちでいても楽 しくもなんともないし、それならさ……」 「な、なんですか……」 不意にシンジの肩にマリが手をかけた。妖しい笑みは、とても同い年とは思えない色気があり、レ イやアスカに比べて明らかに大きい胸の膨らみにくらくらした。 「相変わらずいい匂いだね……ワンコ君」 「な、なん……」 「その反応もカワイイし、どう?今夜お姉さんと……」 「だだだだだダメです!ぼ、僕にはちゃんと――」 「もうカノジョさんがいるの?」 「は、はい」 「ふぅん。誰?」 「あ、綾波っていって――」 「あ!あの零号機の娘?」 「そ、そうですよ。だから離してください!」 「……………………あはは!それでいいよワンコ君!出来るじゃん」 「――へ?」 「どうせ喧嘩でもしたんでしょ?そんなお洒落なカッコして。そこにある紙袋はカノジョに買ってあ げたのかにゃ?で、痴話喧嘩かなんかで別れて。どーしていいか分からないからこんな所でボーっと してる。違う?」 「………………寸分の狂いもございません」 「ここでアタシに誘惑されるようじゃあまだまだだけど、あの初号機覚醒させてまで助けた女の子で しょ?下らない喧嘩で手放しちゃだめだよ。男はどーんと受け止めなきゃね」 「……でも、あれは綾波が――」 「ほらほら、だからダメなんだよ。どっちが悪いとかじゃないの。喧嘩になったら男はひたすら謝り 倒す!これが基本にして絶対!」 「……マリさんと付き合う男の人は大変ですね」 「いーの。今はエヴァが恋人だもん」 「はは、すごいですね」 マリのあっけからんとした声と表情は、徐々にシンジの強張った表情を柔らかくした。この少女は どこか心の中にするりと入ってくる節がある。そして荒らすだけ荒らして、するりとまた出て行くの だ。その強烈な個性は、ほとんど顔をあわせたことがないシンジにも深く刻み込まれていた。
「ほら、分かったら行っといで!謝るんだよ、カノジョに」 「分かり――」
「碇くん!」 「え……」 坂の上からかかった美しく透き通った声に、シンジとマリは同時に反応した。
「綾波……」 「ほら、ヒロイン登場だよ。いいタイミングじゃん」 マリは立ち上がって、スカートについた枯れ草のくずを手で軽く払った。 「綾波、ごめんね。僕が悪かったんだ」 「ううん。私こそ、ごめんなさい。どっちが相手のことを好きかなんて、本当はどうでもよかったの に……」 「僕だって、綾波の気持ち、分かってた筈なのに――」
「ちょい待ち!」 「へ?」 「話の腰を折ってごめんね。でも、お姉さんにちょっと状況教えて。喧嘩の原因はなに?」 「原因って……」
レイとシンジは顔を見合わせ、涙をこらえるような、なんともいえない表情をした。 「その、僕と綾波、どっちが相手のことを好きかっていう……僕の方が好きな気持ちは上だって言っ たのに、綾波が違うって……」 「だって、私のほうが好きなのは本当だもの。それなのに碇くん……」 「違うよ!僕の方が!」 「私の方が!」 「……………………」
ぶちっ
「「ぶち?」」
「よそでやらんかこのバカップルがあああああああああああああ!」
ドボ―――――――――ン!
「いかりく―――――ん!!」
高々と上がった水柱に、レイの絶叫が木霊した。
シンジを軽々と投げ飛ばしたマリは、肩での息をいつまでも繰り返していた。
FIN
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.13 ) |
- 日時: 2011/04/14 19:00
- 名前: tomo
- >JUNさん
マリ来た!!!! これで勝てる(爆) いいです。このマリ,可愛い。 好きになりそう(汗)
私,マリってよくわかんないんですよね。私の中だと,どうしてもアスカとダブってしまう。
でも,嫌いなキャラじゃなくて……むしろ好き。
だからこのお話は好きです。 きっとマリはこんな娘な気がする。
シンジとレイのバカップルぶりよりマリに気持ちが行ってしまいました(汗)
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.14 ) |
- 日時: 2011/04/15 02:27
- 名前: calu
- ……僕は。
……僕は。
……僕は、バカだ。ほんとうにバカだ……。
…なんで。
…なんで。
…なんで……。
…なんで……。
…なんで……こんなことで。
間に合わないかもしれない、なんて。
コンフォート17のエレベーターから吐き出されたように飛び出したシンジは、目的の部屋に向かって駆け
だした。宵闇が足を忍ばせるいつもの廊下は、まるで漆黒に飢えたトンネルのように思えた。
視線の先にぼんやりと浮かんだその部屋のドア――まるで黄色い鱗粉を撒いたようにライトがあてられた―
―は、近づくにつれ一層不吉な、無機質さをその光沢の中から顔を覗かせた。
何者かにいきなり襟首を掴まれたかのように目を剥いたシンジは、汗ばんだカードキーを殆ど出鱈目にスリ
ットに通した。
「綾波ーーーー!!」
■□ Believe In Life - calu ■□ 「綾波ぃ!」
「碇くん、おかえりなさい」
玄関に飛び込んできたシンジは、ぱたぱたと羽のようなスリッパの音を立てながら出迎えたエプロン姿のレ
イを何の脈絡もなくかき抱いた。
「い、碇くん!?」
「綾波、綾波っ!」
百年前の呪文を引出しから拾い上げるようにレイの名を繰り返し、そのうなじに鼻先を這わせたシンジは、
体の中をレイの匂いでいっぱいにした。シンジの腕のなかのレイは、体温の調整さえ覚束ない雛のように、そ
の華奢な肢体を捩らせた。
「…碇くん」
「綾波綾波!」
「…碇…くん」
「綾波、綾波っ」
「…碇くん、痛い」
「綾波、あや…あ、ご、ごめんっ」
「碇くん、優しくして欲しい」
「ご、ごめん。で、でも、綾波が、その、切れそうだったんだ」
「…きれそう?」
少し目を丸くして小首をかしげる仕草を見せたレイに反応したのか、むしゃぶりつくようにシンジはレイを
抱く腕に力を籠め、耳たぶにキスをした。レイの体が、何かのスイッチを押されたようにビクンと震えた。 「…その、綾波がさ…僕の中で、切れそうだったんだ」
「…碇くん、のなかで?」
「そうなんだ。だから…こうしてチャージしないといけないんだ」
「い、碇くん、耳たぶのところで喋らないで…」
「え、何?」
「…嫌」
「綾波が悪いんだよ」
「…ど、どうして?」
「ずっと綾波でいっぱいじゃないと、ダメになってしまったんだ」
緑深き森のなかでするように、ふたたび顔を埋めたレイの首筋でシンジは深呼吸を繰り返す。腕の中でいや
いやをして身を捩らせていたレイからは、やがて力は抜け落ち、とうとうフローリングの床にぺたんとお尻を
ついてしまった。
「あ、綾波、大丈夫!?」
「大丈夫、じゃない」
「あ綾波、ごごめんよ」
「碇くんのせい」
そ、そんな、綾波、ごめんよ、と慌てふためくシンジは、しゃがみこんで幼女のように顔を俯かせてしまっ
たレイの背中に手を添え、その顔を覗きこむ。
ちゅっ。
いまシンジの目に映っているのは、レイの雪原のように白く艶やかな肌。シンジを魅了して止まない印象的
に深い紅に揺れる眸は、扇のように閉じられ、長い睫が風に撫でられては微かに身を躍らせていた。
その唇の例えることの叶わないほどに柔らかな感触に、シンジはゆっくりと視覚の門を狭めていった。
「……わたしも」
躊躇いがちに唇から離されたその感触と、入れ替わるようにして、鈴をひとふりするようなレイの声が鳴った。
「…綾波」
「……碇くんが、切れそうだったから」
薄っすら頬を染め目を逸らせたレイは、透き通るような美麗さを際立たせている。森の陽だまりに咲いた春
を告げにきた妖精。悟られないように、逃げ出さないように、そっと掌に包みこむように、シンジは白磁のよ
うなレイの頬に手を添えた。 「…綾波」
「……だから」
「綾波」
「碇くん、ダメ」
「あ、綾波?」
「ごはん、もう出来るもの」
え? と、上げた頭に降ってきたのは無粋なキッチンタイマーの音。何て奴だ、と真剣に思う。 それでも諦めることの出来ないのは思春期まっただ中の男の子の証。で、でも、もう少しだけ、とレイの背
中に不器用に回そうとした腕を、レイはダンスを踊る魔女のようにするりと抜け出した。
「嫌。碇くん、優しくないもの」
「え? そ、そんな……綾波ぃ」
「嘘。また後で、……だって」
「へ?」
「みんな、着たもの」
キッチンタイマーなど比較にならない位に大きく響いた無粋なチャイムに、やはり僕は、何て奴だ、と真剣に思う。
■□ □■
「へー、これファーストが一人で作ったんだ」
「これは美味しそうだね。何というプレートなんだい?」
「夏野菜のエスカリバーダ。碇くんレシピの」
「うん。て言っても、僕もこないだ何かの小説で読んで、初めて作ったんだけどね。でも綾波が作ってくれた
これって…」
食欲をそそらせるあんばいに焦げた茄子に、雨上がりの庭園のようにオリーブオイルの打たれたパプリカが
その黄色い瑞々しさを浮かびあがらせている。
「ほんとうに、美味しそうだ」
レイを振り返ったシンジは、健全な女子であれば誰もが赤面するような笑顔を浮かべていた。
「…いつも碇くんに、教えて貰ってるから、少しは改善してるんだと思う」
やはり頬を染め視線を下げてしまったレイに、微妙な間を感じ取ったのは惣流・アスカ・ラングレー。その
顔に意味深な笑みが刻まれた。
「アンタたちって進歩しないように見えるんだけどさ、二人っきりで料理作ってるときって、なんかえげつな
いスキンシップしてんじゃないかなって、偶に思っちゃうのよねー」
「な、何言ってんだよ、アスカ!?」
「…さっきもあったわ」
「うへえっ!? そ、そんな、綾波!?」
「ほーらね。レイ、気を付けたほうがいーわ。このバカ、気はてーんで弱いくせにエッチなんだからさ、油断
しちゃダメよ」
「うん……碇くん、痛くするもの」 「あ、あ綾波ぃぃーー」
「…あんたってヤツはー、ほんっとに、さいっていのウルトラバカね!」
「シンジ君、その行動力は尊敬に値するよ」
いつも通りのお食事会っぽくなってきたところで、…でも、とレイの言葉がウォータークーラーの水滴のよ
うにポトリと落ちた。
「大切なものを買ってくるのを忘れたの」
「なに?」
「エスカリバーダといえば切り離せないものがあるわ」
「なによ、それ?」
「シュークリーム。エスカリバーダとはお友達だって碇くんが教えてくれたの。それなのに…」
哀しげに顔を俯かせたレイに、寒がりの妹の背中をさするようなカヲルの声が平和に響いた。
「大丈夫だよ。そんなこともあろうかと買っておいたか――」
「わーい!」
「アスカ。それ、わたしの台詞」
「はぁ? あんた、なに言ってんのよ?」
「すごいや、カヲル君、どうして解ったんだろう」
「君たちにはスイーツが必要だからね」
「でも、あんたねー、それってどこにあんのよ、カヲル?」
「お隣の葛城さんのダイニングテーブルの上に置いたよ。食事が終わったら、取りに行けばいいさ」
「あんたバカぁ? 餓鬼道に堕ちた雑食ペンギンがいんのよー、そんな悠長なこと言ってたら、食べられちゃ
うに決ってんじゃない!」
「それじゃあ、いま取ってくる事にするよ」
「ちょっとカヲル、あんた、鍵持ってないじゃないのよ!?」
スッと立ち上がって、図書館に入るように涼しげな顔でスタスタ行ってしまったカヲルの背を慌ただしく追
いかけるアスカ。エアロックの音にアスカの意味不明な言葉が噛みつくようにリビングになだれ込んできた。
「はは。相変わらずだね。あのふた――」
ちゅっ。
シンジの目に映っているのは、レイの陶磁器のように白く艶やかな肌。扇のように閉じられた眸は、長い睫
をペンライトのように揺らせている。すこし焦げたオリーブオイルの味だった。
……すぐに切れてしまうの、と幻のようにシンジの耳を通り過ぎたレイの声の遥か上方では、千個のシュー
クリームが弧を描いている。
ふたたび世界中に鳴り響いたエアロックドアの音に、やっぱり僕は、何て奴だ、と真剣に思う。
The End
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.15 ) |
- 日時: 2011/04/19 21:52
- 名前: JUN
- tomoさん
感想どうもです。マリは難しいですなあ。楽しいけど。 三回位書き直したんですが、結局こんな感じです。彼女の得体の知れなさがそうさせるのでしょうか。 ただQが出たら「こんなのマリじゃないやい」と言われてしまうので、書いたもん勝ちですね。 ありがとうございました。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.16 ) |
- 日時: 2011/04/20 15:19
- 名前: tomo
- ■Believe In Life caluさん
匂いに関する表現って,私はこだわっているところがあります。好きな女の子の匂いは多分,この世で一番甘くてとろける匂いなんだと思います。そんなイメージを文章で表現したいといつも思っています。
……いきなり変態っプリを爆発させてしまいました(爆)
JUNさんとは違った意味でまたエロいです。でも,caluさんの方がより『大人』な関係のエロさがあると思います。 首筋に顔をうずめて深呼吸するシンジと耳たぶにキスされて反応するレイ。
どーみても男女の仲です。ほんとうにありがとうございました。
それにしても,caluさんの作品も,tambさんの作品でもちょっとの時間も離れられないシンジとレイ。まさにバカップル全開ですね。 いっそすがすがしいです。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.17 ) |
- 日時: 2011/04/22 22:38
- 名前: tamb
- ***** Got You On My Mind *****
碇くんが、切れそうだった。
「なんなんだよ! いったい!」
というか、切れた。
「綾波」 「はい」 「そこに座りなさい」 「はい」 「いや、その前にまず服を着るんだ」 「はい」
レイはお風呂やシャワーから全裸で出てくるという癖がなかなか抜けなかった。最近になっ てようやく直ってきてはいたが、この連休にアスカは里帰り、ミサトもたまたま長期主張で、 シンジと二人きりで過ごすようになると再発したのである。シンジと二人でいると気持ちが落 ち着くのだ。心が休まる。というより弛緩する。緩み切るのである。それが原因である。
レイは服を着て戻ってきた。Tシャツに短パンである。タンクトップよりマシなのかどうか は微妙なところではあるが、いずれにせよ刺激的である。青少年には有害である。シンジは思 わず性欲を高ぶらせたが、深呼吸して無駄なそれを押さえつける。
「綾波」 「はい」 「キミは僕を挑発してるのかい?」 「そんなことはないけど……」 「じゃあなんで一糸まとわぬフルヌードでお風呂から出てくるんだよ」 「その……長年の習慣っていうか……碇くんと二人だと安心するっていうか……」
安心する? それは僕を男として見てないってことじゃないか。いいだろう、じゃあ教えて あげるよ! 男という生き方を! シンジは心の中でそう叫んだが、実際に行動に移したりはしない。それはそうであろう。と いうか、冷静に考えるまでもなく逆に「碇くんと二人だと安心できない」と言われたら激しく 落胆する。 戦争中は切なくたぎり戸惑うほどシンジの身体を熱くさせていた性欲だったが、今はレイに 対して誠実であろうと願う気持ちの方が強い。だが消えてなくなったわけではないのだ。
「でも、葛城さんもアスカもお風呂からは半裸で出てくるし……」 「半裸と全裸では全く意味が違う」
シンジはぴしゃりと言った。確かにミサトもアスカもバスタオル一枚という半裸状態で出て くるが、それに対しては何も感じないしどうとも思わない。と言い切れるかどうかは若干の疑 問も残るが、やはりレイとは明確に異なる。レイが半裸で出てくれば間違いなくときめきを感 じるであろう。全裸より半裸の方が萌えるのだ。半裸というのはつまりセミヌードのことなの だ。恥ずかしげに微笑んでくれたりした日にゃ、そりゃあもう。 全裸だと性欲が高ぶり、半裸だと萌える。どちらも素晴らしい。 話がそれている。今はそういうことを問題にしているのではない。
「碇くんも裸で出てくれば?」 「そういう問題じゃないんだ!」 「……じゃあ、下着だけはつけるようにする」 「下着だけじゃダメだ! 余計ダメだ! 逆効果だ!」 「だって暑いし」 「Tシャツに短パンなら暑くなんかないよ!」
だいたい綾波は僕の言うことなんてちっとも聞いてないじゃないか。いつまでたってもお塩 は入れすぎるしフトモモは剥き出しだしおっぱいは適度な大きさで挑発的だしお味噌汁はおい しく作れるようになったしパスタはゆで過ぎるし数学は苦手だし漫画ばっかり読んでるし勝手 に僕のベッドで寝るしミルクみたいな甘い匂いがするし僕は欲情するし甘いものは食べすぎだ しダイエットしなくても太らないしくすぐったがりだし良く笑うし良く泣くし可愛いし目的の ためには手段を選ばないし天然だしお肉は食べれないしニンニク好きだしがみがみがみがみ。
レイはしおらしく黙って聞いていたが、徐々に怒りが込み上げて来た。シンジの言うこと全 てが自分の責任というわけではない。フトモモ剥き出しで何が悪いのか。二十四時間常に剥き 出しなわけでもないんだし、シンジが欲情しなければいいだけではないか。数学はこの世のも のとは思われないほど難解なのだから得意な方が変だ。漫画は面白い。ニンニクはおいしい。 お肉はおいしくない。パスタは……練習する。だがそれはそれ、これはこれだ。
レイは自分の中で何かがぷちっと切れたのを感じた。
レイが切れた。
だが沈着冷静純情可憐純真無垢を座右の銘とする彼女である。瞬時に落ち着きを取り戻し、 自分の中で切れた何かを結び合わせた。可愛らしくちょうちょ結びで。
「碇くん、あたしのフトモモ、嫌い?」 「え? あ、いや……」
レイの思わぬ問いかけにシンジは動揺した。
「太い?」 「ふ、太くはないよね。もちろん細すぎでもなくて、言うなれば適度な量感をたたえていると いうか、なんというか、おいしそうというか……」 「食べてみる?」
シンジの血液が一瞬にして沸騰した。これは既に挑発とかそういうレベルではない。明確な 誘惑、お誘いである。ほとんど殺人的である。 彼はレイににじり寄り、がっしと抱き締めそのまま押し倒した。
「綾波」 「はい」 「ミサトさんが、まだセックスはだめよって、いつも言ってるよね」 「うん」
シンジはディラックの海に飲み込まれかけているおのれの理性を――誠実でありたいという 気持ちを必死にサルベージしていた。
「それは僕の、僕自身と綾波に対する責任のことだと思うんだ」 「……うん」 「でも、キスくらいなら……!」
レイは静かに目を閉じた。そしてシンジはその口唇に自らの口唇を合わせた。なんて柔らか い。かすかにミントの香りがする。浮かびかけていた理性が再びディラックの海に沈んでいく。 しっかりと背中に回した右手の指先が、Tシャツ越しに下着の線を意識する。このまま手を 下に向かって滑らせれば、綾波のお尻が――!
「碇くん。あたし、碇くんに出会えてよかった」
だが、口唇を外したレイがシンジの耳元でささやくように言った。
「碇くんを知らないままじゃなくて、本当に良かった」 「綾波……」
シンジは再びレイと口唇を合わせ、欲情に溺れかけた自分を恥じた。 自分の力で彼女を幸せにしたいという欲求そのものは正当なものだと思う。彼女を自分のも のにしたい、自分だけのものにして他人には触れさせたくない、自分だけが触れていたいとい う欲求は、そのプロセスの中にあってこそ正当なものとなる。単なる肉欲とは根本的にその意 味が異なるのだ。責任の話は認めよう。では自分は彼女の幸せを願っているのか。自分こそが 彼女を幸せにしたいのだと、自分でなければ彼女を幸せにできないと信じているのか。そして 彼女は僕でなければ幸せになれないと信じているのか。彼女は僕に触れて欲しいと願っている のか。僕には彼女に触れる資格があるのか。
ある――!
シンジは一瞬にしてそう結論付けた。自分の欲望に負けたのではない。レイがかわいすぎる からいけないのだ。その柔らかな胸の膨らみが、すべすべのフトモモが、桜色に染まった頬が、 ちいちゃなお尻がいけないのだ――! 彼は口唇を合わせたまま右手をゆっくりと滑らせ始めた。レイのお尻に向かって。
だがその時。
「何をしている」
いつからそこにいたのか、完璧なまでにその気配を消していたゲンドウが忽然とその姿をあ らわにしたのだ。
二人は、さすがはチルドレン、エヴァンゲリオンパイロットと呼ぶにふさわしい反応速度を 見せ、ほとんど瞬間移動かと思われるほどの速度でその身を離し正座した。
「父さん!? いつからそこに?」 「何をしているのかと聞いている」
ゲンドウはシンジの言葉を無視し、再び聞いた。 シンジは頭を超高速で回転させ、言い訳を探した。えーと、綾波の確かな存在感を確認する ため、とかなんとか……。 だがレイはそれよりも早く答えた。
「お互いの性欲の発露です」 「な……」
レイの言うことは正しい。だが同時に身も蓋もなかった。なんでもかんでも正直に答えれば いいというものではない。時には嘘も必要なのではないか。嘘も方便ということわざもある。 そしてレイは今さらのように顔を赤らめた。自分がバカ正直に何を口走ってしまったのか、 ようやく気づいたのだ。そしてそれがもたらしかねない結果に動揺した。怒られる。 シンジもレイも身をすくませたが、ゲンドウの返答は二人の想像をはるかに超えたものだっ た。
「そうか。ならばよい」
いいのかよ! シンジは思わず突っ込んだが、さすがにそれを口にはしないだけの分別はあ った。薮蛇になる。 だが同時にシンジは重要なことに気づいた。レイは「お互いの性欲」と言ったのだ。綾波も 僕に欲望を感じているのか――! シンジの性欲は急激に高まったが、ゲンドウの目前である。 これではいかんともしがたい。 ゲンドウはそんなシンジの悶絶に気づくことなく言った。
「今日の食事当番は誰か」 「わたしです」
レイが小さく手を上げた。
「それは好都合だ。実は娘の手料理を食しに来たのだ。レイ、何か作ってくれ」
レイはシンジをちらりと見て言った。
「何がいいですか」 「そうだな。スパゲッティ――最近はパスタというのか、それがいい」 「わかりました」
レイがキッチンに向かう。 ゲンドウはいつからここにいたのか。つまりパスタゆで過ぎの話を聞いていてあえてスパゲ ッティと言ったのか。そして性欲の発露発言。様々な事象が頭の中でカオス状態になり、レイ が明らかに動揺しているのはその後姿を見ただけで明らかだった。 それでもレイはちゃきちゃきと料理を作る。 味見をするんだ――! シンジは必死に念波を送ったが、動揺するレイには届かなかった。無念だ。
やがてテーブルに並べられたスパゲッティナポリタンは、あいかわらずゆで過ぎのぐたぐた で、味もガーリックの効きすぎた一方的なものだった。 レイは不安で一杯な顔でシンジとゲンドウを交互に見る。シンジは親指を立て、許容範囲の 合図を出した。こうするともっと美味しくできるよリストを頭の中で組み立てる。 ゲンドウは何も言わずあたかも餓鬼のごとく付け合せのサラダとスープまで一気に平らげた。
「どうでしょうか……」
レイは自分で食べるのも忘れ、恐る恐る聞いた。
「うむ。いい嫁さんになれるだろう。私が保証する。お代わりを頼む」
レイは嬉しさ一杯の笑顔になり、ゲンドウにお代わりを出して自分もナポリタンを口にした。 ひとくち食べ、思わず妙な顔になる。大しておいしくない。というよりまずい。 こんなのでいいの? レイは目でシンジに問い掛ける。 誤差の範囲だよ。シンジも目で答えた。
「ごちそうさまでした」
ゲンドウは口元をティッシュで拭い、似合わぬセリフと共に両手を合わせ軽く頭を下げた。 そしてレイとシンジを見る。
「お前たちの言いたいことはわかる」
特に言いたいことがあるわけでもない二人は緊張した。碇ゲンドウ、いったい何を考えてい るのだろうか。 ゲンドウはレイをまっすぐに見た。
「細かい技術はシンジに教わるなり研究するなりすればよい」
やっぱりいまいちだったか。レイは首をすくめた。
「だが、料理に一番必要なのは心だ。このスパゲッティにはそれがある。今はそれでいい」 「……はい!」
シンジは感動した。この突然現れたわけのわからぬ父親は料理の本質を捉えている。 レイは皿を下げ、食後のエスプレッソを出してから洗い物を始めた。 シンジはその後姿に見とれる。とりあえず何をしにきたんだかわからない父さんには帰って もらって、もういちど綾波を抱き締めたい。料理に心があると言ってくれたのは嬉しかったが、 とりあえずはやく二人きりになりたい。シンジはレイの後姿を見つめながらそう思う。 隣を見ると、ゲンドウもレイを凝視していた。 シンジは小声で聞く。
「父さん」 「なんだ」
ゲンドウも小声で答える。
「何を見ているの?」 「レイの尻だ」
シンジは思わずコーヒーを吹きそうになったが何とかこらえた。レイに嫌な顔をされる。 それにしてもなんなんだこの変態親父は。 だがシンジも似たようなものである。この親にしてこの子あり。変態親子である。
「シンジ」 「なに?」
ゲンドウは初めてシンジを正面から見た。
「性欲の発露はかまわん。だがセックスまだダメだ。わかっているな?」 「……わかってる」 「あと一年、我慢しろ。できるな?」
一年でいいのか。性欲の発露は問題ないのか。それならなんとかなる。と思う。たぶん。
「できます」
シンジは思わず敬語になった。
「避妊は間違いなくしろ。お前もそうかもしれんが、一番傷つくのはレイだ。わかるな?」 「はい」 「それは一年後にもう一度言おう。それからもうひとつ」
ゲンドウはニヤリと笑って言った。
「性欲発露の現場は葛城ミサトには見つかるな。めちゃくちゃ怒られるぞ」
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caluさんには先にすいませんと謝っておきます 。 ラスト周辺はごく一部の方にのみ公開していた習作のオチを修正の上再利用してしまいました。 つか、これってゲロ甘じゃないかもしれん。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.18 ) |
- 日時: 2011/04/22 23:55
- 名前: yo1
- 遠回り
作:yo1
(お久しぶりです。参加させて頂きます。酷い出来ですみません。)
−−−−−−−−−−
並んで洗い物を済ませた後に、レンタルしてきた映画を観ながら一緒に紅茶を飲むのが二人のお気に入り。 愛する人と過ごす大切な時間。
半月程前から、映画が再生される事が無くなり、シンジとレイが寄り添って紅茶を飲む姿も見なくなった。 お揃いのエプロンを外すと、「お疲れ様」と声を掛け合い、それぞれの自室へと向かってしまうのだ。
−−−−−−−−−−
シンジは、机に向かうとパソコンの電源を入れた。ブラウザを起動すると、お気に入りから何時ものサイト に飛んでログインする。チャットラウンジに入室すると…。
「今日は僕の方が早かったか…」
そう呟くと、挨拶文を入力した。
>S:こんばんは。今日は僕が早かったですね。待ってます
−−−−−−−−−−
レイは、ムクムクの水色のパジャマに着がえると、ベットに横になりノートパソコンの電源を入れた。
「あ…もう来てるのね…」
そう呟くと、挨拶文を入力した。
>R:こんばんは。遅くなって、ごめんなさい
−−−−−−−−−−
>S:謝らないでよ。僕も来たばかりだから
>R:そう
>S:あの…
>R:何?
>S:えっと、その、今日も言えなかったんだ…
>R:なぜ?
>S:何故って…やっぱり、その、一生の問題だしさ、もし断られたらって考えると勇気がさ…
>R:S君の意気地なし
>S:意気地なしって…酷いよ… >S:Rさんの方はどうなの?
>R:私は…私も言えなかったわ
>S:お互い様だね^^
>R:そうね
>S:でも不思議だな…
>R:何が?
>S:偶然ここで知り合ってさ、もう半月でしょ? >S:お互い好きな人の相談し合ってさ、何時の間にかRさんにだと、何でも話せるんだ…
>R:… >R:私も同じ
>S:これってさ…
>R:何?
>S:僕ってさ、もしかしてさ、Rさんの事…
>R:… >R:私も…何時もS君の事考えてる…気がする…
>S:Rさん…
>R:S君…
>S:ごめん!!変なこと書いちゃって…ごめん
>R:私こそ、ごめんなさい
>S:やっぱり僕は、彼女が一番好きだよ。愛してるだ
>R:私も…彼の事を愛してるわ >R:S君の彼女って…どんな人なの?
>S:どんなって…とっても可愛くてさ、綺麗な瞳と髪でさ、言葉数は少ないけど、何時も僕の側に居てくれる >S:前にも書いたけど、僕って料理得意でしょ?
>R:ええ
>S:彼女も料理が上手になろうと頑張ってるんだよ
>R:…同じ
>S:何が?
>R:私の彼もお料理が上手で、早く私一人で作れる様になって、彼に食べてもらいたいの… >R:美味しいって言ってもらいたいの
>S:そうなんだ。大丈夫だよ!Rさんの作った料理を、彼氏も美味しいって食べてくれるよ。頑張って!
>R:ありがとう
>S:Rさんの彼氏って、どんな人なの?
>R:… >R:優しい人… >R:几帳面な人… >R:何時も私を気遣ってくれるわ
>S:素敵な彼氏だね。きっと幸せになれるよ
>R:うん
>S:歩く時ってさ、手、繋いだりするの?
>R:うん >R:彼に手を繋いでもらうと…嬉しい
>S:僕もだよ。彼女とよく手を繋ぐんだ。彼女と手を繋ぐと、なんて言うか…幸せを感じるんだ
>R:私も
>S:僕もRさんも、相手をこんなに愛してるのにさ、結婚を切り出せないって切ないね
>R:うん
>S:何か良い方法無いかな…?
>R:… >R:手紙…
>S:手紙?
>R:そう…手紙に書くの
>S:手紙か… >S:ん〜…そうだね。例えばさ、Rさんなら「私をお嫁さんにして下さい」とか?書くとか?
>R:お嫁さん!… >R:恥ずかしいわ
>S:恥ずかしがってちゃダメだと思うよ…
>R:そうね…。S君なら「僕と結婚して下さい」かしら?
>S:うっ!…恥ずかしいよ
>R:約束して…私も今から手紙を書くわ、だからS君も書いて >R:そして、今日中に渡すの
>S:い、今から!? >S:うん…僕も書くよ、そして彼女に渡す。約束するよ
>R:… >R:もう…ここでお別れ
>S:…うん…そうだね
>R:今まで、ありがとう
>S:僕の方こそ、ありがとう >S:何だか寂しいな…
>R:そうね… >R:彼女を幸せにしてあげてね
>S:うん。必ず幸せにするよ。Rさんも、彼氏と幸せになってね
>R:うん
>S:…じゃ…
>R:さよなら
−−−−−−−−−−
レイが、居間に向かうとシンジが座っていた。半月間座らなかったソファーを暫く見つめてから、シンジの隣 に腰を下ろす。
「あ、綾波!?」
急にレイが隣に来たので、シンジは驚いて何かをポケットに隠した。
「碇君…」
レイは頬を桜色に染めて俯く。
「何?」
シンジがレイの顔を覗き込むと、レイは益々頬を染め瞳が潤み始めた。
「…」
レイがモジモジと腰を動かす。
「あ、綾波。あのさ…その…渡したい物があるんだけど…」
「!?…わ、私も…碇君に渡したい物が…あるの…」
「そ、そうなの?」
思わずシンジの声が裏返る。暫く沈黙した後に、シンジは意を決して言った。
「じゃぁさ。同時に渡そうよ」
レイはコクンと頷くと、シンジを見つめた。
「12の3で、渡すからね? いくよ…1、2、の3!」
シンジとレイは、互いに持っていた物を渡し受け取った。
「…」
「…」
シンジはレイから受け取ったピンクの封筒を凝視した。 レイはシンジから受け取った茶封筒を凝視した。
<なんで?どうして?綾波も手紙くれるなんて…凄い偶然だよ…>
<碇君…私と同じ事…考えてた…ドキドキが止まらない…>
「綾波…開けても…いい?」
「碇君のも…いい?」
「も、もちろんだよ。あ、開けるね」
「うん…私も…」
−−−−−−−−−−
並んで洗い物を済ませた後に、レンタルしてきた映画を観ながら一緒に紅茶を飲むのが二人のお気に入り。 愛する妻と過ごす大切な時間。 愛する夫と過ごす大切な時間。 もう決して無くならない時間。
−−−−−−−−−−
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.19 ) |
- 日時: 2011/04/26 15:56
- 名前: のの
- 他にはなにも聞こえなくても、それだけはわかる。
耳を塞げば塞ぐほどそれはそれは際立ってゆく。
そう、この音、こんこん脈打つここのこの音。
DOKI DOKI Written By NONO
「碇くん」 綾波レイの声は彼女自身にも聞こえなかった。真上で急行列車と各駅停車がすれちがっているせいだっ た。それに加えて、高架を通り抜けた反対側の通りで第五次都市再生計画という、頓挫を重ねつづけてい る工事が思い出したように動いており、鈍くて重い音を何やら我が物顔で列車に重ね合わせていた。 それなのに、彼女の横を歩く少年は目顔で呼びかけに答える。
「なんでもない」 彼女は一応声にも出して首を振った。高架をくぐりぬけると、蝉の音が戻ってくる。街路樹もあまりな いこの通りで、一体どこに止まっているのかわからない。後ろでまだ電車の音がするので振り返ると、先 程とは別に貨物列車が通過していた。こうもひっきりなしに列車が通過するのは、少年やレイと使徒との 戦いの度に街が壊されるからだった。だからこの喧噪の責任の一端も彼女たちにあると言えなくもない。 だから声が聞こえないことをどうこうのと言う資格がないことをレイはわかっていた。おそらく自分が思 う以上に傍らの少年はそう思っているにちがいないと彼女は考えていたし、実際にそうだった。 その証拠とでも言うように、少年――碇シンジが泣き笑いのような顔で、すごい音だね、と呟くように 言った。
シンクロテストが終わったばかりの、二人の足取りは、軽さと危うさを併せ持っていた。浮遊感が残る 身体で今日のような湿度の高い夕方と夜の境界線を歩くのは実は不向きだということを、二人は経験的に 知っていた。 今日のテストでは珍しく、レイが最も高い成績を残した。そのせいで赤い髪の少女は早々に帰ってしま ったのだ。それは彼や彼女には、どうすることもできない。彼女は彼女の意志でエヴァに乗っている。 それだけでなく、一番でなければ気が済まないのだから、少女の怒りはごく自然であるゆえに、二人に は宥めようのない怒りだった。こうなって理由にはもちろん、使徒に飲み込まれた少年の深層意識に残 る傷と、先の戦闘で赤い髪の少女が味わった無力感が二人の数値を下げたためだ。しかし、だから仕方 がないという結論に達しないのが彼女の脆さであり、危うさであると同時に、確かな強さでもある。 退院明けだからと少年は少し早く終わったのだが、二十分ほど終わるのが遅れたレイとアスカが戻って きた時も、更衣室から出たときも更衣室前の椅子にずっと座っていた。レイがシャワーを浴びて出たとき に、彼の左頬はレイもつけた記憶のある色に染まっていた。だから、何をされたのかは彼女にもすぐにわ かった。 帰ろう。 レイはただ頷いて、ただ一緒に歩いている。帰ろう、と声をかけられたことは今までなかった。訓練の 後は自然と一緒に帰るようになっていたので、改めて言われると、彼女はなぜか落ち着かなかった。返 事をしたくても声がうまく出なかったのは、エアコンのききすぎた廊下のせいだけではないような。
薄暗がりの道の街灯は明るさに欠けていた。使徒襲来以来、攻撃設備の修復や準備を最優先しているの で、町全体で電力制限がかかっている。ネルフ職員が多い街なので、家でも自粛している人が多いのだと いう。葛城ミサトは「パイロットはそんなこと考えなくてよろしい」と言っていて、赤木博士はそれを「自 分が好きにやるための方便ね」と分析していたことをレイは思い出した。セカンドインパクトの大津波に より飲み込まれた沿岸部、大都市。それらを乗り越えた大人の冗句に含まれる重量感。自分が結局ちっと もなんであろうと、まずはただの子供にすぎないのだったと、思い知らされた。 街は少しずつ暗くなると同時に、夕陽がいよいよ最後の輝きを見せ始めていた。 レイは暗い街が嫌いではなかった。特別、良いとも思っていなかった。 「暗いと、怖いよね」 赤信号で立ち止まった瞬間、少年が唐突に言った。頭を覗かれたようなタイミングに、珍しく驚きが彼 女の顔に出て、少年まで驚いてしまった。 「ど、どうしたかな」 「いえ。碇くんは、こわいの?」 逡巡の後、彼は頷いた。よく憶えていないけれど、この間飲み込まれた闇を思い出すから嫌だと彼は言 った。 「何かを思い出せる訳じゃないけど、何もわからなくなるんだ、何もなくなると、何も見えなくなる気が してしまうから」 使徒に飲み込まれたビルの一部が、使徒殲滅により瓦礫となって戻ってきたその処理のために、大型ト ラックが二人の目の前をひっきりなしに行きつ戻りつしていたが、ようやく止まった。二人が立ち止まっ ていた横断歩道を渡るのにはその車の間を縫うように歩かなくてはならなかった。するりと抜けていく少 年の身体が半分見えなくなる。それを追いかける。それだけならいいとしても、レイは巨大な車や構造物 に囲まれる少年が、ふとしたきっかけでまたどこかへ飲み込まれてしまうのではないかという気がしてし まうのだった。そんな想像、したことなかったのに。そんなこと思ったことはなかったのに、どうして彼 のことをこんなにも気にしてしまうのか、綾波レイは意図的なまばたきを挟みながら彼の後を追う。 「綾波、はやく」 少年が振り返る。きちんと前を見て歩いて欲しかったレイは少し急いで彼につづいた。横断歩道 を渡りきるタイミングで、トラックに隠れて見えなくなっていた信号が赤になっていた。 少年の提案で、表通りを避けて帰ることにした。別れ道まで遠くなるその提案に頷いて、次の交差点の 手前で路地に入る。急に胸を掻き立てられるような音が小さくなって、風が通る音が目立つようになった。 はためこうとするスカートを押さえながら歩いてレイが思うのは、髪が短くてよかったなということだっ た。自分のような色の髪の毛が長くても仕方がない――脳裏に浮かぶはもちろん、赤い髪。 ビルに挟まれた路地は思っていた以上に暗いのに、突き当たりのビルは西日を浴びて赤々としているそ の対照性があまりにも際立っていた。反射する夕陽に目を細める少年を脇目に見つけたレイは、半歩彼に 遅れた。静けさと騒々しさが同居する細道を出た少年が目を細める姿がはっきりと目に入る。聞こえない はずの声に反応してくれた時にも勝る高揚感。身体ごと跳ね上がりそうな程に跳ねた心臓に、思わず咳き 込みたくなるのをどうにかこうにかこらえて、彼女は目を離せない彼を目で追った。 遅れるレイを訝しそうに振り返ったシンジが、細めていた目を見開いて、また細めた。 「なに?」 遅れを取り戻すべきところをそうはせず、少しだけ右に身体を傾けるレイに、シンジは屈託のない苦笑 という離れ業で応対した。 「なんでもないよ、ただ眩しかっただけだから」 「そう。なら、いい」 自分の声は、こんなに低かったはずがない。それなのに、そんな声が彼の耳に届いてしまったかもしれ ない、ではなく、間違いなく届いてしまった。だからどうしたというの、そんなことくらいで――どうし てしまったんだろう。 レイは自分から遠ざけてしまった少年との距離を縮める方法を考えながら、闇へと沈まんとする街を歩 いた。すぐ隣にいる少年の表情が少しずつ見えにくくなっていく。夜と溶け合う少年を、水の中で水を見 るよりは簡単に、しかし注視するにはにっちもさっちもいかず落ち着きのない心臓に四苦八苦しながら、 夜へと姿を変えつつある街を歩いた。 「じゃあ、僕、こっちだから」 別れ道で立ち止まる。いつもなら立ち止まって、挨拶をして終わる。そんないつも通りの所作を思い出 しながら、レイは、いつもの言葉を探した。それなのに自己主張する心臓のせいで、言葉が出てこない。 自分を待つ少年が首にまとわりつく汗を拭う動作がまた、レイを困らせた。言葉を思い出す前に、彼の細 い首に目が動いてしまった。 少年が口を開いた瞬間、すぐ側を中型トラックが荷台に軋む金属製の荷物を乗せて通りすぎた。少年は 既に言い終えた後だが、首に目を奪われかけたおかげでレイにはわかった。 「ええ、また、明日」 レイの言葉を聞いた少年が、眼を細めて薄い顔で作った確かな笑顔に脈拍を狂わされながら振り返って、 歩き始めた。ぎこちない気がしてならない自分の身体の中でどうにもこうにも落ち着きのない心臓を、夜 へと姿を変えた街に紛れさせながら歩き始めた。そんな彼女の背中を見つめる少年の心臓がにっちもさっ ちもいかず落ち着きがないことなどもちろん、どうにもこうにも知りようがないままに。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
あとがき
ま、短めに。 久々に書いてみました。 ええ、いつも通りです。 ゆえにゲロ甘ではないとはわかっております。 読み手に打ちに行く(積極果敢に萌える)姿勢を強要しているFFとも言えるかもしれませぬ。
ま、少し甘さ控えめでも許してください。 ぶっちゃけこれが限界っすよ(汗)
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.20 ) |
- 日時: 2011/05/02 17:24
- 名前: tamb
- html化にあたって。
掲示板に投下された作品をこうしてhtml化して再掲載することにどれほどの意味があるのか、 というのはちょっと思ったりしたのだけれど、やるって言っちゃったしまぁいいよな、という 軽い感じでやってみました。 あらかじめwordで送ってくれた方はそのスタイルを生かしてと最初は思ってましたが、統一 感と時間的制約から見送りました。あとで修正するかも。 タイトルのなかった作品に関しては、類推して付けました。具体的にはJUNさんの二作品目。 外してないはず。だ。 yo1さんの()内の作者コメントと横線(−−−−)を一部削除。これも問題ないかと。
その他、誤字っぽい部分や明らかな整形ミスもそのままになってます。
もろもろ修正をご希望の方はメールあるいはここでどうぞ。
では、感想を行きます。
■最後の歯科/何処 ( No.1 )
新劇以降で投稿を受け付けていて閉鎖されたサイト、というのがまず思い浮かばないわな。 うーむ。巡回してないからなぁ。まあいいんだけど。
さて。 単なるバカである(笑)。そんな一日に五回も六回も歯磨きせなあかんわけでもなし、歯を磨 いた後にキスをすればいいのである。キスの余韻がどの程度持続するかは人それぞれかもしれ ないが、ご飯食べて歯磨いてキスしてバイバイして寝て翌朝まで余韻が残ってるわけはないと 思われるし、このペースで歯磨きしてればそうそう虫歯になるものでもあるまい。 妙に色っぽいリツコさんが素敵。というか、「色っぽい」という言葉を知ってるレイに萌え る(笑)。
エンディングテーマ。なんでミュージシャンがみんなレフティなんだと思ってたんだけど、 どうやら反転してるみたい。なんでだろう? ブレスの位置が変なところにあって、それがなんだかリアル。
■世界は美しく,人生はかくも素晴らしい/tomo ( No.2 )
美しい、という以外に言葉の浮かばないこの作品。結婚式というきっかけがなければ名前で 呼べない二人がいかにもそれらしい。シンジがレイを照らすというのはいいかもしれん。
■綾幸ゲロ甘企画vol.1/JUN ( No.3 )
エロい(笑)。キスをここまでエロく書けるというのはある種の才能を感じざるを得ず、ぶっ ちゃけ末恐ろしいというか何と言うか。 残念ながらタイトル後の三行の解釈が困難、というか意味不明。眠っているのはシンジであ るとしか読めない。行頭字下げしてないし、なんか単純ミスがあったと予想。
■ココア/aba-m.a-kkv ( No.7 )
生きていこうという意思さえあればどうとでもなる、とは思わないけれど、それがなければ 何も始まらないし、無くしてしまえば終わってしまう。やっぱり生きていかないとな、と何と なく改めて思ったりした。 さりげないけれど、「ありがとう、じゃあ、いきましょう」ってのは結構凄い。あと、「自 分達の血で洗って白くした新しい本。」 あと、「そうでしょ」と言う綾波さんが可愛い。
■綾幸ゲロ甘企画vol.2/JUN ( No.12 )
上でも書いたようにタイトルは勝手に付けました。
マリがとてもそれらしい。マリってよくわかんないけど、こんな感じだろうなと読んでて思 った。いずれにしても問題になるのは「にゃ」の使い方なんだろうな。これは映画の続きが出 て来ないと何ともいえない部分ではある。 マリとアスカの違いは、変な言い方をするけどアスカの方がたぶん臆病なんだと思う。マリ には開き直りがある。そんなイメージ。
> どこか聞き覚えのある声が捕まえた。
このフレーズは良い。
> 喧嘩になったら男はひたすら謝り > 倒す!これが基本にして絶対!
至言である 。
> よそでやらんかこのバカップルがあああああああああああああ!
全くだw
■Believe In Life/calu ( No.14 )
よくわからんのだけれど、何日も離れてたわけじゃないだろうし、切れるのが早すぎな気が する(笑)。よほどの大電流が流れているのか、あるいは容量が小さいのか。 耳が弱いレイ萌え(笑)。そしてちょっとした隙にチャージするレイにも萌え。
> ダンスを踊る魔女
これ、いいねぇ。
> えげつないスキンシップ
どんなスキンシップだ(笑)。
■遠回り/yo1 ( No.18 )
気づけよ!(笑) 手紙もらってもまだ「凄い偶然」とか「碇君…私と同じ事…考えてた」とか思ってる場合か!
しかしシンジ君、レイちゃんに「私をお嫁さんにして下さい」とか言われたら発狂するので はなかろうか?
■DOKI DOKI/のの ( No.19 )
ふと気づくと、時間軸的に本編中にあるのはこの作品だけだったりする。少なくとも明示的 には。abaさんのココアがギリギリどうかといったところ。エヴァが出てくるのは、JUNさんの vol.2を入れて三作品のみ。 果てしなくポップなタイトルとは裏腹に、内容は静かで、後書きにもあるようにとてものの さんらしい。この二人の相手への想いというのは本質的にはこうであると思われ、だからこそ 想像にしくい「ゲロ甘ベタベタ」なるシチュエーションが万が一にもあり得ると悶絶し転がっ てタンスの角に頭を打ち付けるなんて状況が発生するわけだ。日常的にベタベタしてたらそれ は日常なので驚くには値しない。レイがおはようと言ったシーンを思い出すべし。 だからこのコントロールできない心臓の鼓動をそのままにしながらゲロ甘であるという状況 をいかにして描き切るかが課題になると思うのだけれど、そんな課題をクリアしてどうすると この文をこうして書きながら思う。 しかし逆に言えば心臓に落ち着きがないという状況が日常なわけで、もしもあと一歩近づく ことができたら不思議なほど落ち着いてしまうかもしれない。もしかするとそのあたりに突破 口があるのかもしれない。 この話はとても素敵で好きな話だけれど、私がこう書くのもあれだけど、こういう企画には もったいないかもしれないとも思う。でもこういう企画がなければこの作品は書かれることが なかっただろうと思えば、やっぱりやってよかった企画だったと思う。それはこの作品に限っ た話ではないんだけれども。
自作語りも少し。 「A Day in the Life」は……まあ読んだまんまだな(笑)。そりゃそうでしょう的なアコギ な落差と幸せ一杯感は出そうと思ったけど、そんなにちゃんと考えてない。丹波産夏野菜のエ スカリバーダは謎だったので出そうと決めてたんだけど(笑)。 「Got You On My Mind」はcaluさんの「Believe In Life」に反応しただけ(爆)。みんな わりとちゃんとしてるので、ちゃんとしてないのも書こうと思って書いた。作品タイトルは、 「Believe In Life」がエリック・クラプトンのアルバム「レプタイル」からの楽曲タイトル だったので、同アルバムからそれらしいのを選んでみました。「Believe In Life」の次は 「Come Back Baby」だったので、公開直前までそのタイトルで行こうと思ってました。変え なくても良かったかもしれん(笑)。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.21 ) |
- 日時: 2011/05/08 22:04
- 名前: タッチ
- 「シンジ・・・・・」
私はそう呟くと、そっと右に顔を向けた。
チュッ・・・・・
重なるシンジと私の唇。
私の肩を抱いてテレビを見ていたシンジが私の声に反応して、私を優しく抱き寄せるとキスしてくれた。
二人きりの時はいつもこうしている。
人の温もりを知らずに育った私にシンジがしてくれる、最も私の好きな行為。
優しく見つめられるのも好き。
穏やかに寄り添って時間を過ごすのも好き。
デートで一緒に色々見て回るのも、二人で美味しいお店を見つけて食事することも。
気の合う仲間達と集い騒ぐことも最近は好きになってきた。
それでも、シンジと二人で分かち合う心地よい時間の方が何倍も好き。
手を繋いだり、肩を寄せ合ったり。
お互いの温もりを感じあえる時間がとても好き。
その中でも、お互いぴったりとくっついて、唇を重ねることが・・・・・。
だから私はシンジを呼ぶ、シンジの居るほうに顔を向けて、瞳を閉じながら・・・・・。
綾波レイの幸せシリーズ? 突発的企画参加作品 レイvision.
「シンジ・・・・・」
私の呼びかけに、振り向くシンジ。
そんなシンジの口の中に、私はシンジ手製の卵焼きを送り込む。
もちろん、私の口を使って。
最初は驚いた顔をするものの、すぐに私の行為を受け入れてくれる。
だから今度は別のものを物色して送り込む。
それは、私にだけ許された、私だけが出来る、私にしか出来ないこと。
でも、するだけじゃ物足りない。
シンジを見つめると、シンジは苦笑しながらもお肉以外のものを私に食べさせてくれる。
当然、シンジの口を使って。
それを交互に、一つのお弁当がなくなるまで続ける。
シンジといつも一緒に居たい。
シンジと一つになりたい。
それが私の心であり、私が今此処に居る理由。
そんな私をシンジは精一杯受け止め、受け入れてくれている。
そして今日もシンジの布団に潜り込む。
シンジの暖かさを分けてもらうために。
シンジの匂いに包まれるために。
幸せを、感じるために・・・・・。
「お休み、シンジ」
今日最後のKISSをシンジにして、私も夢の世界に・・・・・。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.22 ) |
- 日時: 2011/05/12 19:05
- 名前: tamb
- ■綾波レイの幸せシリーズ?
突発的企画参加作品 レイvision./タッチ ( No.21 )
タッチさんだー(笑)。としか言いようのないこの話。完全にべたべたしてるだけだw 突発的〜という響きが懐かしい。 しかし呼ばれて振り向いたら口で卵焼きを送り込まれたらびびるよな(笑)。
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.23 ) |
- 日時: 2012/04/25 16:32
- 名前: 何処 ID:dA-QMF7BiKY
- あれからもう一年過ぎ、未だに何も終らず始まりの掛け声だけが空しく虚ろに響く。
それでも私達は生きている。手の届く世界に生きるだけなら、私達に必要なものは実は本当に僅かな物で済むから。
【LOVEラブLIFE ーこのろくでもない素晴らしき世界に生きてー 】
傍らの液晶は空しく虚ろに映像と音声を垂れ流している
TVに写る何時もの虚飾は薄い世界観で染まり、中身は願望と希望を履き違えた構成と臭い物に蓋をする責任逃れに終始して、都合の悪い物を映さず只己が見せたい物だけを取り上げ、出来た代物は何時もの御涙頂戴か、精々が空っぽの希望と虚しい程の努力を持ち上げ、怠慢をあげつらうだけの進歩の無い感情論。
このお手軽な感情論を理屈と理論の区別がつかない知識人のコメントで調味したニュースが流れる。 在り来たりな中身、事実を示せと現実を知らない人が喚き、責任は誰だと責任者が怒鳴り、嘘を吐くなと詐欺師が怒る。見たくない物を見せられたと世界を直視出来ない人が抗議して、一頭の動物に予防接種数億人分の金を出す人達が漁師を残酷だと非難する。
税金を払えない筈の所が過去最高益で、金貸しが補助金を貰って他社を買収、何かを蔑みたい弱者が自分を馬鹿にしたとナイフを振るえば、互いを憎み合う親子が自己都合を振り翳す。
この壊れかけた世界は、それでも生きている。
人を人足らしめるのは欲望、金も地位も僻み妬みも怒りも哀しみも、愛と言う欲望の一つの形。
我執の愛、自己愛、友愛、恋愛、慈愛…
私は欲望の化身、リリスの子リリンの一員。ならば己の欲望に素直になれば良い。
今現在、私・綾波レイ最大の欲望にして関心事は碇シンジと言う異性の心を掴み取る事。
点けっ放しのTVをそのままに私はさっきから鏡に向かいメイク中…伊吹さん直伝のメイク術は効果抜群だ。
さて、今日の服装はと…お気に入りのワンピースとパンプスに帽子ね。ポシェットはこの小さい方で、中にはハンカチ、携帯に化粧直し…あ、お財布忘れてた。 続いては装飾品の装備、彼に貰ったネックレスと赤木博…リツコさんに頂いたイヤリング、葛城さんからのプレゼントの腕時計にアスカから貰った大切な髪留めをする。
身支度を整え、いざ出発…と、TV消さなきゃ。
待ち合わせ15分前にこっそり到着しておいて、わざと遅刻するのが本日の予定。 “焦らし”と“ご褒美”が異性を執着させる原則だと大人の女性陣に学んだ。けど今回故意に遅刻する一番の理由は碇君の私を待つ姿と表情が大好きだから。 …最も、彼を見て遅刻できるか自信は余り無い…
さて、準備は…うん、完璧。
では皆さん、行ってきます。
パタン、パタパタ…
バタバタバタバタン!
…鍵と定期券忘れてた。
では改めて、行ってきます。皆様ご機嫌よう。
パタン
《Sweet Devil》初音ミク http://www.youtube.com/watch?v=dA-QMF7BiKY&sns=em
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Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.24 ) |
- 日時: 2012/06/05 06:21
- 名前: tamb
- 一年を経て、という意味で一行目があまりに重い。
そんなに経済が大事なのか。そんなに電気が必要なのか。もしまた同じクラスの地震が来た ら。誰が何を保障してくれるのか。
そんなのきっと来ないよ。きっとね。だから発電所動かそう。だって暑いの嫌じゃん? 節 電節電でエアコン止めて、身体の弱い人とか暑くて死んじゃうかもしれないよ? 停電になっ たら信号とか止まって事故が起きるかもしれないし、いろんな警報器だって動かないよ。工場 も止まって仕事なくなる人もいっぱい出てくるよ。地震なんか来ないよ。来てもきっと平気だ よ。テストとかしてるんだし、大丈夫。きっと大丈夫。
正直にこう言えばいいんだよ。たぶん大丈夫だって。「たぶん」平気だってね。
碇シンジを陥落させるための手段は誰かからのもらい物。ワンピース、パンプス、帽子はど うなんだろう。そして彼女は「碇君の私を待つ姿と表情」も欲しい。それを手に入れたら、彼 女はとびっきりの笑顔を彼にあげられる。それは正しい。
テレビは真実ばかりを伝えるわけじゃない。だから消してしまおう。
Sweet Devilと言えばキャンディーズ。
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