このスレッドはロックされています。記事の閲覧のみとなります。
ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
[599] ゲロ甘ベタベタLRS企画
日時: 2011/03/18 23:40
名前: tamb

 東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
 2011年3月11日14時46分に発生したこの地震は、東北地方のみならず北海度や関東地方にも
甚大な被害をもたらし、多くの死者、行方不明者を出す戦後最悪の自然災害となっています。
一週間を過ぎた今も被災地での生活は極限状態にあり、原子力発電所は危機的状況にあります。
 幸いにも大きな被害に遭うことのなかった私たちにもできることがあります。節電もそうで
すし、募金もそうです。無理をする必要はありません。できることをすればいいのです。コン
ビニの募金箱にわずかなお金を寄付することも、立派な行為だと思います。個人にできること
は小さくても、全体でみれば無視できない大きさになります。

 そのできることをするために、私たちは元気を出さなければいけません。この企画はそうい
う企画です。
 一人でも多くの人が、この企画でほんのわずかでも慰めを得ることができ、暖かな気持ちに
なって、被害に遭われた方々の力になれることを願っています。

 詳細は「謎の企画」内の「ゲロ甘ベタベタLRS企画」をご覧下さい。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/earthquake/earthquake.htm
メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

Re: ゲロ甘ベタベタLRS企画 ( No.10 )
日時: 2011/04/06 22:19
名前: tamb


 ***** A Day in the Life *****

「綾波のこと、思い出さないよ」

 碇くんは乾いた目でそう言った。

「だって、忘れないから。ずっと憶えてるから。忘れないから思い出さないんだ」

 わたしは文庫本に目を落としたままでいた。碇くんの顔を見れば、きっと泣いてしまう。

「そろそろ行くよ」

 またね、とわたしは小さな声で言った。
 さよならは言わない。それは彼との約束だったから。
 またね――。その小さな声は、彼には届かなかったかもしれない。

「じゃあね」

 でも、彼もさよならは言わなかった。

 そして彼は出て行った。

 わたしは顔を上げ、彼の出て行ったドアを見つめた。

 もっと彼の顔を見ておけばよかった。もっと彼の声を聞いておけばよかった。
 もっと彼に見て欲しかった。もっと彼に声を聞いて欲しかった。
 もっと彼に触れて、彼に触れてもらって、キスもたくさんして――。

 今すぐ外に飛び出して、彼の背中にすがりたかった。
 ただ隣にいてくれるだけでよかった。行かないで、ここにいてと叫びたかった。
 でもそれは出来なかった。してはいけないことだった。
 わたしに出来ることは、ただ涙をこらえることだけだった。








「ただいま」
「おかえりなさい!」

 二時間後。
 買い物から帰ってきた彼に、わたしはまるで一人でお留守番をしていたわんこのように
飛びついた。しっぽがあれば千切れんばかりにぱたぱたと振っていたことだろう。
 ひとしきりキスしたあと、わたしは彼に聞いた。

「おなか減った。今日のごはん、なに?」
「丹波産夏野菜のエスカリバーダにしてみようかなと思って」
「なにそれ」
「知らない。なんか小説に書いてあったんだ」
「ごはんのおかずなの?」
「知らない」
「どうやって作るの?」
「知らない」
「……」
「これから調べるよ。何とかなるんじゃないかな」
「美味しいの?」
「知らない」
「……」
「あ、シュークリームも買ってきたよ」
「わーい!」
「ごはんのあとね」
「……」
「わかった。先に食べよう。だからみだりにA.T.フィールドを展開するのはやめようね」
「うん!」

 わたしは飛びっきりの笑顔でうなずいた。
 彼も笑顔で、その笑顔にわたしはとろけそうになった。
 だからもう一度抱きついて言った。

「碇くん、大好き!」
「僕とシュークリームと、どっちが好き?」
「…………シュークリーム」

 ほっぺをつねられた。

 痛かった。

 痛くって、幸せだった。
メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成