Re: 突発短編集(予定)《掌話的小 ( No.3 ) |
- 日時: 2014/02/02 15:46
- 名前: 何処 ID:96IgvoGTHmw
- 【おこたみかんの日】
蜜柑を剥いている時、僕は無心になる
チェロを弾く時もそうだけど、何て言うか… 集中すると、時間の感覚とか無くなってひたすら没頭しちゃうんだ。
不思議な事に、それも何時もじゃなくて何かの拍子にそんな事が起こる。
今だってそうだ。 普段なら蜜柑の皮を剥いてそのまま袋ごと食べちゃうのに、ふと筋を取り出したら…あ、もう三つ目の蜜柑だ。
「…器用ね…」
「へ?」
不意に掛けられた言葉に不意を衝かれ、目を向ければ炬燵に両手まで入れた綾波が半纏にくるまって顎を天板に載せて…ミサトさんもアスカも同じ格好になる所から女の子は皆様こうなるのかも知れない…僕の手元をじっと眺めていたりする。
「司令もそうだけど、蜜柑の筋全部剥くのね?」
「あ、いや、別にそんな訳じゃ…」
「?」
「…食べる?」
「…(コックリ)」
「じゃ、これあげる。」
綾波は目の前に押しやられた皮の上に鎮座した筋を剥かれツルツルになった蜜柑をじっと見つめる。
「…食べないの?」
「…食べたい…」
「…食べれば?」
「…動きたくない…」
「…」「…」
…ミサトさんもアスカもリツコさんも綾波も、何でみんな僕の前だとこう…
「…食べたい?」
「…(コックリ)」
「…はぁ。」
手元の筋を剥き終わった蜜柑を割り、袋を一つ取って皮を剥く。
「綾波、口開けて。」
「?」
一瞬きょとんとした綾波の顔がだんだん赤くなって目が下を向く。
「?食べないの?」
「………食べる…」
「?はい、あーんして。」 「…あ、あーん…」
―――
「…」
蜜柑二個を食べた綾波が何やらもぞもぞし始めた。
「?…!」
…アスカと同じ反応だ。これは…
「ケーブル排除!」
「!?碇くん何を?」
「炬燵電力切断確認!」
「な…何で…」
「目標、お勝手の蜜柑と急須、碇シンジ、行きます!」
そう宣言して僕はお勝手へ向けて席を立った。
背後から綾波のか細い声が聞こえる。
「…綾波レイ、行きます…」
ゆっくり立ち上がった綾波が廊下の向こうに消える。
お茶を入れ電気ポットに水を足し、盆に蜜柑と湯飲みを二つ載せた所で綾波が廊下の向こうから帰って来た。
「…電源挿入…稼働確認…綾波レイ、寝ます…」
「寝ちゃうのぉ!?」
振り向けば、もう綾波は横になって寝息を立てていて
…取り残された僕。
「…やれやれ…」
盆を炬燵に起き、綾波に続いてトイレに行き、炬燵に横になる。 綾波の寝息に僕の瞼も重くなる。
僕らの日曜はこうして過ぎていった。
【そう言えば忘れてた】 http://www.youtube.com/watch?v=96IgvoGTHmw&sns=em
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