Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・八月 ( No.50 ) |
- 日時: 2010/10/18 22:56
- 名前: 何処
- 【蝉時雨】
ジャワジャワジャワジャワジャワジャワ…ジー… ミーンミンミンミンミンミンミンミー…
「あ…暑い…」
「センセ…暑い暑い言わんといてえな…余計暑くなりおる…」
「トウジ…ジャージが余計暑苦しいよ…」
「着とる分にはこっちの方がマシなんや…」
「全然そうは見えないよ…」
「ケンスケ日本語の使い方おかしい…」
「…なぁ、ちょいゲーセン寄って涼んでかんか…」
「パス…小遣いピンチなんだよ…」
「同じく…」
「何や二人揃うて辛気臭いのう…」
「それにトウジ、今日は妹迎え行くんじゃないのか?」
「…あかん、忘れとった…今日おとんが一月ぶりに帰って来るよって買い物付き合って夕飯作らないかんねん。」
「…トウジ、料理なんか出来た?」
「うんにゃ。なに、飯さえ炊いて後は惣菜買って並べりゃ格好は付くわな。それにアレも中学入ってから味噌汁ぐらいは作れるよってに。」 「レトルトとかもあるしな…飽きるけど。」
「ああ…成る程…」
「にしてもセンセ、良う料理出来るわな〜。」 「それも中学から。おまけに人の分まで弁当作って来るなんて男子碇一人だよ。」
「あ、うん。四歳から預けられてた先で色々教わったから…」
「「あ…」」
「?」
「そっか…センセも色々あったんやな。」 「大変だったな碇…」
「あ、いや別に大変じゃなかったかな、うん。」
「ん?トウジ、中学ならそっちだろ?」 「あ、そうや。んならセンセ、ケンスケ、又来週〜」
「…又昔のお笑いネタか…」 「…見た事無いと判らないよね…面白かったけど…」
「さてと、俺も現像頼まなきゃ。やっぱフィルムはいいぜ〜。」 「…女の子?兵器?」 「風景。最近嵌まっててさ、じゃ碇又な!」
「ああ、じゃ又…」
ジャワジャワジャワ…
「暑…あ、未だ冷蔵庫にカリガリ君…どうせアスカと綾波が全部食べてるな…はぁ。」
ミーンミンミンミー…
「大体おかしいよ、何で僕が男だからってアスカや綾波にアイス奢らなきゃいけないんだよ。なら二人共女の子なんだし料理くら…」
ジャワジャワジャワ…
「思い出しちゃったよ、夏休み最初の一週間。最初の三日がレトルトとインスタントと冷凍食品、次の三日が納豆と素麺と冷奴のローテーション、おまけに最後は…」
ミンミンミンミー…
「…考えて見れば家主があれだもんなぁ…男の癖にとか女だからなんて差別はいけないようん…でもカレーを不味く作れるってこれもう才能だよね…」
ジャ“キー―――ン…ゴゴゴ…”…
「あ、RF04…珍し…ケンスケの病気移ってるなー…」
「…シンジ君?」
「え?」
「やっぱり…違う人かと思ったわ。」
「…先生…」
「久し振りね、シンジ君。」
…ミーンミンミンミンミンミー…
カラン♪
「いらっしゃいませ〜」
「シンジ君何にする?」
「あ、じゃアイスココアを…」
「すいません、アイスココアとアイスコーヒー、ガムシロップ抜きで。」
「その…お久し振りです…」
「本当大きくなったわね…」
「あの…帰ると何度も言って帰らなくて先生にはご迷惑おかけしました…」
「いいのよ。私こそ謝らないと。」
「え?」
「…君にお父様からお手紙が届いた時…私直ぐに貴方へ渡さなかったの。」
「え?」
「手紙を受け取って直ぐに君のお父様をお呼び立てしてお会いしたの。本人が来ないと言えばそれまで、貴方が帰ると言ったら引き留めない。そう君のお父様は言われたわ。君に手紙を渡したのはその後なの。」
「…知らなかった…」
「時間ある?今日は君のお父様にご挨拶しに来たの」
「…それで喪服なんですね…」
ミーンミンミンミンミンミンミー―…
「…一緒に入られたの…仲の良いご夫婦だったのね…」
「…別のお墓にしようかとも思ったんですが…この方が喜ぶかなって…」
「そう…君のお父様とは一度しか会わなかったけど…優しい目をされていたわ。」
「優しい目?」
「ええ…」
「僕は一度も…父さんの目を見た事が…」
「え?」
「ずっとサングラスを掛けてて…」
「?眼鏡なんか掛けてなかったわよ?」
「え?」
「とっても背が高くて、お髭を顎に生やされてて、そう、お顔の周りをこう…」 「え、ええ、父さんは確かにそんな顔で…」
「背広をとっても格好良く着こなされて…」
「せ、先生!?背広ってもしかして焦げ茶色の?」
「ええ、そうよ?」
「父さんの遺品に一着だけ焦げ茶色の背広が…誰もその服を着た父さんを見た事が…あ!」
「どうしたの?」
「…何で忘れてたんだ…焦げ茶色のスーツ…僕と最後に出掛けた日…後は一人で行けって…父さんはもう父さんを止めて悪い人になるからって…」
「そう…私の前には君のお父様としていらっしゃったのね…」
「そ…そんな、そんな、何で、何で今更思い出すんだよ!遅いよ!遅いんだよ!」
「シンジ君?」
「いつもそうだ!アスカの時もトウジの時も綾波の時だって!何でいつも僕は遅いんだ!」
「シンジ君!」
「何で…何で僕は…トウジの足も、アスカの目も、綾波の事だってそう!みんな僕が、僕がっっ!」
パチン!
「あ…」
「落ち着きなさい。」
「あ…せ…先生…」
「シンジ君…自分を責めるのは君の悪い癖よ…」
「う…で、でも、でも、僕は、僕は!ツッ!?」
「…辛いならお泣きなさい。昔みたいに。この胸で泣き疲れて眠った君を私は覚えている。今もこの胸は貴方が帰る場所よ。さ、お泣きなさい。」
「う…あ…せ…先生っっっ!」
「大丈夫…私は君の帰る場所、安心して…」
「う…うあ…ぁ…先…生…先生…っ…うっ…えっ…」 「覚えていて。世界が君をいらないと言ってもこの私が君を必要とする。だから…頼りなさい…」
「う、うあ…あ…あぁ…」
ジージージージャワジャワジャワジャワ……
「す…すいませんでした。取り乱しちゃって…」
「落ち着いた?」
「その…服汚しちゃってすいません。」
「いいのよ。服は汚れたら洗えばいいし、人間も悲しければ泣けばいいの。」
「か…格好悪いな…」
「いいえ、君が変わらず綺麗な心なので嬉しかったわ。」
「…捨て子とか訳有り子とか言われて泣いてると先生は只黙って僕を抱きしめてくれましたよね…」
「ええ。」
「…ここから何度か僕は逃げ出しました。でも先生の所へ帰ろうと自分で決めたのはトウジ…友人をこの手で握り潰した時だけです…」
「!?」
「使徒に汚染された機体を破壊して…その機体には…戦わない僕の機体を父さんは…自動戦闘に切り替えて…制御出来なくなって…でもエヴァの感覚が…す、すいません、少し待って…」
「辛かったのね、苦しかったのねシンジ君。話して…色々な事。」
「はい…」
※※※
「エヴァンゲリオンは自律型兵器に分類されるそうで、僕らパイロットは実はエヴァの暴走を抑える為の安全弁…本当は一度動き出せばパイロットなんて必要無かったらしいです。つまり僕らは車の鍵みたいな物でした。」
「そんな…」
「で、パイロットに綾波って娘がいまして…最初綾波と話した時、先生と似てるなって…無駄な台詞無く淡々と話す所とか…」
「無愛想って事ね。」
「あ?い、いえ違いますよ!?そ、それでその、ある時綾波と父さんが話してる姿を見まして…」
「?それで?」
「その…嫉妬したんです。僕と話そうとしない父親と綾波は普通に話して…先生とも上手く話せなかった自分と綾波を比較して…」
「そう…」
「でも違った。綾波には父さんしかいなかった…僕には先生も父さんもミサトさんもいた…僕は話そうとすらしなかった…父さんが僕を息子じゃ無くパイロットとして扱ったのも今なら解る気がします。僕は…本当に子供でした。」
「ミサトさん…ああ、あのお美しい方ね、写真を拝見したわ。でも君は立派よ、中々人は自分を割り切って客観的に見れないわ。でもシンジ君、その綾波さんの事…」
「…好きでした…只、恋愛感情ではなかったと思います。僕にとって初めて同じ年代の異性として意識した相手だったんです。そう言う意味で当時の僕にとっての恋愛対象は…もう一人のパイロットでした。でも僕らは只相手を求めるだけで相手の求めに手を差し伸べる事を知らなかった…」
「恋はそんな物よ。」
「そうでしょうか?求めながら彼女は僕を拒絶し傷付け、僕は彼女を欲しながら…自分しか見ていなかった」
「だから言うのよ…恋は盲目だって…」
「恋…あ…その…先生…」
「何?」
「…先生だったんです…僕の初恋は…」
「え?」
「あの頃は判りませんでしたけど…僕が先生の元を離れた理由…今なら判ります。僕が先生に恋していたからなんです。」
「シンジ君…」
「第三に来る時、『もし何かあったら何時でもここに帰って来なさい。』と言ってくれましたよね…だけどそれは先生を拘束させる…やっと僕から解放された先生にまた依存する事が僕は怖かった…」
「そう…そうだったのね…」
「はい…それで先生…お願いがあるんですが…」
「何?」
「その…僕とキスして下さい。」
「え?」
「僕はもう好きな人がいます。初恋を思い出にする為に…僕の心に区切りを付けさせて下さい。お願いします。」
「…ええ、いいわ…」
「先生…」
「…いい事シンジ君、こう言う時は名前で呼ぶのよ。これが貴方への最後のレッスン…」
「…はい………さん…」
「ん…」
「…本当に背伸びたわね…」
「…はい…」
「身体も大きくなったわ…大人に近付いてるのね…」
「…その…パイロットの一人、先生と同じ『レイ』って名前なんです。偶然なんですけど…」
「…そう…」
「今まで僕は彼女を姓で呼んでました…これで僕はやっと彼女を名前で呼ぶ事が出来ます…先生、貴女は僕の初恋の人でした。い…今更ですけど、じゅ…十年も僕を育ててくれて…あ…有難うごさいました!」
「…泣かないで…私こそ有難うシンジ君、貴方と過ごした十年…幸せだったわ…そして…おめでとう、シンジ君…もう貴方は子供じゃ無い…」
「先生!」
「幸せにね…」
ミーンミーンミンミンミンミンミンミンミンミー――…
「ふひ〜、ただいまぁってうわわわわわわっっ!?」
「キャー!」「き、きゃーっ…」
※※※
「…ど、どうしよう、未だ二人の下着が目に…お、落ち着け碇シンジ、落ち…ん?なんか僕ひょっとして又上手く使われてない?」
ガーッ
パピポピパピ〜ン♪ 「いらっしゃいませ〜、パミマへようこそ〜♪」
「ええとカリガリ君カリガリ君…あ、苺味発見。」
「ありがとうございましたー♪」
ガーッ
パピポピパピ〜ン♪
「…一本貰っちゃお。」
ミーンミンミンミーン…
「ただいまー…ってあれ?二人共どこ…」
「ジャー――ン!」「じ、じゃーん…」
「うわわわわわわっっ!?」 タラッ 「あああテッシュテッシュ…」 ズテ『ゴン!』
「きゅ〜…」
「うーむ…刺激が強すぎたみたいね」 「碇君…大丈夫?」
プルルル、プルルル…
「あら?シンジの携帯?ってレイ止めなさいって…」 Pi『あ、やっと繋がった!おい碇!あの美人一体誰だよおい!きっちり聞かせて貰うからな!』
「…碇君…」「…シンジ…」
「「最っ低」」
「う、う〜ん…し、白…ピンク…」
「ばっ!」「馬鹿…」
『おい碇!聞いてるんだろおい!』
…スチャ
「其処ら辺の話…良ーく聞かせて欲しいわね…」
『ゲッ!?な、何でアスカが!?…い、いや惣流これはだなつまりあの…い、碇すまん!pi』
「ち、ちょっとまちなさい相田!ちっ切りやがった!イッヒタピオカパン!」
「碇君…馬鹿…」
ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ツクツクボーシ、ツクツクミーョン、ツクツクミーョン、ツクツクミーョンミーョンミーョンミー――ン…
「ふひぃ〜、たっっどわぃむわぁ〜〜つっっかれとゎぁ〜…ってあれ?どったのシンちゃん?」
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