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[554] サイト開設十周年カウントダウン企画・八月
日時: 2010/07/28 18:30
名前: tamb

月々のお題に沿って適当に書いて投下して頂こうという安易な企画です。作品に対するものは
もちろん、企画全体に対する質問や感想等もこのスレにどうぞ。詳細はこちらをご覧下さい。
http://ayasachi.sweet-tone.net/kikaku/10y_anv_cd/10y_anv_cd.htm

今月のお題は

・蝉時雨
・キスしてください

です。では、どうぞ。
メンテ

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Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・八月 ( No.6 )
日時: 2010/08/02 15:07
名前: naibao

今までロムってましたが、勇気を振り絞って投稿いたします。
生まれて初めて書いたので、いろいろ不安です。アドバイスいただけたら死ぬほど嬉しいです。







並んで歩く
2人を包むのは
2人で使うには少し手狭な折り畳み傘と
重力に逆らうことのない水の音



■■■僕に、降る、雨■■■





彼女は真っ直ぐだった。


いつもどおり、制服で
いつもどおり、左手に鞄を提げて
いつもどおり、真っ直ぐ正面を見据えて
いつもどおり、歩調を保ったまま


凛としていた。
傘もささずに、雨なんてまるで気にかけていないようだ。


それでも、雨は彼女の身体を濡らす。


声をかけるべきではない気がした。
彼女の透明な空気を僕が壊してしまいそうで。


そうしている間にも彼女の身体は容赦なく雨で濡らされていく。
制服の白いカッターシャツが水を含んで、肩から肌の色が透けて見える。


ついに僕は体中の勇気の欠片をかき集めて、やっとこさ彼女の名前を絞り出した。




想像以上に近くに彼女の息遣いを感じて居心地がわるい。
だからといって離れすぎると彼女に雨露がかかってしまう。
少しだけ左側に傘を傾けた。

触れあうかどうか、微妙な距離を保って歩く僕たち。


僕の左側には彼女の右側の輪郭。

蒼銀の毛先から雫が真っ白な首筋に伝い、制服のカッターシャツに吸い込まれていった。




――雨、


ふいに発せられた声にどきりとした。




―――あがったわ



いつのまにか雨音がセミの声へと変わっていた。




蝉時雨がいつもよりも耳にさわる。

彼女の体温が消えた僕の左側がじんわりと熱を持った。
メンテ

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