Re: サイト開設十周年カウントダウン企画・八月 ( No.6 ) |
- 日時: 2010/08/02 15:07
- 名前: naibao
- 今までロムってましたが、勇気を振り絞って投稿いたします。
生まれて初めて書いたので、いろいろ不安です。アドバイスいただけたら死ぬほど嬉しいです。
並んで歩く 2人を包むのは 2人で使うには少し手狭な折り畳み傘と 重力に逆らうことのない水の音
■■■僕に、降る、雨■■■
彼女は真っ直ぐだった。
いつもどおり、制服で いつもどおり、左手に鞄を提げて いつもどおり、真っ直ぐ正面を見据えて いつもどおり、歩調を保ったまま
凛としていた。 傘もささずに、雨なんてまるで気にかけていないようだ。
それでも、雨は彼女の身体を濡らす。
声をかけるべきではない気がした。 彼女の透明な空気を僕が壊してしまいそうで。
そうしている間にも彼女の身体は容赦なく雨で濡らされていく。 制服の白いカッターシャツが水を含んで、肩から肌の色が透けて見える。
ついに僕は体中の勇気の欠片をかき集めて、やっとこさ彼女の名前を絞り出した。
想像以上に近くに彼女の息遣いを感じて居心地がわるい。 だからといって離れすぎると彼女に雨露がかかってしまう。 少しだけ左側に傘を傾けた。
触れあうかどうか、微妙な距離を保って歩く僕たち。
僕の左側には彼女の右側の輪郭。
蒼銀の毛先から雫が真っ白な首筋に伝い、制服のカッターシャツに吸い込まれていった。
――雨、
ふいに発せられた声にどきりとした。
―――あがったわ
いつのまにか雨音がセミの声へと変わっていた。
蝉時雨がいつもよりも耳にさわる。
彼女の体温が消えた僕の左側がじんわりと熱を持った。
|
|