Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.26 ) |
- 日時: 2010/05/25 01:48
- 名前: tamb
- ■何処さん
はじめまして(ですよね?)。管理人兼編集人のtambです。どぞよろしく。
【七回目の君へ】 こういうゲンドウはあり得ると、確かに思います。より冷徹になるために、温かさをそこに 置いてくる、みたいな。 弱い自分を自覚し、強くなりたいと願うシンジ。すがるのと同じくらいすがられたい。でも それは明日から。最後の一行が沁みます。
【シークレット7】 一転してゲロ甘。おまいらはおはようで二回キスするのか。おはようでキスしておはようで キスされるのか。口唇がただれるぞ(爆)。これで7につなげたアイディアに感服。
恐らく誰も付いて来ない余談。 キスキスキスでまず浮かぶのはジョン・レノンの遺作「ダブル・ファンタジー」に入ってい る小野ヨーコの「キス・キス・キス」。初めて聞いた時はぶっとんだ。これほどとんでもない 曲にはまだめぐり合ったことがない。 次に浮かぶのが電グルの「シャングリラ」。電グルはあんまり好きなバンドではないけれど、 この曲は聞きやすい。確か売れたはず。私の中でピエール瀧はこの頃のイメージのままのため、 ローレライとかで素晴らしい演技力を見せている彼を見ると戸惑う(笑)。
【番茶と〇〇屋敷】 不可能ですw いかに欲望の渦巻く食事であろうとも。
【綾波さん思索する】 全く無難な着地点ではない(笑)。嘘は言ってないけど真実も言ってない。 でも綾波さんの「…何でやねん…」は聞いてみたい!
【99.8888889%】 カップラーメンのミサトカレーって食べた人いる?
【七人のアホ】 シンジ君の女装は普通に可愛いと思う。内股だったりすると特に。というか、そろそろ設定 が苦しくなってきてるような気がw
【よおし、後一話で方向違う単発七回!】 その発想はなかった!
■楓さん 許可が出ましたので作品名を。楓さんのサイト『andante』にある「しっぽ」です。うちの リンク(絆)からたどって下さい。様々な思惑があるのでここから先は書きませんが、探し出 して、特にLAK方面の方は溶けて下さいませ。
> 引っ込みます。
あかんがな(笑)。
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.27 ) |
- 日時: 2010/05/25 14:49
- 名前: JUN
- tambさん、カレーラーメン食いましたです。旨かったですよ。
ただ、僕としてはにんにくラーメンのが旨かったかな。 ああ、テストのせいで書けない……orz
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.28 ) |
- 日時: 2010/05/25 20:25
- 名前: タピオカ
- 7人のアホ
シンジの女装は見てみたい気がする。
僕はテスト終わったんでバリバリ書いてます。明朝には破のDVDをみる予定ですww
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.29 ) |
- 日時: 2010/05/28 23:49
- 名前: 何処
- 前書き口上&読前の諸注意
・人により[痛モノ]と捉える方も居るかも知れません。
・色々と矛盾はありますが作者の勉強不足だから華麗にスルー。
・読前に某カロイドの名曲【MOON】読後に同じく某カロイドの神曲【1/6】(作品イメージソース)をお薦め。 某チューブや某ニコで各自検索。
では1111111Hit記念何処作品第七弾をどうぞ。
【1/6】
満月を碇君と見る。
二人で最初に見たのはあの時…
ヤシマ作戦…
私は…三人目になる事を予期していた。
その暫く前…あの起動実験の時、何故司令が私を助け出したのか私には理解出来なかった。
例え私が死んでも…替わりなら居る…
だけど、赤木博士から渡された破損した眼鏡は…
“…絆よ…貴女と司令の…”
…あの後、入院した私に眼鏡を渡す時、赤木博士は笑顔で私にそう言った…
今思い返せば寂しげな優しい笑顔だった。
私にとって、それは不必要な物。でも何故か私はそれを受け取った。
そしてその眼鏡は私の存在理由の象徴になった。
絆…加粒子に焼かれ、あの灼熱の中私は自分が役目を…道具としての役割を果たした事に満足感を感じていた。
例え生き残っても、LCLから離れた私の肉体はいずれリリスの体細胞に乗っ取られる、そして動かぬ肉塊と化した私の肉体は再びリリスへ還元されるのだ。
だけど…私をエントリープラグから助け出した碇君は…私にもう一つの絆…涙と笑顔をくれた。
『笑えば…いいと思うよ。』
私は…初めて知った。 自ら笑うと言う事を。 人の涙は…綺麗だと。
そして入院…
私を構成する人間の因子をリリスの体細胞から保護する為に、通常の人間なら致死量に近い投薬を私は受けていた。
この肉体を維持させる為の投薬、成分は一種の抗癌剤。
一月も投薬が続けば私の消化器官は殆ど食事を受け付けない。例え食品を摂取しても大半は未消化で排泄される。
そして私はメンテナンス…記憶の保存と肉体の再生…を定期的に行う事でこの肉体を維持させていた。
入院を私は無駄な行為と思っていた。 それより私の肉体を取り替えれば効率的な筈。だが、碇司令は何故か私を使い捨てにしなかった。
私は…二人目のままだった。
碇君は時折私を連れてここに星を眺めに来る。 取りたての免許で小型のバイクを運転して、町から二時間のこの高原へ。
初めて来た夏の夜空は星がすぐそこにあるように見えた。
私は星空に彼女を思い出す。
セカンドチルドレン…
彼女と碇君と、使徒を撃破した後で見た星空は忘れられない。
そして上空から落下する使徒を迎撃した後で皆で食べたラーメン…
私は密かに薬を捨てた。碇君と…皆と食事を取りたくなったから。
何れにせよ、何時か私はリリスに還る。死んでも替わりなら存在する…
時折押し寄せる苦痛も、私には関係無かった。
そして…ディラックの海に消えた初号機…
「貴女は人に誉められたくてエヴァに乗るの?」
純粋な疑問。私には良く判らなかった…エヴァに乗る為に造られた私とは違う彼女の有り様が。
帰還した初号機から回収された碇君を抱き締め泣き崩れた葛城三佐…私を救った碇君とその姿が重なる。
今思うに、私は葛城三佐と碇君に嫉妬したのだろう。そして…セカンドも。 私は…感情をもてあましていた。だから碇君が目覚めた後…私はセカンドに後を任せたのだ。
そして…あの参号機…
ダミーの完成は私達パイロットの必要を無くした。確実にいずれ零号機も弐号機も無人運用される筈だ…
私はその事実に碇司令が何故ダミーに拘ったか理解した。 司令は…私達を、息子を、碇君を戦わせたくなかった…
だが…
ゼルエルと名付けられた使徒に為す術も無く私とセカンドは敗退…初号機を起動させる寸前、彼女…エヴァはダミーを拒否した。
破損した零号機のエントリープラグに中継される本部の緊迫した状況を私はぼんやりと聞いていた。もう直ぐ訪れる終末を…サードインパクトを予期しながら。
サードインパクトは…起こらなかった。
碇君が…初号機を動かし戦ったから。でも…碇君は初号機に消えてしまった…
ふと右手を包む温もりに意識を戻す。 碇君の存在が隣にある事実は私を安堵させた。 満月を黙って見上げる私達。私は再び回想する…
碇君は戻って来た。 そして…セカンドは…
替わりの無い存在…セカンドの自殺的な行為は私には理解しがたかった。
「心を開かなければエヴァは動かないわ」
「ええ、死ぬわ」
「…私は人形じゃ無い…」 セカンドに叩かれ、呟いた自分の台詞…
あの時、私は初めて自我を自覚した。
私は…彼女に自我を貰った。
そして彼女は引き換えの様に…使徒に自我を壊されてしまった。
ロンギヌスの槍を投擲し、使徒を殲滅した後、司令は私に伝えた…司令自らが最後の使徒となり、リリスに融合すると…
『時計の針は動いた。今や我々は自ら針を進めねばならない。…ゼーレは最後の使徒を必ず送り込む。それはリリスを人の身に宿した疑似使徒…リリスより創造されたお前のイミテーションだ。そして彼らはその使徒が起こせずに終るサードインパクトをアダムより造られしエヴァンゲリオンを依代として起こす為に自ら動く。私はその前にアダムを以て我が身を疑似使徒と成しサードインパクトを我が手で起こす…人類の明日を望む妻の願いを叶え、再び妻と相間見得る為…』
そして…アルミサエルと言う名の使徒の出現。
零号機の自爆装置を作動させ、私は哀しみを知った。 碇君ともう会えない悲しみの涙…
あの時私は人になったのかも知れない。
…そして私は光に包まれた。
私の最後の記憶は…そこまでだ。
私は…三人目の記憶が無い。有り得ない記憶…最後のバックアップ以後のあの自爆までの記憶は確かにあると言うのに。 そしてこのリリスの肉体が何故未だ存在するのかすら私には判らない。 だけれども… 碇君と私は今こうして月を見ている。
月明かりは煌々と私達を包む。
輝く月に私は親近感を抱く。 1/6の重力の星は1/6の寿命の私に良く似ていて。
私は碇君の隣、いつも碇君を眺め、夜の逢瀬を一人待っている。
私は束の間碇君を借りている。
セカンドは何れ自分の心に素直になる。そして又彼の…碇君の元へ戻る。 推測では無く確信。 私の命ある内に…
寂しいが悲しくは無い。碇君とこうして月を眺め、私は幸せに満ちている。
二人に『ありがとう』を言えるまで…私は生きたいと願う。
そしてあの月の様に…
私はこの世界を優しく照らすあの星から貴方と彼女を見守っていたい…
2017年11月11日1時11分の第二新東京郊外美ヶ原の駐車場は人気も無く
碇君の唇は熱く柔らかかった。
【後書き】
これはLRSです(きっぱり)。 レイは幸せです。(更にきっぱり)
そしてシンジも。(断言)
苦い苦しい哀しい幸せ…でも二人に後悔は無いんです。
いや正直ちとどうかなとも思ったのですが、脳内綾波が『私…これでいい』とゴーストとして囁くので。
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.30 ) |
- 日時: 2010/05/29 16:24
- 名前: タピオカ
- 1/6
七部作ご苦労様でした。感想は色々ありますが、それらは全て僕の中で渦巻き、明確な言葉にすることが出来ません。他の作家様でしたら言葉に出来るかもしれませんが、何分僕は言葉が足りないので(汗)
ただ一つ言えるのは、エヴァンゲリオンという作品の宇宙に、今までの六作品が美しいヘキサゴンを描き、この作品がその中心にあるという事ですね……。そして、その宇宙には我々が描いた星が無数に浮かび、日々宇宙は成長しているという事ですね。今ふと思ったのですが、作品を描くという事は素晴らしい事なのではないのでしょうか。今更ながら悟りました。
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.31 ) |
- 日時: 2010/05/30 23:29
- 名前: 何処
- 後れ馳せながら皆様にご挨拶。
初めまして、何処と申します。LRS、LAS問わず趣味駄文を書きなぐる遅れてきたおっさん物書きでございます。
皆様の暖かいご感想有り難うございます。
さて、では作品解説
・七回目の君へ
何処が某所で書いたLAS作品の設定準拠。 発想は[魂が一人にしか宿らない…って試したんか…だろうな…]て所から。
・シークレット7
敢えてキャラ出さず。甘〃カップルはだいたいこんなもん。けっ。
・番茶と〇〇屋敷
考えるな、感じるんだ。
・綾波さん思考する
これが一番お気に入り。 某LASサイトの『綾波さん、すっとばす』とは似て非なる物。どっちも本人書いてるから仕方ない。
・99,8888889%
寝不足でついうっかり99,9999999%と最初に打ってもうた。
・七人のアホ
解説不要。書いた本人が一番アホ
・1/6
〆はまともに書いておこうかと。 偶々某チューブで聞いた『Moon』を又聞こうと探して出逢った『1/6』に直撃喰らって後はもう勢い。 タピオカ様の感想に「エヴァンゲリオンSS書いてて良かった。」と感動。
万華鏡の如く七つの鏡で映した脳内綾波レイを書いたつもりの今回、どれも別世界の綾波レイで繋がりはありません。
何処作品が基本一人語りなのは作者の力量不足だから無視せよ諸君。
てな訳で又何か思いついたら書きますので宜しく。
最後にもう一度ご感想下さった皆様&掲載させて頂いたこちらの管理人様に
ありがとう。
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.32 ) |
- 日時: 2010/06/03 07:17
- 名前: tamb
- 極端に時間がないので本日はここのみに反応。
なんか聞いたことある名前だなとは思っていたので、>>31をヒントに検索してみたら、色々 ヒットしました(笑)。tomatoさんあたりとは交流があったりするのかな?
【1/6】
> 某カロイドの名曲【MOON】
というのは、 http://www.youtube.com/watch?v=udnH_0TVZyY ですかね? もうちょっと歌詞のはっきり聞き取れるバージョンがあるといいんですが。
痛モノって何でしょうっていう議論を今さらするつもりはないけど、私的にはこれは痛くな い。というか、言っちゃなんですがこちとら十年もFF読んでるんで、このクラスなら耐性は出 来てます(笑)。 LRSなのは問題なくLRSでしょう。矛盾点はスルーせよということなのでスルーしますがw、 プロットあるいはシーンとしてよく出来ていて美しいだけに気になるのは気になります。 ラストで綾波レイの肉体がどうなっているのか判然としない部分はあるけど、この手の話を 読んでここまで来たんならはっきりと帰還してアスカとラブコメやれよ、と思ったことも私が 自らの手でFFを書く動機の一つになったことははっきりさせておくべきかなと思ったので書い ておきます。
いずれにせよこの話はまだプロット段階なので、企画とかそういう縛りを抜きにして大長編 で書いて頂きたいと強く願います。うんざりするほどのダメ出しに耐えていただくことになり ますが(笑)。かつて良く書いた言葉をまた書きます。もったいない。
素敵な話をありがとう。
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.33 ) |
- 日時: 2010/06/03 20:02
- 名前: 何処
- ども、何処です。
【moon】【1/6】歌詞付き貼っておきます。
感想有り難うございました〜
読み切り短編に『もったいない』ってあらあらどうしましょう、大長編てああたそんな御無体な(爆) 〜
余韻や含み込めて敢えて暈した所突っ込まれるたぁおいちゃん参った(苦笑)
ま、掴みはおKだったかなと。李飛龍風に『考えるな、感じるんだ』て事で一つ(笑)
又何か考えます。
【1/6】歌詞付き(日・英)
http://www.youtube.com/watch?v=d2Ou8HsTEzc
【moon】歌詞付き(日)
http://www.youtube.com/watch?v=idJON5rTgzk&sns=em

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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.34 ) |
- 日時: 2010/06/05 06:00
- 名前: tamb
- > 余韻や含み込めて敢えて暈した所突っ込まれるたぁおいちゃん参った(苦笑)
そりゃ突っ込むよ。苦笑されたって。余韻にも含みにも、あえてぼかしてるようにも読めな けりゃ突っ込むしかない。
> 李飛龍風に『考えるな、感じるんだ』て事で一つ(笑)
それはそれでいいと思います。結果オーライであれば。だから、
> 又何か考えます。
感じるんだ!(爆)
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Re: 1111111ヒット記念企画 ( No.35 ) |
- 日時: 2010/06/07 02:16
- 名前: calu
「……遅いわ」
黒く澱んだ霧を薄めるように、切っ先を入れる陽射しだけが光源となる茫漠な空間。ネルフ本部総司令室。 森閑とした空間に独り言を浮かべた少女の髪の色は美麗なるプラチナブルー。微かな陽光の照りかえしを受けては、 ときおり零れる煌めき。 今その少女はどこかで見たハイバックチェアに背を預けつつ、そのたおやかな身体に這わせるように下腹部の上で 両手の指を組んでいる。リクライニングさせた本革のハイバックは究極の寛ぎをその少女に捧げたかに見えたが、先 の呟きに具現化されているように、ややご機嫌はよろしくない。
「……まあ、直にやって来るだろうて」スポットが当てられたように姿を現したのは副司令の冬月だ。陰鬱さを隠さず コツコツとレイに歩を進めた。「レイ、ところでな……」 「……何でしょうか?」 「……いや、その、おまえが座ってる椅子なんだが」 「…………」 「私専用の椅子なんだが――」 「いい椅子だと、思います」 「そう…いや、そうでは無くてだな」 「…………」 「長年私が――」 「碇くん、遅いわ」 「……そうだ、な」
確かにいい椅子だとレイは思った。体重を絶妙のバランスで受け入れてくれるイタリー製の牛革は、全身から緊張 というものを蒸発させるように奪い、心地良さの波間を漂う意識は、ときおり沼の底に引きずり込まれるような睡魔 に幾度も襲われることとなった。そして極め付けはオットマンだ。両のふくらはぎを妙なる優しさで抱きとめてくれ る猫脚を持った天使のスツール。触れ合うその心地良さは――
まるで碇くんのよう……。
沈思黙考に沈むレイ。冷厳たる表情とは裏腹に、胸のなかは既にぽかぽかしているようだ。実にエコであるが、シンジ が姿を現したら一度オットマンになって貰おうなどと真剣に考えていた。 様々な妄想で想定外の時間を費やしてしまったが、このハイバックチェアはどう考えても副司令の将棋専用チェアと しては些かオーバースペックだという結論に至った。マッサージ機能が付加されていないのが惜しいところだが、いず れにしても今は腰を上げる気にはなれない。せめて、その到着を心待ちにしている少年が来るまでは。 そうだ。どうせゼーレから一方的に割賦されたネルフの予算で購入した備品に相違無いのだ。組織の資産である限り、 誰が使用しようが問題は無い筈だ。副司令も健康のためには、偶には立ちっぱなしもいいだろう。筋力増強は基礎代謝 を涵養するのだ。さらに腹筋も併せて鍛えれば、或いは腰痛も――。
「おはようございまーす!」 「遅くなってごめん! 間に合ったかしら!?」 「いやー悪い。ご婦人方の身支度に時間が掛っちまって」 「おっはよー。あれ? シンジまだ来てないの?」
ディラックの海でゆらゆら小舟に揺られていたレイの意識は、総司令室に突如なだれ込んだ大量の闖入者によって 強制サルベージされた。俄かに騒然さに支配されたエアロックドア周辺に目をやり、駆け込んできた葛城ミサトに長 門マキ、そしていつもと変わらず加持リョウジにぶら下がるように纏わりつく惣流・アスカ・ラングレーに表情の無 い一瞥を送った。ちょっと待って、今日こんなに出るのかしらと独りごちたレイは、そっと台本を手に取り頁を繰り 始めた。
「ねえファースト、それ台本?」 「そう」 「えーとっ、タイトルは『anniversary』だったっけ? どんなプロット? なんか1111111ヒット 記念企画ってことだけ聞いてんだけど」 「"1"を絡ませればいい、らしい。だから設定上、わたしは中学"1"年生になってるわ」 「はあー、それで使徒襲来の"1"年前ってヤツね…どうにも安直、貧困極まりない発想だわ」 「作者が作者だもの」 「どうせならシンクロ率並びに使徒殲滅能力ナンバー"1"たるこのアタシの話にしときゃあいいのに」 「綾幸だもの」 「それで? アタシたちの出番はいつなのよ」 「知らない。いま読み始めたばかりだもの」 「相変わらず素っ気ないわねー。まいっか、いつも通り出たとこ勝負ってことね。ほんっと、いい加減な作者の作品 だと苦労は絶えないわ。……ところで、バカシンジほんとに遅いんだけど、どこほっつき歩いてんのかしら」 「……シンジは購買部だ」 「!」
ぽっかりと口腔を開いた大地から絞り出されたような低いトーンにアスカは数十センチも飛び上がってしまった。瞬間 冷凍された首をギリギリと後方に向けると、光届かぬ中央付近にモニュメント然とした執務机とセット物となった碇ゲン ドウの姿が幽鬼のように浮かび上がった。ローバックに背を預けることを潔しとせず、組んだ指で口元を隠すポーズは相 変わらずである。
「し、司令…いたんですね? ……ビックリしたわ」 「……ああ」 「で、でもバカシ、いえ、曲がりなりにも主役なんだから。購買部なんかで道草食ってるなんて」 「ふん、大方忘れ物でもしたのだろう。どんくさい奴だからな」 「碇くんはどんくさいやつではないわ」 「でも、マズイな。カチンコまであと十分も無いぞ。シンジ君、間に合えばいいんだが」 「あと、リツコもまだ来てないわ」 「そう言えば、マキ。今日ミキちゃんは、来んの?」 「さっき携帯にメールが入ってたわ。食堂でゴハン食べ終わったら覗きに来るって」 「ふむ…本当にマズイな…いよいよ残り時間八分を切ったぞ」 「ふ、問題無い」 「ああ、だめだ。さっきから碇の携帯を鳴らしてんだけど電源を切ってるみたいで全然繋がんないや」 「何やてぇ!? そら、ごっつマズイやないか」 「ちょっとぉ、何で三バカの残り二バカまで来てんのよ」 「何ぬかしとんねん、このアマぁ。ワイかてチルドレンやねんで――ん、何やこのええ匂いは?」
「「お待たせ」しました!!」
派手なエアの開放音に続いて大きく口を開けたエントランスから飛び込んできた三つの影。
「ああリツコ、良かった。間に合ったわ…でも」 「何で、シンジ君とミキちゃんも一緒なの??」
カチンコまでのカウントダウンなど歯牙にも掛けない落ち着いた佇まいを見せるリツコ。その後ろには、果たして 碇シンジと長門ミキがいた。何やらその手に持って。
「マギまで使って本部施設内を探索したら、呆れた事にこのふたり購買部の物産展催事コーナーにいたのよ」 「ぶっさんてん?」 「そう、そこの催事コーナーで"たこ焼き"を焼いていたの」 「た、たこ焼き?」
……たこやき。小麦粉を水に溶き、中に細かく刻んだ蛸の小片その他のものを入れた粉物料理。大阪が産んだ 超ド級B級グルメ、と呟く空色の髪の少女を尻目に、二人に注目している全員に向かって、ゴメンとバツの悪そうな 表情を浮かべるシンジ。コクコクと大仰に頷くだけのミキはたこ焼きを頬張っているからだろう。はふはふと熱そうでもある。
「そう、たこ焼き。何でも実演販売の職員が持ち場から離れた隙に、彼女がトライしたらしいのよね。でも通り かかったシンジ君が見てられないって飛び入り参加でヘルプに入ったらしいのよ」 「はー、このええ匂いはそのたこ焼きから来とんねんなー。ワイもひとつ頂きまっさ……おおっ、こりゃごっつ 上手いでえ! 外はカリカリ中しっとりや! シンジ、若しかしてワレたこ焼き検定持っとんのとちゃうやろな」 「こっちの舟のはあたしが最後に焼いたものなの。良かったら皆さんも――」 「ミキ、今はたこ焼き食べてる場合じゃないのよ。カチンコまでもう時間が無いのよ。シンジ君の飛び入り参加 を許したのは不味かったわ」 「お、おねえちゃん、ごめんなさい。あたし、いつもシンジ君のこと見てるだけだから、少しだけお話ししたくて……」 「まーまーマキ、もういいじゃない。何とか間に合いそうだし。それにこのたこ焼きすっごく美味しいしぃ。ほんでミキちゃん、 どうだった? シンちゃんからちゃんと教わった?」 「はい…シンジ君、ホントに凄いんです。料理針の捌き方もプロみたいだし、生地の仕込みもすっごい緻密なんですー」 「ふーん。それで、手取り足取り腰取り指導を受けてたんだ。そんで、そんとき変なとこ触られなかった? コイツこれで結構 スケベなんだからね」
アスカによる想定外のN2アタック。仄暗い室内に沈殿した空気にピシリと奔った音は空耳に依るものか。組んだ手の裏でもぐもぐ 大ダコを咀嚼していたゲンドウはその口の端を歪ませ、レイはビクンと肩を震わせた。
「ななな、な何てこと言うんだよ、アスカ!」 「あーら、ゴメンあさあせ。本当の事言っちゃってえ」 「……そう言えば」 「……そう言えば?」
ポトリと落ちたミキの言葉に十戒の如くの亀裂が入った司令室の雰囲気。身を乗り出し目を細めた冬月の眉間には五百円玉が二枚挟 めるほどの深皺が刻まれている。
「シンジ君が蛸を切っているときなんですけど……」 「…………」水を打ったような司令室内に誰かの固唾を呑んだ音だけがやけに目立った。 「包丁を握ったシンジ君の右肘が……後ろでシンジ君の手元を見てたあたしの胸をツンって突いたりしたかな……二回、いや三回くらい」 「えええ!! そそそんな、ぼ僕はただ」
だってシンジ君たら何も言わずにイキナリ触るんだもの…少し声が出ちゃった、と小さく舌をだすミキを尻目に、ガタッと椅子を鳴ら して立ち上がったゲンドウは、右手で鈍色に光ったサングラスを直すと冷厳な表情を崩さずシンジを見据えた。
「……シンジ、お前には失望した。なぜそれほどまでコソコソする必要がある? 堂々と正面から鷲掴みにすれば良いではないか」こう いう風に、とでも言うように暗色の士官服を翻し右手を突きだしたゲンドウ。そのサングラスには怪しげな光を湛え、口の端は容赦なく 歪められていた。 「な、なな何言ってんだよ、父さんまで!」 「わたしは以前、碇くんに押し倒されて正面から胸を掴まれた事があるわ」
この上無いタイミングでレイから放たれた二発目のN2アタックに三度凍りついた総司令室。それでも誤解(?)を解こうと必死の表情 で顔を上げたシンジだったが、レイの血よりも紅く染まった瞳に見据えられ、忽ちの内に金縛りにあった。 身体中の毛穴という毛穴から滲み出る不快な脂汗を感じながら、耳の奥深く響く自分の鼓動に重ねるように、シンジは心の中で叫び声を 上げていた。助けてよ助けてよ、誰が助けてよ。 次の瞬間、シンジの視界と意識を過ぎったプラチナブルーの少女の影は、シンジに一瞥をくれることも無く、時間だわ行きましょ、何が あったかは後から聞く、とシンジだけに聞こえる声で囁いた。 斜日が、索莫たる司令室に差し込む陽射しを一層強くした。少女の声の向こうにカチンコの音が弾けたような気がした。
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