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You really got a hold on me
件名 | : Re: You really got a hold on m |
投稿日 | : 2012/01/22 10:46 |
投稿者 | : タン塩 |
参照先 | : |
caluさんありがとうございます。カヲル君はもっと変な奴だと思うんですが書け
ない(笑)これじゃ単なるサボり野郎だ。
タイトルは例によって苦し紛れの後付け。しかし改めて歌詞を聞くと“I don't
like you but I love you”とか、なんかそれっぽいな。
ない(笑)これじゃ単なるサボり野郎だ。
タイトルは例によって苦し紛れの後付け。しかし改めて歌詞を聞くと“I don't
like you but I love you”とか、なんかそれっぽいな。
件名 | : Re: You really got a hold on me |
投稿日 | : 2012/01/21 16:19 |
投稿者 | : calu |
参照先 | : |
タン塩さん
LAK推進活動記念、一作目、読了しました。有難うございました。
タン塩さんの作品を久しぶりに読ませて頂いたのですが、リズム感があって読みやすく、やはり
カヲル君は変な奴で(爆)、もとい、宇宙的に大らかな自由人で、そんなカヲル君にイライラ
しているアスカ様がカワイイ。
>「なら一人ぼっちにしないでよ!いつも一緒にいてよ!」
心情と言動のディスクレがアスカ様のデフォとのイメージが強かっただけに、こういうストレートなアウト
プットは良いですね!
>「スカートでハイキックはやめた方がいいね。でないと、かわいいクマちゃんのパンツが見えて
> しまうよ」
楓さん、是非絵にしていただけないでしょうか(願)?
また次作もお待ち申し上げます。
LAK推進活動記念、一作目、読了しました。有難うございました。
タン塩さんの作品を久しぶりに読ませて頂いたのですが、リズム感があって読みやすく、やはり
カヲル君は変な奴で(爆)、もとい、宇宙的に大らかな自由人で、そんなカヲル君にイライラ
しているアスカ様がカワイイ。
>「なら一人ぼっちにしないでよ!いつも一緒にいてよ!」
心情と言動のディスクレがアスカ様のデフォとのイメージが強かっただけに、こういうストレートなアウト
プットは良いですね!
>「スカートでハイキックはやめた方がいいね。でないと、かわいいクマちゃんのパンツが見えて
> しまうよ」
楓さん、是非絵にしていただけないでしょうか(願)?
また次作もお待ち申し上げます。
イライラするのは好きじゃない。好きな奴はいないか。
あたしだって、できれば毎日穏やかに過ごしたい。パリで見た鈴蘭祭のように、
派手ではないけれどなんとなく華やかな、そんな気分でいられたらどんなに素敵
だろう。なのに、あたしはイライラしてる。
窓の外は、まるで五月のパリみたいな爽やかな天気。なのにここはパリじゃない。
第二新東京市の高校の窓からは、マロニエの並木道もシテ島の橋も、鈴蘭の花売
り娘も見えない。
「あ、あの、アスカ」
「何?」
「ぼ、僕らの班の課題だけどさ、一応まとめておいたから目を通してくれない?」
何をおどおどしてるのよバカシンジ。いえ、わかってる。今のあたしはイライラ
オーラを全身から発散してるにちがいない。
「碇、くん」
シンジの後ろからあの女が顔を出す。ポーカーフェースのようでいて、どことな
く柔らかい空気を漂わせて。ああイライラする。
「はいはい、見とけばいいんでしょ」
シンジの差し出すUSBメモリを引ったくり、あたしは尋ねた。
「…あいつはどこに行ったの」
「あいつって?」
「やっぱりいい」
「あ、カ、カヲル君!?カヲル君なら昼休みに帰っちゃったよ、鞄持って」
やっぱり。あたしのイライラはもう頂点。
「碇くん」
「あ、ゴ、ゴメン綾波」
「あんたら、これからデート?」
「デ、デートなんてそんな。ただ一緒に本屋に寄って、それからお茶…」
「帰る」
なんてザマだろう。この眩しい陽射し、爽やかな風に吹かれながら、あたしは一
人トボトボと下校中。こんな気持ちのいい日に、こんな気分でいなきゃいけない
なんてバカみたい。バカシンジとあの女はますます人をイライラさせるし。
違う。あたしは嫉妬していたんだ。あの女に。あの柔らかい雰囲気に。あれは、
好きな人がそばにいる安心感。
「やあ」
いた。人の部屋に上がり込んで、勝手にシャワーを浴びたのか、上半身裸でタオ
ルを首に掛けて、しかも人のジンジャーエールを勝手に飲んで。
「上がらないの?」
「……何してんのよ」
「午後の授業は気が乗らないから、ここで少し昼寝してシャワーを浴びたのさ」
見れば、朝きっちりメイクしたベッドが寝乱れてグチャグチャ。
「…せいっ!」
「おっと、危ないなぁ。君の左ハイキックは凶器だよ」
「姿が見えないと思ったら人の部屋に上がり込んで勝手放題、キックぐらい当然よ!」
「僕の部屋よりここの方が学校から近いしね」
「だからって、ちょっとは遠慮とかないの!?」
「鍵をくれたのは君じゃないか」
「ぐっ」
「それに、自分の部屋よりアスカの部屋の方が落ち着くのさ。アスカの匂いが染
み付いているからかな」
「え」
「自分の部屋は好きじゃない。だって自分しかいないからね。この部屋にはアス
カがいる。ベッドもソファーもアスカの匂いがする。君は香水なんかつけなくて
も、とてもいい匂いがするからね」
「な、何言ってるのよ」
「ほら、こんなに」
そう言って人を勝手に抱きしめる。裸の胸に頬が埋まる。
「いい匂いで、軽くて、柔らかくて。君は本当に魅力的だ」
「……なら」
「え?」
「なら一人ぼっちにしないでよ!いつも一緒にいてよ!」
「…アスカ」
「あんたはいつもそう!フラッとどこかに行ったまま帰って来ないで。残されて
一人でいるのは嫌なのよ!」
「ごめん」
抱きしめる腕に力がこもる。裸の胸に顔が埋まる。
「そうだったね。僕は君の心を見るのを忘れていたよ。そんなに寂しかったなん
て気付かなかった。ごめん」
「……」
「僕はもうリリンになったんだ。それは自分で選んだことなのに、未だにリリン
の生き方に慣れない。君にそんな思いをさせるつもりじゃなかったんだ」
そうだ。初めて会った時、こいつは虫が好かなかった。多分、嫉妬していたんだ。
あたしはずっと束縛されていた。ママが死んでから、最後の戦いまで。飛び級で
大学を卒業して、訓練を受けて、エヴァに乗って。最大の目標だったエヴァへの
搭乗。それさえもが多分、どこかのずるい大人に誘導されたものだった。全てが
終わった時、あたしはそれを悟った。
そこにこいつが現れた。達観したような醒めた目つきで飄々と。あたしはほとん
ど生理的な嫌悪感すら感じた。面と向かって『あんた、いけ好かないのよ!』っ
て言ってやったっけ。それなのにこいつと来たらキョトンとして、それから嬉し
そうな顔をして『それが怒りという感情かい?初めて見た』なんて言うからます
ますムカついて、ひっぱたいてやった。今思えば、こいつが漂わせてた『自由の
匂い』に反発してたのかも知れない。
だけど、こいつを知るにつれて、そういう感情は薄れていった。こいつには演技
も芝居もない。根っからそういう変な奴なんだとわかってバカバカしくなった。
いつからだろう。こいつを束縛してやりたいと思うようになったのは。小鳥のよ
うに気ままに飛び回るこいつを、あたしの傍に縛り付けてやりたいと思うように
なったのは。こいつを束縛できる、世界で唯一の存在になりたいと思ったのは。
だけど、結局は逆。こいつは相変わらず自由で、あたしはこいつに身も心も搦め
捕られて身動き取れない。悔しい。悔しい。
「…えい!」
「痛っ!足を踏むなんてひどいよアスカ」
「さっさとシャツを着なさいよ!風邪引くわよ」
「大丈夫さ。アスカはあったかいから」
「……一つ聞いていい?カヲルはいつ、あたしを好きになったの?」
「さあね。強いて言うなら、初対面で君に叩かれた時かな」
「…あんたマゾ!?」
「初めてだったんだ。叩かれたのも、他人に怒りを向けられたのも。そして、激
しい感情を見せた君に興味を持った。もっと君を知りたいと思った。
結果は予想以上だったね。君の表情はクルクル変わる。笑い、泣き、怒る。豊か
で激しい感情。それこそ僕の欲しかったものだった。それを持った君はとてつも
なく魅力的で、独り占めにしたいと感じた。だから、そうした。それだけさ」
「…ふーん」
「それに、今日もまた一つ、アスカの新しい面を知った。意外とかわいいものが
好きってことさ」
「かわいいものって、なんかあんたに見せたっけ?」
「スカートでハイキックはやめた方がいいね。でないと、かわいいクマちゃんの
パンツが見えてしまうよ」
「……ていっ!」
「ぐはぁっ!裏拳は…反…則……」
【終わり】