レイの心模様

第5話     新たな仲間


始業の鐘が鳴り、生徒達が席に戻る

シンジもトウジ達と別れ、自分の席に戻る

その間、ずっとシンジを目で追っていたレイ

そんなレイに気がついたのか、シンジはレイに微笑みかける

そんなシンジに微笑み返すレイ

シンジはそんなレイを嬉しく思っていた

自分に心を開いてくれている、その証に思えて

シンジが席に着くと同時に現れる老教師

ヒカリの号令と共に、SHRが始まる





レイはSHRの間、ずっと窓に映るシンジを見ていた

何時もの日常、何時もの日課

だが、それを壊すものが現れた

「それじゃあ、入って来なさい」

そんな教師の言葉と共に、教室に入ってくる、紅い髪と蒼い瞳が印象的な少女

少女は、黒板に流麗なアルファベットの筆記体で自分の名前を書くと

「惣流・アスカ・ラングレーです、宜しく!」

くるっと回り、明るく、魅力的な笑顔でそう挨拶をした

騒がしくなるクラスの男子達

そんな男子達を女子達は不機嫌そうに見る

だが、そんなことを気にしないレイは、ただひたすらにシンジを見ている

だからこそ、レイは気付いた

シンジが優しい微笑を浮かべて転校生の少女を見ている事に

そんなシンジの表情に心が痛くなるレイ

ふと、転校生に視線を転じると、その少女もシンジに優しげに微笑み返している

それを見たレイの心に漠然とした、何か言い知れぬものが沸き起こる

そんな、自分の新たな感情にレイは戸惑いを感じる

新たな感情に翻弄されているレイの前に現れる人影

それは、転校生アスカのものだった





「貴方がファースト・チルドレン、綾波レイね?アタシはセカンド・チルドレン、惣流アスカラングレー!仲良くしましょ」

そう言いつつ手を差し出すアスカをみつめるレイ

だが、視線を落とすと

「命令があればそうするわ」

と、答えた

先程の不快感の要因の一つがこの少女なのだから、この反応も仕方が無いとも言える

それに、未だ人と仲良くする事に意義を感じないレイ

必要なのは、シンジとゲンドウだけなのだから

しかし

「綾波、そんな言い方は良くないよ」

レイの耳に届く、少年の言葉

振り返ると、悲しそうな表情のシンジがレイをみつめていた

そんなシンジの表情に、また胸を締め付けられるような感覚に襲われるレイ

そんな、心の動きに突き動かされてレイが問う

如何したのかと

そんなレイの問いに答えるシンジ

「綾波、人との絆は命令されて結ぶものじゃないんだよ。自分で相手が差し伸べてくれている手を取る事で、或いは自分から相手の人に手を差し伸べて、その手を取って貰う事で結ばれるものなんだ。綾波、君は僕が差し伸べた手を自分で考えて取ったはずだよ?それとも、最初から命令されてたの?」

そんなシンジの答えに、愕然となるレイ

慌てて首を激しく横に振ると

「そんなこと無い!碇君との絆は命令されてなんかじゃない!」

そう答える

そして、気付いた

そう、シンジとの間に感じる絆は自分で選び取った結果である事を

レイはシンジを見上げると

次にアスカに視線を移し

「ごめんなさい。これから宜しく」

そう言って手を差し出す

なんだか、気の抜けたような表情をしながらも、レイの手を取ると

「宜しく」

そう言いながら、微笑むアスカ

そんなアスカの手の暖かさと笑顔に、レイは嬉しさを感じた

シンジの方に振り返ると、そこには彼女の好きな笑顔

自分が間違った行動をしていない事に、シンジに喜んで貰えた事に、嬉しくなるレイ

レイは、シンジとアスカに対して軽く微笑んだ

初めて見るレイの笑顔に、教室は驚愕の感情で埋め尽くされた

担任に促され、割り当てられた席に向かうアスカと、自分の席に戻るシンジ

席に戻る間に二人で交わされる笑顔に、まだ胸がちくりとするものの

心に新たな暖かさが満ちるのを感じるレイ

それは、新たな仲間が現れ、新たな絆が結ばれた印

レイの狭く暗い世界に、新たな光が投げ込まれた



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後書き


最後がかなり変わりましたねー

いや、私の中にあったシンジのセリフが、書く事で変わってしまったもので

これが今後の展開にどんな影響を及ぼすのか・・・・・(^^;まあ、それは今後のリニューアルが出来上がってのお楽しみって事で

それでは

タッチでした




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