始業の鐘が鳴り、生徒達が席に戻る
シンジもトウジ達と別れ、自分の席に戻る
その間、ずっとシンジを目で追っていたレイ
そんなレイに気がついたのか、シンジはレイに微笑みかける
そんなシンジに微笑み返すレイ
シンジはそんなレイを嬉しく思っていた
自分に心を開いてくれている、その証に思えて
シンジが席に着くと同時に現れる老教師
ヒカリの号令と共に、SHRが始まる
レイはSHRの間、ずっと窓に映るシンジを見ていた
何時もの日常、何時もの日課
だが、それを壊すものが現れた
「それじゃあ、入って来なさい」
そんな教師の言葉と共に、教室に入ってくる、紅い髪と蒼い瞳が印象的な少女
少女は、黒板に流麗なアルファベットの筆記体で自分の名前を書くと
「惣流・アスカ・ラングレーです、宜しく!」
くるっと回り、明るく、魅力的な笑顔でそう挨拶をした
騒がしくなるクラスの男子達
そんな男子達を女子達は不機嫌そうに見る
だが、そんなことを気にしないレイは、ただひたすらにシンジを見ている
だからこそ、レイは気付いた
シンジが優しい微笑を浮かべて転校生の少女を見ている事に
そんなシンジの表情に心が痛くなるレイ
ふと、転校生に視線を転じると、その少女もシンジに優しげに微笑み返している
それを見たレイの心に漠然とした、何か言い知れぬものが沸き起こる
そんな、自分の新たな感情にレイは戸惑いを感じる
新たな感情に翻弄されているレイの前に現れる人影
それは、転校生アスカのものだった
「貴方がファースト・チルドレン、綾波レイね?アタシはセカンド・チルドレン、惣流アスカラングレー!仲良くしましょ」
そう言いつつ手を差し出すアスカをみつめるレイ
だが、視線を落とすと
「命令があればそうするわ」
と、答えた
先程の不快感の要因の一つがこの少女なのだから、この反応も仕方が無いとも言える
それに、未だ人と仲良くする事に意義を感じないレイ
必要なのは、シンジとゲンドウだけなのだから
しかし
「綾波、そんな言い方は良くないよ」
レイの耳に届く、少年の言葉
振り返ると、悲しそうな表情のシンジがレイをみつめていた
そんなシンジの表情に、また胸を締め付けられるような感覚に襲われるレイ
そんな、心の動きに突き動かされてレイが問う
如何したのかと
そんなレイの問いに答えるシンジ
「綾波、人との絆は命令されて結ぶものじゃないんだよ。自分で相手が差し伸べてくれている手を取る事で、或いは自分から相手の人に手を差し伸べて、その手を取って貰う事で結ばれるものなんだ。綾波、君は僕が差し伸べた手を自分で考えて取ったはずだよ?それとも、最初から命令されてたの?」
そんなシンジの答えに、愕然となるレイ
慌てて首を激しく横に振ると
「そんなこと無い!碇君との絆は命令されてなんかじゃない!」
そう答える
そして、気付いた
そう、シンジとの間に感じる絆は自分で選び取った結果である事を
レイはシンジを見上げると
次にアスカに視線を移し
「ごめんなさい。これから宜しく」
そう言って手を差し出す
なんだか、気の抜けたような表情をしながらも、レイの手を取ると
「宜しく」
そう言いながら、微笑むアスカ
そんなアスカの手の暖かさと笑顔に、レイは嬉しさを感じた
シンジの方に振り返ると、そこには彼女の好きな笑顔
自分が間違った行動をしていない事に、シンジに喜んで貰えた事に、嬉しくなるレイ
レイは、シンジとアスカに対して軽く微笑んだ
初めて見るレイの笑顔に、教室は驚愕の感情で埋め尽くされた
担任に促され、割り当てられた席に向かうアスカと、自分の席に戻るシンジ
席に戻る間に二人で交わされる笑顔に、まだ胸がちくりとするものの
心に新たな暖かさが満ちるのを感じるレイ
それは、新たな仲間が現れ、新たな絆が結ばれた印
レイの狭く暗い世界に、新たな光が投げ込まれた
後書き
最後がかなり変わりましたねー
いや、私の中にあったシンジのセリフが、書く事で変わってしまったもので
これが今後の展開にどんな影響を及ぼすのか・・・・・(^^;まあ、それは今後のリニューアルが出来上がってのお楽しみって事で
それでは
タッチでした