レイの心模様

第7話     嫉妬、後、幸せ


ブリーフィング後、作戦部長室に呼び出されるシンジとアスカ

二人は、ミサトにもお小言を言われるのかと、少々げんなりしていた

部屋に入ってきた二人を迎えたのは、ミサトと加持、リツコの三人

「貴方達二人に、次の作戦の為の特訓を受けて貰います」

二人を前にそう切り出すミサト

「特訓?」

アスカが問い返すと

「そう、特訓」

ミサトは頷いて返す

「第七使徒の弱点は一つ、分離中のコアに対する二点同時の加重攻撃、これしかないわ!つまり、エヴァ二体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。その為には二人の協調、完璧なユニゾンが必要なの」

そう言って、二人を見渡すと

「そこで貴方達に、これから一緒に生活して貰うわ。」

と、言い切る

「「ええ〜!!」」

驚きを露にする二人

「使徒は現在自己修復中、第二波は六日後、時間が無いの」

ミサトは二人の様子に、使徒の現在の状況を説明すると

「二人の完璧なユニゾンをマスターする為、この曲に合わせた攻撃パターンを覚えこむ事。六日以内に、一秒でも早く。尚、作戦拒否は認めません」

そう言って、話を打ち切った





レイは、ぼんやりと窓の外を見ている

あの敗戦から既に三日目、シンジは未だに学校を休んで特訓を続けている

あの少女と共に・・・・・

チクリ

レイは、胸に針で刺されたような痛みを感じた

それは、彼女が来てから時々感じるようになった痛み

彼女からも暖かさを、絆を感じる

だが、それ以上に彼女とシンジが仲良く話している所を見ると沸き起こってくる、もやもやとした感情の方が大きく

彼女に対して、何処か敵意に似た感情を持ってしまう

そんな感情を持て余すレイ

だからこそ、誤魔化すように窓の外を見るのだ

自分の心の平静を保つ為に

レイの心を埋め尽くすのは寂しさ

シンジが傍にいない事に対する・・・・・

シンジと会えない事に胸が締め付けられる感じを何時も感じていたレイ

彼女が来て、特訓で学校に来なくなった事でその感じは更に強くなったのだ

だが、レイはまだ、自分が寂しがっている事に気づいていない

何故なら、まだそこまでは自分の感情を理解していないのだから・・・・・





放課後、レイはネルフに向かった

今日は、記憶のバックアップを取る日なのだ

沢山のクローンがいて、死んだら次の器に魂が移るレイだから

計画が失敗しないようにするための必要な措置として、ゲンドウが指示しているのだ

レイにしてみれば当たり前のこと

例えそれが、普通の人間からすれば異常な事であっても

ただ、何時もは無表情にネルフへ向かうレイなのだが、今日は少し笑みが浮かんでいる

ネルフへ行けばシンジと会えるかも知れないと思っているのだから、それも頷けよう

だが、結局シンジと会えないまま時間は過ぎ去る

失意のままネルフから帰ろうとするレイ

しかし、ゲート前にミサトが立っていた

ミサトは、レイを見つけると微笑みかけながら近寄り

駐車場まで連れて行くと、車に押し込む

その間、ずっと無表情を保つレイ

だが心の中は、これからシンジに会えるであろう期待に満ち満ちていた





ミサトの家で、ユニゾンの特訓を無表情にみつめるレイ

目の前では、シンジとアスカがツイスターのようなものを使って音楽に合わせながら踊っている

しかし、上手く行ってないのか、二人の表情は冴えない

それでも励ましあい、特訓を続ける二人の姿に、レイの心の痛みは更に強くなる

少しずつは合ってきているようだが、まだまだという感じの二人

疲労が溜まってきた為、一旦休憩をする事にした

休憩を終えた所で、ミサトからレイに声が掛かる

曰く

「レイ、貴方とシンちゃんでやってみて」



その言葉に、胸を弾ませるレイ

シンジの横に立つと、音楽のスタートを待つ

音楽がスタートし、始まるユニゾン

踊りの中、シンジの心とレイの心が重なる

その心地良さに陶酔するレイ

無我夢中で踊り終えた時、レイの心は昂揚感に包まれていた

まるでアスカにあてつけるように二人を褒めるミサト

そんなミサトの行為に、涙を流して飛び出して行くアスカ

ミサトは、明らかに「しまった」という表情をし

シンジはアスカの後を追おうと、駆け出そうとする

だが、駆け出せない

レイがシンジの腕にしがみ付いているから・・・・・

自分の行動に驚くレイ

呆然としていると、誰かに頭を撫でられた様に感じた

見上げると、そこには優しく微笑むシンジの顔

何となくレイは、くすぐったい様な、逃げ出したい様な感覚に捉われてシンジの腕を離す

もう一度シンジは、微笑みながらレイの頭を撫でると、アスカを追いかける為に飛び出していく

その後姿をレイは、悲しそうに見ていた





笑顔で帰ってくる二人

その後の特訓は、今までの事が嘘だったと思わせるほど、息がぴったりと合っている様にレイには見える

胸の痛みが更に強くなる

訓練後、シンジに送ってもらって帰途に着くレイ

その途中、レイは

「碇君、私、胸が痛いの。貴方に会えないことが辛いの。こんな時、如何すれば良いの?」

そう、シンジに問い掛ける

レイの言葉に、驚くシンジ

自分を真摯にみつめるレイを見て

シンジは、レイが寂しがっている事を知る

悲しみが宿るシンジの目

それを見て、迷惑なのだと思ったレイは、駆け出そうとする

途端にシンジに後ろから抱き締められる

シンジから伝わってくる暖かさに、今までの負の感情が全て溶け出し、押し流されていくように感じる

そんなレイの耳に届く、シンジの言葉

それは、レイに幸せを運んできた





打ち出される初号機と弐号機

二体は、完璧なユニゾンで使徒を追い詰めてゆく

堪らず分離する使徒に、二人は勝利を確信する

ぴったりと息の合った攻撃と回避を行う二機

繰り出した蹴りが、分離した使徒のそれぞれのコアを寸分の狂いも無いタイミングで砕く

お互いに勝利を喜び合う、シンジとアスカ

そんな二人を見ていると、胸に痛みを感じるものの

これからの事を考えると、不思議と落ち着くレイであった



【前話】   【次話】

後書き


これで三部作のリニューアル終了です

しかし、殆ど告白に近いレイの台詞にも、シンジはまだレイの気持ちに気づいていない設定です(爆

次は、確かオリジナルストーリーだったと思うんですが・・・・・

今度は余り変えません

何故なら、7.5話と融合させるからです(笑

それでは

タッチでした




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