とある日曜日、レイはアスカに手を引っ張られて街を歩いていた
嬉しそうな表情でレイの手を引っ張りつつ先を歩くアスカ
戸惑いつつも、何処か嬉しそうな表情でついていくレイ
そんな二人を優しい表情でみつめつつ、後を追いかけるシンジ
今日は三人で買い物に出ているのだ
それは修学旅行に向けての買い物
シンジやアスカは修学旅行を楽しみにしているのだろう、ずっとニコニコしている
どうして楽しみなのかは、レイには分からない
だが二人の嬉しそうな、楽しそうな雰囲気にレイも一緒になって笑顔になる
と、レイがシンジの方に手を伸ばす
シンジは、突然レイの手が触れてきた事に驚いたが、笑顔を深めるとレイの手を握り返す
その事を嬉しく思うレイ
レイの笑顔も深くなった
デパートに着くと、アスカは躊躇せず水着売り場に向かう
シンジは恥ずかしくて、逃げようとするが
レイが手を離してくれない
懇願の視線を送るが、レイは頑なに離そうとしない
そうこうしているうちに、到着してしまう水着売り場
その途端、アスカはレイの手を離すと水着売り場に特攻をかけるかのように突っ込んでいく
あっちこっちと動き回りながら、手当たり次第に水着を引っ張り出していくアスカ
そんなアスカの様子を呆然とみつめるレイとシンジ
その手はまだ、握り合ったままだった
その事に気付いたレイがシンジを見上げると
そこには真っ赤になって困った表情をしているシンジの顔が
如何したのかとレイが声を掛けようとした、その時だった
「シンジ、シンジ〜!如何、コレ?」
アスカがシンジに水着を見せにやってきた
それは赤の生地に白いストライプの入ったトップスと、真っ白なアンダーのビキニタイプ
水着を見た瞬間、シンジは真っ赤になると
「な・な・な・な・何だよ、その水着!ぼ・ぼ・ぼ・ぼ・僕達まだ中学生なんだよ?は・は・は・は・早すぎるよ!!」
そう言って、レイの手と繋がっていない方の手で、自分の目を覆う
「え〜!シンジ、オックれてる〜!今時こんなの当たり前よ!」
アスカはシンジの態度にそう言いながらも満更な反応じゃないのか、満足そうな表情をしていた
レイは二人の様子に戸惑いと疎外感を感じる
何か、自分が此処に居てはいけない様な、そんな感じ
一人落ち込みそうになったレイの手が、いきなり引っ張られる
引っ張ったのはアスカ
突然のアスカの行動に驚き、シンジの手を離してしまうと
そのまま水着が陳列されているラックの前まで連れて行かれ
「アンタも早く選びなさいよね!」
と、色々な水着を渡されるレイ
アスカの勢いにボーっとなってしまっていたレイは、何時の間にかアスカの着せ替え人形と化していた
「えええ〜!!修学旅行行っちゃ駄目〜!!?」
楽しく買い物を済ませた三人を待っていたのは、非情なミサトの言葉
「しょうがないでしょ〜?戦闘待機なんだから」
アスカの言葉に、えびちゅを飲みながら答えるミサト
「いっつも、い〜っつも待機待機って!!偶にはこっちから攻めたら如何なの?」
ミサトに食って掛かるアスカ
そんなアスカ達を他所に、俯いているレイ
「如何したの?」
シンジが心配してレイに声を掛ける
「碇君・・・・・何故だか知らないけど・・・・・胸がキュッと締め付けられている感じがするの・・・・・」
レイの言葉に驚くシンジ
「この気持ちは・・・・・何・・・・・?」
自分の胸に手を当てた状態でシンジに問うレイ
「綾波、それは多分悲しいという感情だと思う。綾波の心の中まで分かる訳じゃないから多分としか言ってあげられないけど・・・・・」
レイの問いに真摯な目で答えるシンジ
「・・・・・この気持ちが・・・・・悲しい?・・・・・そう・・・・・私は修学旅行に行けなくて悲しいと思っているのね・・・・・」
シンジの答えに、己の今の感情を理解するレイ
そんなレイの様子に気がついたのかミサトが、驚いたような、嬉しそうな表情で
「な〜に?レイも修学旅行行きたかったの?」
と、問う
素直に
「はい」
と答えるレイ
レイの答えに、更に驚きと嬉しさを深めた表情をするミサト
だが、すぐに申し訳なさそうな表情になると、もう一度戦闘待機を伝える
その言葉に、一層悲しそうな表情をするレイ
その変化をミサトは申し訳ないと思いつつも、嬉しく思う
誰にも心を開かず、誰も近寄らせない、無表情だった少女が今、明らかに人を受け入れ始めたのだ
それはアスカのお陰だろうとミサトは思う
アスカと共に暮らすことで、アスカの感情に、表情に触れる事で表情が豊かになったのだろうと分かるから
レイもまた、色々な事を教え、諭してくれるアスカに強く絆を感じ始めていた
後書き
第9話、かなり書き足しましたねー
結構変わったんじゃないでしょうか?
此処から三部作でしたね?
次はプールでのお話だったかと・・・・・
それでは
タッチでした