レイの心模様

第14話     羞恥心


「エ〜、また脱ぐの〜?」

リツコの指示にアスカが声を上げる

実験を行うにいたって必要な事であるのに、何故アスカは文句を言うのか

レイは文句を言うでもなく、指示通りに行動をしつつ

アスカの文句を聞いて、不思議に思っていた

17回ものクリーニングを受けた後、全裸の状態となり通路の前に立たされる

「はいはい。お望みの姿になったわよ」

アスカの声が横から聞こえてくる

その言葉に答えるようにリツコの

「じゃあ、3人ともそのままの姿で部屋を抜けてエントリー・プラグに入ってちょうだい」

と言う指示が聞こえてくる

「「え〜〜〜!?」」

アスカとシンジの驚いた声が聞こえ

「大丈夫、モニターは切って赤外線センサーに切り替えるわ。プライバシーは保護するから大丈夫よ」

その不満を抑えるようにリツコの声が聞こえてくる

「そういう問題じゃないでしょ、気持ちの問題よ」

アスカがリツコに噛み付く

その間、レイは俯き頬を染めていた

(・・・コレは何?・・・碇君の声が聞こえた瞬間・・・心臓が飛び跳ねるように鼓動が早くなった・・・頬も熱い・・・私、如何したの?)

そんな事を考えながら

アスカの文句に我慢の限界に達したのか

「アスカ、これは命令よ!」

と、ミサトが割り込んでくる

普段なら、命令と言われれば素直に動くレイなのだが、今回は違った

(・・・命令・・・早く動かないと・・・でも・・・動きたくない・・・碇君の前に裸で出たくない・・・如何して?)

そんな思いに囚われ、動く事が出来ないのだ

レイは自分の中にあるこの不思議な思いについて考えた

そして、出た答えは

(・・・そう・・・私、嫌なのね・・・アスカと比べられる事が)

だった

(・・・そう・・・これが羞恥心というものなのね)

等と思い込みながら・・・・・





結局、リツコ達に押し切られる形で、全裸の状態でエントリーする事になった三人

「どうかしら?レイ」

リツコに感想を求められ、今までとの違いを意識してみる

だが、漠然とした違いは感じても、それを的確に表現する術を持たないレイ

だから

「・・・何か違うわ」

とだけ答える

それを補足するかのように

「感覚がおかしいのよ。右腕だけがはっきりしてて、後はボヤけた感じ」

とアスカが答える

(・・・そう・・・そうかも知れない)

レイはアスカの答えに驚くと共に、納得する

そこに

「レイ、右手を動かすイメージを描いてみて」

とリツコから指示されたため、右手を動かすイメージを模擬体に伝える

動く模擬体の右手

しかし、それはイメージからかけ離れた微々たる動きであった

それでも多くのデータが流れ込んでいるのだろう、モニター室が慌しくなっているのが見える

レイは少し気を緩める

今現在、模擬体にイメージを伝達する必要が無いと考えて・・・・・

少しすると、モニター室が騒がしくなった

如何したのかと思った瞬間

「キャー!!」

レイは悲鳴をあげる

何かに体を乗っ取られた感じを受けて

勝手に体が動く恐怖

(・・・何?・・・私、怖いと思ってる・・・如何して?・・・今までどんな事にも怖いと感じた事無かったのに)

自分が恐怖感を感じている事に驚くレイ

それはパニックを引き起こし、無意識にシンジに助けを求めようとする

だがその時

右肩の付け根辺りに激痛を感じると共に、激しいGに襲われた

二重のショックに気を失うレイ

その顔には苦悶の表情が浮かんでいた





気がついたレイは、辺りを見回す

何の変哲も無い、何時ものエントリープラグのインテリア

自分が生きている事を確認すると、レイはシンジと連絡を取ろうと通信機をONにする

だが、シンジからの返答は無い

恐怖に駆られるレイ

冷静に考えれば当たり前の事なのだが、未だにパニックを引き摺っているのだろう

シンジに何かあったのでは

そう思うと、レイはいてもたってもいられなくなり、全裸のまま緊急ハッチを開き、湖上を見渡す

すぐ近くにある二つのプラグ

レイは自分の勘を信じて、シンジが乗っているであろうプラグに向かって泳ぎだす

辿り着くとプラグに這い上がり、外から緊急ハッチを開く

中に居たのは正しくシンジであった

突然の事に驚くシンジ

レイはシンジの無事を確認すると安堵し、涙を零す

(・・・涙・・・?・・・そう・・・私・・・嬉しいのね・・・碇君が無事で居てくれて・・・そう、あの時の碇君もこんな気持ちだったのね・・・でも、碇君に涙見られるの、恥ずかしい・・・何故?)

ラミエル戦後のシンジの涙を思い出し、己の今の気持ちを把握するレイそれと共に、涙を見られることが恥ずかしいと感じる自分に疑問を抱く

一人物思いに沈んでいると

「あ、綾波、如何したの?何か悲しい事があったの?」

シンジが心配そうな顔でレイに問いかける

そんなシンジにレイは微笑を浮かべると

「・・・嬉しいから涙が出たの・・・コレは・・・貴方が教えてくれたことよ」

そう言ってシンジに抱きつく

レイの行動に慌てるシンジ

その慌て振りが、密着した体から伝わる

だが、レイはこの安堵感と喜びを逃さないように、しっかりとシンジに掴まっていた



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後書き


やっと出来ました、リニューアル14話です

最後の方、色々とこねくりまわしてみました

如何でしたでしょうか?

それでは

タッチでした




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