レイの心模様

第21話     溢れる涙と・・・・・光


ミサトが留守録に入っているメッセージを聞きながら嗚咽を上げている

何時もの明るい雰囲気は無く、葛城家に暗さが漂う

ミサトが泣き崩れている原因が何となくは分かるものの

ソレは三人ではどうしようもなく

己の無力さに唇を噛み締める事しか出来ない三人

大切な姉の気持ちを救う事が出来ない自分

そんな自分に腹を立てて、シンジとアスカは涙を流す

そしてレイも・・・・・





新たな使徒の出現

それは唐突なものであった

が、MAGIは回答を保留しているらしい

何故なら、パターンが周期的に変化する為

だが、巨大な光る鎖状のものが輪になって一定の場所に留まって回っている様は使徒でしかありえず、ミサトはエヴァの発進を決めた

が、シンジと初号機は先の使徒戦での事件が元で再度凍結が決まっており、現在出撃できるのはレイの零号機とアスカの弐号機のみ

ミサトはアスカにトラウマが残っている危険性を考慮して、レイに出撃を命じる

アスカは何も言わない

射出される零号機

その様子を、シンジは苦々しく見ていることしか出来ない

シンジとしては自分が出撃したかったのだ

パターンの一定しない使徒に嫌な感じを受けて

そう、それはシンジに第十二使徒、レリエルを思い出させていた

思いも寄らない方法で攻撃してくるのではないか?

レイがとてつもないピンチに晒されるのではないか?

そう思うとシンジは恐怖と言う名の闇に飲み込まれそうになった

そして、そのシンジの予感めいたものは現実となる

相手の様子を伺うようにと出される指示

が、レイは気がついた

だから

「いえ、来るわ」

と答えた

その瞬間、零号機に襲い掛かる使徒

先程までと違い、一本の紐のような状態となって

まるで蛇のように・・・・・

レイは咄嗟にA・Tフィールドを展開しようとするのだが、その前に使徒が腹部に突き刺さる

ソレをモニターしていたシンジが叫ぶ

「綾波〜〜〜!!」



零号機と融合を始める使徒

侵食される感覚に支配されるレイ

そんな中、苦痛の中に快楽を見出していた・・・・・





何者かの気配を感じ、そちらに意識を向けると俯いた状態のヒトの姿が

「貴方誰?使徒?私達が使徒と呼んでるヒト?」

確認するかのように呟くレイ



「私と一つにならない?」

レイの質問には答えず、そう問いかけてくる

「いいえ。私は私、あなたではないわ」

それを拒絶するレイ

「そう?でも駄目、もう遅いわ」

レイの拒絶にそう答える使徒

その途端にレイの身体に葉脈のようなものが浮かび上がる

「私の心、分けてあげる。この気持ち貴方にも分けてあげる」

そう言って顔を上げる使徒

その顔は紛れも無くレイであった

「痛いでしょ?心が痛いでしょ?」

その問いかけに

「痛い?いえ、違うわ。淋しい・・・・・そう、淋しいのね」

レイはもう一人の自分の心を理解する

「淋しい?分からないわ」

感情を理解していないかの様に言うもう一人のレイ

「一人が嫌なんでしょ?私達は沢山居るのに一人で居るのが、嫌なんでしょ?それを淋しいと言うの」

問い掛けるレイ

「それは貴方の心よ。悲しみに満ち満ちた貴方の心よ」

レイの問いに答える使徒のレイ

その時、レイの目から涙が溢れる

「これは涙?泣いてるのは私?じゃあ、あのヒトの言葉は私の想い?私は碇君と一つになりたいと思っているの?そう、そうかも知れない。この気持ちが好きという気持ち?」

使徒の言葉で自分の気持ちに気付くレイ

その時、あの気配を感じた

そう、初号機の気配を





シンジの叫びがゲンドウの心に届いたのか?

それともゲンドウのシナリオなのか?

凍結が解除され、射出される

リフトオフした所で、使徒が襲い掛かってきた

シンジは何とかソレを避けると、使徒を捕らえる

侵食されるシンジの手

「シンジはミサトの指示に従い、プログナイフを使徒に突き刺す

悲鳴のようなものをあげる使徒

侵食されたシンジの手が泡立ち、レイへと姿を変えて痛みを訴える

その事に恐怖を感じるシンジ

初号機の方に襲い掛かって来たほうの使徒の先がレイの姿へと変わり、頭部に纏わりつく

その光景を見たレイは思わず呟く

「これは私の心?碇君と一緒に居たいと思う私の心?駄目!」



纏わりついてくる使徒の姿にシンジはそれがレイの心であることに気がつく

誰からも必要とされないと思っていた自分を必要としてくれる存在

そんな存在であるレイへの想いが湧き出してくる

しかし、レイが遂に決断してしまった

A・Tフィールドを反転させ使徒を押さえ込むと、そのまま自爆モードをスタートさせる

まさにレリエル戦後に決意した事を実行する為に

シンジが何としてもレイを助けたいと思った矢先の事だった

零号機のコアに吸い込まれ、初号機から離れていく使徒

異常なほどに膨れ上がった零号機のコアにシンジは悟った

レイが自爆する気である事に

「そんなの駄目だ!綾波!」

絶望の二文字がシンジを包む

「母さん!お願いだから僕に力を貸して!」

零号機に向かって駆けながら叫ぶシンジ

その想いが通じたのか

ドクンッ!

何かの鼓動を感じた

一気に加速し、音速を超えて零号機に向かう

こちらに駆け寄ってくる初号機の姿がスクリーンに映り

通信回線が開いていないと言うのに

「駄目!お願い碇君、来ないで」

と叫ぶレイ

だが、通信が繋がっていない以上シンジにその声は届かない

どんどん零号機に近付く初号機

その途中、初号機が水平に手をまるで空気を切り裂くかのように振る

すると、ソニックウェーブが発生したのか零号機のプラグ固定ボルトが跳ね飛ばされた

オートイジェクトされる零号機のエントリープラグ

初号機が手を伸ばし、エントリープラグを掴んだと思った瞬間・・・・・

零号機を中心に真っ白い光が溢れた

初号機を巻き込んで爆発する零号機と使徒

発令所のモニターには、ただただ白い光が映っているだけだった・・・・・



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後書き


ども、タッチです

次の22話なんですが、本編と外伝合わせて四部作だったんですよね・・・・・

って事で、次の22話は前後編に分けたいと思いますのでご了承下さい

それでは




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